リョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『リョウ』とは上田倫子による少女漫画。1995年から1999年まで集英社『マーガレット』で連載された。
史実に基づいた内容で“源義経”が女性であることを仮想し、複雑な源平合戦を分かりやすく少女漫画視点で描かれた本作品。
主人公が平氏と源氏の渦に巻き込まれながらも弁慶との愛を貫き、逞しく生きていく歴史漫画でもある。
遠山りょうは修学旅行先で訪れた京都で”弁慶”と名乗る謎の男との出会いにより、自身がかつて平安時代に活躍した偉人”源義経”であることを知らされる。
頼朝はよく来たなと優しくリョウと海尊を歓迎する。
そこへ、葵も平泉からやってきてリョウに現世の五条大橋で撮影したリョウと弁慶の2ショット写真を渡す。
翌朝、リョウと葵は頼朝に連れられ狩りへ出かけると幼い女の子タマと出会う。
そこへタマの父として弁慶が現れる。
弁慶は崖から落ちた衝撃で記憶を失くしており、別人として暮らしていた。
その後、弁慶の住む村を調べ、出陣までに弁慶の記憶を取り戻そうと行動に出る。
あと2日で出陣という日の夜、弁慶は、リョウの家来になって本当の自分を取り戻したいと言い、リョウにキスをする。
弁慶にキスをされたリョウは、辛くなりその場を走り去るもそこで葵に貰った現世の写真を落としてしまう。
写真を見た弁慶は今までの記憶が一気に戻り、リョウのもとへ帰ってくる。
常盤の仇討ち
ある日、頼朝から呼び出されたリョウは常盤が殺された事を告げられる。
義仲が近々平氏と戦をすることを聞いたリョウは屋敷を抜け出して木曾へ行き、義仲に戦の仲間に入れてほしいとお願いする。
進軍中、先回りした平氏と遭遇し、リョウは深手を負ってしまう。
維盛の最期
リョウは、戦で負った傷の手当のため維盛によって洞窟に匿われていた。
雪も解け始めたころ、リョウは順調に回復するも維盛の持病が悪化し、今度は維盛が寝込んでしまう。
そこへ、リョウを探していた弁慶がやってくる。
維盛を平氏のもとへ返すまでは鎌倉へは戻らないと言うリョウに弁慶が維盛を平氏のもとへ送り届けると約束する。
リョウはそれを承諾し、維盛に別れを告げ鎌倉へと戻る。
平氏のもとへと向かう道中、維盛は最後に大好きな吉野の桜に会いたいと言い出し、リョウを頼むと弁慶に伝えると、その短い生涯に幕を閉じる。
義仲の最期
半年ぶりに鎌倉へ戻ったリョウは頼朝の妻政子(まさこ)から反省するようにと蔵へ閉じ込められる。
翌日、リョウのもとへ弁慶が戻り、維盛が亡くなった事を聞かされる。
その頃、頼朝のもとに義仲討伐の院宣が届き、頼朝はその役目をリョウに背負わせる。
そこへ、虎子が息子を連れて家出してきたと鎌倉へやって来る。
リョウは虎子に一緒に都へ行って義仲を木曾へ帰るよう説得して欲しいとお願いし、弁慶たちを連れて都へ向かう。
義仲は話し合いに応じると言って山奥の古寺に来るよう指示を出す。
その夜、リョウたちが山奥の古寺へ向かうも、義仲は何者かに殺されていた。
その夜、リョウたちが山奥の古寺へ向かうも、義仲は何者かに殺されていた。
源氏と平氏の和平
数日後、千寿(せんじゅ)という女性と平知盛(たいらのとももり)がリョウを訪ねて都へやって来て、源氏と平氏の和平を申し出にきたと言い出す。
その後、知盛はリョウを丸めこんでいき頼朝に和平を申し出、鎌倉へ幽閉される。
そこで、知盛は小屋に小さな抜け穴を作り、千寿を使って鎌倉の屋敷に放火する。
頼朝は平氏との戦をするため一の谷へ向かい、政子とリョウは鎌倉の屋敷再建を進める。
ある夜、千寿は知盛の指示に従って井戸に毒を流し、政子を含めた大量の死傷者を出す。
全ての黒幕が知盛と分かったリョウだったが、知盛に催眠術をかけられてしまい支配下に置かれ、無理矢理人を集めて鎌倉の屋敷再建を急がせる。
弁慶の復活と政子の死
このままではリョウが危ないと危惧した葵はリョウを説得するも聞く耳をもたず、そこへ知盛もやってきて葵は殺されそうになり、屋敷を脱出する。
道中、千寿と弁慶と合流したため、リョウを助けるため再び屋敷へ戻ってリョウの術を解き、知盛を倒す。
