オーバー・ザ・ガーデンウォール(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Over the Garden Wall』とは、2014年11月3〜7日にアメリカのカートゥーン・ネットワークで放送されたアニメ作品。1話約10分の全10話で、日本では長編版が2016年2月11日に放送された。「名もなき森(ザ・アンノウン)」に迷い込んだ気弱だが優しい兄・ワートと、無邪気な弟のグレッグが家を探して冒険する。19世紀から20世紀初頭の民話に基づいたストーリーや、どこか不思議な登場人物らが独特の世界観を作り上げており、短い作品ながらも人気を博した。

ワートたちに忠告する木こり

1話にて、森に迷い込んだばかりのワート、グレッグに出会った木こり。彼は「Remember,the Beast haunts these woods(覚えておけ、この森にはビーストが潜んでいる)」と忠告した。ただ迷子になったと思っていた兄弟に、恐ろしいビーストの存在を知らしめる重要な一言。視聴者に対しても、物語の特殊な世界観を伝える大切な言葉だった。

グレッグ「Wirt, you can do anything if you set your mind to it.」

後ろ向きなワートを元気付けるグレッグ

第8話にて、ワートとグレッグ、そしてペットのカエルは、深い霧が立ち込めるなかボートを漕いでいた。遠くからはビーストの歌声が聞こえてくる。
長い旅に疲れたワートは「Can we just admit we're never gonna get back home,Greg? Can we do that?(僕らはもう家に帰れないって認められる?そんなことできる?)」 と悲観的になっていた。それを見たグレッグは「Wirt, you can do anything if you set your mind to it.(ワート、その気になればなんでもできるよ)」と声をかける。ワートは相変わらず落ち込んだ様子のまま、グレッグの言葉を受け止めていた。
彼らの対比的な性格がよく現れた会話であり、グレッグの前向きな性格をよく現している。彼は最後までこの言葉通り、あらゆることをやってのけた。

ベアトリス「Wirt, sometimes you have to face your problems.」

渡し船で話し込むベアトリス(左)とワート

第6話にて、カエルたちが乗る川の渡し船に搭乗したワートたちは、トラブルに巻き込まれてしまう。カエルの変装をして音楽隊に紛れ込んだワートに、ベアトリスが「Wirt, sometimes you have to face your problems.(ワート、時には問題に直面することだってあるのよ)」と呆れ気味に声をかける。そして、大人しく船を降りることを勧めた。彼女の現実的な性格が伺えるセリフだ。慌てるワートに、ベアトリスが皮肉や鋭い正論を浴びせるのは作中でよく見られる光景である。

グレッグ「Give up? I'll never give up.」

ビーストからの難題にも応えようとするグレッグ

第10話にて、グレッグはビーストと直接話をしていた。ビーストに「Lower the sun out of the sky and into this china cup.(太陽を空からこのチャイナカップに入れてみろ)」と言われたグレッグ。グレッグは吹雪の中、雪の積もった切り株にカップを置き、待っていれば錯覚でカップに太陽が入ると考えた。ビーストに 「I thought you might give up(諦めてもいいんだぞ)」と勧められるが、グレッグは「Give up? I'll never give up.(諦める?僕は絶対に諦めないよ)」と答えて、その場に座って太陽が落ちてくるのを待った。ビーストを前にしても決して怯まず、機転を利かせて立ち向かう賢さと忍耐強さを表現したグレッグの一言だった。

ワート「You're not trying to help me.」

ビースト(奥)と対峙するワートたち

10話にて、森の中で木に変えられつつあるグレッグを見つけたワート。ビーストによると、グレッグは弱りすぎていて家に帰ることができないが、代わりにランタンに魂を込めて、火を灯し続けることで生きながらえさせることができるという。ワートは、その火を灯し続けるならば、グレッグを助けるとビーストに取引を持ちかけられた。一瞬、了承しようとしたワートだったが、すぐに罠であることに気づく。そして「You're not trying to help me.(ビーストは僕たちのことを助けようと思っていない)」と言い放つ。さらに、異常なまでにランタンに執着するビーストを見て、ランタンの中にビーストの魂が入っているのだと看破した。これまで臆病だったワートが、弟のグレッグのために恐れていたビーストに立ち向かい、核心をついた名台詞である。

ワート「You can listen to it at my home.」

入院したワートとグレッグのもとに友人が集まった

物語の最後、現実世界に戻ってきたワートは病院にいた。森に迷い込む前、思い人のサラに自作の歌を録音したテープを渡していたため、見舞いに来た彼女は「I don't have a Tape player(テーププレーヤーを持っていないの)」と告げてくる。ワートは「You can listen to it at my house.(うちでなら聞けるよ)」とサラを誘う。
今まで奥手で、彼女をデートに誘うことに尻込みしていたワートが、森での冒険を経て成長したことが分かる一言だった。

『Over the Garen Wall』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

短編アニメ『未知の世界』が物語のベース

『Over the Garen Wall』の基となった『未知の世界(Tome of the Unknown)』

短編アニメ『未知の世界(Tome of the Unknown)』が、本作のタイトルやストーリーのアイデアの基になっている。
現在公開されている同名タイトルのアニメでは、ワートやグレッグが登場する。彼らは、大きなスイカでできた車がある家を見つけ、かぼちゃ頭でスイカの体をした家主・ジョンと親睦を深める。そして、ジョンとともに車に乗って野菜たちの祭りに参加した。
しかし、野菜の匂いに釣られてきた鳥に襲われて、参加者はパニックになる。ワートらはジョンの車で逃げようとするが、取り囲まれてしまった。そんな中、突然グレッグが茂みの中へ駆け出して、悲鳴をあげる。鳥たちはグレッグの声に驚いて逃げていき、2度と帰ってくることはなかったため、野菜たちは災難を免れた。大慌てでワートがグレッグのもとに駆けつけると、彼は満面の笑みを浮かべている。大きなダチョウを見つけたから、喜びの歓声をあげていただけだった。
カラスから逃げられたジョンも、祭りで出会った美人なキャベツ頭の女性と結ばれた。そして、ワートたちは、グレッグが見つけたダチョウに乗って、未知の森を探索したのだった。

奇妙な姿の住民や、少し不気味な物語が、『Over the Garden Wall』の雰囲気を出している。

ワートとグレッグは異母兄弟

ワート(左)とグレッグ

ワートたち兄弟の家族構成についてはそれほど深く触れられていない。しかし、彼らが異母兄弟であることが判明している。ワートは実父と暮らしておらず、新しい継父のことをあまり嬉しく思っていないことを明かした。グレッグは継父の子である。
しかし、継父のことはよく思っていなくとも、グレッグを大切にしており、兄弟仲も非常に良好である。兄弟の友情は作品全体を通して描かれている。

Zuiq-39
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