正統派、個性派、『源氏物語』コミカライズ版
兄(弟という説あり)が勉強している隣りでその内容を覚え、世界最古の長編小説を書き残した紫式部。今回は、『源氏物語』にスポットを当てていきます。
『あさきゆめみし』
少女漫画です。宇治十帖編までちゃんとあります。こちらは割合「正統派」な印象ですね。そのまま、「漫画で読む古文」として学習の書となってもいいくらいに。
内容が結構ドロドロで元祖昼ドラといった感はありますが。昔から日本人はこういうのがお好みだったんでしょうかね。そんな中、ちょっとしたギャグシーンがギャグとして描かれていたり、近江の君の存在がある種の清涼剤になっていたのは救いですね。
光源氏には時々腹立ちます。末摘花のあたりでしょうか、よく見えたのは。原作でも「腹立たしい」のは大体同じなので今更どうこう言うのも何ですけども。
『まろ、ん?』
そんな光源氏を「栗男」にしちゃったのが、この作品。長い巻も短い巻も、全部2ページであらわしてしまった、超圧縮版『源氏物語』です。「光源氏って結構変な奴」とは、作者の方も思った模様です。ちなみに「栗男」になったのは、元々「栗を使ったお菓子のキャラクター」として考えていたけど、長らく引き出しにしまった状態になっていたんだとか。
物語だけでなく、「実は4度も出家しようとしたけどその度色々あってできなかった」ことなどが語られます。また、劇中で詠まれる歌も現代語訳付きで載っており、初級としてはよいかと思われます。
個人的な意見としては、息子の夕霧がかわいかったです。性格が父親に似なくてよかった、うん。
『パタリロ源氏物語!』
あの御耽美系にして、男性同士の恋愛模様を描く(こともある)『パタリロ!』でも『源氏物語』をオマージュ!光源氏役は、バンコランです。
美形だし、何をさせても超一級品だし、文句なしの配役ですね。
この作品は、単に光源氏の恋模様のみならず、「陰陽師」の絡んだ陰謀も描かれます。そこがまた、「らしく」て面白いところ。それでいてちゃんと『源氏物語』してるんだから、読んで損はないかと。
パタリロは、バンコラン演ずる光源氏を守る陰陽師として登場。占いやオカルト好きの方にはオススメかもしれません。もっとも、「美少年キラー」バンコランの恋愛対象が男性から女性に変っていることにショックを受けるファンもいることはいるでしょうけども。
少し形を変え、語り継がれる『源氏物語』。執筆当初から人気を誇っていたベストセラーは、1000年なお読まれる超ロングセラーになりました。これを超える作品は、今後現れるんでしょうか。