『デリコズ・ナーサリー』とは、2024年に放送された、末満健一による演劇シリーズ『TRUMPシリーズ』初のアニメ作品である。原作・シリーズ構成・脚本を末満が手がけ、アニメーション制作はJ.C.STAFFが担当した。重厚な世界観を描くダークファンタジーで、人間と吸血鬼が共生しながらも反目しあう世界を舞台に、名門貴族で吸血種のダリ・デリコやその仲間たちが子育てに奮闘しつつ、連続殺人事件の捜査を行う姿を描く。シリアスなストーリーとドタバタな育児とのギャップの面白さ、濃密なサスペンスが魅力の作品である。
『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の概要
『デリコズ・ナーサリー』とは、末満健一による日本の演劇シリーズ『TRUMPシリーズ』の初のアニメ作品で、重厚な世界観を描くダークファンタジーである。2024年8月8日から2024年11月28日にかけて放送された。原作・シリーズ構成・脚本は末満が務め、監督は錦織博、アニメーション制作はJ.C.STAFFが担当した。また、アニメ放送直前に『TRUMPシリーズ』について事前番組の放送も行われた。
本作のストーリーは『TRUMPシリーズ』の一つで2017年に上演された舞台『グランギニョル』から繋がる話として制作されている。
時系列として、本作は『TRUMP』の13年前、『グランギニョル』『SPECTER』の1年後の物語である。
『TRUMPシリーズ』は、演劇やアニメだけでなく、漫画や小説、音楽など多角的に展開されている。『デリコズ・ナーサリー』は、これまでの作品で描かれてきたキャラクターや事件のルーツにあたる時代が描かれている。
作品の世界観として、舞台は人間種と吸血種が共生しつつも反発している社会である。吸血種には、原初の吸血種「TRUMP(トランプ)」という永遠の命を持つと言われている伝説の存在がいた。本作に登場する連続殺人事件にも深く関わっている。
本作の主人公であるダリ・デリコは、吸血種の最高機関「血盟議会」のエリート議員であり、連続殺人事件の捜査を命じられるが、「育児」を理由にキッパリと断ることから物語は始まる。ダリは同僚の議員たちも巻き込み、デリコ邸の子供部屋を捜査本部として、育児と事件解決の両方に挑んでいく。
作品の1番の魅力は、陰謀の渦巻くダークファンタジーと貴族たちによる育児とのギャップである。名門貴族の男たちが仕事などよりも子どもたちの夜泣きや離乳食などに翻弄される姿、その中で父親として子どもと共に成長していく人間ドラマも魅力のひとつである。またゴシックの世界観の中で描かれる繊細で華やかな作画も作品の見どころとなっている。
『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)のあらすじ・ストーリー
子育てと渦巻く陰謀
人間種と吸血種が共生している世界で、吸血種連続殺人事件が発生していた。現場には、永遠の命を持つとされる原初の吸血鬼「TRUMP」を探していることを示すカードが残されていた。
吸血種の最高機関「血盟議会」の中でTRUMPに関する情報保安組織「ヴラド機関」に所属する特級議員であるダリ・デリコは、事件捜査を命じられるが「育児」を理由にそれを断る。同僚議員であるゲルハルト・フラ、エンリケ・ロルカ、ディーノ・クラシコは、ダリを説得するためにデリコ邸を訪れた。ゲルハルトは、ダリが捜査に加わらないことを認めず、任務と育児を両立することを求める。それに対しダリは、ゲルハルト、エンリケ、ディーノの3人も任務と育児を両立させることを条件として捜査任務を引き受けることにした。こうしてデリコ邸の子ども部屋に捜査本部を置き、「デリコズ・ナーサリー」と名付けて育児をしつつ捜査が開始された。
犯人が残したメッセージから、一連の事件はTRUMPを信仰している反社会組織「ペンデュラム」であることが判明する。ペンデュラムは、永遠に生き続けなければならないTRUMPに死の擬似体験を捧げる「グランギニョル」という儀式を行っているのだった。
