MAJOR(メジャー)のネタバレ解説・考察まとめ

満田拓也による漫画を原作とする野球アニメ。
2004年から2010年まで、NHK教育テレビにて6シーズン全154話が放送された。
幼い頃に両親を亡くした主人公「茂野吾郎」の野球人生を描いた作品であり、彼の成長とともに所属するチームが一丸となって目標に向かって前進していく物語である。
「友情」や「努力」といった普遍的なテーマに加え、「家族」「逆境」も本作の重要なテーマとしている。

『MAJOR』の概要

『MAJOR』は1994年33号より2010年32号まで『週刊少年サンデー』で連載された、満田拓也による野球漫画である。全747話、全78巻。主人公、茂野吾郎(しげのごろう)の半生が描かれた作品で、物語は大きく「幼稚園編」「リトルリーグ編」「三船東中学校編」「海堂学園高校編」「聖秀学院高校編」「マイナーリーグ編」「W杯編」「メジャーリーグ編」「日本プロ野球編」に分けられる。

小学館で連載された野球漫画の中でも著名な作品の1つであり、プロ野球選手にもファンが多い。平成7年には第41回小学館漫画賞少年部門を受賞、2001年には第2回サムライジャパン野球文学賞ベストナインを受賞している。2004年から2010年にはテレビアニメが放送された。2015年からは『週刊少年サンデー』で続編となる『MAJOR 2nd』が連載開始。こちらは茂野吾郎の息子である大吾が主役である。

『MAJOR』のあらすじ・ストーリー

保育園編

主人公「本田吾郎」は母を亡くし、父親と二人暮らしだった。
彼の夢は「父親のようなすごいピッチャーになる」こと。

そんな中、ヒジを痛めてしまい引退を申し出た父親・茂治であったが、吾郎のためにバッターとして再起することを誓った。
そして、テストに合格し、見事バッターとして一軍に復帰した。

メジャー・リーグから来たジョー・ギブソンと試合することとなった茂治。
レベルの高い彼から茂治はホームランを打ち、吾郎は大喜びだった。
茂治の所属するオーシャンズはバント攻撃で得点を重ねるが、メジャーと日本の野球の違いについて、ギブソンはイライラを募らせていた。

そして、茂治の第3打席、ギブソンのデッドボールが頭を直撃して倒れてしまう。
その試合では元気で立ち上がり、出場を続けたが、翌朝自宅にて死亡してしまった。

吾郎は、茂治の婚約者だった保育園の保育士・星野桃子に引き取られることになった。

リトルリーグ編

リトルリーグで活躍する吾郎

茂治の事故死から3年、吾郎は小学4年生になった。

そして、三船リトルに入団するも、野球をするために3人足りなかったが、クラスメイトの清水薫、小森大介、沢村涼太を誘い、9人揃えることが出来た。

吾郎の才能を感じた三船リトルの安藤監督から、名門の横浜リトルへの入団を勧められる。
当初は前向きな考えを示したが、仲間を見捨てることを桃子に猛反対される。
その後、桃子が急病で倒れたことや茂治の親友・茂野英毅の説得もあり、三船リトルで横浜リトルを倒すことを決意した。

そして、トーナメントに勝ち進み、肩を痛めながらも日本一の横浜リトルに勝利した。

その後、桃子と英毅の結婚、英毅が所属する福岡ファルコンズ移籍に伴い転校することになった。
この際、名字が「本田」から「茂野」となった。

三船東中学校編

英毅が横浜に移籍したことに伴い、中3になった吾郎は横浜に戻ってきた。
そして三船東中学に転入し、小森・沢村・薫と再会を果たした。

しかし、吾郎は3年前に右肩を壊してしまい、左投げに転向していた。
そして高校進学後に硬式野球をやるために、中学ではサッカー部に所属して体力作りに励んでいた。

ところが、三船西中学との練習試合で相手監督に罵倒される東中をみかねて、急遽登板した。
それをきっかけに野球部に入部することを決意した。

しかし、本来右利きの吾郎は左投げではまったくキレがない棒球であると、幼馴染である寿也に指摘されてしまう。
英毅の指導もあり短期のうちに克服し、吾郎の左腕はいつの間にかボールがジャイロ回転する「ジャイロボール」を習得していた。

