さよならバイバイ、大好きだったよ。(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』とは、SNS漫画家・世紀末によってTwitterに投稿されていた四コマ漫画である。単行本は2018年にKADOKAWAより出版された。世紀末はデビュー作『殺さない彼と死なない彼女』が映画化したことが話題となっており、本作は書籍第2弾にあたる。
先生に惹かれる女子高生・葉子、葉子に恋する幼馴染のマッシュ、マッシュに片想いするポニー、ポニーに密かに恋心を抱く姫による、一方通行の片想いの連鎖を描く青春群像劇。少年少女の繊細な心の動きが見所である。

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』の概要

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』とは、SNS漫画家・世紀末によってTwitterに投稿されていた四コマ漫画であり、作者による略称は『さよバイ』である。単行本は2018年にKITORAより刊行された。世紀末はデビュー作『殺さない彼と死なない彼女』が映画化したことが話題となっており、本作は書籍第2弾にあたる。書籍化にあたっては、Twitterに投稿されていた作品に新規エピソードを加筆して再構成した上で、全ページが描き下ろされた。出版社はKADOKAWAであり、特製バッジセットが付属した限定版も販売された。
先生に惹かれる女子高生・岡葉子(おか ようこ)、葉子に恋する幼馴染のマッシュこと松井柊(まつい しゅう)、マッシュに片想いするポニーこと保田新菜(やすだ にいな)、ポニーに密かに恋心を抱く姫こと加藤美姫(かとう みき)による、一方通行の片想いの連鎖を描く青春群像劇である。少年少女の繊細な心の動きが見所となっている。

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』のあらすじ・ストーリー

葉子が先生に恋をする

岡葉子(おか ようこ)は、恋する気持ちが分からない女子高校生。彼氏について話に花を咲かせる同級生たちや、切ない恋愛ソングの歌詞に共感できずにいた。
葉子は、花屋で働くお姉さんであるあみちゃんに「恋って何かな?」と質問する。そんな葉子に対して、あみちゃんは「恋はいいものよ。世界がキラキラして見えるわ」と答えるのだった。
ある晴れた日、葉子は担任教師である七村三郎(しちむら さぶろう)が傘を持っているのを見かける。次の日もその次の日も、七村は雨でもないのに傘を持ち歩いていた。毎日傘を持っている理由が気になって仕方ない葉子は、七村に「なんで毎日傘を持ち歩いているの!?」と尋ねる。七村は「雨が降るかもしれないからに決まっているだろ」と答えるが、葉子は「天気予報、晴れって言ってたもん!」と納得しない。天気予報は当たるものと信じ込んでいる葉子を見た七村は、「ふーん」と言ったきりそのまま帰ってしまう。葉子は「意味分かんない!」と七村に腹を立てるのだった。
数日後の下校時、天気予報に反して雨が降っているのを葉子は苦々しい思いで見つめていた。そこに七村が登場し、「おや、傘をお持ちでない?」と声をかける。そんな七村を「嫌味ったらしい」と感じる葉子だったが、七村は手に持っていた傘を葉子に貸してくれる。「先生が濡れてしまう…のでは」と心配する葉子に折り畳み傘を取り出して見せた七村は「いつか誰かさんが天気予報に裏切られると思ったから」と傘を2本持ち歩いていた理由を語る。先に歩き出した七村の背中を見ながら、葉子は「先生のことをもっと知りたい」と思っている自分に気づく。葉子は七村に対する恋心を自覚し、「あみちゃんのいう通り、世界がキラキラして見える」と感じるのだった。