そして知盛を慕っていた千寿も知盛の側で絶命する。
その後、政子も愛する頼朝の腕の中で亡くなってしまう。
頼朝は最愛の妻を突然亡くしたショックと悲しみで何も手につかない状態となり、リョウは頼朝に代わり一の谷へ行くことを決意する。
いざ、一の谷へ
進軍中、都へ到着したリョウのもとへ静が訪ねてくると、3日後、一の谷へ平氏の宴に呼ばれていることを話し始める。
そこでリョウは戦を有利に進めるため、弁慶に置手紙を残して白拍子一向に混じって平氏の宴に参加するため、一足先に一の谷へ向かう。
弁慶たちはリョウの置手紙に書いていた通り、鵯越(ひよどりごえ)へ向かって馬を走らせ、そのまま崖を降りて平氏を急襲する。
翌朝、戦いは源氏の勝利で幕を閉じた。
悲願の平氏討伐を成し遂げた弁慶は、リョウに駆け寄り抱きしめる。
鎌倉へ戻って来たリョウたちは頼朝の変わり果てた姿に驚愕する。
リョウは弁慶との結婚を延期し、虎子や頼朝の娘大姫(おおひめ)と協力して頼朝の元気を取り戻していく。
変わっていく心
頼朝はすっかり元に戻り、鎌倉を訪れた法皇に今後も源氏の棟梁として全力で朝廷を守っていくと宣言する。
その後、法皇はリョウのもとへ行き今後の頼朝には気を付けるようにと注意をし鎌倉を後にする。
それからしばらく経った頃、頼朝はリョウに固執し始める。
弁慶は頼朝の行動と言動に違和感を感じ始め、焦りからリョウと結婚して熊野で暮らすことを許してほしいとお願いする。
しかし頼朝のリョウに対する執着は日増しに酷くなっていき、頼朝のリョウに対する思いを察した弁慶はリョウに熊野行きを急がせ、次の日の早朝、頼朝に今から熊野へ向けここを発つと報告する。
熊野行きに難色を示す頼朝を説得したリョウは、先に近くの神社で待っていると伝えた家来の言葉を信じて屋敷を去る。
頼朝は弁慶を始末するよう事前に家来に命令しており、弁慶を亡き者にしてリョウを側に置こうとしていた。
頼朝の奇行
神社へ到着したリョウたちだったが、弁慶の姿はどこにもない。
リョウは一睡もせず、弁慶を探していた過労から倒れてしまう。
目を覚ましたリョウは、頼朝から弁慶が裏切ったという嘘の情報を聞かされるが、リョウは弁慶が裏切るはずがないと言い切る。
頼朝は、こんなにお前の事を愛しているのにそれでも弁慶の方が良いのかとリョウの頭を抑えキスしたまま押し倒す。
しかし、リョウは頼朝の腰に差さっていた小刀を抜き取って頼朝の手を刺し、そのまま屋敷を飛び出して森へ逃げ込む。
もうダメだと絶望し、気を失ったリョウを頼朝の家来が見つけ、山小屋に匿ってくれる。
そこへ弁慶と海尊も合流し、家来の勧めで平泉へ向かう。
ずっと一緒に
リョウたちが平泉へ到着すると秀衡たちが喜んでリョウたちを迎えてくれる。
そこでリョウと弁慶は秀衡の立会いの下、結婚式を挙げる。
幸せな日々も束の間、平泉は頼朝の軍勢の夜襲に合う。
頼朝は自分の言うことを聞かないリョウに怒り、正面突破の号令をかける。
この戦で、葵を始め多くの死傷者が出る。
弁慶はリョウを抱え上げ馬に乗り込み、できるだけ遠くへと進んでいく。
途中、近くの山小屋で休息を取るも、リョウは覚悟を決め、頼朝に一騎打ちの勝負を申し込む。
勝負はリョウが勝ち、頼朝の心から自分を消すと約束してほしいとお願いするも頼朝は諦めず、去っていくリョウたちに矢を放つよう号令をかける。
弁慶の身体にはかなりの数の矢が刺さっていたが、決して生きることを諦めないとリョウの手を握るも、突然弁慶の手が離れ、弁慶の身体が地面に落ちる。
地面に落ちた弁慶はもう死んでいた。
海尊は嫌がるリョウを無理矢理抱え上げ馬に乗り、弁慶の亡骸を置いて遠くへと逃げる。
数年後、リョウと海尊は人里離れた村で夫婦のフリをして暮らしていた。
そこには弁慶とリョウの子供、葵もいる。
すると近所のおばあさんが隣村にリョウを探す兵が入ったと知らせにやってくる。
すぐに村を出ようと準備を始めるリョウだったが、葵が外へと出ていき、狼と戯れ始める。
その狼は、現世で出会った狼で葵を咥えてそのまま崖へ飛び降りたため、リョウと海尊も狼の後に続いて崖へと飛び降りる。
