ヴィジット(The Visit)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヴィジット』(The Visit)は、2015年に公開されたアメリカのホラー映画。作品冒頭で衝撃的なネタバレを繰り出したことで話題となった映画『シックス・センス』を世に送り出したM・ナイト・シャマランが、監督、脚本、製作のすべてを担当している。登場人物がカメラで撮影した映像を中心に物語が展開する、ファウンド・フッテージ方式が採用された、リアリティ溢れる演出が好評を博した。初対面の祖父母との対面旅行に出かけた姉弟を待ち受けていた恐怖と、その裏に隠された衝撃の真相を描き出している。

『ヴィジット』(The Visit)の概要

『ヴィジット』(The Visit)は、2015年に公開されたアメリカのホラー映画。2015年8月のアイルランドでの公開を皮切りに、同年9月にアメリカ、10月には日本と、各国で順次公開されていった。
作品冒頭で繰り出された衝撃的なネタバレと、ホラーと感動を融合したストーリー展開で話題となった映画『シックス・センス』を世に送り出したM・ナイト・シャマランが、監督、脚本、製作のすべてを担当している。
シャマラン監督作品といえば終盤のどんでん返しがもはや定番と化しているが、本作でもその手腕は存分に発揮されている。また、過去に大ヒットホラーシリーズ『パラノーマル・アクティビティ』などに携わった映画プロデューサーのジェイソン・ブラムが本作のプロデュースも行い、ホラー映画界を担う2人の人物のタッグが実現する形となったことも話題を呼んだ。
本国アメリカにおいては高評価を獲得し、批評家の反応も上々の結果を残した。日本でも「久々にシャマラン監督のセンスが良く出てる」と概ね高い評価を獲得している。
本作では登場人物がカメラで撮影した映像を中心に物語が展開する「ファウンド・フッテージ方式」が採用され、不安を煽るカメラワークとリアリティ溢れる演出が好評を博した。「序盤から中盤終わりまでの雰囲気が抜群だっただけに、終盤は消化不良」という声もあったが、ラストは登場人物のラップで締めという、遊び心があるエンディングも観客からは高評価を得ている。

舞台はアメリカのペンシルバニア州にある田舎に建つ、一軒の家。初対面の祖父母との対面旅行へ出かけた兄妹を待ち受けていた恐怖と、その裏に隠された衝撃の真相を描いている。
この映画には幽霊も怪物も登場せず、超常現象の類も発生しない。存在するのは生身の人間のみで、いわゆる「ヒトコワ系」ジャンルのホラー映画に該当する。
派手なシーンはなく、ひたひたと背後から忍び寄る足音をそっと振り返るような描写が続き、POV方式によって姉弟の生の恐怖が切り取られている。得体のしれないものへの恐怖が余すところなく描かれ、純粋なホラーというものを体感できる一作となっている。

『ヴィジット』(The Visit)のあらすじ・ストーリー

祖父母との初対面

今まで付き合いがなかった祖父母からの誘いを受けたベッカとタイラーの姉弟は、祖父母の家で月曜日から土曜日までを過ごすという、対面旅行の計画を立てる。
ドキュメント作家志望のベッカはこの滞在を撮影して映画にまとめ、没交渉の状態にある母と祖父母の仲直りのきっかけも作ろうと意気込んでおり、タイラーにも協力を要請した。
月曜日、2人はペンシルベニア州にある祖父母の家を訪れる。緊張しながら初対面を迎えるが、祖父母は優しく、すぐに打ち解け仲良くなった。
祖父母の家は田舎で、携帯電話の電波は届いていなかった。しかし、念のためと持参したPCを家のネット回線に繋ぐと、使うことができる様子だった。姉弟は母にビデオ通話をかけると、無事に到着したことを報告する。
祖父らが寝付くという21時30分を1時間ほど越えた頃、小腹を満たそうと思ったベッカはキッチンへ向かうが、その途中で激しく嘔吐を繰り返しながら歩く祖母を発見し、慌てて部屋へと逃げ戻ることになった。
火曜日、祖父に昨晩の祖母の様子を相談するベッカだが、彼が言うには「単なる体調不良で、既に回復している」とのことだった。

豹変する祖父母

話を終えたベッカとタイラーが床下で鬼ごっこをしていると、突然現れた祖母が恐ろしい唸り声を上げながら追いかけてきた。様子のおかしさに恐怖した2人が床下から脱け出ると、祖母は何事もないかのように、笑顔で話しかけてきて家に入っていく。
その日の午後、祖父が出入りしている小屋にタイラーが潜入してみると、中には大量の使用済みおむつが積まれていた。小屋の外で遭遇した祖母は、「祖父が失禁症を患っており、それを恥ずかしがって密かに処分している」と事情を明かし、タイラーはその説明に頷く。しかし、祖父が「自分を尾行している」と勘違いし、見知らぬ男に掴みかかる様子を見てしまう。
タイラーは彼らに違和感を感じ始めるが、ベッカは「老人だから仕方ない」と考えているのか、あまり真剣に取り合う様子がない。
22時40分頃、静まり返った家の中では、祖母が全裸で家の壁を引っ掻いている音が響き渡っていた。

