ふたりソロキャンプ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ふたりソロキャンプ』とは、出端祐大により描かれているキャンプを題材にした漫画作品。2018年から講談社の『イブニング』にて第1部を連載。同社の『モーニング』にて、2024年から第2部が連載。孤独を愛する34歳独身のソロキャンパー樹乃倉厳と大学生の超初心者キャンパー草野雫が最悪な出会いをする。厳は不本意ながらも雫が一人前になるまでふたりでソロキャンプを行うことになる。登場人物の人間関係の深まりが魅力の作品。加えて、キャンプについての知識も高まり、読んだらキャンプに行きたくなる作品である。
『ふたりソロキャンプ』の概要
『ふたりソロキャンプ』とは、出端祐大により描かれているキャンプを題材にした漫画作品。2018年21号から2023年6号まで講談社の『イブニング』にて第1部の連載が始まった。同社の漫画アプリ、Web漫画配信サービスである『コミックDAYS』にて特別番外編が掲載された。その後同社の『モーニング』に移行して、2024年2・3合併号から第2部が連載。2021年4月には第45回講談社漫画賞の最終候補にノミネートされている。
孤高を愛する34歳独身ソロキャンパーの樹乃倉厳(きのくらげん)と大学生の超初心者キャンパー草野雫(くさのしずく)が最悪な出会いで始まり、ふたりでソロキャンプを行う。厳は不本意ながらも師匠として、ソロキャンプの知識や魅力を雫に伝えていく。その代わりに料理好きな雫は、お酒にも合う絶品キャンプ飯を厳にふるまう。そんな二人の関係性や二人の友人との人間関係の深まりが描かれている。また、キャンプ好きやキャンプを始めたい人にとっては、キャンプギアやキャンプ飯などのキャンプの知識・魅力を存分に学ぶことができる。読むとキャンプに行きたくなる作品である。
『ふたりソロキャンプ』のあらすじ・ストーリー
樹乃倉厳と草野雫の出会い
独り(ソロ)キャンプが趣味の34歳独身の樹乃倉厳(きのくらげん)はいつものように電車やバスを乗り継ぎソロキャンプを楽しんでいた。そこで、下着姿の草野雫(くさのしずく)と出会う。雫はキャンプ場へ行く道中、道に迷い、川に落ちて下半身がビチョビチョになる。キャンプ場の受付時間に間に合わず、予定していたキャンプ道具をレンタルできずに困っていた。そんな雫から、弱みに付けこまれキャンプを共にする流れとなる。厳はソロが好きで誰かとツルむのを好まない。厳は怪訝な顔をしつつも、強引に来る、超初心者の雫にキャンプの厳しさと魅力を伝える。料理好きな雫は、お礼に絶品キャンプ飯を披露。厳にソロキャンプについて指導されていると、満天の星空が目の前に現れる。雫はとても感動し、ソロキャンプの魅力を実感した。雫はソロキャンプへの不安から、厳にふたりでのソロキャンプを提案。厳は断るが、雫に弱みを握られ強引にふたりソロキャンプを行うこととなる。
厳と雫の初めてのふたりソロキャンプ
初めてのふたりソロキャンプでは、雫はテントを一人で張ることから学ぶ。なかなかテントが完成しない雫の目の前で、厳は大好きなお酒を堪能。厳は甘えてくる雫に対して、ソロキャンプの厳しさと楽しみ方を指導。「孤独(ソロ)を楽しめ」と厳に言われ、雫は一人でテントの設営を頑張る。日が落ちてようやく設営が完了し、とてもはしゃぐ雫。雫は少し厳しい中でも、ソロキャンプについて指導してくれる厳に感謝している。お礼に得意なキャンプ飯をふるまう。二人は共に酒好きであり、酒に合うキャンプ飯と酒を大量に楽しむ。おいしそうに食べてくれる厳の顔を見て、雫は喜ぶ。雫はちゃんと叱ってくれる厳とのふたりソロキャンプの継続を提案。しかし、厳は「こんなもんソロキャンプじゃねえよ」と断る。加えて「俺といてもつまんなかったろ?」とテントの場所を離し、寝ようとする卑屈な厳に対して、少し腹をたてる雫。夜が明け、朝食も食べ終わる二人。キャンプの終わり際に雫から、ふたりソロキャンプのルールと継続を提案される。雫は厳に対して、「厳さんとふたりソロキャンプをやりたいんです!!」と伝え、初めてのふたりソロキャンプは解散となる。
