Kena: Bridge of Spirits(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『Kena: Bridge of Spirits』は、Ember Labによって2021年に制作・販売されたアクションアドベンチャーゲームである。
現世に残留する死者の魂(スピリット)をあの世へ導くスピリットガイドであるケーナを主人公に、多くのスピリットが苦しんでいるある村でのケーナの冒険と活躍が描かれる。
そのゲームの完成度の高さから、2021年のThe Game Awardにおいては、Best Independent Game賞を獲得している。
『Kena: Bridge of Spirits』の概要
『Kena: Bridge of Spirits』は、アメリカのアニメーション制作スタジオであるEmber Labによって、2021年に制作・販売されたアクションアドベンチャーゲームである。対応プラットフォームは、Xbox Series X/S、Xbox One、PlayStation 5、PlayStation 4、PC(Steam)。
本作の主人公は、現世に残留する死者の魂(スピリット)をあの世へ導くスピリットガイドとして活動するケーナという少女である。聖なる山の神社を目指していたケーナが、多くのスピリットが苦しんでいるある村に導かれ、この世への強い執着を持つスピリットに出会うところから物語が始まる。スピリットを救済しながら、過去にその村で何が起こったのか、なぜ多くのスピリットがこの世に留まることになったのかを解き明かしていく、というのが本作の大筋のストーリーである。
本作は、Ember Labの初のゲーム作品でありながら、その美麗なグラフィックや重厚な世界観、硬派なゲーム性により多くの支持を獲得し、2021年のThe Game Awardにおいては、Best Independent Game賞を受賞している。国内においても、そのゲームの完成度の高さから多くの賞賛を得ているが、日本語のローカライズに関しては不評であるとする声も多い。
『Kena: Bridge of Spirits』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
スピリットガイドとして聖なる山の神社を目指していたケーナは、そのふもとにある村に導かれる。そこでは、かつてこの村に住んでいた多くの人々のスピリットが苦しんでいるようであった。
その道中の洞窟で、非常に強力な執着によりこの世に縛られている仮面のスピリットに遭遇する。仮面のスピリットは、「これは俺の故郷、俺の村だ。来た道を戻れ」とケーナに警告する。
先に進み洞窟を抜けると、そこは木々に囲まれた自然豊かな村の入り口であった。そこで、ケーナは、自然の精霊であるROTと、ROTと遊んでいる2人の子供のスピリットに出会う。しかし、突如姿を現したケーナに驚いた子供のスピリットたちは、消えて逃げてしまった。
残されたROTとケーナは心を通わす。どうやら、ROTはケーナの友だちになってくれるようだ。
ROTと共に村を目指すケーナは、所どころ、自然サイクルが崩壊して生じる腐敗によって村が浸食されていることに気付く。ケーナは、ROTの助力を得、スピリットガイドの力によって、腐敗を浄化していく。
その様子を見ていた子供のスピリットは、ケーナのことを信頼してケーナに近づいてくる。名前は、ベニとサイヤというようだった。山の神社を目指しているというケーナに対して、ベニとサイヤは、山の神社に案内する前に、兄であるタローのスピリットを探して欲しいと請う。
タローの後悔
村にたどり着いたケーナは、その中央にある祭壇で老人のスピリットに出会う。老人によれば、山の神社とこの村のエネルギーは繋がっているが、その力は随分前に起こった村の悲劇により衰退してしまっており、それゆえ山の神社に行くためには残留している村のスピリットを解放する必要があるという。また、タローが辿った運命からタローを解放し、ベニとサイヤを助けてやって欲しいと告げる。
この村では、死者を祀る方法として木彫りの仮面を作る風習がある。ケーナは、タローの仮面を老人から預かり、その仮面を頼りにタローの行方を追うことにする。
ケーナは、腐敗が進んだ森の中で、タローの後悔が強く残っていることを感じ、タローの遺物を探しその行方をさらに追うことにする。ベニとサイヤは、山頂に住むルスであれば、何か知っているかもしれないとケーナに知らせる。
山頂までの道のりは、腐敗が深刻で険しいものだったが、ケーナは山頂にいるルスに会うことができた。ルスは、山の神社のエネルギーは自然のサイクルに従って循環しており、山の神社の力が弱った際、この村に腐敗と飢饉が生じ、タローが両親を失ってしまったこと、幼いベニとサイヤをタローが守らなければならなかったこと、自分がタローたちに対して何もしてやれなかったことを告げる。