定められたルール

翌日の水曜日、再び祖父に相談したベッカは、祖母が夕暮れ症候群であると告げられ、彼らの間では「21時30分以降は部屋から出ない」という滞在のルールが定められる。このルールを決めた直後、祖母のうっかりでベッカのPCのカメラだけが故障してしまう。タイラーの不安と疑念は膨らむばかりだった。
ベッカは祖母に、母が出て行った日の事を尋ねるが、彼女は以上に取り乱す様子を見せる。タイラーは居間に隠しカメラを設置して、夜中の祖父母の様子を隠し撮りしようとするが、ベッカがこれを阻止。
その後、22時を越えるとやはり部屋の外で物音がし始めた。ドアを少し開けて覗き見ると祖母が走り回っており、やがて這いずって部屋に向かってきたため、2人はドアを閉めて就寝する。

木曜日になると、タイラーは祖父母の異様さに我慢ができなくなっていた。そして、「入るな」と言われていた地下室が怪しいと考え始める。
その頃、壁に向かって不気味に笑う祖母の姿を見たベッカは、祖父を呼びに走っていた。納屋にいた祖父はライフル銃を掃除していた、というが、ベッカに気付く直前、祖父は銃を咥えていて、まるで自死を試みているかのようだった。
さすがに様子がおかしいと判断したベッカは、タイラーの提案通り、夜中の居間を隠し撮りすることを決意した。
この日の22時過ぎ、居間に現れた祖母は家中を徘徊した後、隠されたカメラに気付くとそれを手に持ち、包丁を握って2人が眠る部屋へ向かった。祖母は寝室のドアを開けようとしたものの開けることができず、やがて去って行く。

隠された真実

金曜日に隠し撮りの映像を確認したベッカは、決して1人にならないようにしよう、とタイラーと約束する。なんとか怪しまれないように振舞い、祖父母が家を離れたことを確認した2人は、旅行を終えて自宅に戻っている母に助けを求めることにした。
ここで初めて祖父母の姿を確認した母は、彼らが偽者であることを2人に告げるのであった。
2人は救出にやってくる予定の母の指示で家からの脱出を試みるが、戻ってきた祖父母に捕まり、ボードゲームで遊ぶ事を強要されてしまう。外に出られなくなってしまった彼らはしばらく祖父母につきあったが、途中で席を外すことに成功したベッカは、本物の祖父母を探すため地下室へと向かった。
そこで本当の祖父母の無残な遺体と脱ぎ捨てられた精神病院の患者服を発見するベッカだが、いつまでも戻らない彼女を不審に思って探しにきた祖父が地下室に現れる。
捕えられて祖父母の寝室に閉じ込めるベッカは、中にいた祖母に襲われてしまう。辛くも祖母を撃退したベッカは鍵を壊して脱出し、一人残された弟の救出に向かう。
一方、本性を露にした祖父と2人きりになったタイラーは、恐怖で身動きができなくなっていた。
しかし、そこに助けにきたベッカが返り討ちにあったのを見て奮起した彼は、祖父を滅多打ちにするのであった。
2人がなんとか家から脱出すると、外には警察と共に駆けつけた母親が待ち構えていた。無事に保護された兄妹は、ようやく命の危険を脱するのであった。

『ヴィジット』(The Visit)の登場人物・キャラクター

ベッカ(演:オリヴィア・デヨング)

カメラを片手に、謎の恐怖体験に泣くことになるベッカ。背後には迫る祖母の姿が。

日本語吹き替え:清水理沙
15歳。タイラーの姉。祖父母の家で過ごす時間をドキュメント映画にしようと考え、常にカメラを携帯している。母のロレッタが祖父母とケンカ別れしたことを気にしていると考え、彼らの仲を取り持とうと祖父母の誘いに乗ることにした。
ドキュメンタリー作家志望で、この対面旅行を映画にしようと意気込んでいる。

タイラー(演:エド・オクセンボウルド)

日本語吹き替え:河杉貴志
13歳。ベッカの弟。祖父母の家での滞在を映画にしようとするベッカに頼まれ、カメラを持っている。父親を失望させたと思い悩んだ経験があり、そのストレスと両親の離婚が重なったことで、重度の潔癖症になってしまう。特技はラップ。

ロレッタ(演:キャスリン・ハーン)

画面に映っているのがロレッタ

日本語吹き替え:久行敬子
ベッカとタイラーの母。夫とは離婚しているシングルマザー。その結婚のために両親の反対を押し切っており、没交渉が続いていた。ミゲルという彼氏がおり、兄妹が祖父母宅に滞在している間は彼とクルーズ船での旅行に出かけていた。

祖母(演:ディアナ・ダナガン)

左が祖母

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