IRIS-アイリス-(韓国ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『IRIS-アイリス-』とは、2009年10月から12月にかけて韓国のKBSにて放送された、イ・ビョンホン主演のスパイアクションドラマである。
国家を守るために任務を遂行し、国家に見捨てられた主人公。復讐を誓うも、アイリスという秘密結社が裏で糸を引いていることが次第に明らかになり、復讐の対象はアイリスへと変わっていく。アイリスを始めとする、各組織の陰謀が渦巻くストーリーに目が離せない。

『IRIS-アイリス-』の概要

『IRIS-アイリス-』とは、2009年10月から12月にかけて韓国のKBSにて放送された、イ・ビョンホン主演のスパイアクションドラマである。1話70分、全20話。総製作費は200億ウォン(約15億円)。復讐、恋愛、友情、陰謀などさまざまなテーマをふんだんに盛り込んだ本作は、韓国での最高瞬間視聴率50.2%を記録し大ブームとなった。日本でも2010年4月から9月にかけてTBS系列にて夜9時から放送され、一世を風靡した。なお、日本でゴールデンタイムに放送された韓国ドラマは本作がはじめてである。
朝鮮半島の南北統一問題や裏で糸を引く秘密結社の存在など、リアリティ溢れる世界観が多くの視聴者を惹きつけた。また各キャラクターの作り込みも素晴らしく、立場が違うひとりひとりに感情移入できる。善悪二元論的でない見せ方も本作の魅力のひとつである。
朝鮮半島統一を悲願とする韓国政府により、統一反対派の北朝鮮最高人民委員長の暗殺を命じられたNSS(国家安全局)要員の主人公、キム・ヒョンジュン。彼は任務に成功するも、なぜか突然国家とNSSに裏切られる。祖国と上司であるペク・サンへの復讐を誓うも、次第にすべての黒幕である「アイリス」という秘密結社の存在に気付く。そこから運命の歯車は狂い出す。さまざまな組織の陰謀に巻き込まれながら、「アイリス」の謎を解き明かしていくストーリーである。

『IRIS-アイリス-』のあらすじ・ストーリー

ホン・スンリョン事件編

国の為に暗躍してきたヒョンジュン(右)。

韓国軍特殊任務隊のエリートであるキム・ヒョンジュンは、同じ部隊の仲間で親友のチン・サウと共にNSS(国家安全局)にスカウトされ、NSS対テロ(テロ対策)チームに所属することになる。2人は同じチームの上司であるスンヒに恋心を寄せるが、ヒョンジュンの猛烈アタックの末ヒョンジュンとスンヒは恋人関係に。一方、サウは自分の思いを誰にも告げないまま2人の関係を見守ることとなる。
NSSでの初任務は、韓国大統領候補のチョ・ミョンホの護衛であった。ヒョンジュンはミョンホの命を狙う日本人テロリストを突き止め追跡する。テロリストは逃がしてしまったもののミョンホの命は無事であった。ヒョンジュンとサウはこの功績により大統領官邸に招かれる。青瓦台を訪れたヒョンジュンは初めて来たはずの場所に見覚えがあり、幼少期の記憶を辿る。ヒョンジュンは幼いころ両親を亡くし、7歳から聖堂で孤児として育った。両親についての記憶はほとんどなく、当時の詳細を知る神父に話を聞きに行くも、これと言って手掛かりは得られなかった。
任務が落ち着いたヒョンジュンはスンヒと日本の秋田へ旅行に出かけ、幸せなひと時を過ごすも、すぐに任務の要請があり程なくして帰国する。ヒョンジュン、サウ、スンヒの次の任務は、脱北した核兵器開発者ホン・スンリョンの警護であった。スンリョンの韓国への亡命は無事成功かと思われたその直後、殺し屋ビックが現れスンリョンを銃撃。スンリョンに駆け寄ったヒョンジュンに十字架のネックレスを託し、スンリョンは間もなく死亡する。

ハンガリー事件編

NSS副局長であるペク・サンから呼び出されたヒョンジュンは、極秘単独任務を命じられる。その内容は、ハンガリーのブダペストで首脳会談を行う北の最高人民委員長の暗殺であった。初めての暗殺の任務に戸惑いつつも、ヒョンジュンは任務を遂行する。しかし北の護衛部からの逃走中に負傷し、援護を要請するも上司ペク・サンはこれを却下。憤るヒョンジュンの前に現れたのはサウだった。
ヒョンジュンはサウが救出にきてくれたのだと安堵したが、目の前のサウは「すまない、命令だ」と言って、ヒョンジュンに銃口を向けていた。
緊迫する空気の中、北の護衛部が現れ銃撃戦になる。命からがら逃げだしたヒョンジュンはスンヒに会いに行き、2人はハンガリーからの逃亡を試みる。列車のチケットを買いに行ってスンヒの元へ戻ろうとするヒョンジュンだったが、スンヒが乗っていた車が何者かによって爆破される。突然の出来事にうろたえながらも、ヒョンジュンはひとり飛行場まで逃亡する。プライベートヘリを奪取してハンガリーを発とうとするが、そこにはまたもやヒョンジュンに銃口を向けるサウの姿が。サウの裏切りに悔しい思いを噛み締めながらも、ヒョンジュンはサウを横目に離陸する。サウはヒョンジュンが乗ったヘリを目掛けて銃撃し、ヘリごと墜落させてしまう。
一方、車の爆破前にサウによって救出されていたスンヒは生きていた。ヒョンジュンの訃報を信じられないスンヒは、NSSを休職して彼の居場所の手掛かりを探す。

