
『クジマ歌えば家ほろろ』とは、紺野アキラによる漫画作品である。『ゲッサン』にて2021年10月号から2024年5月号まで連載されており、全5巻刊行された。また、漫画最終回にてアニメ化が発表された。謎の鳥・クジマと中学1年生の男の子・鴻田新と家族たちの織りなす日常コメディ作品となっている。作中に散りばめられているシュールな笑いとクジマや新たちの温かい交流が魅力である。
『クジマ歌えば家ほろろ』の概要
『クジマ歌えば家ほろろ』とは、紺野アキラによる漫画作品である。『ゲッサン』にて2021年10月号から2024年5月号まで連載され、最終回ではアニメ化決定が発表された。コミックスは全巻5巻となっている。
2022年には「次にくるマンガ大賞」のU-NEXT賞を受賞した。
ロシアから日本にやってきた謎の鳥・クジマと中学1年生の男の子・鴻田新(こうだあらた)が出会い、新の家で一緒に暮らす日常を描いたホームコメディである。初めは新の家族から反対されたもののクジマは鴻田家に居候することになり、本当の家族のように温かく受け入れてもらった。クジマと鴻田家のほっこりする日常や作品独特のテンポ感、シュールさがあり、思わず笑ってしまうところが魅力となっている。
『クジマ歌えば家ほろろ』のあらすじ・ストーリー
クジマとの出会い
中学1年生の鴻田新(こうだあらた)は、ある日の下校中ロシアから来たという謎の鳥・クジマと出会う。クジマはかなりお腹を空かしており、せっかく日本に来たから日本食を食べたいと新に話した。新は不思議な生き物だとは思いつつも心よく家に招待する。そうしてクジマは春まで鴻田家で暮らすことになった。最初は新の両親はクジマを住まわせることに反対していたが、仕事に行く時に横切る川でクジマが毎朝虫を食べている姿を見て許したのである。
両親は共働きで夜は帰りが遅く、大学受験に一度失敗して浪人中の英(すぐる)は勉強のために部屋に籠りがちになり、新は夜1人で食べることが多くなっていた。また英は神経質になっており、そんな英に気を遣ってか鴻田家はどこか暗い雰囲気だった。そんな中で明るく何にも動じない性格のクジマが入ったことで、鴻田家は賑やかな生活を送ることになる。
クジマが来てしばらくした頃、クジマの存在が世に知れればクジマやクジマの仲間達にも危険が及ぶかもしれないため、新たちは人目につかないように行動することに決めた。しかし早くも近所に住む三ツ木(みつき)に見られてしまう。以前クジマが流しそうめんをするために勝手に三ツ木の所有する山から竹を切り出してきていたこともあり、結局鴻田家は謝罪と共に三ツ木にはクジマのことを説明することにした。その後三ツ木とクジマは将棋友達になる。
新とクジマの冬休み
クジマが来てから、一時ホームシックになりロシアに帰りたくなってしまうこともあったが、新と共に楽しく過ごしていた。
本格的に冬になり、鴻田家にこたつが出された。クジマは憧れのこたつにすぐ魅了されてしまう。一日中こたつに入りっぱなしでご飯を食べ、ダラダラと過ごしていた。新も両親も憧れのこたつということで多めに見ていたが、ある日新がこたつに入っているクジマを見ると、丸々と太っていたのである。クジマは新に太ったと指摘されても認めなかったが、英に軽蔑された目でデブと言われたことでダイエットを決意した。ダイエットには成功したが、その後こたつに入るにはほどほどになった。
新が冬休みに入ってからはクリスマスパーティーをしたり、新の父方の祖父母の家に行って年越しや餅つきをしたりと色んなイベントを楽しんだ。
新や両親はクリスマスを初めて経験するクジマのために、プレゼントを用意してサンタに扮した父がクジマの寝ている間に届けようと計画する。しかしサンタに会えると思い興奮して眠れないクジマに振り回された。
祖父母の家では、クジマの話を聞いて帰ってきた父親の妹・瑠衣子(るいこ)と出会う。自由気ままな振る舞いで鴻田家の人たちを振り回しがちなクジマだが、瑠衣子には何をしても敵わないのだった。瑠衣子もそんなクジマの反応を面白がってからかい、余計にクジマを煽るため、クジマにとっては苦手な存在となってしまう。
どれもクジマにとっては初めてのことだらけで、新と共に賑やかな冬休みを楽しんだのだった。
近づく別れ
2月になり、節分やバレンタインだとクジマが楽しみなイベントもある中、英の大学受験も始まる。
新とクジマは節分で恵方巻きを食べ豆まきをしたり、新の幼馴染の真琴(まこと)とのバレンタインのお菓子づくりをしたり、雪が積もった日には雪合戦や雪だるまを作って遊んだ。
新とクジマが冬を満喫する一方で、英は私学の試験に全て落ちてしまっていたのである。両親は本命の大学ではないから大丈夫だと笑顔で言うが、動揺は隠せないでいた。
それを知った新は、自分のことばかりで英のことを考えずにクジマと楽しんでうるさくしてしまっていたと英に謝罪する。そしてクジマも連れてこない方が良かったのではないかと言った。しかし英は、クジマは自分のついでにご飯を作ってくれるし、クジマがきっかけで朝外に出るようになり決まった時間に起きるようになったことで前より勉強に集中できるようになったと話し、クジマには感謝していると伝えた。そして最後に笑顔で大丈夫と言うのだった。
国立試験の前日、英は新とクジマと一緒に夜ご飯を食べた。メニューはお好み焼きだったが、ひっくり返すのを失敗する新や自分の席を主張するクジマたちと、騒がしい夜を過ごしたのである。
試験当日、会場に到着して席に着くと突然緊張し始めて鼓動が早くなったが、英はかばんに勝手に入れられていたクジマ型の折り鶴を見つけて和み、おかげで落ち着いて試験に臨んだ。
試験の結果は無事合格で、新やクジマ、両親は大いに喜んだのである。
英の試験も終わって暖かくなり始めた頃、クジマに換羽機が来ていた。春が近づき、クジマがロシアに帰る時期が迫っていたのである。
新は一度クジマがロシアに帰りたいと言った時に素直に背中を押したのとは正反対に、クジマが帰るのを何とか阻止しようとしていた。
渡り鳥は羽が全て生え変わるまで渡りは行わないという知識から、クジマの羽を接着剤でくっつけようとするほどである。それは英に止められたが、新にとっては受け入れられないほどクジマはかけがえのない存在になっていたのだった。
それからしばらくの間、新はクジマが帰ってしまうことが悲しくてずっと気分も沈んでいた。
そんな中、真琴が祖父と一緒に花見に行こうとクジマと新を誘いに来る。最初はそんな気分じゃないからと断ろうとするが強引に連れて行かれた。ずっと暗い気持ちだったが、満開に咲く綺麗な桜見て大喜びのクジマを見た新は、そんなクジマを見られて良かった、と自分のことのように嬉しくなれたのである。
それからもクジマの羽は少しずつ確実に生え変わり、新が春休みに入った頃には全て生え変わった。
クジマとの別れの前に、鴻田家はクジマも含めた家族写真を撮りに行った。そして渡りの当日、新とクジマは涙ながらに別れを告げ、クジマはロシアへと帰っていたのである。
それから半年後、夏が終わり少し涼しくなってきた頃に、2人は再会する。
『クジマ歌えば家ほろろ』の登場人物・キャラクター
主要人物
鴻田新(こうだあらた)

