いつかティファニーで朝食を(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『いつかティファニーで朝食を』とは、2012年から2019年までマキヒロチが『月刊コミック@パンチ』で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品。朝食にこだわりを持っていた主人公・佐藤麻里子が同棲していた彼氏と別れたことをきっかけに理想の食、理想の自分を追い求めて奮闘する物語。実在する飲食店が作中に登場することで話題となった。食事はもちろんの事、30歳手前の独身女性の恋愛・仕事・人生観が描かれた今作品は、同世代の女性から絶大な支持を得ている。

『いつかティファニーで朝食を』の概要

『いつかティファニーで朝食を』とは、2012年から2019年までマキヒロチが『月刊コミック@パンチ』で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品である。作者のマキヒロチは、第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビューを果たしている。また同名タイトルのテレビドラマ作品が2015年10月日本テレビ系列、トリンドル玲奈主演で放送された。コミックは全14巻、72話連載。

舞台は東京。アパレル会社に勤めている主人公・佐藤麻里子は28歳独身。恋人である吉田創太郎と7年間同棲していたが、お互いの価値観の違いや時間のすれ違いに今の生活を続けていくべきか疑問を抱きつつあった。
幼いころから朝ご飯の時間を大事にしてきた家庭で育ってきた麻里子にとって今の生活は、不健康でひどく荒んだもののように思えた。そこで同郷である群馬で高校からの女友達である3人とともに朝食を楽しむことにしたのだった。
それぞれ違った生活を送る4人のアラサー女子たちが、朝食を通してどんな生き方を選択し、どんな未来につなげていくのかが見どころの作品。
作中に出てくるお店は、どれも実在する店舗でありお店の紹介ページも記載されている。

『いつかティファニーで朝食を』のあらすじ・ストーリー

創太郎との別れ、朝食時間のはじまり

地元群馬から上京した麻里子は、東京での生活にも慣れいつも通りの日常を送っていた。7年間同棲している創太郎との関係もこのまま続いていくかと思っていたが、ふとこのままでいいのだろうかと疑問を抱いた。価値観の違い、お互いの生活での優先順位の違いは、なかなか埋められず次第に大きくなっていった。
麻里子が一日の中で最も大事にしたいのは、幼いころからの家族との習慣になっていた朝食の時間だった。いつも母が準備していてくれたテーブルに乗り切れないほどの朝ごはんが生活の基盤になっていたのだった。
創太郎とこのまま一緒にいても自分の大事にしたい時間は確保できないと悩んだ麻里子は、おいしい朝食を食べに行こうと思うのだった。
誘ったのは高校時代からの女友達・阿久津典子、那須栞、新井里沙の3人。みんなそれぞれ東京で暮らし、今でもたまに集まるメンバー。何でも気兼ねなく相談できる関係は、何年経っても変わらず一緒にいて心地が良い。しかし4人とも30歳手前での焦り、そして築き上げてきたそれぞれの生活があり、それぞれの悩みを抱えていた。
4人で食べた朝食は最高においしく、麻里子を幸せな気持ちでいっぱいにした。3人と話しているうちに麻里子は朝食の大事さを思い出し始める。そして自分の気持ちに逆らいたくないこと、大事にしたいものを大事にしたいということに3人との朝食を通して気が付いたのだった。麻里子はいよいよ創太郎との別れを決断したのだった。

麻里子編

創太郎と別れ、久しぶりの一人暮らしが始まった。麻里子は今までの恋はもう振り返らず、仕事へと邁進していく。アパレル会社に勤めている麻里子は、仕事にやりがいを感じていた。入ってきた新入社員・菅谷の教育にも熱心に取り組む。一方で一緒に働いてきた仲間の退職や転職を目の当たりにしているうちに自分も果たしてこのままでいいのか疑問に思い始める。
その悩みは典子との家で食べるごはん時間のとき解消する。典子に「仕事をやめたら」と言われた麻里子はようやく自分の仕事に対する気持ちに気づいた。麻里子は今の仕事が好きだったのである。麻里子はさらに仕事に邁進していくことになった。

仕事に奮闘するも、なかなか娘が結婚しないでいた為心配な母は婚活セミナーを話を持ってくるも、全く気乗りしないでいた麻里子。たまたまお葬式の為上京してきていた大好きなおばあちゃんを自宅に泊めることになり、次の日の朝、麻里子とおばあちゃんは朝ご飯を食べにチリビーンズ屋「チリパーラーナイン」に行く。おばあちゃんは麻里子に「麻里ちゃんは麻里ちゃんらしくね」と励まし、自分のために生きてほしいと願うのだった。おばあちゃんの思いとおいしいチリビーンズトーストは麻里子を満たすのだった。