秋田事件編

何者かに救出され意識を取り戻したヒョンジュンは、匿名の協力者の助言を得てハンガリーからロシアを経由し、日本の秋田へ上陸する。スンヒと秋田に訪れた際に宿泊した旅館に身を隠すことにしたヒョンジュンは、旅館の娘であるゆきにホン・スンリョンから託されたネックレスをプレゼントする。
北朝鮮最高人民委員長の護衛に失敗した護衛部のキム・ソンファは、上司であるパク・チョリョンにヒョンジュンの暗殺を命じられ単身秋田へ潜入。しかしヒョンジュンの方が一枚上手で、ソンファは雪山の小屋に拘束されてしまう。ヒョンジュンの暗殺命令も遂行できず帰る場所もないソンファは、ヒョンジュンに殺してくれと嘆願する。しかしヒョンジュンは自分とよく似た境遇のソンファを殺そうとはせず、2人は次第に協力関係に。ソンファはヒョンジュンに好意を持つも、しばらく留守にすると置手紙をして日本を発つ。
一方、日本の内閣調査室で拘束されていたヒョンジュンは釈放を条件にヤクザのボスを殺害する。逃亡中、ビックに誘拐されたゆきからの着信を受けたヒョンジュンは、ゆきの命と引き換えにアイリスリストが入ったUSBを要求される。USBに心当たりのないヒョンジュンは適当なUSBを受け渡しゆきを救出するも、ビックと銃撃戦になりゆきは被弾して死亡してしまう。

北朝鮮テロ組織編

朝鮮半島に戻ったヒョンジュンはソンファと再会し、ゆきにプレゼントしたネックレスにUSBが隠されていたことに気付く。USBの中身はアイリスの名簿であり、その中にはペク・サンの名前があった。
ヒョンジュンはペク・サンに復讐するため、北朝鮮のテロ組織のメンバーに入れてくれとパク・チョリョンに願い出る。当初は不信感を抱いたものの、チョリョンはヒョンジュンの有能さを認めテロ組織を韓国に派遣する。ほどなくして韓国に密入国したヒョンジュンら北テロ組織はNSSを襲撃。ヒョンジュンの目的はNSSの機密文書だった。ペク・サンの資料を見たヒョンジュンは、自分の両親が核開発に携わって殺されたことを知る。驚愕の事実に戸惑うヒョンジュン。そこへNSSへ復職し緊急事態に駆け付けたスンヒがやってくる。ヒョンジュンは自分に気付かないスンヒに撃たれ、気絶してしまう。倒れたヒョンジュンの覆面マスクを取ろうとするスンヒ。そんなスンヒを後ろから殴って気絶させたソンファはヒョンジュンを助け出し、北テロ組織はNSSを後にする。
両親の死の真相を知ったヒョンジュンは、再び聖堂へ向かうが神父は既に何者かによって殺されていた。しかし聖堂で見つけた古い写真を手掛かりに、両親と旧知の仲であったユ・ジョンフンを訪ねる。いままでヒョンジュンに匿名で助言してきたのはユ・ジョンフンだった。彼はその昔アイリスに暗殺されかけたものの一命を取り止めたが、以来寝たきりの状態になり今も身を隠しているという。そんなジョンフンはヒョンジュンに、すべてはアイリスの策略だと伝える。黒幕はアイリスのトップであるミスター・ブラックという男で、その正体を知っている者は数少ない。その黒幕の正体を暴くことが両親への弔いであり、ヒョンジュン自身の復讐になるのだ。そしてジョンフンはヒョンジュンに、とある貸金庫のIDと鍵を託す。
ヒョンジュンとソンファが去った後、ペク・サンとサウが姿を表わし、ジョンフンはペク・サンに射殺されてしまう。

