さよならバイバイ、大好きだったよ。(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』とは、SNS漫画家・世紀末によってTwitterに投稿されていた四コマ漫画である。単行本は2018年にKADOKAWAより出版された。世紀末はデビュー作『殺さない彼と死なない彼女』が映画化したことが話題となっており、本作は書籍第2弾にあたる。
先生に惹かれる女子高生・葉子、葉子に恋する幼馴染のマッシュ、マッシュに片想いするポニー、ポニーに密かに恋心を抱く姫による、一方通行の片想いの連鎖を描く青春群像劇。少年少女の繊細な心の動きが見所である。

花屋で働くあみちゃんは花言葉に詳しく、白いツツジの花言葉は「初恋」、赤いツツジの花言葉は「恋の喜び」などの知識を披露している。また会話にも花言葉を織り交ぜて話すことから、葉子には「普通に喋ってほしいな」と面倒臭がられている。一方で、七村も葉子からヒマワリの花言葉を尋ねられて「私はあなただけを見つめる」と即答しており、あみちゃんから教えてもらったと考えられることから、七村とあみちゃんが恋人同士であることの伏線となっている。

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

七村三郎「大人はいいぞ。俺のミスは俺のもんだ」

「大人になりたくない」と言う葉子に語りかける七村

子供を羨ましがったり馬鹿にしたりする大人たちをみて「大人になりたくない」と考える葉子に対して、七村が言った言葉。「大人はいいぞー」という七村の言葉に驚く葉子に対して、七村は「子供は面倒なんだよな。何かミスしたら親が悪いとか学校のせいだとか色々と巻き込んでしまうだろ」「大人はいいぞ。俺のミスは俺のもんだ」と語る。葉子は七村の言葉を聞いて「かっこいい」「好きだ」という感情が湧き上がり、「こんな大人になりたい」と考えるようになる。葉子が七村を異性として愛し、大人として尊敬していることを再認識する言葉である。

万菜花「好きだったことが全部嘘になるみたいで私は悔しいのよ」

失恋を乗り越える過程で、好きだった気持ちがなくなっていくことに涙を流す万菜花

天真に失恋した後で、同じく七村に失恋した葉子に対して万菜花が語った言葉。天真と別れたことで自分のことだけ考えられるようになった万菜花は、新しい趣味を見つけて写真に没頭するようになったが、「天真くんがいなくても全然大丈夫なのが悲しくて涙が出るの」と語り「好きだったことが全部嘘になるみたいで私は悔しいのよ」と涙をこぼした。葉子は万菜花の言葉に共感し、「嘘にはならないよ。だって私、万菜花が天真くんのことを好きだったのを知ってるから」と返答する。失恋してもその時抱いていた感情まで忘れる必要はないというメッセージが込められた言葉である。

七村三郎「君は幸せになる」

卒業式の日に葉子に語りかける七村

卒業式の日に七村が葉子にかけた言葉。友達の輪から離れて七村の姿を見つけた葉子は、笑顔で「結婚おめでとう。お幸せにね」と伝える。そんな葉子に、七村は「卒業おめでとう。君は幸せになるよ」と返す。これまでは七村のそばにいることが幸せだと考えていた葉子だったが、七村が断言してくれたことで、「こう断言されると本当にその通りになる気がする」「私なんだかなんでも出来る気がする」と感じられたのだった。七村と握手を交わしてから笑顔で別れを告げた葉子は、七村への気持ちが忘れられたわけではなかったが、「いつか結婚して生まれてきた子に君は幸せになるよって教えてあげたい」と考えるのだった。「君は幸せになるよ」という言葉は、失恋した葉子が前を向くための強い応援メッセージとなっている。

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者の実体験から生まれた先生に恋する生徒の物語

作者・世紀末も「高校の先生がとても好きで、先生が結婚した時すごく悲しかった」と語っている。世紀末が先生に抱いていた感情は恋愛ではなく憧れだったが、「葉子のように本気の恋をしている子もいるのではないか」と考えたという。単行本を刊行した際には、「葉子と全く同じ状況で卒業式を迎えた」と、先生に恋をする読者から多くの共感の声が寄せられた。

初めてTwitterに投稿されたのは葉子と先生の別れのシーン

当初は作者・世紀末のTwitterアカウントに投稿されていた葉子と七村の物語だが、初めて投稿されたのは葉子が七村に別れを告げる卒業式、つまり別れのシーンだった。世紀末は、「卒業式のシーズンに着想を得たことから始まり、葉子が先生を好きになるきっかけとなる雨の日のシーンやホワイトデーのシーンなどはその後に思いついた」「最終回を目指して作っていった感じです」と語っている。

著者のデビュー作『殺さない彼と死なない彼女』のキャラクターが登場

本作には、著者・世紀末のデビュー作である『殺さない彼と死なない彼女』のキャラクターがさりげなく登場している。
第一に、冒頭で葉子が理解できなかった恋愛ソングを歌うバンドのボーカルが、『殺さない彼と死なない彼女』に登場するきゃぴ子となっている。「私のスキを返してよ」という歌詞も、同作でのきゃぴ子のセリフである。
加えて、葉子の初恋の相手となる七村の同僚として、『殺さない彼と死なない彼女』のキャラクターである千代八千代が「千代先生」として登場しているほか、ポニーがマッシュに貸していた本『少年の憂鬱』の作者・君が代も、同作に登場するキャラクターである。

2skwt-1991
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