樹乃倉厳の無二の友達である滝川彰人の登場
ある時、雫は親友の火野瑞希(ひのみずき)と大空さや(おおぞらさや)から独りでするキャンプとは何か聞かれ戸惑う。後日、ふたりソロキャンプ中に厳に相談するも自分で考えるように言われる。雫は海辺を散歩しながら、自分なりに納得する答えを見出す。ソロキャンプの楽しみ方を発見しながら、今回はカレー料理と夕日を楽しむ。そんな二人の前に、急に厳の高校時代からの友人である、滝川彰人(たきがわあきと)が現れる。彰人は高校時代からの無二の友達である。彰人は一回も一緒にキャンプに行ってくれない厳が、雫とキャンプを行っていることに驚く。三人で話をし、雫が厳に気があることを察する。彰人と一度別れ、改めて厳は焚き火の魅力を雫に語る。そんな会話で盛り上がる厳と雫を遠くから彰人は見ていた。翌日、彰人は「いいヤツだからさ よろしく頼むよ」と雫に厳のことを託す。
厳の元カノである芹澤花夏の登場
芹澤花夏(せりざわかな)は厳と彰人の高校の同級生。厳と彰人が社会人になったある日、飲みに行った居酒屋の店員として登場。久しぶりに再会した三人はうまがあい、その後もたまに会うようになった。その中で、厳と花夏はいつしか付き合うようになる。しかし、色々あってわだかまりを残したまま二人は別れた。演劇の女優を目指して、花夏はニューヨークに飛び立った。
ある日、彰人が働いているお店に急に現れた花夏。ニューヨークでの仕事が順調な中、日本での演劇を誘われて一時帰国。元カレである厳のことを気にかけており、彰人に話を聞きに来た。花夏は厳に現在いい関係になっている女性がいることを聞く。彰人は雫のことを応援しており、やや戸惑いながらも花夏と後日飲みに行く約束をする。
彰人と花夏がご飯に行ったお店に、偶然雫がいた。花夏は厳といい関係になっている雫が気になり、一緒にご飯をする。付き合っている時には、一度も一緒にキャンプに行ってくれなかった厳に嫉妬する花夏。花夏は雫の厳に対する好きという真っすぐな気持ちを聞き、厳と寄りを戻すつもりはないから安心してほしいと伝える。
後日、花夏は厳に会いに行く。いきなり現れる花夏に戸惑う厳。散歩しながら、お互いの近況を報告する。厳のことを気にかけていた花夏だが、雫の好きなものを好きだと言える真っすぐな気持ちにあてられスッキリした。厳は付き合っていた当時、花夏に言えなかった自分の夢について語る。当時のわだかまりを互いに謝り、和解する。花夏は雫と厳のことを応援し、ニューヨークに帰った。
厳の雫に対する気持ちの確認
雫は親友の瑞希とさやと三人でキャンプを行う。家電や寝具も充実していて、雫よりも初心者の二人でも楽しめるコテージでのキャンプを選択。一方で厳は別の場所でソロキャンプを堪能している。厳と雫はお互いの状況を画像付きで連絡。雫は瑞希とさやにそそのかされ厳にテレビ電話をかける。さやは楽しそうに話す雫を見て、雫は厳のことが好きなのに、なんで厳は雫の想いを分かってくれないんだと感じる。そこで急に「厳さんは雫とのこと どう考えてるんですか!?」とさやが問う。男女の関係に疎い厳は、やっかいな自分の性格を改めて三人に説明。そんな中、「草野雫という人間は 俺にとって代わりのいない 無二の存在であることは確かだ」と伝える。人付き合いに慎重になっている厳だが、雫との関係性についてそう語る。それに対して、雫は嬉し泣きをし、さやも安堵する。二人の関係が進展した。
雫の恋のライバル!?星崎結衣の登場
ある日のふたりソロキャンプ。雫の到着を待ってのんびりしている厳のもとに星崎結衣(ほしざきゆい)が登場。結衣は前日からソロキャンプを行っていたが、焚き火用の薪が余り、もらってくれる人を探していた。そこで厳を見つけ声をかける。結衣は徒歩でキャンプ場に来ている厳に興味を持つ。結衣は自転車キャンパーを始めたことで荷物の選別などで悩んでおり、厳に知識を乞う。そこではお互いソロキャンパー同士ということで少し興味をもつ程度であった。厳と結衣が話し終わり別れる場面を見た雫は、正式に付き合っている訳ではないが、浮気ではないかと心配する。