光化門核テロ編

韓国主導の南北統一に向けて南北会議を開こうとする韓国大統領のミョンホに反対するチョリョンは、会議を中止させるため核爆弾の爆発をチラつかせる。しかし前北朝鮮最高人民委員長ユン・ソンチョルの死後、次期委員長になったヨン・ギフンは本当に南北戦争を起こそうとしていた。北朝鮮テロ組織の工作犯リーダーであるカン・ドチョルはウラン濃縮型の核爆弾に起爆装置を結合させ、核爆弾を完成させてしまう。かのテロ組織は元々チョリョンの指揮下にあったが、実はドチョルはギフンの手下でギフンの命令にだけ従っていたのだった。
NSSではサウとペク・サンの動向を不審に思う人物が増え、2人は逮捕されるが移送中に仲間によって救助され脱出。その後行方不明になる。
ユ・ジョンフンに託された貸金庫の中には車の鍵が入っており、その導きでヒョンジュンは大統領に会いに行く。北朝鮮でテロ組織メンバーとして動いていたヒョンジュンは、大統領ミョンホにテロ計画があることを伝え、それを自分に阻止させてほしいと願い出る。ヒョンジュンに幾度となく命を助けられたミョンホは、ヒョンジュンをNSSに復帰させた。これによりスンヒとヒョンジュンは再会する。
ヒョンジュンはテロを阻止しようと奔走するチョリョンを捕まえ、韓国で尋問する。そこでチョリョンはギフンに利用されていたこと、ギフンとペク・サンが内通していることなどをヒョンジュンに話す。北朝鮮のテロ計画はアイリスとの共同計画だったのである。チョリョンからの情報を得たミョンホは大統領命令を出しヨン・ギフンを逮捕するも、ビックが現れギフンを射殺してしまい真相はまたもや闇の中へ。
そんな中、韓国の観光バスに例の核爆弾が仕掛けられた。NSSは核爆弾の起爆スイッチは遠隔操作によるものだと突き止め、意図的に電波障害を起こして核爆発を阻止。妨害されたドチョルらテロ工作犯は手動で爆発させるべく観光バスに向かうが、NSSと銃撃戦になりテロ組織メンバーは全滅する。
一方、NSS対テロチーム要員のハッカーであるミジョンにハニートラップを仕掛け恋仲になっていたビックは、ミジョンにNSSのデータを盗ませる。その後すぐ用が済んだと言わんばかりにミジョンの首の骨を折って殺害した。
ソンファが入手したアイリスの書類にスンヒの名前があったが、ヒョンジュンは彼女がアイリスのメンバーだとは信じなかった。そんな中ビックの姿を見たヒョンジュンとソンファはビックを尾行し、彼の家までたどり着いてビックを射殺する。

立てこもりテロ編

そんな中、アイリスのトップであるブラック、ペク・サンと共に3人で話すスンヒ。ペク・サンは元来スンヒを気にかけていたが、その理由は、実はスンヒがNSS創始者の娘だったからである。スンヒの父は大統領暗殺関与で処刑され、親を亡くしたスンヒの父親代わりを務めてきたのがペク・サンであった。恩人であるペク・サンに、「アイリスのメンバーになれ」と言われたスンヒは、どうすべきか悩んでいた。
一方、なんとしてでも南北会議を阻止したいアイリスは、デパートの客を人質に取って立てこもり、サウ主導でのテロ計画を開始する。そこに交渉に現れたのはヒョンジュンだった。サウの説得を試みるヒョンジュンだったが、アイリスを開放せよと要求するサウ。ヒョンジュンはサウの条件を飲む代わりに人質の女性と子供を解放するよう求め、サウはこの要求を飲むことに。しかし周りのアイリスメンバーであるテロ工作員たちはサウのことをあまり信頼しておらず、サウがブラックに背いたとして銃撃戦になる。ヒョンジュンとサウは、ここで手を取り合いアイリスと戦うが、サウは被弾して死亡してしまう。人質が助けられ事態は収束したかと思われたが、実は銃撃戦で死んでいたのはほとんどが人質でアイリスのテロ犯たちはすでに逃走していた。

立てこもりテロ事件から3か月後、ヒョンジュンとスンヒはNSSを退職し、バカンスに来ていた。この日スンヒにプロポーズするつもりで指輪を買いに行ったヒョンジュン。しかし約束の場所へ車を走らせるヒョンジュンに1発の銃弾が撃ち込まれる。ハンドルに身を預けて頭から流血するヒョンジュンの瞳は、約束の灯台で彼を待つスンヒの方をじっと見つめていた。

『IRIS-アイリス-』の登場人物・キャラクター

NSS(国家安全局 National Security Service)

キム・ヒョンジュン (演:イ・ビョンホン、オ・ウンチャン)

吹替:藤原竜也、高垣彩陽(幼少期)
NSS対テロチームの要員。コードネームは「TK1」。特殊任務隊所属時はエリート隊員で、射撃が得意。親友のチン・サウと共にNSSにスカウトされ入社する。ハンガリーでの極秘単独任務中に負傷したため援護を要請するも、NSS副局長のペク・サンはこれを却下。自分の存在すらも消された事実に絶望するヒョンジュンは、自分を見捨てたNSSと韓国に復讐を誓う。北からも祖国からも追われ、逃亡生活を送るうち、次第に「アイリス」という組織が自分の人生に大きく絡んでいることを知り、その正体を追う。幼少期のヒョンジュンを、オ・ウンチャンが演じた。

チェ・スンヒ (演:キム・テヒ)

吹替:黒木メイサ
NSS対テロチームのプロファイラー。特殊任務隊員であったヒョンジュンとサウに、半ばハニートラップのような形で近づきプロファイリングする。2人の入社後、熱心にアタックしてくるヒョンジュンに次第に惹かれ、恋人同士に。アイリスを追うヒョンジュンを陰で支援する。父はNSS創始者であったが大統領暗殺関与の疑いをかけられ処刑された。父の死後、父親代わりとなって懸命に育ててくれたペク・サンに恩義を感じている。

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