2012(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『2012』はローランド・エメリッヒ監督によるパニック映画。2009年に公開され、迫力ある破壊描写やスケールの大きなストーリーが話題になった。マヤ文明の暦が2012年12月21日に区切りを迎えていることを基にした都市伝説を題材に、世界が滅亡する様とその中で生き延びようとする家族の絆を描いている。

『2012』のあらすじ・ストーリー

世界各地で徐々に起こる異変

2009年、地球の地下深くで異変が起きていた。異常な加熱が続いた地球内部が流動化を起こしており、数年後には規模の大きな地殻変動が起こると予想されたのだった。
それが実現したら、世界中でとてつもない規模の災害が起こると予想される。この観測結果を知ったインドの科学者サトナムからの連絡を受けたアメリカの大統領科学顧問エイドリアン・ヘルムズリーは、首席補佐官のカール・アンハイザーに地球規模の危機を訴える。この事実を知らされたウィルソン大統領は、秘密裏に主要各国の首脳を集めて来たるべき日への備えをすべきだと告げる。パニックを恐れて民衆にはこの事が知らされないまま、密かに人類を存続させるための計画が始まった。

3年後の2012年、リムジンのドライバーで生計を立てている売れない作家ジャクソン・カーティスは、分かれた妻から二人の子どもを預かり久々に親子でのキャンプに向かう。その先で政府による大規模な地質調査を目撃したジャクソンたち。そこで出会ったエイドリアンと会話を交わすも、地球滅亡が迫っている事実は当然知らされることはない。ジャクソンたちを見送ったエイドリアンは調査の結果地殻変動が目前に迫っていることを知り、先ほど話したジャクソンとその子どもたちの行く末を思い辛い顔を見せるのだった。

一方で、エイドリアンからの見送りを受けたジャクソンたちは、個人で海賊ラジオ局を運営している怪しげな男チャーリーと出会う。最初は彼を変人としか見ないジャクソンだったが、彼の唱える地球滅亡説とそれを支持する有名学者たちの話を聞くうちに徐々に信じ始める。アメリカ各地で起こる地割れや湖の蒸発などの異常現象、人類を存続させるための「箱舟」の噂などを知っていき大災害の発生を確信したジャクソンは、妻のケイト、息子のノアと娘のリリーを連れて噂の「船」を目指すことを決意する。

しかしこのとき既に地球内部の異変は起こり始めており、それは未曾有の大災害となって既に地上に迫っていた。

世界の破滅と生き延びるためのチケット

巨大な地震が発生する中、ケイトと子どもたち、ケイトの今の彼氏であるゴードンを連れて逃げるジャクソン。街は壊滅的な被害を受け、ジャクソンらはかろうじて空港から小型飛行機で脱出する。チャーリーから「船」の場所が中国であることを教えられたジャクソンは、そこを目指す道中リムジン運転手としての雇い主でありロシア人の大富豪ユーリの一行と偶然にも再会した。ユーリとその息子たち、恋人のタマラ、部下のサーシャが加わったジャクソンの一行は、ユーリの自家用ジェットで中国を目指す。

その道中で目にしたのは、噴火によって消滅するイエローストーン、火砕流に飲み込まれるラスベガス、火山活動で火の海と化したハワイなど確実に滅亡へと向かう地球の姿だった。

一方で政府関係者たちは、人類の存続のため「船」への乗船と政府移転を急いでいた。エイドリアンは、あくまで感情を捨てて計算的に動くアンハイザーへの憤り、全ての人を救えない葛藤に悩みながらも人間とその文明を途絶えさせないために奔走する。ウィルソン大統領は船には乗らず、国民と共に残って最期を迎えることを選んだ。

中国を目指すジャクソンたちだったが、燃料切れで飛行機はチベットの山間部へと不時着する。偶然その現場を通りかかった政府のヘリによって救助される一行。しかし船へと向かうことができたのは、乗船のチケットを持っているユーリとその息子たちだけだった。取り残されたジャクソンたちは、このままでは生き残る望みは無いと途方にくれる。

箱舟への乗船

中国の山の中をさまようジャクソンたちは、偶然通りかかったトラックに乗った僧侶の青年ニーマとその家族と出会う。青年の兄テンジンは船を建造する基地で働いており、彼らはその手引きで密かに乗船しようと考えていたのだった。ジャクソンたちはテンジンに頼み込み、一緒に不法乗船させてもらうことを承諾してもらう。

その頃政府関係者たちは、基地を直撃する津波が予想より大幅に早く到来していることを知る。チケット所有者の乗船がまだ済んでおらず、しかも船建造の作業員たちは乗船できない中で出航を急がせるアンハイザーを見たエイドリアンは、彼や周囲の船員、そして他の船に乗る各国首脳に対して訴えかける。彼の訴えによって心を動かされた各国の政府要人たちの意見の一致によって、基地に残された人々を乗船させることが決まる。

一方でジャクソンたちは船の動力部から密かに内部に乗り込むが、その途中で船の機械部が動いたために立ち往生し、浸水によって溺死しかけてしまう。またその影響で船が誤作動を起こし、10万人を乗せた1隻が沈没しかける危機に陥る。しかしジャクソンの活躍とそれを手助けした息子ノアのおかげで事態は解決し、無事に乗員たちは生き残るのだった。

数十日後、異常現象も落ち着き安定を見せる。地殻変動によって盛り上がったため陸地として残ったアフリカを目指す船の中で、ジャクソンたち家族はこれからも支えあって生きていくことを約束し合い、物語はエンディングを迎える。

主な登場人物・キャラクター

ジャクソン・カーティス

リムジンの運転手として働きながら本を書いている売れない小説家。別れた妻のもとに二人の子どもがおり、時々会っている。
ひょんなことから世界の滅亡とそれを生き延びる方法を知り、家族を連れて「船」を目指すこととなる。温厚な性格だが、いざというときにはリーダーシップを発揮し率先して行動する。

ケイト・カーティス

ジャクソンの元妻で、現在は恋人のゴードンと二人の子どもたちと暮らしている。別れた今でもジャクソンの生活や健康を気遣っており、異常事態の中で協力して生き延びていくうちにかつての愛情を取り戻していく。
子ども思いの母親で、自分の身を犠牲にしてでも子どもたちを助けようとする場面も見られる。

ノア・カーティス

ジャクソンとケイトの息子。
当初はジャクソンに対して辛く当たり、むしろケイトの現在の彼氏であるゴードンに対して親しくしている様子を見せていた。しかし命の危機に瀕していくうちに父親であるジャクソンを信頼している一面を見せ、最終的にはピンチを乗り切るためジャクソンに積極的に協力する。

リリー・カーティス

ジャクソンとケイトの娘でノアの妹。まだ幼いもののしっかりとした性格で、危険が目前に迫っていてもパニックになることなく落ち着いた様子を見せる。
帽子に強いこだわりを持っていて、帽子を無くす度に落ち込んではどこかから新たに拾った帽子を身につける。

ゴードン・シルバーマン

ケイトの現在の彼氏。整形外科医として開業していてかなり裕福らしく、ポルシェを所有している。貧乏小説家であるジャクソンを時折小馬鹿にしたような様子を見せるが、基本的には善人でケイトの子どもたちにも優しく接しており、ピンチの際はジャクソンとも協力している。
小型飛行機の操縦のレッスンを受けた経験があり、その知識が結果的に自分とジャクソンたちの命を救うこととなる。

ユーリ・カルポフ

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