地区大会では、決勝で三船西に完勝し、県大会出場を決めた。
しかし、その県大会の1回戦で海堂学園付属中の眉村健に打ち込まれ、コールド負けで敗北してしまう。

これにより自分自身が海堂野球部で這い上がらねばと思うようになり、寿也たちと海堂学園高校野球部のセレクションを受けて合格し、海堂学園へ入学する。

海堂学園高校編

海堂入学後、新入部員たちはみな、小さな島にある野球部の養成所「夢島組」に入所することとなった。

教官・乾を相手打者とした投手適性試験にて、吾郎はただ一人乾を三振に打ち取るも、「海堂のマニュアルに反する」と責任者・周防に不合格とされてしまう。
海堂のマニュアルでは、投手の条件と適正は、「知性と冷静さを持ち、従順な性質でなければならない」とされており、吾郎は条件に該当しなかったため、不合格となった。

しかし、吾郎のピッチングに感銘を受けた乾は、海堂を辞めて他校でプレーするように勧めるが、思いとどまり、しばらく外野手としてプレーすることを決めた。

その後、二軍昇格を賭けた終了検定では、「マニュアル通りの守備、打撃」をしていないことから周防に評価されなかった。
しかし、総監督からの指令により、特別に再度投手の試験を受け、打者全員を三振に打ち取る完璧な投球を見せ合格、二軍昇格を決めた。

特待生との歓迎試合では、一方的に点差を広げられる展開であったが、吾郎が途中登板したことで、勝利する。
しかし、吾郎のスタイルを認めようとしない二軍監督・早乙女静香。
彼女によって、吾郎は退部の危機に陥ってしまうが、チーフマネージャー・江頭の計らいで退部を免れた。

江頭は吾郎を、悲劇のスラッガー・本田茂治を父に持ち、自らも右肩の故障からカムバックした吾郎を甲子園のスターに育て、海堂高校のイメージアップのための広告塔に使おうと考えていた。

吾郎は、マニュアル野球への反発と、最強海堂を倒したいとの強い思いから、「一軍を倒してから、海堂を出ていく」と決意した。
その後、2年の夏の一軍 VS 二軍の壮行試合で一軍に完投勝利し、自主退学した。

聖秀学院高校編

江頭の妨害工作のせいで、野球部の無い高校への編入を余儀なくされ、聖秀学院高校に編入した。
吾郎は、数少ない男子生徒を集めて野球部を創設、さらには屋上にグラウンドを作った。

3年の春、海堂二軍との練習試合で再び江頭の妨害に遭い、左足首に靭帯断裂と骨折を負う。
退院後に英毅からは「将来を見据えた行動を取れ」と苦言を呈されるも、海堂と戦うことの方が大切な吾郎。
出場が絶望的な状態でも諦めず、夏の大会では毎試合痛み止めを打ち全登板し、県大会を勝ち進んだ。

準々決勝にて、寿也率いる海堂高校との対戦が実現した。
吾郎の完治していなかった足を苦しめる江頭の策略により苦戦していたが、試合は接戦となり延長12回裏まで続いた。
渾身の投球で、海堂高校のエース眉村から三振を打ち取ったが、次のバッターへの1球目で力尽き、サヨナラ負けとなった。

その後、父を死に追いやったギブソンが今もメジャーで活躍し、吾郎との対戦を心待ちにしていることを知り、単身渡米をしてメジャーリーグを目指すこととなった。

マイナーリーグ編

アメリカに到着するも早々に置き引きに遭い、路頭に迷ってしまう。
そんな中、同じくトライアルを受けにやって来てた八木沼隼人に助けられる。
彼と共にメジャー球団「アナハイム・サーモンズ」のトライアウトを受け、見事合格した。

実力と精神の強さを認められ、特例でメジャーキャンプに合流したが、チームのエース・サンチェスとのコントロール勝負に敗北。
そして、オープン戦で初登板をするも、大舞台での緊張から打ち込まれてしまい、マイナー落ちしてしまう。
さらに、「オクラホマ・ファルコンズ」との試合中、父親・茂治の暴言を吐いたジョー・ギブソンの息子、ジョー・ギブソンJr.と乱闘を起こしてしまい、解雇される。

その後、マイナーリーグ最上位クラスであるAAA(以降3A)の「メンフィス・バッツ」に入団するが、3Aは調整地と考える者と落ちていく者の混成で、勝利への執着心を失っていた。
クロ―ザ―として加入した吾郎は、チームメイトのサンダースとともにチーム内の意識改革を進め、3Aの優勝を果たした。

その後、メジャー昇格を言い渡されるが、プレーオフにギブソンJr.のいるファルコンズが出場することを知って、3Aに残留。
プレーオフの最終戦で3Aの優勝を決めたが、吾郎の単独行動がきっかけでメジャー昇格は見送りとなった。

W杯編

日本に帰国した吾郎は、薫に聖秀時代に交わした約束のサインボールを渡した。
そして、薫の弟・大河からの後押しや薫自身の気持ちを聞いて、自身も知らない間に薫を恋愛対象として見ていた事に気付き、薫との初デートで告白をして恋人関係になった。

