ワカコ酒(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワカコ酒』(ワカコざけ)とは、『月刊コミックゼノン』で2011年から連載されている新久千映のグルメ漫画、及びそれを元にしたテレビドラマやアニメ作品である。主人公の村崎ワカコが好きなお酒とそれに合う料理を淡々と食べる。その中で、日常のちょっとした出来事を思い浮かべ、一日が終わる、という緩やかな作品である。2015年1月よりテレビドラマ化、同年7月からテレビアニメ化されている。

1巻第13夜に登場したハムカツ。
安い居酒屋で出て来るハムカツはとにかく薄い。しかしそれが分かっていながら、何故か注文してしまうハムカツ。

ワカコも箸でつまみ、ほぼころもじゃんなどと思いつつ、サクサクと薄い揚げ物を噛みしめる。
ハムの塩気と旨みがしみ込んだころもを楽しんでいるうちに、ワカコはふと思う。
ハムカツはハムカツ、トンカツの代用ではない。チープなつまみをチープに楽しむには、昔ながらの炭酸「トリスハイ」がベストマッチ。

海老のアヒージョ

2巻第28夜で登場した海老のアヒージョ。ニンニクと油、酒飲みの友達であり敵でもある美味しい組み合わせ。
唐揚げや焼き肉など、お酒のあるところには必ずと言っていいほどこの組み合わせは登場するが、アヒージョほどニンニクと油をダイレクトに感じるおつまみもなかなか無いのではないだろうか。

第28夜のワカコは、珍しく食べるものを決めてお店に入る。
ふらりとお店に入った後、メニューを眺めてその日のおつまみと出会うような描写が多い中、ちょっとレアなエピソードだ。

油がぐつぐつと煮えたぎった状態で供されるアヒージョ。土鍋が目の前に置かれて思わずニタリとしてしまうワカコ。
パンチの利いた味のおつまみには赤ワイン、というのがセオリーのようだが、ワカコは冷えた白ワインで口の中をクールにし、アツアツの海老を口に入れる。

もつ煮込み

2巻第39夜で登場したもつ煮込み。酒好きの食べるもの、として言われるものは多々あれど、もつ煮込みはその代表格と言っても過言ではないだろう。
もつ煮込みは主役が何なのかわからない料理である。確かにもつの旨みが味の決め手ではあるし、もつが無くなったらもつ煮込みでは無くなってしまうが、食べているとこのもつ煮込みという食べ物は何がメインなのか分からなくなる。
箸でつまめば崩れそうになる豆腐も、煮汁のしみ込んだ大根もこんにゃくも、もつと同等、むしろ旨みを煮汁に持って行かれたもつよりも強烈な存在感がある。
色々な具材を楽しんで、舌を日本酒で洗い流す心地良さはこたえられない。

海鮮コロッケ

居酒屋さんの「本日のオススメ」は、心惹かれるものである。
第2巻第42夜でワカコが入った居酒屋では、「海鮮コロッケ」がオススメされている。

さくっところもを割り、コロッケを一切れ口に運ぶと、ぐにっ、こりっ、とジャガイモでも肉でもない、楽しい触感。
タコを噛み当ててにっこり、イカを噛み当ててにんまり。普通のポテトコロッケやビーフコロッケでは楽しめない触感にご満悦のワカコ。

黙々とコロッケを口に運ぶ彼女を見て、満足そうに店のお兄さんが笑うほっこりするコマまで描かれている。

筑前煮

3巻第55夜に登場した筑前煮。この話では、年の暮れから新年にかけて、ご馳走を一通り食べた後に食べたくなるものとして、筑前煮が取り上げられている。
合わせるお酒も普段使いの芋焼酎。塩分の濃い料理に疲れた胃袋に、すっと入って来る根菜類とこんにゃくがほっとする一皿だ。
柔らかく煮込まれた人参に、深い味わいのしいたけと、野菜を一通り味わった後に口に入って来る主役の鶏肉。
新年のあわただしい飲みから、普段のゆったりとした飲みに切り替わる。筑前煮は、そんな夜におすすめの料理である。

きんぴらごぼう

3巻第58夜でワカコがたべるきんぴらごぼう。ワカコがほんの数本だけ口に運び、甘辛の味付けにゴマの香ばしい風味をお酒で流す描写がたまらない。
居酒屋に入る前に買った小説と一緒につまむには、きんぴらごぼうの気安さがちょうど良いのだという。

きんぴらごぼうとと小説をおつまみに、居酒屋のカウンターで一杯。
混雑した居酒屋では睨まれそうだが、少し憧れる。

マカロニサラダ

ぱっと出て来るおつまみの代表格は、枝豆、ポテサラ、キムチなどが挙げられるが、マカロニサラダが置いてある居酒屋もある。
3巻第67夜で、住まいの更新料などで財布に余裕が無いワカコが頼むのも、このマカロニサラダに焼酎ハイ。
安いのに、しっかりお酒を飲んでいる感じがうれしいこの組み合わせ。

お金が無いなら帰ればいいのに、ちょっと居酒屋に顔を出してしまうのは、やはり酒飲みのサガなのだろう。

ツナ缶マヨ焼き

会社からの帰り道に、雨に降られてしまったワカコは、雨宿りがてら立ち飲み屋さんへ入ってみることに。
作中でワカコがお酒のお供に選んだ料理は、「ツナ缶マヨ焼き」。シーチキンの缶を開け、マヨネーズとスライスした玉ねぎを載せてバーナーで炙ったお手軽おつまみだ。
しかしこれ、お手軽とはいえど非常にそそられるおつまみでもある。
ツナ缶というのはそもそもが油に満たされたこってりとしたもの。その油を切ったりせずに、上からマヨネーズを乗せて炙るという贅沢。
間の玉ねぎが無ければ、脂っこくてすぐに飽きてしまうだろう。

手間暇かけないおつまみにも、試行錯誤のあとが見え隠れしている。

豚キムチ

唐揚げと同じく、酒飲みを凶暴にするおつまみの代表例「豚キムチ」。
なぜ4巻第93夜まで出なかったのか疑問に思うほど、ビールのお供の定番ではないだろうか。

仕事でちょっと恥ずかしい思いをしたワカコが、気分を変えるためにチョイスしたおつまみがこの豚キムチ。
単純でガツンとくる味なので、ぐいぐいビールが進み、イヤなことを忘れる飲みのおつまみには最適だ。
辛いことを噛みしめながら飲む酒も悪くないが、ビールと一緒に胃袋の奥に押し込んでしまう夜も良いだろう。

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