
『クジマ歌えば家ほろろ』とは、紺野アキラによる漫画作品である。『ゲッサン』にて2021年10月号から2024年5月号まで連載されており、全5巻刊行された。また、漫画最終回にてアニメ化が発表された。謎の鳥・クジマと中学1年生の男の子・鴻田新と家族たちの織りなす日常コメディ作品となっている。作中に散りばめられているシュールな笑いとクジマや新たちの温かい交流が魅力である。
日本に来て鴻田家で居候することになったクジマは、新と共に毎日楽しく過ごしていた。しかしある日マクシムに会う夢を見て突然寂しさが込み上げ、ロシアに帰りたくなってしまう。泣きながら新に話すと、新は帰ってほしくない気持ちをこらえクジマの背中を押した。
そうしてクジマはロシアへ帰ることにしたが、家を出る時に英から、ずっと楽しそうでむしろ帰りたくないと言うと思ったと言われ、本当に帰るか迷う。
そして日本へ渡る前にマクシムから言われた「どうしても辛くなったら帰ってこい」という言葉を思い出し、ロシアには帰らないことに決めた。
明るく見送れないだろうと思い、いつも通り学校に行った新は、その帰りにやっぱり帰ってほしくなかったと後悔していた。しかし下校中に帰ったはずのクジマと遭遇し驚く。
そんな新にクジマは、マクシムが言っていたことを思い出したと言い「アラタといるのは楽しいから、帰らないことにした!」と伝えた。
新もクジマに対して、本当は帰ってほしくなかったことを伝え、クジマは改めて春まで鴻田家で暮らすことになる。
新とクジマが、お互いにとってかけがえのない存在になっているのが分かる場面であった。
こたつの虜になり太るクジマ
冬になり鴻田家にはこたつが導入された。日本のこたつに憧れていたクジマは早速虜になってしまう。その日からクジマはこたつから出ずにだらけた生活を送るようになった。
しかしクジマにとって初めてのこたつであるため、新も両親も大目に見ていた。
そんな生活がしばらく続いたある日、ふと新がクジマを見ると丸々と太っていたのである。
クジマは新に太ったと指摘されてもなかなか認めようとしなかったが、英に蔑んだ目でデブと言われたことで大きなショックを受け、ダイエットを決意した。
その後こたつに入るのもほどほどになり、毎日バレエを踊って見事痩せることができたのである。
ロシア育ちで生態も人間とは全く違う生き物であるにも関わらず、こたつに魅され怠惰に暮らし、さらには太ってしまうという、鳥なのに人間味のあるクジマに思わず笑ってしまうシーンであった。
クジマの夢が叶った回転寿司
英の国立大学試験の合否発表の日、鴻田家は緊張に包まれていた。学校から帰ってきた新が緊張した表情で家のドアを開けると、目の前で盛大にバレエを踊るクジマがいたのである。びっくりしている新にクジマは、好きなだけ踊っていいと言われたと笑顔で話した。新が母の方を見ると母も満面の笑みで拍手をしており、新は急いで英の部屋へ向かう。英に受かったかどうか聞くと、合格という文字が映されたPC画面を見せてくれた。新は自分のことのように喜び2人で笑い合った。
その日の夜ご飯は、英の合格祝いでお寿司だった。しかも両親は回転寿司の機械をレンタルしており、家で回転寿司を食べたのである。
実は回転寿司を食べることはクジマの憧れであり、どうしてもクジマを外の店に連れていくことはできないが、両親はクジマの夢を叶えてあげたのだった。
新や英ももちろん驚いていたが、クジマは家での回転寿司でも全然いいと言い、すごいすごいと大喜びで、寿司の美味しさに涙しながら食べていた。
クジマが興奮気味で新や英のところに寿司が回らないほどの勢いで食べていると、案の定英に注意されるが、食に貪欲なクジマはロシア語でキレるのだった。
家族の一員としてクジマの夢を叶えてあげたいという鴻田家の温かさと、それをかき消す勢いでキレるクジマのシュールさが面白い場面である。
『クジマ歌えば家ほろろ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
PVの声優は石谷春貴
アニメの声優は発表されていないが、YouTubeで公開されている本作のPV動画では、主人公の新とクジマの2役を石谷春貴が担当した。
石谷春貴は大沢事務所所属の声優で、『歴史に残る悪女になるぞ』のウィリアムズ・ヘンリ役や『村井の恋』の平井役で知られる。
漫画の裏表紙で描かれるクジマの生態
漫画の裏表紙には5巻全てにイラストや漫画が描かれており、本編では描かれていないクジマの生態や成長過程を見ることができる。
クジマの幼少期の姿や、四足歩行から二足歩行になる瞬間、初めて言葉を発した場面など、幼いクジマの可愛らしい姿が描かれている。
エピソードのタイトルはことわざ
本作の各話のタイトルは全てことわざが使用されている。
そしてことわざの意味に沿ったストーリー展開で描かれているのである。
例えば第4話は、噂が立つのには必ず何か原因があるという意味の「火のないところに煙は立たぬ」ということわざがタイトルになっている。
近所でお化けが出るという噂が流れているのは、クジマを見た誰かがお化けだと勘違いしたのだという内容であった。
また、ことわざはそのまま引用することがほとんどだが、時々「越鳥南枝に巣くう」ということわざを「越鳥北枝に巣くう」としたり、「一富士二鷹三茄子」を「一富士二クジマ三茄子」としたりするなど、本作に合わせて少し変化させてタイトルにしていることもある。
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目次 - Contents
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の概要
- 『クジマ歌えば家ほろろ』のあらすじ・ストーリー
- クジマとの出会い
- 新とクジマの冬休み
- 近づく別れ
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 鴻田新(こうだあらた)
- クジマ
- 鴻田家
- 鴻田英(こうだすぐる)
- 母
- 父
- 瑠衣子(るいこ)
- 祖父母
- その他
- 三ツ木(みつき)
- 三ツ木真琴(みつきまこと)
- マクシム
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の用語
- クジマ
- 「初めてのブリンは塊になる」
- ブリン
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- クジマ「アラタといるのは楽しいから、帰らないことにした!」
- こたつの虜になり太るクジマ
- クジマの夢が叶った回転寿司
- 『クジマ歌えば家ほろろ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- PVの声優は石谷春貴
- 漫画の裏表紙で描かれるクジマの生態
- エピソードのタイトルはことわざ