ルスは、優れた弓の使い手であり、ケーナに精霊の力を弓に変える方法を教える。ルスの助力もあり、ケーナはタローの遺物を集めることに成功する。ケーナは、遺物を使ってタローのスピリットを呼ぶ。しかし、現れたのは、強い後悔によって我を忘れてしまったタローのスピリットの成れの果てであった。ケーナは、スピリットガイドとしてタローを解放し、タローの記憶を垣間見ることになる。
タローは、食糧が少なくなる中で幼いベニとサイヤとともに必死に生きており、ある時、ルスを頼ろうとした。しかし、ルスは、山の神社の力が弱まっていることに対処しなければならず、彼らを助けることができなかった。数日後、山の神社のエネルギーが突如として爆発し、その衝撃によりタローは死んでしまう。スピリットになった後もタローは、ベニとサイヤを探し続けたが、ベニとサイヤも死んでしまったことに気付き、2人を守れなかったことをタローは激しく後悔することになる。
ケーナは、ベニとサイヤは今でもタローを兄として慕っていることを告げる。解放されたタローに会うことが叶ったベニとサイヤは、ケーナとの別れを惜しみながらも、タローと共に向こうの世界へと旅立っていった。そして、ケーナは、思い残すことがないといった様子で向こうの世界へ去っていくルスを見届ける。
アディラの後悔
老人のスピリットは、山の神社に行くためにまだ助けなければならないスピリットがいるという。それは、アディラというこの村に優れた建造物を残した木工職人であった。ケーナは、アディラの仮面を手に村の農耕地帯へ足を進める。
ケーナは、農耕地帯へ向かう道中で、ハナという女性のスピリットに会う。ハナは、アディラと共に山の神社のエネルギーを収集する方法を発見した。アディラは、これに自らの木工技術を掛け合わせることで、村を永遠に維持できると信じていたのだと告げる。
アディラの遺物を探し、腐敗した農耕地帯を浄化しながら進むケーナは、その中で不自然にそびえ立つ塔を目にする。そこに姿を現したハナは、アディラの遺物は、地中に眠る村の心臓部にあるとケーナに告げる。ハナは、アディラと共に、山の神社のエネルギーが地中の洞窟のネットワークを通じて流れており、そのエネルギーを一つに集める方法を見つけたのだという。
ケーナは、村の心臓部にたどり着きアディラの遺物を発見する。しかし、心臓部に存在するはずのエネルギーは既に失われていた。ハナは、心臓部のエネルギーを持ち出すことができるとすれば、それはアディラにしか成し得ないという。ケーナは、アディラの遺物により、不自然な塔のふもとへと導かれる。
塔の最奥で待っていたのは、悲しみに暮れ暴走したアディラのスピリットであった。
解放されたアディラによって、過去にこの村で何が起こったのかが語られた。古代の人々は、山の神社に惹かれてこの村に住むようになった。そこで育ち、山の神社のエネルギーを集める方法を発見したハナとアディラは、これを活用して村を維持していくために志を一つにしていた。しかし、山の神社の力が弱まったことにより腐敗が進行し、村の繁栄は長くは続かなかったという。
ハナは、村を救うために食糧や物資を探しに旅に出ることを決意する。しかし、優れた木工職人であったアディラは、村の建築基盤を維持するために村を離れることができなかった。ハナは数か月経っても戻ってくることはなかった。
村が限界を迎え、人々が村を放棄しても、アディラは故郷を離れなかった。アディラは、自らが作り上げた村をすべて破壊し、一つの塔を造ろうとした。独力で塔を完成させる間近に、山の神社のエネルギーが爆発し、アディラは死んでしまう。しかし、スピリットになってもなお、アディラは塔の建築を続けた。村の心臓部のエネルギーを塔に掲げ、ハナが返ってくるための目印にするためであった。ハナはもう二度と帰ってはこないと気付いていながらも。
ケーナは、ハナとアディラが作り上げたものは、今でもこの土地に残っていると告げる。ハナとアディラは、現世で果たし得なかった再会を果たし、向こうの世界へと旅立っていった。
トシの後悔
ケーナは、アディラの記憶の中で、山の神社が爆発する際、ある生き物を見たことを村の老人のスピリットに告げる。老人のスピリットは、名をザジュローといい、ケーナに対して、その生き物は、村の指導者であったトシと深く関わりがあること、トシはこの村を愛していたが故に、自然のサイクルの乱れにより村が衰退していくことに非常に苦悩していたことを伝える。ケーナは、旅の最初に出会った強力なスピリットが、村の指導者であったトシであると気付き、トシの開放を決意する。サジュローは、これまでにも多くのスピリットガイドがこの村を訪れたが、皆トシの開放に失敗していることをケーナに告げ、トシの仮面をケーナに託す。