そんな中、麻里子に新しい出会いが訪れる。典子と里沙と3人で行った台湾旅行で麻里子はスマホを落としてしまう。慌てた3人を助けてくれたのが高浪啓太だった。親切にしてもらったのにもかかわらず連絡先も聞けずに帰国した麻里子だったが、その後高波は麻里子の会社に新しいデザイナーとしてやってくる。
そして運命的な再会から2人は付き合うことになった。創太郎との別れから3年が経過し、久しぶりの彼氏で戸惑いながらも新しい恋愛に向き合おうと努力する麻里子だったが、高浪との恋愛は難しいものだった。高浪に合わせるようになった麻里子の生活スタイルは次第に乱れ、せっかく大事にしていた朝の時間も取れず、仕事のやる気も失われていった。高浪の機嫌次第で一喜一憂する日々を過ごしてきたが、そんな生活にも段々と疲れ果ててきた麻里子だった。そんなある日、沖縄に出張に行くことになる。そこで久しぶりにゆっくり朝食をとることができ、次第に笑顔を取り戻していく麻里子。
そんな沖縄での夜、偶然にも久しぶりに元カレ・創太郎に出会う。そこで次の日に一緒に朝食をとる約束をした麻里子。
久しぶりに朝食をとる2人。場所は「PLOUGHMANS LUNCH BAKERY」。今までとは違う2人のゆっくりとる朝食時間は、今までにない時間になる。創太郎はこの3年で前とは変わり、食べることを大切にするようになっていた。そして別れた当初の麻里子に対する態度や、気持ちを理解していなかったことを素直に謝ったのだった。
そんな少し成長した創太郎に“幸せになってね”と言われた麻里子は、東京に戻ったら高浪と別れることを決意する。
そう決意してからは案外あっさり別れることができ、また麻里子は普段の“朝を大切にする”日常を取り戻した。

仕事に邁進していくうちに、麻里子は会社の後輩・菅谷のことが気になりだす。菅谷には長年付き合っている彼女がいるが、交際がうまくいってるのかも聞きづらく、そのまま同僚として過ごしていた。
そんな中、菅谷は友人が立ち上げることになったブランドへ転職することになった。退職パーティーの時、麻里子は心の中に蓋をしていた自分の気持ちに気が付くのだった。想いは伝えられずに終わってしまう。

その後、麻里子はお見合いをしみるが結局うまくいかず、自分の人生に悩んでいた。社員のみんなで富山旅行に出かけるが、突然エレベーターの中で、具合が悪くなる麻里子。そこで思わぬ病気が発覚する。
子宮筋腫が発覚した麻里子は、仕事を休むように勧められるが思い切ってずっと務めてきた仕事を辞めようかと考え始める。自分の人生にいったん区切りをつけて進んでみたくなったのだ。
麻里子は典子がいるNYに行ってみることにし、気持ちの整理もすることができた。そして仕事を辞めようと決断したのだった。

仕事を辞め、無事に手術も成功した麻里子に菅谷から連絡が入る。菅谷は今やっている仕事を一緒にやってほしいと麻里子のことを誘う。新しく立ち上げたブランドの仕事に興味があったのはもちろんだが、菅谷とまた一緒に働けることが何よりうれしく麻里子は菅谷の誘いを引き受けた。
そこで菅谷が彼女と別れたことを知った麻里子。自分の秘めていた気持ちを再度伝えることにした。せっかく気持ちを伝えた麻里子だったが、答えは聞かずに明るく誤魔化した。答えを聞くのが怖く、結局その日は帰ることにしてしまった。
後日、仕事終わりに2人で歩いていると菅谷は麻里子に話を切り出した。菅谷は麻里子が自分を好きでいてくれたことがうれしかったと素直に話す。そして付き合ってみないかと提案するのだった。想いは一緒だったことがことがわかり、抱き合う2人だった。

典子編

典子は普段BARの雇われ店長として夜働いていた。恋愛経験は4人の中で一番豊富。いつも自由奔放に、あるがまま生きてきた。そんな典子はBARのオーナーである百々(もも)と不倫をしており、その関係に区切りをつけるべきかと悩んでいた。なかなか新しい恋にも踏み込めずにいたが、自分との約束を守らないで家族との幸せそうな写真をFacebookにあげていたオーナーの投稿を見て、自分の現状に嫌気がさし始める。
いい雰囲気になっていたお店の常連・峰田とも関係を持ちそうになるが、流されそうになる自分に「このままでは駄目だ」と思い止まる。
そんな典子を峰田は朝ご飯に誘う。場所は「ビア&カフェ BERG」、2人で夜通し話した後に食べるモーニングプレートはほっと一息つける優しい味だった。峰田は思い切って自分の気持ちを伝えるが典子はなかなか踏み込めず、断ることにした。
結局店を辞めて、オーナーとの別れを決めた典子は、すべてを捨てて地元・群馬に帰る決断をした。
群馬に戻った典子は、実家の家業であるコンパニオンの派遣会社の手伝いをすることになるが、実家で過ごすうちに典子の昔から憧れていた「留学したい」という夢を思い出したのだった。
夢が徐々に膨らんでいく典子。30歳での留学に周りからいろいろ言われ悩むが、どんどん挑戦していく麻里子たちの姿を見て背中を押されNYに留学することを決意した。

