「まじめに、ゆっくり、恋をしよう。」をキャッチコピーとした男子高校生が主人公のボーイズラブ作品です。
そのキャッチコピーの通り、青春の代名詞になり得る恋愛の形を丁寧に追っています。
そのため内容としては非常に「ベタ」な作品であり、「BL=エロス」というイメージを持っている人ならば驚くほどプラトニックな印象を受けるでしょう。
作者である中村明日美子さんはこれまでにいくつもの作品を発表し、BL表現のある話も多く描いていますが、どれも「耽美」と語られるきれいで闇のある描写がメインとなっていました。
だからこそ「同級生」は独特な立ち位置であり、また同級生シリーズのヒットは中村さんの幅を広がったことのなによりの証拠となったのでした。
一作目の「同級生」は二人の出会いとはじまりが描かれています。
夏の爽やかな雰囲気を感じさせる表紙の通り、舞台となる季節は夏。
シリーズ内で一番と言えるほど、とにかく甘酸っぱい描写の連続に、「ヒャー!」となること間違いなし。
その後、二人は季節の流れと共に成長していきます。
高校三年生の草壁と佐条には、夏から春までのあいだに様々な変化が訪れます。
将来のことや進路、時には死にさえ思いを馳せながら進んでいく二人。
メインとなるストーリーのあいだには、服を買いに行ったりもんじゃ焼きを食べに行ったりという何気ない日常の小話も含まれ、くすくす笑いながら読み進められます。
「卒業生 春」をもって、二人の高校時代の話は終了。
シリーズ続刊では、高校を卒業したあとのふたりが描かれていきます。
時系列的に4作目となるこちらは、3巻までのあいだに重要人物として登場しながら、報われない思いを抱えたまま終わってしまった原先生が主人公となるスピンオフ作品です。
ハラセンファンなら絶対に読んでおきたい一冊。
また、今回はサブとなる草壁&佐条の登場シーンもあり!
ここまでに登場した草壁と佐条、ハラセンとソラノ、コマっちゃん、有坂と響などを描いたオムニバス作品。
同級生シリーズの完結編ともなります。
それぞれの人物が、それぞれの道へと進んでいく姿が描かれる今作は、「同級生」から読み始めた人なら思わず感慨深くなってしまうかも。
アニメ映画「同級生」は、2016年2月20日より新宿バルト9ほかにて公開。
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