デビル=悪魔が全く出てこない……? 映画「デビルズ・トレイン」
タイトルを見て大体の中身を想像した方。おそらくそれで当たっています。電車に閉じ込められた男女が異形のモンスターに襲われ、決死の脱出劇を演じるホラー作品。しかし、作中にはなぜかデビル=悪魔が出てきません。あるいはデビルは怪物の意なのか。映画「デビルズ・トレイン」をご紹介いたします。
あらすじ・ストーリー
深 夜 列 車 に 襲 い か か る 絶 対 恐 怖
ある嵐の夜。乗客8人を乗せた深夜列車が森の中で緊急停止してしまう。状況確認のため外へ降りた運転手は一向に戻らず、しびれを切らした乗客たちは最寄りの駅まで歩いて移動することに。しかし、彼らが線路を歩いていると、突然大きな咆哮が闇夜に鳴り響いた! そして、草の陰には何かに食い荒らされたような運転手の死体。危険を感じた乗客たちは急いで列車へ戻りバリケードをはるが、正体不明の“怪物たち"は、強化窓を簡単に破壊し、屋根を切り裂き、あらゆる場所から車内へ侵入し、一人、またひとりと乗客たちに襲いかかるのだった。果たして、逃げ場のない密室に閉じ込められた乗客たちは生き残ることができるのか?そして、謎の怪物の正体とは―――! ?
出典: www.amazon.co.jp
決して予測の域を出ない、ある意味王道のホラー映画
王道のホラー映画を構成する要素は十分にそろっています。電車という密室に、暗く静まった森林。そして文句を垂れ、考えなしに外へ出ようとする乗客たち。これらの要素が揃っていてまず失敗することはないでしょう。しかし、それは決して成功を意味するということではありません。王道とはつまり平凡ということ。奇をてらった、目新しいギミックなどはなく、ほぼ予想の範囲内で物語は収束します。
安定感のある作品であることは間違いないでしょう。いわゆる、置きにいった作品ですからね。しかし、それゆえにどんでん返しや驚愕のラスト、思わず目をそむけたくなるような描写などは全くありません。万人向けのホラー映画。おそらく子供でもやすやすと観賞できるでしょう。家族で観たり、あるいは友達同士で適当に観流す程度ならば、オススメできます。
日本でいうところのデビルは、あるいは怪物という意味なのかもしれない
デビルというタイトルを冠してはいるものの、悪魔は出てきません。なんだかそれっぽい怪物は出てきますが、作中で悪魔とは呼ばれていません。もしかしたら日本でデビルといったら、広い意味での怪物を指しているのかもしれませんね。この映画に悪魔を期待してはいけません。悪魔を見たいならばおとなしくエクソシストを観ましょう。あちらの方がより悪魔らしい悪魔を堪能できるはずです。
怪物の正体。それは人間。人間が突然変異してモンスターになってしまったのです。説明されてもへーとしか言いようがありませんでした。怪物の正体は一体、と煽られて、一番初めに出てくる答えですよね、人間って。そして元が人間であるからか、怪物が弱い弱い。生身の人間が数人がかりで倒せるのだから恐怖も薄れようものです。ラストもこれまた王道のホラー映画らしい。徹頭徹尾、敷かれたレールの上を走るような映画でした。
まとめ
王道の映画が悪いかといえば、決してそういうことではありません。王道は何作もの映画が積み重なってできたもので、いわば芸術の結晶。それを否定する気は毛頭ないのですが、もはや飽和状態に陥っているホラー映画業界において王道はイコールつまらないという評価になってしまいます。当たり外れが激しいですからね、少しでも日よってしまえばこのような作品ができてしまうのでしょう。外れではないけれど、特段観る価値があるとも思えない、そんな映画でした。