性別「モナリザ」の君へ。(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『性別「モナリザ」の君へ。』とは、『ガンガンONLINE』にて連載された吉村旋が手がける恋愛漫画。単行本は全10巻。次にくるマンガ大賞2020ではWebマンガ部門で20位を受賞した。
人間が性別を持たない状態で生まれ、12歳ほどでなりたい性別に変化する世界。主人公の有馬ひなせは、18歳になっても性別が変化せずにいた。このまま変化せずに生きていくのだと考えていたひなせだったが、幼馴染の加賀りつと高山しおりに同時期に告白されたことをきっかけに3人の関係は変化していく。

本作の主人公。高校3年生になっても性別がない。体型は中性的で、男性と比較すると小柄、女性と比較すると大きいくらいの背丈。制服は男子用のものを着用しており、私服もズボンを選択している。12歳のころは他人と同じように性別が変わることへの期待があったが、一向に変化しない性別に最近は慣れてしまい何も感じなくなった。
りつとしおりから好意を寄せられているものの、ひなせ自身には恋愛感情がなく性的欲求も一切ない様子。告白されたことをきっかけに2人を意識するようになるものの、しばらくは友達としての好きを抜け出せずにいた。告白をきっかけに性別を変化させるホルモン値にも変化が出始めるが、それに困惑したひなせは自分の性別が変わることを受け入れられない日々を過ごすことになる。ひなせは幼馴染や同級生、無性別の友人を失った過去のあるなおとの関わりによって少しずつ性別の変化を受け入れていく。

幼馴染

加賀りつ(かが りつ)

ひなせの幼馴染で、女性。スポーツ万能だが、勉強は少し苦手。ひなせのことが好きで「私がひなせを男にする」と告白するが、告白の言葉に思うところがあったようでその後「私はひなせが好きだからどっちになっても構わない」と訂正している。ひなせの性別へのこだわりはあまり無いようで、女性になったら親友、男性になったら恋人でいたいと考えていた。その後、男性になっても女性になっても恋愛として好きなままだと改めて告白をしている。
幼いころからかわいいものが好きだったものの、周囲からはかっこいいと言われ将来は男性になると思われていた。周りの期待に流されかけていたところ、ひなせに「りつだってかわいいものが似合う」と言われたことをきっかけに女性になることを決意。

高山しおり(たかやま しおり)

ひなせの幼馴染で、男性。美大進学を目指しているものの、男性であることを理由に父親から反対されている。
部屋で電話をしていた兄あずさの会話を耳にしたことによって準モナリザ症候群を知り、ひなせに残された時間が少ないことに気付く。ひなせに生きていてほしいと願うしおりは、ひなせを女性にするために告白する。りつもひなせに告白していたことを知った後は、ひなせが生きられるなら男性になっても構わないと思うようになる。
最初はひなせを女性にすることにこだわっていたしおりだったが、次第にひなせが男性になっても人間としては好きなままだろうという考えに至る。どっちになっても恋愛として好きなままだという結論を出したりつと異なり、最後までひなせが男性になっても恋愛として好きなままでいられるかはわからないと言っていた。

同級生

別府たまき(べっぷ たまき)

りつの親友でテニス部。女性。他校にゆうくんという彼氏がいる。りつにひなせの性別への悩みを相談された際には、ひなせがどっちになろうが付き合ってしまえばいいとアドバイスをする。一方で、彼女自身は自分が好きになったのは男性としてのゆうくんだから、ゆうくんが仮に女性になったら別れるとも言っている。

城崎るい(きのさき るい)

りつの親友で、女性。無性別の時にりつが好きだったものの、その想いを抱えたまま転校しりつと離れ離れになる。りつは男性になると思っていたが、中学3年生で再開した時には2人とも女性になっていたために失恋。しばらくは女性に変化したりつに複雑な想いを抱いていた。りつに頼まれて水泳を教えた際に女性になったりつでも友達としては好きなままであること、自分の恋愛対象は男性であることに気付き友達になった。

五色まひろ(ごしき まひろ)

りつの親友で、女性。みんなからごっちんと呼ばれている。好みのタイプは背が高くていざという時に守ってくれそうな男性。中学の時ちあきに告白されたものの、彼の背が低いことを理由に断る。作中で男女混合カラオケに参加するが、気になっていた男性に体型が好みじゃないと言われているのを聞いてしまう。その際彼らと一緒にいたちあきが自分を庇ってくれたのを聞いたこと、体型を理由に断られる気持ちを知ったことで価値観が変化し、ちあきと作中で恋人になった。

黒川ちあき(くろかわ ちあき)

しおりの友人で、あおいの親友。男性。身長が伸びないことを気にしている。まひろに片思いしているが、中学時代には背が低いことを理由に告白を断られている。男女混合カラオケをきっかけに気持ちが変化したまひろと作中で恋人になった。あおいからの気持ちには気付いていない。

白銀あおい(しろがね あおい)

しおりの友人で、ちあきの親友。男性。ちあきに片思いしているものの、男性同士であることから諦めている。ちあきが気になり始めたまひろにアドバイスを求められた際には的確なアドバイスをしており、ちあきの幸せを応援している様子。作中ではしおりがひなせの性別と向き合うきっかけを作ったり、幼馴染2人からの告白の返事に悩むひなせの相談に乗ったりと、主人公たちの関係の変化に重要な役割を果たしている。

その他

高山あずさ(たかやま あずさ)

しおりの兄で、大学病院の医師。ひなせの担当医師でもある。ひなせ曰く、近所でも有名な秀才で、気さくで話しやすい非の打ち所がない人。幼い頃はしおりとひなせ、りつによく勉強を教えていた。
しおりに聞こえるようにわざと部屋で準モナリザ症候群の電話をしたり、準モナリザ症候群のデータをしおりが見ることをわかった上で忘れ物として届けさせたりと何か企んでいる様子が描かれている。変化の途中が最も美しいと言っており、ひなせが変化していく過程に興味を持っている。

石和なお(いさわ なお)

芸術が好きな女性で、フランス留学から帰ってきた後は公務員として働いている。フランスに留学した際に出会った無性別者リザの話をしおりとひなせに聞かせる。無性別者のことをどこか儚げだと感じており、大人になればなるほど人間ではないかのような美しさが備わっていくと振り返っている。

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