NYの生活は、今までにない体験ができ典子にとって毎日が刺激的だった。その中で自分に何かできることはないかと、今までより本格的に見つめ直すことになる。
同じアパートに住む気になる人もでき、語学も一通りできるようになってきた典子。英語の勉強のためにもホテル紹介のブログを始めたり、NYにきた友人や依頼があった人にガイドをしたりしていた。ブログの評判はよく、自信もついてきた。
そんな中、祖母の訃報で一旦日本に帰国することになった。大好きだったおばあちゃんの最期を看取れずに悶々としていた典子は群馬での葬儀を終え、友人が営んでいる奈良のゲストハウスを訪れる。そこで一緒に働いてほしいと前から誘われていた。3日間滞在するうちに典子は自分の居場所について考えさせられ、ここは自分の居場所かもしれないと意識する。

そんな中、奈良のホテルで典子は里沙と久々に朝食をとることにした。「奈良ホテル」の朝食は和食・洋食から選ぶことができ2人はそれぞれ堪能した。里沙は今まで住んだこともない関西に嫁いでいたが、迷いはなかったのか尋ねる典子。里沙は「米谷くんがいるところが自分の居場所だと思って」とはっきり答え、とても幸せそうに見えた。その変化に驚いた典子は、自分の人生の方向がなんだか見えてきた気がした。

日本に帰ることを決意した典子は、同じアパートに住む男性で、気になっていた市村にお別れを言うことにした。帰ることを伝えると、市村は典子を抱き寄せた。もっと早くからこういう関係になれていたらよかったと、1人部屋で悶々とする典子のもとに市村の飼い猫がベランダにやってきた。それを追いかけてきた市村は、少し話さないかと提案し典子に自分の想いを伝えた。市村は、前から典子のことが気になっていたが、そのうち日本に帰ってしまうんじゃないかと思い関係を始められずにいたことを明かす。
想いは一緒であったが、典子の日本に帰国するという決意は固い。2人は抱き合い、キスをして、お別れをすることにしたのだった。

栞編

栞は、専業主婦として子育てに追われていた。家事に育児と自分にかける時間は少なく、また専業主婦ということにどこか引け目を感じていた。他の3人が自分の好きな仕事に打ち込む様子を見て、自分にはできない生活を羨ましいと思うようになる。
家のことに非協力的な旦那・善美や、全然言うことを聞いてくれなくなってきた息子に、ついに感情が爆発した栞。1人でホテルに泊まり自由な時間を過ごすプチ家出を実践するのだった。久しぶりの1人の時間で、いつもはできない贅沢な時間。ゆっくりとるこができた1人の朝食ブュッフェの中で、ふと自分の生活のありがたみに気づくのだった。
善美は今までのことを反省、栞は今までできなかった仕事に復帰できることになった。久しぶりの仕事にやる気みなぎる栞だったが、そのため今までのように家事などはできずにそれでもあまり協力的ではない善美に強く当たってしまう。
善美も何か自分にできることがないか悩み、同僚に言われてできないながらも栞のために朝食を用意する。普段何もしない善美の作った朝ご飯は非常に簡単なものだったが、その気持ちに栞も気持ちが徐々にほぐれていき、2人とも大事なことに気づかされた時間になったのだった。
栞は、家族との時間にもっと向き合うことにした。息子のわがままがひどくなって困り果てていたが、しっかり向き合う時間をとればわかってくれることが分かった。気持ちだけ空回りしていたことに気が付いた栞は、反省し自分の時間を見直すことにした。
一方、夫婦での時間も久々に取ろうと2人での旅行を計画した。子ども抜きでの旅は、本当に久しぶりだった。2人きりになるといつもしない話ができ、まるで恋人同士に戻ったかのような気持ちを思い出すことができた。家族との時間を見つめ直すいいきっかけになった栞は、子育てや夫婦の時間を無理なく楽しもうと思うのだった。