一方通行の片想いの連鎖

葉子は、クラスメイトのマッシュこと松村柊(まつむら しゅう)と幼馴染どうしである。幼い頃は結婚の約束をしたり、ファーストキスの相手がマッシュだったりという思い出はあるものの、現在はただの友達として同じ高校に通っていた。しかし、マッシュのことを何とも思っていない葉子に対して、マッシュは葉子に密かな恋愛感情を抱いていた。
マッシュは、「先生のことを好きになった」という葉子を見て面白くない。ある日ついに「お前みたいなガキ相手にされねーよ!」と口走ってしまい、葉子は泣き出す。
落ち込んでいるマッシュのもとに、ポニーこと保田新菜(やすだ にいな)が近づく。ポニーは、マッシュの葉子に対する気持ちに気づきながら、マッシュを密かに慕っていた。「葉子が自分を好きになればいい」と嘆くマッシュに、ポニーは「あんたは私のことを好きになればいいのに」と呟く。一瞬驚くマッシュだったが、「なんちゃって。無理でしょ?」と笑うポニーを見て、「無理だな」と笑って答えるのだった。
葉子とポニーのクラスメイトである加藤美姫(かとう みき)は、女子たちから「何を考えているか分からない」と言われ、クラスに馴染めずにいた。しかしある日、『白雪姫』の本を読んでいたところでポニーに声をかけられ、姫というニックネームをつけられる。
姫とポニーは、それをきっかけに大の仲良しとなっていくが、姫はポニーに対して友情ではなく恋心を抱いていた。ポニーの恋心を見抜いていた姫は、「マッシュのどこがいいの?」とポニーに尋ねる。ポニーは、「内緒にしててくれる?」「きっと葉子が知ったら、私に気を使って松井のことを避けると思う」と姫に頼む。姫は「大丈夫よ、内緒にするわ」「私達友達だもの」と自分の恋心も内緒にすることに決めるのだった。

万菜花の恋

葉子達のクラスメイトである万菜花(まなか)は、彼氏の天真(てんま)のことを何よりも優先するあまり、クラスの女子から反感を買っていた。万菜花は葉子に、天真のことを「嘘がつけない人で可愛い」と語るが、葉子は天真が万菜花以外の女子とキスしている場面を目撃していた。見られていたことに気づいた天真は、「今見たこと万菜花に言わないで!」と葉子に懇願する。一切言い訳しない天真を見て、万菜花の「天真くんは嘘をつけない人で」という言葉を思い出した葉子は「万菜花は全部知っているのかもしれない」と考える。実際、万菜花は天真の浮気に気がついており、「そんなことより一緒にいたい」と天真との関係を続けていた。しかしある日、万菜花は天真から別れを切り出されてしまう。「遊んでもいい。最後に私のとこに帰ってきてくれたらそれでいい」と天真を引き止めようとする万菜花だったが、「万菜花のそういうとこに甘えて、俺どんどんダメになっていくんだ」と天真は万菜花から離れていった。万菜花は「万菜花と結婚したい」という天真のかつての言葉を思い出し、「天真くんのお嫁さんになりたかったよ」と呟くのだった。

マッシュに好意を気づかれたポニー

ポニーはマッシュに惹かれながらも、葉子が好きなマッシュを気遣い、自分の想いをひた隠しにし続けていた。それでも、寒い日にマッシュからカイロをもらうと嬉しくてたまらず、マッシュへの想いは募る一方だった。
大学受験を控えたある日、ポニーは「これ、サンタクロースがあんたにって」と合格お守りをマッシュに手渡す。それがポニーからのプレゼントだと気づいていたマッシュは、疲れてもお守りを見ることで勉強を頑張ることができたのだった。
ある日、ポニーはマッシュと話している時に、つい好きだと言いそうになってしまう。焦ったポニーは姫のもとへ行き、「さっき松井と話してたんだけど好きって言っちゃいそうになったの!」「振られて気まずくなるくらいなら友達のままでいたいから気持ち伝えないって決めたのに」と報告するが、ポニーのすぐ後ろにはマッシュが立っていた。マッシュはポニーの話の内容には触れず、ポニーから借りた本を返してすぐに去って行った。ポニーは、「どうしよう姫。聞かれちゃった。好きって知られちゃった」と言って涙を流す。姫にはマッシュがポニーの言葉を聞いた時の嬉しそうな顔、去って行く時真っ赤になっていた耳がしっかりと見えていたが、つい意地悪な気持ちになりポニーには黙っていた。

