ホムンクルス

ホムンクルスのレビュー・評価・感想

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ホムンクルス
10

トレパネーション

元は大企業に勤めていた36歳の名越進が、医大生の伊藤と出会うことで運命が大きく変わっていく物語です。
人生に迷う名越は仕事を休み、車中泊をして公園のホームレスと交流しながら毎日を過ごします。そんな中、伊藤に『トレパネーション』という手術を受けないかと持ち掛けられます。報酬に釣られそれを受けた名越には、人には見えないものが見えるようになり、イタコのように人々の悩みを解決できるようになります。やがてその悩みを見ることが出来る目は、自分自身や最も身近にいる人物である伊藤に向けられるようになります。
名越自身の過去やトラウマが彼と出会う人とリンクし、共鳴していく様が見どころです。一番最初に出会うヤクザの組長のトラウマを解決するシーンは度肝を抜かれました。
そしてだんだん名越の深層心理や秘密に焦点が移っていきますが、全てではないにしろ共感できる部分がありました。無機質な機械や数字、金にだけ囲まれ生きている人と距離を縮めたり愛し合ったりすることができず病んでいく…この悩みは人間なら感じたことがあるはずです。
作者山本さんの人間を書く力が本当にすごくて、最後まで一気に読めてしまいます。
絵もリアルで、慣れてない人にはちょっと刺激が強いかもしれませんが、おすすめの作品です。