令嬢アンナの真実(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『令嬢アンナの真実(原題:Inventing Anna)』とは、2022年にアメリカのプロダクション「ションダランド」によって制作された、Netflixのリミテッドドラマシリーズ。2018年にニューヨーク・タイムズが記事にした実際の詐欺事件をもとにしている。ドイツの令嬢であると嘘をつき、NYの上流階級を騙し続けた詐欺師、アンナ・デルヴェイ。女性記者が彼女を追い、徐々にその真実が明らかになっていく。スタイリッシュな映像と音楽と共に、アンナが華麗に人々を欺き落ちぶれていくまでの痛快さが魅力である。

アラン・リードの妻。

『令嬢アンナの真実』の用語

ライカーズ島

ニューヨークのブロンクス区とクイーンズ区の間に位置し、イーストリバーに浮かぶ島。脱獄不可能とされる厳重な刑務所があることで知られている。アンナはここに勾留されていた。

フォートレス銀行

ニューヨークに本拠地を置く資産運用会社。1998年に創業。創業後、ヘッジファンド投資、不動産投資、債権投資等に事業を拡張した。

Vanity Fair(ヴァニティ・フェア)

アメリカのコンデナスト・パブリケーションズが発行している月刊誌。政治やファッション、著名人の大衆的な話題などをタイムリーに掲載する総合マガジン。

『令嬢アンナの真実』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

アンナ・デルヴェイ「生活のためのお金ね」

「12ジョージ・ホテル」から追い出されたアンナが最後にネフと会話をし、立て替えたお金を返金した際、アンナが最後に言い残した台詞。一緒に旅行に行こうと誘うアンナに対し、休みももうないし、仕事が必要だから行くことができない。それが自分の人生だと断るネフに、アンナは「生活のためのお金ね」と告げてその場を去った。
生活するために仕事をしてお金を稼ぐというような小さな目標ではなく、もっと大きな自己実現のためにお金を手に入れるべきだと考えているアンナの、一般人とは異なる思想が明らかになる大切なシーンである。大切に思っていたネフだからこそ、アドバイスとして、彼女の考えを伝えたのだ。

トッド・スポデック「NYにやってきたアンナは目は輝き、胸は高鳴っていました。ごく普通の25歳です。金持ちの親もコネもなく名門校出身でもない。チャンスを待てなかった。だから自分で作ったのです。誰の中にもアンナはいる。誰でも小さなウソをつく。履歴書にセールストーク、SNSでもです。アンナも先例にならって、なりたい自分になりきりました。これは罪じゃない。昔も今もです」

アンナの弁護士トッドは最終裁判で、陪審員を説得しようと試みる。その際、「NYにやってきたアンナは目は輝き、胸は高鳴っていました。ごく普通の25歳です。金持ちの親もコネもなく名門校出身でもない。チャンスを待てなかった。だから自分で作ったのです。誰の中にもアンナはいる。誰でも小さなウソをつく。履歴書にセールストーク、SNSでもです。アンナも先例にならって、なりたい自分になりきりました。これは罪じゃない。昔も今もです」と熱弁した。
アンナは決して巨額の詐欺を目的として騙し行為を続けていたわけではなく、普遍的な若者らしい夢を胸に抱いてニューヨークを訪れ、その夢を実現しようと一生懸命に頑張った結果、周りの人間が心動かされてしまっただけなのだ、それは決して珍しいことではないのではないか、と必死に伝える。トッドがアンナの「みんなに私の事業への熱意を知ってほしい」という願いをできるだけ叶えるために、アンナがしたことは100%詐欺と言い切れないということを説得するために、熱を込めて語る名シーンである。

ケイシー・デューク「怒りを鎮めるには、誰か別の人の話だと思うこと。怒りが収まったらまた自分のことに戻るの。自分の人生の主人公に」

アンナに対し怒りをあらわにし、どうしてそんなに黙っていられるのかと憤るレイチェルだが、ケイシーは落ち着き払ってレイチェルに「怒りを鎮めるには、誰か別の人の話だと思うこと。怒りが収まったらまた自分のことに戻るの。自分の人生の主人公に」と伝えた。ケイシーの持つ禅の精神があらわれた台詞で、誰かへの怒りにとらわれてしまうのは時間の無駄であり、自分自身の人生を生きたほうが自分のためになると説得する。

『令嬢アンナの真実』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

登場する人物や舞台はフィクション

登場するアンナの友人や関係者たち、また宿泊していたホテルや勾留所などの舞台に関して、実在するものも多数ある中で、架空の名前が使われているものも多くある。
アンナを追いかけ続ける、記者ヴィヴィアン・ケントだけではなく、彼女が働く「マンハッタン・マガジン」も作品に合わせて調整された架空のものである。実際にモデルになっているのは、『ニューヨーク・マガジン』の記者であるジェシカ・プレスラーだ。ジェシカは本作のように、弁護士に直接働きかけたり、ほかのジャーナリストと一緒に協力して調査をしたり、アンナの両親のもとを訪ねたりしたという事実はないと語っている。ただ、取材期間に妊娠中だったことは共通の事実だった。
また、宿泊していた「12ジョージ・ホテル」は実名ではない。ノラ・ラドフォードや弁護士のアラン・リードは、複数の人物の情報をつなぎ合わせて作られた人物である可能性が高い。

アンナのアクセントは実際とは異なる独特のもの

ロシア生まれでドイツ暮らしだったアンナの話す英語には、聞きなじみのない独特のアクセントが採用されている。ドラマと本物のアンナの話し方はまったく異なるそうだ。アンナを演じたジュリア・ガーナーは実際のアンナに会って、彼女の人となりやアクセントを掴んで参考にしたと言っているものの、アンナの複雑な生い立ちや人間性を表すために、あえて不思議なアクセントになるよう自分で作り上げたと語っている。

実際のアンナ・ソローキンは模範囚として2年で釈放済

2019年に有罪判決を受けたアンナだが、刑務所での模範的な態度が認められ、実際には2年間の服役で刑務所を出た。2021年に釈放されてからは、1か月後にビザの不法滞在者として拘束され、2022年にニューヨークの拘置所から釈放された。さらに2023年には、アートやファッションについて語る自らのポッドキャストをスタートさせている。

『令嬢アンナの真実』の主題歌・挿入歌

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