ペンデュラムの足取りが掴めないまま、被害は増えていく。ペンデュラムは、「イニシアチブ」という咬んだ者の主導権を掌握できる吸血種の能力を使い、ヴラド機関の一員であるモーリスから内部情報を手に入れていた。
一方でダリは、3歳児の長男であるラファエロの「イヤイヤ期」に悩まされていた。ラファエロは、ダリがまだ赤ん坊の弟・ウルにかまってばかりなことに嫉妬していたのである。ラファエロ以外にも、ゲルハルトの息子・アンジェリコやディーノの息子・テオドールもそれぞれに寂しさを抱えていた。特にテオドールは、強いプレッシャーから「繭期」という、通常吸血種の13〜14歳ごろに陥る精神不安定な症状が出ていた。
それぞれに寂しさを抱える子どもたちは、親を困らせようとナーサリーから出ていってしまう。仕事を終えナーサリーに戻ったダリたちは、事情を聞いて子どもたちがヴラド機関の長官であるヨハネス・ヴラドの屋敷にいることを知り、すぐに迎えに行った。向かう馬車の中で、任務と育児の両立の難しさと子どもたちのことを理解していなかった情けなさを痛感する。最初は育児など貴族のする事ではないと発言していたゲルハルトとディーノだが、育児を通していつの間にか自分の至らなさを省みるほどに父親として成長していたのだった。
事件解決と続く子育て
ダリたちがヨハネスの屋敷に到着した頃、屋敷はペンデュラムによる襲撃を受けていた。ペンデュラムの真の目的はTRUMPを殺すことであり、居場所を聞き出すためにヨハネスと、人質として子どもたちを攫っていく。
危機的状況だが、ダリは冷静にペンデュラムの1人・ジュラスが吸血種と人間種の混血「ダンピール」であると推察した。そしてジュラスが、TRUMPにより全滅させられ消滅した「ネブラ村」の生き残りではないかと考える。ダリたちはすぐにもう1人の生き残りである萬里(ばんり)を訪ね、ジュラスたちのアジトが灰猫街にあることを知った。
アジトを突き止め、ダリたちは子どもたちの奪還に無事成功する。しかしペンデュラムのメンバーであるカタリナとジュラスは、ヨハネスからTRUMPが繭期の吸血鬼たちのための教育機関「クラン」にいることを聞き出しており、クランの祭典「クランフェスト」に乗じて襲撃を目論んでいた。
一方で拘束したキキからジュラスの目的を聞き出したダリたちは、TRUMPの命を狙うならクランフェストに乗り込むはずだと推察し、クランへ向う。ダンピールは短命の者が多く、ジュラスの命も残り僅かとなっていた。そんなギリギリな中でジュラスは、正体を隠して「クラウス」という名で教師として働くTRUMPの元へ辿り着く。ジュラスには、触れた者の心に入ることができるという繭期の能力があり、TRUMPの心を殺してしまおうと考えていた。そしてTRUMPの心に入るが、駆けつけたダリたちがそれを阻止し、ジュラスの計画を止めることに成功する。
残り僅かだった寿命が尽きたジュラスは死に、カタリナは拘束されてペンデュラムによる吸血種連続殺人事件は解決した。
事件が解決したため、捜査本部だった「デリコズ・ナーサリー」は解体された。今回の一件でラファエロには兄としての自覚が芽生え、亡き母・フリーダの墓前でウルの守護者になると誓う。アンジェリコやテオドールたちも、ナーサリーでの生活を経て精神的に成長していた。
ナーサリーは解体されてもダリたちの子育ては終わらない。子どもたちが自立するまで子育ては続いていくのだった。
『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の登場人物・キャラクター
主要人物
ダリ・デリコ
CV:森田成一
名門中の名門とされる特級貴族家系・デリコ家の当主であり、2児の父親である。
吸血種の最高統治機関・血盟議会の特務組織であるヴラド機関で勤務している。
亡き妻との約束を守るため、幼い息子2人の育児に向き合う。
高慢な自信家で、自分にできないことはないと考えている。また、常に冷静でかなり頭が切れる。その優秀さは広く認められている。
仕事は自他ともに認める優秀さを誇るが、育児にはかなり手を焼いていた。
ゲルハルト・フラ
特級貴族家系・フラ家の当主であり、1児の息子の父親である。
血盟議会、ヴラド機関で勤務している。ダリとは同期であり、クランにいる時からのライバルでもある。