トシの仮面を使い、遺物からトシの記憶を垣間見るなかで、ケーナは、村の指導者としてトシが自然のサイクルの乱れから村を救うために奔走していたこと、その努力も徒労に終わり多くの人々の命が失われてしまったことを知る。
山の神社に向かう途中の指導者の領域でケーナはトシに会うことが叶ったケーナは、トシにこの村から解放され自由になることができると告げる。山の神社の力に執着するトシは、ケーナに対峙する。強力な力を持つトシを、ROTの力を借り、なんとか弱らせることに成功するケーナであったが、トシは、ROTのことはよく知っているとケーナに告げ、ケーナに従っていたROTの支配を奪う。そのとき、アディラの記憶の中で垣間見た腐敗した生き物が現れ、ケーナはROTの力を失ってしまう。
スピリットガイドの力により、ROTの力を取り戻しながら、ケーナは、腐敗した生き物を浄化する。
山の神社の祭壇の前で、トシからこの村でかつて何があったのかが語られる。
山の神社は、この村に豊かな自然をもたらし、人々は山の神社の力を信仰していた。しかし、自然のサイクルが崩壊したことで飢饉が訪れ、多くの人々が死んでいった。村の指導者として人々はトシに助けを求めたが、トシには成す術がなかった。ザジュローは、自然のサイクルに抗うことはできず、新たな故郷を探すようトシに諭していたが、村を見捨てることができないトシとは、このとき決別していた。トシは、村を救うために奔走したが、それでも多くの人々の命が失われ、やがて山の神社に裏切られたと感じるようになる。村の悲劇を食い止めるため、トシは山の神社の祭壇へと向かい、山の神社の神に助けを請うも、神が何かしてくれることはなかった。神に対して怒りをぶつけ、トシは山の神社の神を殺してしまう。これによって自然のサイクルは完全に崩壊し、そのときに生じた衝撃により人々の命はすべて失われてしまった。
ケーナは、トシに、あなたは十分に長く苦しんだという。そして、この村が浄化されるためには自分自身を許す必要があると告げる。我々の役目は終わった。助けなければならないスピリットはあと1体だけだと言い残したザジュローと共に、トシは向こうの世界へと旅立っていた。
エピローグ
ケーナは、小さな友達であるROTに別れを告げる。山の神社の神へと変化したROTは、村を浄化し、ケーナの前から姿を消す。
ケーナが山の神社の祭壇の前で瞑想するところで、物語は幕を閉じる。
『Kena: Bridge of Spirits』のゲームシステム
『Kena: Bridge of Spirits』は、三人称視点の3Dアクション・アドベンチャーゲームである。
マップは、一部特定のエリアでエリア移動があることを除き、基本的にオープンワールドが採用されており、シームレスなマップ移動が可能となっている。
基本アクション
3Dアクションゲームでは基本的な、弱攻撃及び強攻撃の近接攻撃、ガード・パリィ、回避、ジャンプ等のモーションを使い戦闘を行う。
特殊アクション
弓矢
ゲーム序盤で、ルスに会うことで拡張されるアクションであり、戦闘だけでなく、様々なマップのギミックを解除するために使用する。
フックショット
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目次 - Contents
- 『Kena: Bridge of Spirits』の概要
- 『Kena: Bridge of Spirits』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- タローの後悔
- アディラの後悔
- トシの後悔
- エピローグ
- 『Kena: Bridge of Spirits』のゲームシステム
- 基本アクション
- 特殊アクション
- 弓矢
- フックショット
- 爆弾
- ROTアクションとスキル
- 呪われた宝箱
- 瞑想スポット
- ワープストーン
- フォトモード
- 『Kena: Bridge of Spirits』の登場人物・キャラクター
- ケーナ
- ROT
- ベニとサイヤ
- タロー
- ルス
- ハナ
- アディラ
- ザジュロー
- トシ
- 『Kena: Bridge of Spirits』のアイテム
- パワーストーン(お守り)
- ROTのハット
- 自然エネルギーの結晶
- カルマ
- スピリットメール
- 『Kena: Bridge of Spirits』の用語
- スピリットガイド
- スピリット
- 山の神社
- 腐敗
- 『Kena: Bridge of Spirits』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- Ember Labの成り立ち
- 本作が影響を受けた作品は『ゼルダの伝説』や『大神』
- 本作のテーマは人間の生と死における解放や変化