ルナティック雑技団(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルナティック雑技団』とは、1993年から1995年に『りぼん』『りぼんオリジナル』で連載された岡田あーみんによるギャグ少女漫画である。この作品は、わらび野中学に通う星野夢実が、同級生の天湖森夜の家に下宿することになり、息子を溺愛する森夜の母・天湖ゆり子や周囲の人々との間に巻き起こる騒動を描くラブコメディである。その内容は不条理、メタ、そして少し変態的な要素を含んだラブコメディと評される。

『ルナティック雑技団』の概要

『ルナティック雑技団』とは、岡田あーみんによる日本の少女漫画であり、1993年5月号から1994年3月号まで『りぼん』で連載された後、『りぼんオリジナル』に移籍し、1994年4月号から1995年4月号まで連載された作品である。単行本は全3巻発売されている。
物語は、わらび野中学の星野夢実(ほしのゆめみ)が同級生・天湖森夜(てんこもりや)の家に下宿し、森夜の母・天湖ゆり子(てんこゆりこ)や周囲の個性的な人々との騒動を描く「不条理変態ラブコメディ」である。
題材の特徴は、少女漫画の枠を超えたナンセンスギャグだ。森夜の「孤高の貴公子」キャラや、息子を溺愛するゆり子の過剰な行動が狂騒劇を繰り広げる。絵柄は洗練されつつも岡田あーみんワールド全開で、少女漫画的プロットをパロディ化した作風が特徴である。
魅力は、勢いある画力と破天荒なギャグセンスである。常識人・夢実がツッコミ役となり、キャラ同士の化学反応から生まれる笑いと、突然の切ない展開のバランスが絶妙だ。特にゆり子の「夢実いじめ」や森夜の天然ぶりは、読者に「怖いけど病みつき」と言わせるインパクトがある。

『ルナティック雑技団』のあらすじ・ストーリー

ようこそ天湖家へ

わらび野中学校に通う星野夢実(ほしのゆめみ)は、両親の海外出張に伴い、憧れの同級生である天湖森夜(てんこもりや)の家に下宿することになる。
憧れの森夜との同居に舞い上がるが、森夜の母・天湖ゆり子(てんこゆりこ)の異常な行動や言動に驚きつつも、森夜が自己評価が低く、孤立していることに気づく。
そこで夢実は森夜と友達になりたいと強く思い、そして森夜に友達がいることの素晴らしさを感じてもらうべく、家や学校で接近しようと奮闘するのだ。
ところが、夢実と森夜の二人の関係を妨害しようと、ゆり子が様々な手を使って妨害してくるのである。ゆり子は夢実に対して執拗な攻撃を仕掛け、溺愛する森夜を行き過ぎた過保護ぶりで自分の思うがままにしていくのである。

学園のアイドルとお嬢様

学校のアイドルである愛咲ルイ(あいざきルイ)は夢実に好意を寄せ、夢実のためにプライベートライブを開催するなど、何とか近づきたいとアピールを繰り返す。さらには、森夜のことが好きな成金薫子(なりがねかおるこ)が夢実と森夜の仲を引き裂こうと様々な攻撃をしかける。薫子は、お金持ちのお嬢様であるので、金にものを言わせて夢実を攻撃したり、森夜に近づこうとするのだ。

思い出の修学旅行

信州へ修学旅行に行った際に、最終日の高原で思いがけず夢実は森夜と二人っきりになった。
ほんのひと時だけを過ごして、集合時間がせまってきたタイミングで高原を後にしようとしたその時に、夢実が足元にいた蛇を踏んでしまう。その拍子に森夜と共に高原の坂を転げ落ちてしまい、坂の下に着いたはずみで夢実と森夜は唇が重なってしまう。ファーストキスを好きな人とできた嬉しさで夢実は泣いてしまうが、森夜はその涙をショックの涙だと勘違いし、すぐさま水をもって夢実のもとへ駆けつける。

アイドルの失恋

夢実の好きな人が森夜だということを知ったルイは、自らの恋心を夢実に直接伝えることなく身をひく決心をした。
意地はるのはやめなよ、とむしろ夢実の背中を押し、森夜のもとへと向かうよう優しく諭すという自らの気持ちとは裏腹の演技をした。
結果、夢実は森夜のもとへ向かい、手をつないで天湖家へ戻ることができた。
学校のアイドルであるルイが夢実に失恋したことで作った曲もあり、放課後の校内で開かれた野外コンサートの最後に披露された。

『ルナティック雑技団』の登場人物・キャラクター

天湖家

天湖森夜(てんこもりや)

容姿端麗でカリスマ性を持つ「孤高の貴公子」と呼ばれる少年で、体中からオーラを発し、天湖ビームで悩殺するという特異な能力を持っている。男女問わず生徒たちを魅了している。
その圧倒的な魅力ゆえに、家族以外は容易に近寄れず、本人は誤って嫌われていると思い込み、動植物だけを友と考えている。母ゆり子の特殊な教育方針により、一風変わった人格形成がなされた。

星野夢実(ほしのゆめみ)

森夜に憧れる少女で、物語は彼女の視点から描かれることが多い。作中ではツッコミ役を担当し、常識人として描かれている。セミロングの黒髪を持つ美少女で、ゆり子からは外見や恵まれた環境、若さを妬まれている。薫子(かおるこ)とゆり子によって働かされることになったタコ部屋の男たちをもメロメロにする外見をもっている。
芯の強さを持ち、周囲の個性派キャラクターに振り回されつつも、森夜を普通の中学生にしようと奮闘する。作中では数少ない常識人として、様々なキャラクターへのツッコミ役を担当。通常は冷静だが、時折ゆり子に対して辛辣な言葉を漏らしたり、森夜への想いから不可解な行動をとることもある。
物語終盤、海外の母親から同行を促され、最初は森夜への思いから拒むも、熟考の末、一時的に森夜から離れ両親と暮らすことを決意し、天湖家を離れて海外へ旅立つ。

天湖ゆり子(てんこゆりこ)

森夜の母で、息子を溺愛するあまり奇行に走る。外見は美人だが、エキセントリックで嫉妬深い性格。
6人兄弟の貧しい家庭出身であることにコンプレックスを抱え、若く美しく裕福な夢実を激しく妬んでいる。夫の慶一(けいいち)は彼女の精神状態を「神経が個性的」と表現する。森夜を異常なまでに溺愛し、奇抜な教育や行動を取ることが多い。
外見は品のある美人で、年齢は不明。全体的に細身だがウエストだけは太めで、走りにくいと言いながらタイトスカートで走る姿が作品中によく登場する。
感情の起伏が激しく、森夜や夫に近づく女性に対して常軌を逸した攻撃を加え、夫の出張中には精神が不安定になり親子心中まで計画するが、夫の帰宅で落ち着く。金権に弱い一方で、時に良心の呵責も感じる複雑な一面を持つ。
クラシック音楽やドストエフスキーを愛する教養人だが、屋根裏には『アダルトりぼん』などの俗な雑誌を隠し持ち、近所の主婦とフラメンコを習うなど庶民的な趣味も持つ。夢実が海外へ発つとき喜んで見送り、後に夢実から森夜への手紙を勝手に捨てるなど、執着心からの妨害行為を続けている。

天湖慶一(てんこけいいち)

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