リョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『リョウ』とは上田倫子による少女漫画。1995年から1999年まで集英社『マーガレット』で連載された。
史実に基づいた内容で“源義経”が女性であることを仮想し、複雑な源平合戦を分かりやすく少女漫画視点で描かれた本作品。
主人公が平氏と源氏の渦に巻き込まれながらも弁慶との愛を貫き、逞しく生きていく歴史漫画でもある。
遠山りょうは修学旅行先で訪れた京都で”弁慶”と名乗る謎の男との出会いにより、自身がかつて平安時代に活躍した偉人”源義経”であることを知らされる。

『リョウ』の概要

『リョウ』とは1995年から1999年に集英社『マーガレット』にて連載された少女漫画。
本作の作者である上田倫子は、1986年に集英社『マーガレット』より『花の日にあいたい』でデビュー後、同誌を中心として学園モノや戦国時代など多様な時代設定の作品を描いている。

源義経(みなもとのよしつね)が女性であることを仮想し、家臣である弁慶(べんけい)との恋愛模様を描いた本作品は史実の大元は壊さず、複雑な源平合戦を分かりやすく少女漫画視点で描いており、歴史漫画としても評価されている。

主人公”遠山りょう”(とおやまりょう)は現代っ子で普通の女子高生。
ある日、修学旅行先で訪れた京都で謎の僧侶に突然襲われる。
自身を“弁慶”と名乗る謎の僧侶は、りょうのことを”源義経”と呼び「りょうを倒すために平安時代からやってきた」と告げる。
弁慶との出会いで自分が源義経であることを知ったりょうは、突如現れた謎の狼に誘われるように平安時代へタイムスリップし、平氏と源氏の戦いに巻き込まれていく。

『リョウ』のあらすじ・ストーリー

運命の出会い

右コマ、リョウ(左)とリョウの家来になった弁慶(右)

遠山リョウ(とおやまりょう)は修学旅行中の観光で有名な「牛若丸と弁慶」の舞台である五条大橋を訪れていた。

途中、僧侶を見つけ写真を撮ろうとした瞬間、その僧侶から突然襲われる。
その後、僧侶は名を「弁慶」(べんけい)と名乗り、祖父遠山源一郎(とおやまげんいちろう)が営んでいる剣道道場に入り、リョウに勝負を申し込み、負けた弁慶はリョウの家来になる。

ある日、リョウは7歳の時に既に亡くなっているという事を知らされる。
源一郎に事情を聞くと、リョウは3年前、樹海で倒れていた牛若丸(うしわかまる)本人であると告げられ、元の時代に戻るかこのままリョウとして現世に留まり暮らしていくかの選択を迫られる。

現世に留まることを決めたリョウだったが平安時代へ戻ることを決め、弁慶の昔の恋人虎子(とらこ)と幼馴染の平賀葵(ひらがあおい)も連れて突然現れた狼に導かれるように樹海にある深い谷へ飛び降りる。

六波羅~奥州平泉編

母との再会

谷へ飛び降りたリョウは、鬼一法眼(きいちほうげん)と名乗る男に助けられ、弁慶と合流する。

リョウが何故自分は男として育てられたのか尋ねると、鬼一法眼はリョウの実母、常盤御前(ときわごぜん)に聞かないと分からないと答える。

ひとまず母に会いに行こうとすると、牛車に轢かれそうになり平維盛(たいらのこれもり)と出会う。

常盤御前と再会したリョウはこれまでのいきさつを説明すると、常盤は辛そうにリョウを男として育てさせた事情を話し、都を離れて二度と戻らぬようにと言われる。

館を出たリョウたちは、葵と合流する。
葵は樹海の谷に飛び込んだ後、商人の吉次(きちじ)という男に拾われていた。

吉次に事情を話すと、自身の出身国は安全だからと奥州平泉へ行くことを勧める。

木曾の義仲

平泉へ向かう途中の木曾へ入ると、そこに虎子がいた。
そこへ義仲(よしなか)が現れ、屋敷で1泊させてもらうことになった。

翌日、リョウたちが出立しようとすると義仲が虎子を行かせたくないと縋りつき、虎子は落馬し全治3ヵ月の怪我を負い、虎子はこのまま木曾に残ることとなる。

平泉到着

平泉に辿りつくと、藤原秀衡(ふじわらひでひら)がリョウたちを優しく迎え入れてくれる。

その夜の宴の席に、平泉で評判の笛の名手である「桜梅」(おうばい)を呼んだと言う。
桜梅の正体は維盛で、リョウは「好きだ」と告白され、熱烈なアプローチを受ける。

ある時、屋敷内で牛若丸は女なのではないかと噂が流れる。
リョウは男であることを認識してもらうため、秀衡の勧めもあり成人の男になる儀式である「元服」を行うことを決め、名を牛若丸から「源九郎義経(みなもとのくろうよしつね)」に改める。