生真面目な性格で、家名を重んじ貴族として恥じない生き方を心がけている。
子育ては貴族がすることではないという考えを強く持っていた。また、貴族としての重責などを息子にも押し付けてしまう。しかし子育てを通して、息子を1人の人間として理解しようとするなど心境が変化していった。
エンリケ・ロルカ
CV:下野紘
特級貴族家系・ロルカ家の当主であり、双子の姉妹の父親である。
血盟議会のヴラド機関で勤務している。
マイペースで穏やかな性格をしており、ダリの常識はずれな言動、特に子育てに関しても寛容な態度を示す。
ディーノ・クラシコ
特級貴族家系・クラシコ家の当主であり、1児の息子の父親である。
血盟議会のヴラド機関で勤務している。
常に気だるげだが、貴族であることと任務に誇りを持ち厳格な性格である。
息子に対しても厳しく接していたが、子育てを通して実は息子が寂しく思っていたことに気づくことができた。そこで自身の父親としての不甲斐なさを痛感する。
デリコ家
ウル・デリコ
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目次 - Contents
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の概要
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)のあらすじ・ストーリー
- 子育てと渦巻く陰謀
- 事件解決と続く子育て
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ダリ・デリコ
- ゲルハルト・フラ
- エンリケ・ロルカ
- ディーノ・クラシコ
- デリコ家
- ウル・デリコ
- ラファエロ・デリコ
- フリーダ・デリコ
- クララ
- フィルディナント
- フラ家
- アンジェリコ・フラ
- ロルカ家
- エレーナ・ロルカ
- ルチア・ロルカ
- ケイト・ロルカ
- クラシコ家
- テオドール・クラシコ
- アルブレヒト
- ヴラド機関
- ヨハネス・ヴラド
- モーリス
- レイン・マクミリアン
- ウンベルト・レント
- 反社会組織「ペンデュラム」
- キース
- ジュラス
- カタリナ
- アブラハム
- キキ
- ピサロ
- スーラ
- その他
- クラウス
- 石舟(せきしゅう)
- 萬里(ばんり)
- ローザ
- カルロ
- トルステン
- ソフィ・アンダーソン
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の用語
- 種族
- 吸血種(きゅうけつしゅ)
- TRUMP(トランプ)
- ダンピール
- 組織
- ヴラド機関(ヴラドきかん)
- 血盟議会(けつめいぎかい)
- 血盟警察(けつめいけいさつ)
- ペンデュラム
- 地域
- 灰猫街(はいねこまち)
- ネブラ村(ネブラむら)
- その他
- 繭期(まゆき)
- 越繭(えっけん)
- クラン
- イニシアチブ
- コラプス
- イレギュラー
- 血盟祭(クランフェスト)
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ダリ・デリコ「ラファエロとウルはちゃんと育ててみせる」
- 父親として至らなかったと自分を省みるダリたち
- ダリたちを笑顔で見送るテオドール
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アニメ化のきっかけは舞台『グランギニョル』
- 舞台『SPECTER』の伏線を『デリコズ・ナーサリー』第8話で回収
- 『デリコズ・ナーサリー』の事前放送がYouTubeで視聴可能
- 『デリコズ・ナーサリー』(TRUMPシリーズ)の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):中島美嘉「UNFAIR」
- ED(エンディング):Anonymouz「Prayer」
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