スローンとマクヘールの謎の物語(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『スローンとマクヘールの謎の物語(ストーリー)』は、レベルファイブより2009年に発売されたニンテンドーDS用の推理ゲーム。質問と解答を繰り返して推理を進める「水平思考パズル」を、ゲームで遊べるようにアレンジした。
物語の結末だけが書かれた物語を読み、文中の単語をタッチして質問文を作ると「はい」「いいえ」「関係ない」のいずれかが返ってくるため、それをヒントに真相を探っていく。革新的な設定と、完成度が高い謎が魅力だ。
『スローンとマクヘールの謎の物語』の概要
『スローンとマクヘールの謎の物語(ストーリー)』は、レベルファイブより2009年5月21日に発売されたニンテンドーDS用の推理ゲーム。質問と解答を繰り返して推理を進める「水平思考パズル」を、ゲームで遊べるようにアレンジしている。ポール・スローンとデス・マクヘールが手がけた、水平思考パズルの代表的な書籍『ウミガメのスープ』シリーズが原作となっている。
物語の結末だけを知れる物語を視聴し、文中の単語をタッチペンで選択すると、関連のありそうな他の単語が表示される。それらの単語をつないで質問文を作ると、出題者から「はい」「いいえ」「関係ない」のいずれかが返ってくるため、それをヒントに真相を探っていく。核心に迫る質問をすると「素晴らしい質問です」と表示され、出題者がヒントになる言葉を話す。そのヒントから、さらに質問を作成することもできる。集めた情報から推理して、解答パートへ進み正解すると、物語の真実を出題者から聞ける。
同社が展開した、古典的パズルブックや、思考能力を高める知的ゲームの『アタマニアシリーズ』第1弾である。
2009年9月3日には、続編の『スローンとマクヘールの謎の物語2』が発売された。基本的な操作は同じだが、2では問題を解き進めるとサブゲームが解禁され、遊べるようになっている。
謎解きゲームの中でも革新的な設定で完成度が高いとして、謎解きファンを中心に人気を博した。
謎は、劇場で上映される物語という設定で、出題者が順番に提示する。全部で80幕あり、難易度は単純なものから複雑なものまで幅広い。
レストランでウミガメのスープを注文した男性が、一口食べた途端立ち上がって崖から飛び降りてしまった「ウミガメのスープ」や、4万ドルもの価値がある本を持っていた男が、自らの手で本を引き裂きゴミとして捨ててしまった「高価な本」など、一度聞いたら忘れられない謎が集められているのが魅力である。
『スローンとマクヘールの謎の物語』のあらすじ・ストーリー
ウミガメのスープ
出題者は「ある男の突然の行動。その背後に隠された大きな物語。あなたには見つけ出すことができるでしょうか-」と前置きして語り始める。
物語は「男はレストランに入ると、メニューから『ウミガメのスープ』を注文した。スープを一口すすると、男は席を立ち、レストランから飛び出した。そして、男は崖から飛び降り、自殺してしまった。なぜだろう」というもの。
「ウミガメのスープ」という単語から、「味」「記憶」などの言葉を繋げて「ウミガメのスープの味は男の記憶にあった?」と質問文を作ると、出題者は「いいえ」と答える。しかし、「男」から、「ウミガメのスープ」「食べたことがある」を繋げて「男はウミガメのスープを食べたことがあった?」と尋ねると、「はい」と返ってくる。
このように質問を繰り返していくと、段々と男についてわかってくる。男は過去に漂流し、餓死しかけた。さらに、ウミガメのスープを食べたことがあるが、レストランで食べたウミガメのスープの味は記憶になかったということが判明する。
これらの情報をもとに解答に進むと、出題者から6つの質問をされる。選択肢が7個表示されるため、答えに繋がりそうな言葉を選ぶ。解答に進んだタイミングによっては推理パートで出てこなかった言葉もあるが、その時は前後の文から推測して答えていく。
「男がウミガメのスープを飲んだ時の味の感想は?」の解答は「記憶にない」。
「男のつらい経験は?」は「漂流」。
「男がもっとも苦手なものは?」は「海」。
「男が過去、死にかけた原因は?」は「餓死」。
「男がなくしたものは?」は「家族」。
「男の記憶の中のスープに入っていたものは?」は「人」。
以上の問答が済むと、出題者が「あなたの導き出した答えは…正しいようです」と述べて、真実を伝えてくれる。
