ホムンクルス(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホムンクルス』とは、2003年より山本英夫が『週刊ビッグコミック スピリッツ』で連載していた漫画、およびそれを原作にした2021年公開の映画作品。
映画化が発表された2020年時点でのコミックス累計発行部数は400万部を超えており、コミックス版の衝撃的な最終話も話題となった。
「第六感が目覚める」というトレパネーション手術を受けた主人公は、人々の心の歪みを投影した「ホムンクルス」が見える能力を得て、次第に自らの内面とも対峙していくようになる。

サブキャラクター

組長(くみちょう)/演:内野 聖陽

本名は不明。ホムンクルスを見るようになった名越が最初に接触した人間。
76本の小指を刈ってきたヤクザとして恐れられているが、子供の頃、農作業中に誤って友達の小指を鎌で切り落としてしまったことへの深い罪悪感を抱えていた。
それが名越の目には等身大のロボットのオモチャに守られた泣き顔の少年が、自らの小指を切りつけようとしている姿に見えていた。
罪悪感から目を背けてヤクザになったが、名越との対話を経て自己と向き合い、77本目として最後に自らの小指を切り落としたことで解放され、更生を誓った。
その後ロボットは見えなくなったが、名越の身体にその一部が転移した。

ユカリ/演:石井 安奈

女子高生。渋谷のブルセラ店で「1775」の札を下げ、商品として売られていた少女。
両親からの過干渉と過剰なまでの教育の結果、いわゆる「自分がない」人間になり、名越の目には砂粒のように小さな記号の集合体のような姿で映っている。
万引きのどさくさに伊藤が声をかけて「初体験の相手になる」ことを申し出るがこれを一蹴、その後名越の車で自宅に送らせ、その後車内に忘れた携帯電話を届けさせていた。
携帯電話を届けに来た名越と、自宅前に停めた車内で性行為に及ぶことになるが、その際にアンクルカットの傷に名越が噛みついたことで生への実感を得ることができた。
その後、彼女のホムンクルスも消え去り、名越の身体に一部が転移した。

七瀬 ななこ(ななせ ななこ)/演:伊藤 茄那

整形する前の名越の恋人だった女性。容姿は不美人だったが、内面を見て名越に寄り添っていた唯一の存在。
他人の心を読み取って絵にすることができるという能力を持っており、名越のことを白い雲の絵で描き表していた。
名越の子供を妊娠するが、「外見が全て」という価値観を持っていた名越が彼女の前を去る形で破局してしまう。
映画版では外での付き合いばかりを優先して自分と向き合うことをしない名越に不満を募らせて激昂し、家を飛び出した際にチヒロの夫が運転する車にはねられ故人となった。

ななみ

名越が外資系企業に勤めていた頃に出会っている、虚言癖を持った女性。名越には顔が変わるホムンクルスが見えている。
彼女もまた顔を整形しており、金や物が全て、という価値観に基づいて生きているが、ホームレスになった名越になぜか執着している。
その結果、名越は彼女を「ななこ」だと思い込んでしまい、そう呼んでいたが、実際は全くの別人。
初めは名越の能力を疑っていたものの、金を盗み出したヤクザの愛人に詰め寄られているところを助けられたことで彼を信用するようになる。
過去に「さとし」という不細工な彼氏に捨てられたというトラウマがあることから、名越と分かり合うことができた。
自分のことも見てほしい、という願望を持った名越を受け入れ、彼の手によってトレパネーション手術を施されて一夜を共にするが、その後命を落としたことが示唆されている

ケンさん

人員整理の際にリストラに遭い、その後ホームレスとして公園で暮らしている男性。
捨てられていた毛布を拾って届け、銭湯を奢るなど、周囲に馴染めない名越のことも気にかけてくれている。

イタさん

公園で暮らしているホームレス。元板前のため、仲間たちが集めてきた食材を上手く料理して提供している。
名越の目には、液状の球体のようなホムンクルスが見えていた。
名越との対話で過去の出来事や気持ちを吐露していたが、その直後に思いつめて首を吊り、自ら命を絶ってしまった。

伊藤の父(いとうのちち)

脳神経外科を経営している。現在は病気で入院しており、死期が近づいているが伊藤には黙っていた。
非常に厳格で、伊藤のトラウマの元となる事件を起こした人物だが、伊藤が見舞いに訪れた際、彼の飼っていたグッピーを殺してしまった事に対しての懺悔を口にした。

映画版にのみ登場する人物

チヒロ/演:岸井 ゆきの

伊藤が医師として勤務している病院の患者。記憶を失っており、その治療で伊藤の勤務している病院に通っていた。
名越の目にはのっぺらぼうのような顔のないホムンクルスが見えている。
名越はどこか見覚えがあった彼女をななこだと思い込むが、実際はななことの交通事故を起こした車に同乗していた、その車の運転手の妻だった女性。
事故当時、運転手と口論をしており、そのせいで飛び出してきたななこを避けられず事故を起こしてしまった罪悪感から、ショックで記憶を失ってしまった名越の元に「ななこ」として現れる。
その後は「ななこ」として身分を偽ったまま彼と共に暮らしていた。
しかし、彼女もまた名越と暮らしていた当時の記憶を失ってしまう。
最後は全てを思い出し、名越に対しての懺悔を口にして謝罪。それを受け入れた名越と共に旅立っていった。
彼女も記憶喪失の治療という体で伊藤にトレパネーションを持ちかけられ、手術を受けていたが、伊藤曰く「何も起こらなかった」。

『ホムンクルス』の用語

ホムンクルス

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