先生とあみちゃんの結婚

ある日、葉子は七村に「バイト行きたくない」と悩みを打ち明ける。「店長にブスって言われる」「いつも馬鹿にされて面白くないのに笑わないと冗談が通じてないって言われるの」と語る葉子に、七村は「そんなこと言ってくるやつの下で働くのは辞めてしまえよ」と憤る。七村が自分のために怒ってくれたことで元気付けられた葉子は、バイトに向かう。
その日も店長は葉子の質問に答えず「自分で考えろ!」と指示をして、結果葉子がミスすると「何勝手にやってんだ!」と叱るなど、相変わらず理不尽だった。さらには「お前のかわりなんていくらでもいるんだからな」と葉子を罵るが、「私の代わりなんているわけないじゃん」と吹っ切れた葉子は、「じゃあバイト辞めます」と笑顔でバイト先を後にしたのだった。
帰り道、先を歩く七村を見つけた葉子は、バイトを辞めたことを報告しようと七村のあとをつける。しかし、七村が向かった先はあみちゃんが働く花屋だった。あみちゃんがジョウロで振り撒く水をいつも持ち歩いている傘で受け止める七村は、葉子が見たことのないキラキラした笑顔を浮かべていた。葉子は七村が傘を持ち歩く本当の理由と、あみちゃんと七村の関係性を悟ったのだった。
後日、葉子はあみちゃんから結婚することを打ち明けられる。「相手は葉子ちゃんの学校の先生なの」というあみちゃんに対し、葉子は「そんな気がしたー」「こないだ2人が一緒にいるとこ見たんだー」と笑顔を作る。しかし、あみちゃんに「葉子ちゃんの好きな人は?同じ学校の人?」と尋ねられると涙が堪えられなくなり、急いでその場をあとにしたのだった。

先生への想いを抱えたまま卒業する葉子

お互いに失恋した葉子と万菜花は、2人で話し合う。万菜花は、「天真と別れたことでやりたいことが見つかった」と最近は写真に没頭していることを打ち明ける。最初は笑顔で話していた万菜花だったが、「天真くんがいなくても全然大丈夫なのが悲しくて涙が出るの。好きだったことが全部嘘になるみたいで私は悔しいのよ」と涙をこぼす。葉子もつられて涙を流し、「嘘にはならない。だって私、万菜花が天真くんのことを好きだったの知ってるから」と慰める。万菜花は「私も葉子が先生を好きだったこと知ってるよ」と答えるのだった。
葉子達は卒業式を迎えた。ポニーの気持ちに気づいていたマッシュは、ポニーに「俺ら付き合おうぜ」と告げる。「あんたは葉子のこと好きじゃん!!」と驚くポニーだったが、涙を流してマッシュの告白を受け入れるのだった。ポニーとマッシュの様子を写真に収めようとカメラを構える万菜花だったが、後ろにいた人にぶつかってしまう。それは、元彼氏である天真だった。「万菜花が写真好きなんて知らなかった」「前より可愛くなった」と笑う天真に、万菜花は「私はこれからもっと可愛くなるし、写真で有名になりたいと思ってるの」と返す。本名で活動して、いつか自分を見つけた天真を少し後悔させるのが夢だと語った万菜花は、心からの笑みを浮かべていた。
一方、葉子は友達の輪から離れ、七村の姿を探していた。ようやく見つけた七村は結婚指輪をはめており、葉子は笑顔で「結婚おめでとう。お幸せにね」と伝える。そんな葉子に七村は「卒業おめでとう。君は幸せになるよ」と返す。これまでは七村のそばにいることが幸せだと考えていた葉子だったが、七村が断言してくれたことで、本当に幸せにになれる気がしたのだった。七村と握手を交わし、笑顔で別れを告げた葉子だったが、七村に背を向けた後でたまらず涙が溢れ出し「大好きだったよ」と呟くのだった。

『さよならバイバイ、大好きだったよ。』の登場人物・キャラクター

主要人物

岡葉子(おか ようこ)

担任教師である七村三郎(しちむら さぶろう)に恋をする高校生。おかっぱ頭がトレードマークであり、同級生の姫こと加藤美姫(かとう みき)からは「おかっぱ」というニックネームをつけられるが、本人は前下がりボブだと主張している。
幼馴染のマッシュこと松井柊(まつい しゅう)とは、幼少期にファーストキスをしたり結婚の約束をしたりした仲であるが、高校生となった今、葉子はマッシュとの仲を本気とは捉えていない。
雨の日に傘を借りたことがきっかけで、七村に恋をするようになる。

七村三郎(しちむら さぶろう)

葉子達のクラス担任を務める男性教師。天気に関わらず、毎日傘を持ち歩いている。眼鏡と七三分けの前髪がトレードマークで、よくタバコを吸っている。
実は葉子のお姉さん的な存在であるあみちゃんと交際しており、のちに結婚した。

あみちゃん

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