中学1年生の男の子。下校中に自動販売機からお金を探っているクジマを発見し、家に連れ帰った。
温厚で優しい性格で、誰もが最初は怪しむクジマのことも何の抵抗もなく受け入れる柔軟さを持っている。料理は得意ではなく、クジマが初めて家に来た時に卵焼きを作った時には焦がしていた。
クジマとは出会ってすぐに仲良くなるが、一緒に住むようになってご飯を食べたり遊んだり、イベントを楽しんだりするうちにかけがえのない存在となった。クジマが喜ぶと自分のことのように喜び、クジマがロシアを思い出して寂しくならないように、ロシア語の勉強やロシア料理の練習をすると約束もした。
兄の英とは、英が高校3年生で大学受験に失敗するまでは仲良しだった。しかし英が浪人生として勉強に打ち込み、部屋に引きこもりがちになったため会話もほとんどなくなり、ギクシャクした関係になってしまう。
クジマが来てからは、クジマが英に気を遣わずグイグイ関わりに行くおかげで少しずつ新も英との会話が増えていった。
クジマ

ロシアから海を渡って日本にやってきた謎の鳥。
幼い頃は体も小さく四足歩行だったが、成長するにつれ体はどんどん大きくなり二足歩行になった。生まれてすぐに親が死んでしまったため、拾ってくれたマクシムという老人に育てられた。そしてマクシムに、仲間の群れに戻る練習のために日本に渡るよう言われたのである。
日本語が堪能で体長180cmと大きいが、実はまだ3歳である。
明るく社交的な性格だが、少し沸点が低くキレることもしばしばある。特に食べ物に対しては誰に対しても容赦ない。
食に関して貪欲で食べるのが大好きであり、料理も得意である。またバレエも踊ることができる。
ほとんど人間のように生活しているが、鳥としての本能か縄張り意識が強く、毎朝早朝に家近くの川へ縄張りを主張しに行っている。
クジマが自由に振る舞うため鴻田家の人たちはよく振り回されるが、クジマのおかげで家族の雰囲気が柔らかくなっていったことに感謝している。
鴻田家
鴻田英(こうだすぐる)

新の兄。
大学受験に一度失敗し、1年浪人して国立大学に合格した。
高校3年生で受験に失敗するまでは、よく笑い新とも仲が良かったが、勉強に打ち込むようになってからは部屋に籠りがちになりあまり話さなくなる。
基本無表情で無愛想だが、新が困っていると助け舟を出すなど根は優しい。
クジマに対しては、クジマが偉そうな態度を取るのでよく言い合いになっている。
しかしクジマがきっかけで朝外に出るようになり、そのおかげで決まった時間に起きるようになり勉強にもより集中できるようになったと感謝もしている。
母
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新と英の母。
さっぱりとした少し男勝りな性格をしている。
最初クジマを住まわせることに反対していたが、受け入れてからはクジマの要望に合わせて朝ごはんを用意してあげたり回転寿司の夢を叶えたりと温かく接している。
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目次 - Contents
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の概要
- 『クジマ歌えば家ほろろ』のあらすじ・ストーリー
- クジマとの出会い
- 新とクジマの冬休み
- 近づく別れ
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 鴻田新(こうだあらた)
- クジマ
- 鴻田家
- 鴻田英(こうだすぐる)
- 母
- 父
- 瑠衣子(るいこ)
- 祖父母
- その他
- 三ツ木(みつき)
- 三ツ木真琴(みつきまこと)
- マクシム
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の用語
- クジマ
- 「初めてのブリンは塊になる」
- ブリン
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- クジマ「アラタといるのは楽しいから、帰らないことにした!」
- こたつの虜になり太るクジマ
- クジマの夢が叶った回転寿司
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- PVの声優は石谷春貴
- 漫画の裏表紙で描かれるクジマの生態
- エピソードのタイトルはことわざ