まんが道(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『まんが道』は藤子不二雄の自伝的漫画作品、及びそれを原作としたドラマ作品である。漫画家を目指す2人の少年、満賀道雄と才野茂の成長を描いた長編青春漫画で、手塚治虫や寺田ヒロオといった実在する漫画家が数多く登場する。出版社や雑誌もそのまま描かれているため、戦後漫画草創期の貴重な記録にもなっている。
続編として『愛…しりそめし頃に…』がある。
『まんが道』の概要
『まんが道』とは、国民的アニメ『ドラえもん』や『怪物くん』、『パーマン』を生み出した漫画家藤子不二雄の自伝的漫画作品と、それを原作としたドラマ作品である。1970年から1972年まで、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載されたマンガ入門講座「チャンピオンマンガ科」4ページ分のうち2ページ分が『マンガ道』として掲載された。その後、1977年から1982年まで『週刊少年キング』(少年画報社)に連載される。掲載誌の休刊に伴い未完だったが、その後『藤子不二雄ランド』(中央公論社)の巻末連載まんがに引き継がれた。1995年から、続編の『愛…しりそめし頃に… 満賀道雄の青春』が『ビッグコミックオリジナル増刊』(小学館)で2013年4月まで連載された。藤子不二雄Aによるシリーズとしては最長連載作品で、シリーズの連載は43年間の長期にわたり続いた。2014年、第18回手塚治虫文化賞特別賞を続編を含めて受賞した。
藤子不二雄をモデルとした満賀道雄(藤子不二雄Aがモデル)と才野茂(藤子・F・不二雄がモデル)の2人が漫画家を目指す長編青春漫画で、実話と脚色を織り交ぜて描いた作品。年代順に「あすなろ編」「立志編」「青雲編」「春雷編」「愛…しりそめし頃に…」となっている。2人の出会いから、手塚治虫との対面、赤塚不二夫や寺田ヒロオら漫画家の住むトキワ荘での生活など、漫画に心血を注ぎ上京してプロの漫画家になるまでの姿を描いている。主人公をとりまく当時の漫画家たちの多くが実名で登場し、出版社や雑誌もそのまま掲載されているため、戦後漫画草創期の貴重な記録とも言われている。
また作中には、藤子不二雄が当時描いたいくつかの作品(『西部のどこかで』『海抜六千米の恐怖』『ある日本人留学生からのローマ便り』など)がそのままの形で収録された。それらの作品はいずれも単行本に収録されていなかった。ただし、『天使の玉ちゃん』などについては当時掲載されたままの形ではなく、作者が連載時に改めて描き直したものとなっている。
1986年にNHK銀河テレビ小説『まんが道』と、1987年に続編『まんが道(青春編)』が放送された。満賀道雄役は俳優竹本孝之、才野茂が俳優長江健次が演じた。2006年秋には、同ドラマがDVD Vol.1&Vol.2として発売された。
『まんが道』のあらすじ・ストーリー
あすなろ編
『週刊少年チャンピオン』に1970年8号から1972年30号に連載された。
富山県高岡市の定塚小学校に転校してきた主人公の満賀道雄と才野茂が出会い、意気投合して同人誌や漫画を製作していく。終盤には手塚治虫の自宅を訪問する。
シリーズの中でもフィクション色が強い作品。
立志編・青雲編
『週刊少年キング』に1977年46号から1982年22号に連載された。
手塚治虫の自宅を訪問した後、満賀道雄と才野茂の2人がついに足塚茂道として漫画家デビューする。それから上京して多くの漫画家が居住したトキワ荘に引っ越す。トキワ荘では石森章太郎や永田竹丸といった漫画家たちと友情を深めた。
物語の終盤では満才茂道に改名している。
『週刊少年キング』が休刊となったため連載が終了。巻末には未完と書かれている。
春雷編
NHK「銀河テレビ小説」でのドラマ化を受け、1986年から1988年に『藤子不二雄ランド』の巻末で連載。
前作の最終話から続く形で始まり、「風田朗」のペンネームで活躍する鈴木伸一が、アニメーターに転進するべくトキワ荘を出ておとぎプロへ入社する過程を描いている。
『愛…しりそめし頃に…』
『まんが道』の続編として『ビッグコミックオリジナル増刊』に掲載された。
トキワ荘の日常や、満賀が漫画を描く様子、満賀の恋愛模様、手塚治虫の仕事を手伝う様子が描かれる。
また単行本では巻末附録として、作品中に登場した漫画が雑誌掲載時のまま復刻されている。
『まんが道』の登場人物・キャラクター
満賀道雄(まが みちお)
作者藤子不二雄Aがモデルのキャラクター。物語当初は母と弟の3人暮らしをしていた。転校した小学校で才野茂と出会い、意気投合して漫画家を目指すように。高校を卒業した後は新聞社に就職するが、夢をあきらめきれずに才野と上京し、2人で足塚茂道としてデビューする。
『愛…しりそめし頃に…』では友人や女性と遊びに行く様子が絵が描かれる。
生家は禅宗の寺で、動物性タンパク質を受けつけない体質。またよく原稿の締め切りに間に合わない、編集者が原稿をなくすなどの悪夢を見る。
才野茂(さいの しげる)
藤子・F・不二雄がモデルのキャラクター。親友の満賀とコンビを組み、足塚茂道として漫画家デビューする。デビュー前は製菓会社で働いたこともあった。
満賀には全幅の信頼を寄せており、仲違いや喧嘩をすることはほぼない。
『愛…しりそめし頃に…』ではデザインが変更され、より藤子・F・不二雄に近くなっている。『愛…しりそめし頃に…』の連載中に藤子・F・不二雄が亡くなったことで、2巻の巻末には追悼として描かれた『さらば友よ』が収録された。
激河大介(げきが だいすけ)
高岡高校の同級生でリアルなタッチの漫画を描く。
大阪に引っ越す際は満賀と才野の2人に対し「どちらが先にプロの漫画家になるか」という競争を持ち掛けた。激河は後に『拳銃魔』という作品でデビューを果たす。
手塚治虫(てづか おさむ)
満賀と才野が憧れている漫画家であり、トキワ荘に住む全ての漫画家達の目標とする人物。
漫画の未来について真剣に考えており、後輩の面倒見もよい。足塚茂道は出版社の紹介やトキワ荘の入居の際にとても世話になった。
モデルは実在の漫画家、手塚治虫。
寺田ヒロオ(てらだ ひろお)
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目次 - Contents
- 『まんが道』の概要
- 『まんが道』のあらすじ・ストーリー
- あすなろ編
- 立志編・青雲編
- 春雷編
- 『愛…しりそめし頃に…』
- 『まんが道』の登場人物・キャラクター
- 満賀道雄(まが みちお)
- 才野茂(さいの しげる)
- 激河大介(げきが だいすけ)
- 手塚治虫(てづか おさむ)
- 寺田ヒロオ(てらだ ひろお)
- 永田竹丸(ながた たけまる)
- 石森章太郎(いしもり しょうたろう)
- 赤塚不二夫(あかつか ふじお)
- 森安なおや(もりやす なおや)/風森やすじ(かぜもり やすじ)
- 坂本三郎(さかもと さぶろう)
- つのだじろう
- 『まんが道』の用語
- トキワ荘
- 新漫画党
- 『まんが道』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 満賀と才野 「ンマーイ!」
- 満賀と才野「すべては終わっしまったのだ!!」
- 『まんが道』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ドラマ『怪物くん』の放送時期のサービス
- 『まんが道』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:竹本孝之『HOLD YOUR LAST CHANCE』