「男は何年か前に、家族や数人の仲間と海で遭難し、餓死寸前になるまで漂流した経験があった。彼がレストランへ足を運んだのは、漂流中に食べたウミガメのスープの味を忘れられなかったからだった。しかし、口にしたスープの味は全く食べたことのないもの。彼は気づいてしまった。漂流中に『ウミガメのスープ』と言われて食べた肉は、衰弱死した自分の息子のものだということに」
以上が男が崖から飛び降りた理由である。生き延びるためだったとはいえ、自分の息子を食べたと気づいた男は、耐えきれず自殺してしまった。
出題者は最後に「人は悲しみを忘れることが苦手な生き物なのかもしれません。もしも、この男が海辺のレストランを訪れなかったら、レストランに『ウミガメのスープ』のメニューがなかったら…男が自分で悲劇の幕を引くことはなかった事でしょう」と締め括った。
死のパーティー
「気心の知れた人たちとのパーティーは楽しいものです。でも、義理で出席した知人もいないパーティーは退屈なもの。早々に退散したくなりますよね。これは、そのおかげで命拾いをしたらしい、ある男の物語」と出題者が語り始めた。
物語は「ある夕方、男はパーティーに行き、ウイスキーを一気に飲み干すと、早々に帰ることにした。その夜、パーティーに出席してウイスキーを飲んだ客は全員、毒が原因で死んでしまったが、彼だけは生き延びていた。なぜ彼だけが死ななかったのだろう?」という内容だった。
「男」という単語から「毒」「しかけた」を選択し、「男が毒をしかけた?」と質問文を作ると、出題者は「いいえ」と答えた。さらに、「男が無事だったのは耐性があったから?」と聞いても、やはり違うという。しかし、「ウイスキーに毒が入っていた?」という問いには、出題者は「はい」「それは間違いないようです」と回答しているため、男が飲んだウイスキーにも毒は入っていたようである。
次に「ウイスキーの飲み方が関係している?」と聞くと、「素晴らしい質問です」と表示され、出題者も「はい」「ウイスキーを飲んだ客は全員共通した飲み方をしていました」とヒントを出した。このヒントからさらに質問を作り、「客の共通した飲み方とはロックだった?」と尋ねると正解らしく、出題者から、グラスには氷とウイスキーと毒が入っていたことを教えてもらえる。
これらの情報をまとめて解答に進むと、出題者から4問出題される。
「男が生き延びる原因となった行動は?」への解答は「早く帰る」。
「時間によるウイスキーの変化で、もっとも毒殺に関係があるものは?」は「温度」。
「毒は時間の経過によってどうなった?」は「広がった」。
「犯人が殺したかった人物のウイスキーの飲み方は?」は「ロック」。
以上の回答をすると、出題者は「正しいようです」と物語の顛末を話す。
「毒が仕込まれていたのは、ウイスキーに入っていた氷の中だった。男が飲んだ時点では、まだ氷が溶けきっていなかったため、奇跡的に命が助かったのだ。パーティーはその後も盛り上がり、ほとんどの人が帰ることはなかった。盛り上がるほどに毒は染みわたり、多くの人の生命を奪う悲劇となった。それにしても、こんな残忍な事件を起こした犯人は誰だったのだろう?」
この事件について、出題者は「氷の中心に毒を仕込んでおけば、その効力が出るまでに時間がかかります。これは、犯行の発覚を遅らせるというトリックになるのです」と犯人の手口を解説した。いったい誰が、なぜそんなことをしたのかという新たな謎を残して、この物語は終わる。
高価な本
「新刊書店で売られている本には版元が決めた定価があります。古書店では、その本の人気や状態によって、値段が変動します。古書はいわば中古の本ですから、安くなることが多いようですが、珍しい本になると、とんでもない値段がつくこともあります」という出題者の小話を挟んで、物語は始まる。
「ある男が4万ドルもの価値がある本を持っていた。しかし、男はその本を自らの手でズタズタに引き裂いて、ゴミとして捨ててしまった。いったいなぜ?」という、不思議なストーリーだった。
「男」という単語から「行為」「賢い」を繋ぐと、出題者は「はい」「男にとっては名案でした」と話した。さらに、「賢い」を「賭け」変えて「男の行為は賭けだった?」と尋ねると、どうやら、その行為によって男自身が大損する可能性もあったという。