後日、キャンプギアを求めショップに行った厳は、偶然結衣と遭遇する。結衣は厳が恋愛関係をこじらせていると悟り、趣味が合い好みのゴリマッチョである厳を狙う。次の雫とのふたりソロキャンプの予定を聞き、「ワタシも行こっかな」と勝手に話を進める。厳はそのことすっかり忘れてしまう。
雫と厳はいつも通りふたりソロキャンプへ行く。そこに突然結衣が登場。厳は渋々受け入れ、さんにんソロキャンプを雫に提案し、雫も渋々承諾。結衣が買い物に行っている間に、雫は厳に説明を求める。厳はいろいろ聞いてくる雫にめんどくさくなり、やや険悪なモードになる。その後、結衣はそんな二人を見て罪悪感を抱き、雫と仲良くなろうと話しかける。雫も少しずつ気を許し三人で夕食を堪能。そこで雫と厳の付き合ってはないが両想いである雰囲気を察し、結衣は厳のことを諦めたのだった。
『ふたりソロキャンプ』の登場人物・キャラクター
主要メンバー
樹乃倉 厳(きのくら げん)
本作の主人公で、34歳、趣味はキャンプ。自然を愛し、それと同等に孤独である自分の生き方を愛している。誰かと何かをやるのが苦手な彼は都会を離れ、自然の中に実を投じ、静けさと焚き火の火に癒されることに幸せを感じている。過去の失敗から男女の関係に疎く、孤独を好んできた。ソロキャンプ初心者の雫に対して迷惑さを感じており、1度きりの約束でふたりソロキャンプを行う。彼の父親は早くに亡くなり、キャンプ好きであった。そんな父親にキャンプについてのあれこれを学び、いつか一緒に行く誰かに「その時は父さんのように教えてあげるんだぞ!」といった父の教えを思いだす。雫に対して師匠として、キャンプの知識・魅力を教えていく。
草野 雫(くさの しずく)
本作のヒロインで、20歳の大学生。長崎出身で、興奮すると九州弁を話す。九州生まれのためか、酒を飲むのが大好き。キャンプに関しては超初心者。グループキャンプで周囲の人と温度差を感じソロキャンプに挑戦。しかし、キャンプの知識がなく厳に弟子入りを志願。厳の弱みにつけこみ、勝手にふたりソロキャンプと名前をつけて約束を取り付けた。大学を卒業後、調理の専門学校に入学予定。料理が好きで、お礼に毎回お酒にも合う絶品のキャンプ飯を作る。作中ではそのレシピも紹介されいる。
同年代にはなびかず、年上の厳に対して師弟関係であるものの、徐々に恋愛感情を抱くようになる。
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目次 - Contents
- 『ふたりソロキャンプ』の概要
- 『ふたりソロキャンプ』のあらすじ・ストーリー
- 樹乃倉厳と草野雫の出会い
- 厳と雫の初めてのふたりソロキャンプ
- 樹乃倉厳の無二の友達である滝川彰人の登場
- 厳の元カノである芹澤花夏の登場
- 厳の雫に対する気持ちの確認
- 雫の恋のライバル!?星崎結衣の登場
- 『ふたりソロキャンプ』の登場人物・キャラクター
- 主要メンバー
- 樹乃倉 厳(きのくら げん)
- 草野 雫(くさの しずく)
- サブメンバー
- 滝川 彰人(たきがわ あきと)
- 火野 瑞希(ひの みずき)
- 大空 さや(おおぞら さや)
- 芹沢 花夏(せりざわ かな)
- 星崎 結衣(ほしざき ゆい)
- 『ふたりソロキャンプ』の用語
- キャンプ用語
- ソロキャンプ
- ふたりソロキャンプ
- キャンプギア
- キャンプ飯
- その他用語
- 沼
- 『ふたりソロキャンプ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 樹乃倉厳「ソロは責任も独り占めなら 楽しみも独り占めなんだ」
- 樹乃倉厳「孤独(ソロ)を楽しめ」
- 草野雫「やっぱりキャンプしたいからキャンプするってことでいいのかなって」
- 樹乃倉厳「俺が助けてやる これは…ソロキャンプでも…ふたりソロキャンプ―――――…だからな」
- 厳が年に一度親父と酒を交わすシーン
- 『ふたりソロキャンプ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者の井端祐大は実際にソロキャンプが趣味
- ソロキャンジャンボリーというイベントに作者が登場
- 作者はバイクいじりも好き