その後、W杯の開催を知り、日本代表入りを目指して打撃投手を志願。
父親のコネで日本代表のキャンプに参加し、「ジャイロフォーク」を習得する。
そして、監督やメジャーリーガー京四郎の推薦もあり、練習試合相手の「ヤングジャパン」に抜擢され、日本代表と戦う。
しかし、格の違いを見せつけられたことから、自分の力不足を痛感してアメリカに戻り、「ホーネッツ」のキャンプに参加した。

その後、W杯アジア予選後、日本代表の故障に加え、吾郎の3Aでのクロ―ザ―実績などもあり、吾郎は「日本代表入り」した。
クロ―ザ―を任され、期待通りの活躍を続けたが、アメリカとの決勝戦で、ギブソンJr.から逆転ツーランを浴びてしまう。
その後、なんとか延長戦に突入するも、ギブソンJr.にサヨナラ満塁本塁打にされ、敗戦投手となってしまう。

父親の墓に向かって「野球をやめるかも」と告げた吾郎。
しかし、旧友たちと野球をして、野球への情熱を取り戻し、再び渡米を決意した。

メジャーリーグ編

チームキャンプに戻った吾郎は、W杯での活躍を評価され、オープン戦を経て正式にメジャーリーグへ昇格した。

メジャー初登板の試合では、メジャー史上初の初登板・初先発でノーヒットノーランの期待がかかったが、終盤で調子を崩してしまい、自らマウンドを降りた。
その後の試合でも、乱調を起こしてしまい、マイナーに降格してしまう。

吾郎は、心理療法士・オリバーからイップス(投球恐怖症)であると診断されてしまう。
受診後は安定した投球が出来るようになり、メジャーに再昇格を果たすが、本来の威圧感は失い、剛速球はすっかり影を潜めた。
その後のシーズン戦でも、勝ったり負けたりの投球が続き本来の力が出せずに苦しんでいた。
しかし、現役復帰したギブソンから新たなるモチベーションを見つけ出し、イップスを克服したが、さらなるピンチが吾郎を襲った。

シーズン終盤のミネソタ・コヨーテス戦で完封勝利を目前に鈍痛が手を襲った。
試合後、病院の診察を受け、そこで血行障害と診断されてしまう。
不振のワッツに代わり、再びクロ―ザ―に指名され、地区優勝決定戦のコヨーテス戦で終盤登板した。
メジャー記録の10連続奪三振に届きそうだったが、痛みが走り記録が途絶えてしまう。
その後、限界を超えた腕で空振り三振を取り、マウンドを降りた。
そして、「ホーネッツ」はマードックのサヨナラホームランで見事地区優勝を果たした。
吾郎は試合後に手術を行い、無事に成功した。

帰国後、薫にプロポーズをし、その数年後に結婚した。
メジャー2年目からは先発として活躍していたが、メジャー5年目に血行障害を再発してしまいクロ―ザ―に再転向。
7年目、8年目に最多セーブ王のタイトルを獲得し、「ホーネッツ」不動の守護神となった。

ワールドシリーズ編

27歳になる年、メジャー8年目に、薫ら家族が見守る中、ギブソン父子率いる「レイダース」とのワールドシリーズに臨んだ。
しかし、ギブソンJr.の打球を頭に受けて失神してしまい、病院に運ばれた吾郎。

多くが父・茂治の悲劇を想像するも、夢の中での父との邂逅を経て、無事に意識を取り戻す。

翌日の最終戦ではベンチで見守っていたが、試合が佳境に入った頃、志願して投球練習に参加する。
「レイダース」の監督であるギブソンにプレッシャーをかけるために投球練習をしただけで、登板するつもりは無かったが、チームがさよなら負けのピンチを迎えたところで、自ら志願してマウンドに上がった。

後遺症の眩暈の影響に負けず、全力投球で相手をねじ伏せ、念願のワールドシリーズを制覇した。
この夜に長女・いずみが誕生し、吾郎は父親となった。

日本プロ野球編

ワールドシリーズ制覇後もメジャーで活躍していた吾郎であったが、左肩を故障してしまい、ホーネッツから解雇通告を受けた。
しかし、現役引退を受け入れないまま、かつての父・茂治のように野手として再起することを決意した。

家族を連れて帰国後、子供たちに真相を教えないまま、トレーニングを続け、34歳になる年にトライアウトに合格し、「オーシャンズ」に入団。
キャンプを経て、オープン戦で日本プロ野球デビューを果たし、公式戦で家族が見守る中、大物メジャーリーガーから3打席目でホームランを放った。

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