さらに、「本は世界中に一冊しかなかった?」と文章を作ると、「その本は、世界中に2冊ありました」と出題者はヒントを出す。ヒントにある「2冊の本」を使って、「2冊の本のうち、1冊だけを引き裂いた?」と聞く。すると、出題者は「はい」と答えてから「そして残った1冊の本の価値は、高まる可能性がありました!」と言った。次いで、「男が引き裂いた本は偽物だった?」という質問には、「いいえ」と返ってくる。
ここから推理して、4問に解答する。
「男が破り捨てる前まで、高価な本はいくらの価値があった?」には「4万ドル」。
「男がもっとも好きなものは?」は「金」。
「男はなぜ本を破ってしまった?」は「価値を高めるため」。
「本を破り捨てた後、残った高価な本は何冊?」は「1冊」。
これらの答えを、出題者は「正しいようです」と認めた。
「実は、男はその本を2冊持っていた。そのうち1冊をバラバラにして捨ててしまうことで、本の価値をさらに高めようとしたのだ。男の行為によって、本は世界に1つしかない貴重な本となった。とはいえ、8万ドルを超える値がつくかどうか定かではない…」
以上が、男の動機だった。
出題者は「世界に1冊しかない本…それを持つことに意義を見出したということなのでしょうが…本好きの方には、考えられない野蛮な行為ですね。この男が本を愛していないのは間違いありません」と語っていた。
最後のメッセージ
出題者は「推理小説好きにはピンとくる言葉です。発見された死者が死の間際に残したメッセージ。主人公がその謎を説いていく物語は興味深いものです」とダイイング・メッセージについて話し始める。そして、それに関連した話の上映を始める。
「男が銃で撃たれて死んでいた。彼は、書斎の机に突っ伏しており、手には銃、机の上にはテープレコーダーがあった。刑事が再生ボタンを押すと『私はもう生きていけない。生きる理由もない』というメッセージが聞こえ、銃声が鳴り響いた。刑事はこれを聞いて、彼は殺されたのだと確信した。なぜ?」
「刑事」と「他殺」「テープ」「銃声」を合わせて、「刑事が他殺だと気づいたのは、テープの銃声を聞いたとき?」という質問を作る。アンナが「素晴らしい質問です!」と飛び上がると、出題者も肯定して「銃声を聞いた瞬間に、刑事はある矛盾に気がつきました」と言う。その「矛盾」という言葉を使って、「その矛盾とはテープが巻き戻っていたこと?」と尋ねると、出題者は「はい。銃で男が死んだのに、テープが巻き戻っていたと言うことは…」と含みを持たせた。
さらに、「男」と「メッセージ」「本心」から「男はメッセージを本心から言っていた?」と聞くと、「いいえ。自殺を示唆する内容は、すべて犯人に言わされたものでした」という事実を聞かされる。
これらの内容から解答に進む。
「男を死に追いやった凶器は?」には「銃」。
「男が死んだ場所は?」は「書斎」。
「犯人が男を殺してから、行ったのは?」は「録音巻き戻し」。
「刑事が他殺だと確信したのは、何がおかしいと気づいたから?」は「再生の位置」。
正解すると、出題者は犯行内容を語る。
「刑事が再生ボタンを押した時、いきなり男の声から始まった。そして、1発の銃声と共にテープは終わっていた。銃声と同時に男が絶命したなら、なぜ、男の声から再生が始まったのだろう?実は、現場には男の他にテープを巻き戻した人物がいた。刑事はとっさにそのことに気がつき、今回の事件がテープを巻き戻した人物による他殺であると確信したのであった」
これが物語の真相だった。恐ろしい事実に、「犯人は自殺に見せかけて、被害者を殺害したということでしょうか。とある推理小説で、他殺に見せかけた自殺、に見せかけた他殺という…ややこしい事件があったとか。小説中の探偵はもちろんですが、読者も混乱させられますね。ちょっと趣向を凝らしすぎかもしれません」と出題者も困り気味だった。
この他、盗んだ札束を燃やした「札束を焼く強盗」や、少女が空の瓶の空気を抜き、街の空気でいっぱいにした「からっぽのびん」など、数々の謎が用意されている。
地下室の扉
出題者は「けっして開けてはいけない。けっして見てはいけない」と切り出した。「あなたも、そういう昔話を聞いたことがあるでしょう。浦島太郎の玉手箱。鶴の恩返しのはたおりの部屋。人は『してはいけない』と言われると、かえって、それをやってみたくなるようです」と言葉を続け、上映したのはまさしく前置き通りの内容だった。
