
『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』とは、2014年にアメリカで制作された映画。第71回ヴェネツィア国際映画祭に出品された後、同年開催のトロント国際映画祭でも上映された。無人機ドローンを遠隔操作することで人を殺し、基地と自宅を日帰りで往復する日常に精神を病んでいく一人の兵士の姿を描いている。実際に戦争で生存した兵士がPTSDを発症することもあるという実話から生まれた戦争ドラマである。
ジャック・ジョンズ中佐(演:ブルース・グリーンウッド)
日本語吹替え:広瀬彰勇
トミーの上官。彼のドローン操縦や狙撃の腕を高く買っている。任務の重要性を説きながらも、トミーの心理的負担を考慮して軍上部に彼の出した異動願いを取り次ぐ。
エド・クリスティ大尉(演:ディラン・ケニン)
日本語吹き替え:北村謙次
トミーのグループで一緒にドローン操作をしている大尉。与えられた任務に対して疑問を持たず、淡々とこなしている。
ラングレー(演:ピーター・コヨーテ)
ジョンズ中佐率いるチームに「アルカイダ極秘作戦」の指示出しを行うCIAの職員。非人道的なことも淡々と要求する。電話越しに声のみ出演。
『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の用語
MQ-9 リーパー (MQ-9 Reaper)

実際の「MQ-9 リーパー (MQ-9 Reaper) 」の画像
作中でトミー達が操っていたドローン。中高度長時間滞空型の無人攻撃機。
「死神(Reaper)」という恐ろしい愛称が示す通り、その高い攻撃能力と偵察能力から、「ハンターキラー無人機」とも呼ばれる。機体にパイロットが搭乗する必要がなく、地球上のどこからでも地上管制ステーションと衛星通信システムを介して遠隔操縦することが可能。
『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
上官「勘違いするな。我々は人を殺している。これはゲーム(PlayStation)ではない。しかし、お偉方は認めないが、モデルはXboxだ。」

新兵たちの前で上官が演説するシーンで「勘違いするな。我々は人を殺している。これはゲーム(PlayStation)ではない。しかし、お偉方は認めないが(操作方法の)モデルはXboxだ。」という台詞が登場する。これは、実際にアメリカ軍のドローン操縦システムが、Xboxのコントローラーに酷似したインターフェースを使用しているという事実を皮肉めかして示唆したものとされている。監督のアンドリュー・ニコルは、この言葉で「ゲーム感覚で人が殺されている」という現代の戦争の恐ろしさを強調したかったのかもしれない。
「戦争」の現実を垣間見る爆撃シーン

本作『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』は、実際に戦争に赴き、生存した兵士たちがPTSDに苦しむこともある、という事実に基づき制作された映画である。決して派手さを追及したものでなく、淡々と描かれた爆撃シーンは現実味がないようでいて、その静けさがリアリティを醸し出す。
標的であるビルを爆撃した際、消火活動や救助活動のために民間人が集まってきたところへ「二発目」の投下を命じる上司の残酷さや、自身らの住む場所や尊厳を蹂躙される住人達の苦しみが画面越しにも伝わり、「戦争」というものの意義や必要性を深く考えさせられ、胸が苦しくなる場面だ。
『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
アンドリュー・ニコル監督の疑問から誕生した本作『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』
本作の監督を務めたアンドリュー・ニコルは、自身が過去に手掛けた映画『ガタカ』『TIME/タイム』など、SFの設定を土台としながら、人間の倫理や社会問題を深く掘り下げる作品を数多く世に送り出してきた。ニコルは数年前から「ドローンによる攻撃」という題材に興味を持っていた、と語っており「近年ニュースで報じられるようになったドローン攻撃の現実と、それがもたらす新たな戦争の形、そしてそれに携わる兵士たちの精神状態に焦点を当てたかった」と述べている。
特に、「誰が爆撃のスイッチを押すのか?」「そういった人間はどこにいるのか?」という点に興味をそそられたということから、本作『ドローン・オブ・ウォー(Good kill)』は始まった。また、主演のイーサン・ホークとニコルは、1997年の『ガタカ』以来の再タッグ。息の合った演技と演出が、作品のテーマをより深く掘り下げている。イーサン・ホークは、戦場に行かずしてPTSDに苦しめられることとなった主人公、トミーの複雑な内面を見事に演じ切った。
目次 - Contents
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の概要
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』のあらすじ・ストーリー
- ゲームのような戦争と実感のない殺人
- 蝕まれるトミーの精神
- 崩れ出す生活
- 新しい道へ
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の登場人物・キャラクター
- トーマス・"トミー"・イーガン少佐(演:イーサン・ホーク)
- モリー・イーガン(演:ジャニュアリー・ジョーンズ)
- ヴェラ・スアレス上等空兵(演:ゾーイ・クラヴィッツ)
- ジョセフ・ジマー(演:ジェイク・アベル)
- ジャック・ジョンズ中佐(演:ブルース・グリーンウッド)
- エド・クリスティ大尉(演:ディラン・ケニン)
- ラングレー(演:ピーター・コヨーテ)
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の用語
- MQ-9 リーパー (MQ-9 Reaper)
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 上官「勘違いするな。我々は人を殺している。これはゲーム(PlayStation)ではない。しかし、お偉方は認めないが、モデルはXboxだ。」
- 「戦争」の現実を垣間見る爆撃シーン
- 『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アンドリュー・ニコル監督の疑問から誕生した本作『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』