元服後、秀衡に正室を取るよう言われたリョウは追い詰められてしまい、とうとう女であることを自白してしまう。

リョウと義経

ある日、リョウと泰衡が一緒に日向ぼっこをしていると、泰衡の正室の弥生(やよい)がやってきて、リョウに激しく嫉妬する。

泰衡は弥生のご機嫌を取ろうと近々開かれる曲水の宴で着る着物を見繕い、リョウにも一着見繕ってほしいと下女に頼む。

曲水の宴当日、泰衡に貰った着物を着て参加したリョウを見た弥生は、嫉妬からリョウに切りかかろうとすると秀衡から斬り殺されてしまう。

曲水の宴は中止となり、リョウはショックからずっと抑圧されていた義経が現れ、肉体を乗っ取られてしまう。

ある日、白拍子の一行が平泉を訪れ、その日の宴で静(しずか)が舞を披露する。
義経は静にアプローチを仕掛け、無理矢理祝言まで持っていこうとするも静の協力のもと、リョウは義経と話し合い、共に生きていくこととなる。

それと同時に弁慶は平泉を去り、都で盗賊の仲間となる。

六波羅~熊野編

弁慶を探して

弁慶を探しに都へついたリョウは笠を被り静たちに紛れて歩いていると巡回中の維盛に遭遇してしまい、正体がバレそうになるもアジトの窓から様子を見ていた弁慶がリョウを助け、維盛の気をリョウから逸らす。

その後、弁慶は静の元へ向かうもリョウは行き違いになってしまう。
弁慶が去った後、リョウの前に盗賊の女棟梁三十(さと)が現れ、リョウを山奥の小屋へ拉致し、弁慶に二度と近づくなと言われる。

すると外で維盛の軍勢が小屋を取り囲んで火をつけたため、事態を察した三十と盗賊仲間はリョウを置いて逃げてしまう。

山小屋は凄い勢いで火が回り、リョウがもうダメかと思ったその時、弁慶がリョウを抱えあげ、正面からドアを破ってそのまま自身の姉の家へと向かう。

弁慶の故郷へ

ある日、リョウの元へ平民の男に変装した維盛がやってきて、自分と結婚しないと平泉を攻めることになると言い始める。

維盛が現れた事を聞いた弁慶の姉はリョウを連れて熊野へ行くように弁慶を説得し、二人は熊野へ向かう。

熊野に到着すると、弁慶はリョウに滞在中は妻のフリをしてほしいとお願いする。
ある日、リョウの前にウタの母が現れ、ウタの事について聞く。

話を聞いたリョウはウタの分まで弁慶を愛したいとウタの母を安心させ、遂に二人は両想いとなる。

父湛増(たんぞう)によって引き離されそうになるも、二人は決して諦めず湛増の心を動かし、関係を認めてもらえ、奥州へ行く用の船まで手配してくれる。

しかし村では維盛がリョウを取り戻すべく熊野大社へ向けて進軍していた。
そこで弁慶は、維盛に一騎打ちを申し込むも、平宗盛(たいらのむねもり)が家来に矢を放つよう号令をかけ弁慶は崖へ転落してしまう。

熊野脱出に失敗したリョウは大社に避難していると湛増から弁慶が死んだと聞かされ、都へ連行されてしまう。

弁慶の亡霊とリョウの復讐

維盛との祝言が近づくにつれ、屋敷では弁慶の亡霊が出たと騒ぎになっている。

祝言当日の夜、維盛とリョウの婚礼の宴の最中に弁慶の亡霊が現れ、大騒ぎになる。
亡霊は維盛を斬りつけ、リョウを馬に乗せどこかへと去っていく。

亡霊の正体は海尊で、リョウに家来にしてほしいとお願いすると、頼朝の力を借りて平氏を滅ぼすため伊豆へ行こうと提案する。

そしてリョウは伊豆へ行き、兄源頼朝(みなもとのよりとも)と対面する。

伊豆編

生きていた弁慶

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