「『地下室の扉を開けてはいけない。開けたら、見てはいけないものを目にすることになる』少女は両親から、そう注意されていた。しかしある日、両親が出かけている間に少女は地下室の扉を開けてしまった。少女が見てはいけなかったものとは、いったいなんだったのだろう?」
「扉」に「向こう」「驚く」「光景」を繋げて、「扉の向こうには驚くべき光景が広がっていた?」と質問文を作ると、アンナが「すばらしい質問です!」と飛び跳ね、出題者は「いいえ」と否定。そして「少女が見たものに、驚くべきものはひとつもありませんでした」とヒントを出した。これにより、シークレットワードの「少女が見た物」が解錠される。続いて、「少女が見たもの」を「リビング」と繋げると、出題者は「はい。そこにはなんの変哲もないリビングが広がっていました」と答えた。新たに、「広いリビング」というシークレットワードが解錠する。「広いリビング」に「窓」という単語を合わせ、質問者は再び「はい」と頷き「そこにはなんの変哲もない普通の窓がありました」と話した。そして、この謎の最後のシークレットワード「普通の窓」が選択できるようになる。最後に「普通の窓」と「緑の庭」で「普通の窓からは緑の庭が見えた?」と尋ねると、「はい。少女は生まれて初めて大地を目にしました」と出題者は言った。
ここから解答に進んでいく。
「地下室の存在を知っていたのは、少女の他に誰がいた?」には「両親」。
「少女があったことがある人は?」も「両親」。
「その地下室の内部にあったのは?」は「少女」。
「少女が扉の向こうで、最初に目にしたのは?」は「リビング」。
「少女が見てはいけなかったものとは?」は「外の世界」。
これらの解答内容に、出題者は「正しいようです」と述べる。そして、この謎の真実を語った。
「少女は両親の過剰な愛を一身に受け、地下室という限定された世界で、大切に育てられていたのだ。少女は優しい両親に幸せを感じていたが、それは、明らかに犯罪行為であった。扉の向こうで少女が見たものは、フローリングのリビング、清潔なキッチン、窓からのぞく庭、そして、澄みわたる青い空。どれもありふれた家庭の一風景だが、少女にとっては、生まれて初めて目にした『外の世界』だった。両親の意に反して『外の世界』を知ってしまった少女。この先、どのような人生を歩んでいくのだろう」という衝撃の物語。
これには、出題者も「大切だから、厳重に隠しておく。そんなことが人間に対して許されるはずがありません。それは愛情とは全く違います。人は物ではないのです」と怒りを滲ませた。
『スローンとマクヘールの謎の物語』のゲームシステム
物語の始まり
物語の前後には必ず出題者の小話が入る。そして、「3、2、1」のカウントの後、物語が始まる。
ニンテンドーDS画面上は、上の画面にイラスト、下の画面に物語の文章が表示される。出題者が物語を読み終わると、推理パートへ進む。
出題者が物語を読んでいる最中に画面をタッチすると、早送りできる。
推理パートでの基本操作
物語に出てくる単語のいくつかには、波紋のようなエフェクトがある。それをタッチペンなどで選択すると、その単語を中心に関連のあるワードが表示される。さらに、関連のあるワードを選んでいくと、単語同士が線で繋がれて文章が完成。「しつもんする」の項目が出てくるため、タッチすれば出題者が「はい」「いいえ」「関係ありません」の3択で返事をして、鋭い質問に対してはヒントも教えてくれるのだ。
質問に制限はない。どのくらい質問したかは、物語の文章がある画面左上に「しつもん○こめ」の表示があるので、そこで確認できる。
シークレットワード
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目次 - Contents
- 『スローンとマクヘールの謎の物語』の概要
- 『スローンとマクヘールの謎の物語』のあらすじ・ストーリー
- ウミガメのスープ
- 死のパーティー
- 高価な本
- 最後のメッセージ
- 地下室の扉
- 『スローンとマクヘールの謎の物語』のゲームシステム
- 物語の始まり
- 推理パートでの基本操作
- シークレットワード
- 解答パート
- サブゲーム
- 『スローンとマクヘールの謎の物語』の登場人物・キャラクター
- 劇場関係者
- 出題者
- アンナ
- 謎の物語のキャラクター
- 『スローンとマクヘールの謎の物語』の用語
- 劇場
- 幕
- 想像の木
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