里沙編

里沙はヨガのインストラクターをして生活している。昔太ってしまったことをきっかけに、ダイエットに励みストイックな生活を徹底している。長年彼氏はできず、男性と接するのを毛嫌いしていた。そこには幼いころの家庭環境が影響しているのだった。両親は里沙が5歳の頃に離婚、父親がいない環境で育ってきた。
そんな中、高校時代に里沙が秘かに想いを寄せていた米谷謙次とばったり再開する。米谷は現在大阪勤務中で、東京に来るのは出張の時だけ。里沙と米谷は、その時に会う約束をした。
会うようになって3か月、里沙は徐々に米谷に心を許すようになり、次第に惹かれあう2人。なかなか進展がないままだったがついに里沙は米谷に告白される。見事付き合うことになった2人だが、告白の帰りに里沙は米谷との別れが惜しくなり大阪までの新幹線にそのまま飛び乗るのだった。
大阪で迎えた朝、米谷は里沙を市場で朝からやっているすし屋「中央市場 ゑんどう」に誘う。里沙は太ってからしばらく肉や魚、炭水化物は控えてたが米谷の好きなものを知りたくてついていく決断をする。寿司屋での朝ご飯で久しぶりに食べた寿司。里沙にとってその味は格別だった。食事が美味しかったことはもちろんだが、2人で並んで食べることで、より一層おいしくなったのである。
米谷との交際は順調に進んでいった。里沙にとって久しぶりの彼氏の存在は心強い一方で、嫉妬や会えないもどかしさで里沙の心は激しく揺れ動いていた。2人はついに結婚まで話が進む。あんなに男の人が苦手だったのに結婚までするなんてと里沙自身も戸惑ったが、無事に結婚式を迎えた。里沙は米谷と2人で新しい人生を歩んでいく覚悟と決意を胸にバージンロードを歩くのだった。

里沙は新生活を大阪でスタートさせた。慣れない土地で戸惑ったが、米谷との新婚生活は順調に進んでいった。そんな中、里沙は赤ちゃんを授かった。嬉しいことだったが、つわりがひどかったり仕事での人間関係がうまくいかなかったりで、思い悩んでいた。

そんな里沙を麻里子と栞が名古屋での朝食に誘う。「天ぷらとワイン 小島」でてんぷらを食べた3人。おいしくて感動した里沙は、最近悩んでたことを2人に相談した。そんな里沙に栞は「すべては赤ちゃんがいる証拠」と言って、すべて幸せな証拠であると背中を押し、励ましたのだった。

2年後、4人のそれぞれの人生

典子が友達と経営する奈良のゲストハウスを訪れた3人は、そこでの朝食を楽しんでいた。近況の話になり麻里子は、彼氏とラブラブであることをからかわれる。
典子の元には、日本に戻った後しばらくして市川が訪ねてきた。日本でお店をやりたいと思っていることを伝えたのだった。それから一緒に住む家を探して、オープンするお店の準備をしているところであった。
子どもを連れてきた里沙は、子育てに奮闘中。そして栞も、家族と順調に過ごしていた。30代後半になり、それぞれの人生は大きく変わったがみんなそれぞれが幸せで、穏やかな人生を歩んでいた。

場面が変わり「Good morning cafe」で待ち合わせをしている麻里子。先にモーニングプレートを2つ注文した。PCを開いて、Facebookで創太郎が子供の写真をUPしているのを見たりと暇をつぶす。
そうこうしているうちに、待ち合わせの相手がやってきた。相手は、菅谷ではない男性だった。麻里子は菅谷とは別れ、新しい恋をしていた。2人は男性の実家に行く話し合いを始めたのだった。

『いつかティファニーで朝食を』の登場人物・キャラクター

佐藤麻里子(さとう まりこ)(演:トリンドル玲奈)

この作品の主人公。アパレル会社に勤務。
朝食の時間に強いこだわりがあり、友人たちや会社の同僚を朝食に誘う。アパレルの仕事が好きで、積極的に仕事に打ち込み信頼も厚い。恋愛に関しては、7年付き合っていた彼氏・創太郎との恋も終わり、運命的な出会いをした高浪と付き合うがうまく続かない。お互いの価値観を大切にしていて、共有できる関係を求めている。

阿久津典子(あくつ のりこ)(演:森カンナ)

麻里子の高校からの親友。BARの雇われ店長として働いていた。
自由奔放に生きてきた彼女だったが、実は何も持っていないことに悩んでいた。高校時代には留学する夢を持ち、海外で活躍したいと思っていたが、現実はうまくいかずにいつも成り行きに任せている。そんな成り行きからBARのオーナーと不倫関係を長い間持ってしまうが、意を決して関係を断ち仕事もやめた。
地元・群馬の実家に戻り、コンパニオンの派遣会社を経営している実家の家業を手伝うことをにする。

那須栞(なす しおり)(演:徳永えり)

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