紡がれていく愛
崖から飛び降りた先は現世だった。
とある売店で葵の情報を調べ、盛岡へ向かう。
実家へ到着したリョウの前に突然、道着を着た女の子が走ってくる。
この女の子こそが、7歳の時に事故で亡くなった本物のリョウで今いる時代は本物のリョウが事故で亡くなった頃の時代だった。
しかし、リョウが代わりに車に轢かれた事によって歴史が変わる。
リョウは酷い傷を負い、海尊に消え入りそうな声で弁慶の所に行きたいとお願いする。
海尊はリョウを背中に担いで涙を流しながら弁慶の所へとリョウを連れて行く。
波乱に満ちたリョウ基、源義経の生涯はここで幕を閉じる。
それから10年後、7歳だったリョウは女子高生となっており修学旅行で五条大橋へとやってきていた。
あんみつを食べに行こうと葵を誘うも、葵は橋の上で写真を眺めていた。
その写真はあの頃の弁慶とリョウの2ショット写真で、これが自分の本当の両親だとリョウに説明し自分は養子であることを打ち明け、仲良く走り出す。
走っていく途中、僧侶の格好をした海尊とすれ違う。
海尊は二人の仲睦まじい姿を見ると安心したのか、微笑みながら何処かへと歩いて行く。
『リョウ』の登場人物・キャラクター
源氏
遠山りょう/源義経(とおやまりょう/みなもとのよしつね)
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目次 - Contents
- 『リョウ』の概要
- 『リョウ』のあらすじ・ストーリー
- 運命の出会い
- 六波羅~奥州平泉編
- 母との再会
- 木曾の義仲
- 平泉到着
- リョウと義経
- 六波羅~熊野編
- 弁慶を探して
- 弁慶の故郷へ
- 弁慶の亡霊とリョウの復讐
- 伊豆編
- 生きていた弁慶
- 常盤の仇討ち
- 維盛の最期
- 義仲の最期
- 源氏と平氏の和平
- 弁慶の復活と政子の死
- いざ、一の谷へ
- 変わっていく心
- 頼朝の奇行
- ずっと一緒に
- 紡がれていく愛
- 『リョウ』の登場人物・キャラクター
- 源氏
- 遠山りょう/源義経(とおやまりょう/みなもとのよしつね)
- 武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)
- 平賀葵(ひらがあおい)
- 常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)
- 源頼朝(みなもとのよりとも)
- 虎子(とらこ)
- 木曾の義仲(きそのよしなか)
- 北条政子(ほうじょうまさこ)
- 平家
- 平清盛(たいらのきよもり)
- 平維盛(たいらのこれもり)
- 平宗盛(たいらのむねもり)
- 平知盛(たいらのとももり)
- 平泉の人々
- 藤原秀衡(ふじわらのひでひら)
- 藤原泰衡(ふじわらのやすひら)
- 吉次(きちじ)
- 弥生(やよい)
- 熊野の人々
- 湛増(たんぞう)
- ウタの母
- ウタ
- その他
- 遠山源一郎(とおやまげんいちろう)
- 鬼一法眼(きいちほうげん)
- 常盤御前(ときわごぜん)
- 静御前(しずかごぜん)
- 三十(さと)
- 弁慶の姉
- 法皇(ほうおう)
- タマ
- 千寿(せんじゅ)
- リョウ(本物)
- 葵(あおい)
- 『リョウ』の用語
- 六波羅(ろくはら)
- 院宣(いんぜん)
- 曲水の宴(ぎょくすいのえん)
- 『リョウ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 武蔵坊弁慶「この弁慶、命をかけてリョウ殿をお守りします」
- 武蔵坊弁慶「私もりょう殿がこの世で一番愛しいお人でございます」
- リョウ「この想いを守り貫くためなら、私は戦う」
- 『リョウ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- リョウの幼馴染の葵とリョウと弁慶の子供の葵は別人
- 維盛の病気はお酒の飲みすぎが原因
- タマの本当の父親は母親の前の夫の漁太