13の理由(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『13の理由』(原題:13 Reasons Why)とは、ジェイ・アッシャーが2007年に発表した同名の小説を元に、ブライアン・ヨーキーが製作したNetflixのオリジナル学園ドラマ。
いじめなどの現代社会が抱える問題をテーマに、リバティ高校の若者たちが様々な葛藤を抱えながらも、必死に生きていく様が描かれる。
物語の大きなテーマは、『愛』であり、人を愛することの大切さが、シーズン全体を通して深く語られていく。

シーズン3のブライスが殺害される場面。アニやポーターによって変わっていったブライスが、クロエの件でザックスに対して、激しい憎悪を抱く。その目を見たアレックスが、ブライスを、「もうこんなことは終わりにしなければならない」と海に沈めた。
この場面は、ブライスの死が丁寧に描かれており、加害者が被害者になるということがどういうことかをよく表している。ある面では、因果応報の結果ではあった。
ただ、皮肉なことに悲劇の連鎖は終わらず、ブライスは死後もアレックスやジェシカ達を苦しめることになる。
この終わりのない連鎖は、最終シーズンが終わっても完全に終わることはなかった。
クレイ達は、これから先ずっと、痛みを抱えて生きていくことになる。

シーズン4 エピソード1 ジャスティンの薬物依存からの回復のお祝いパーティー

ジャスティンの薬物依存症からの回復祝いをみんなでお祝いするシーン

薬物依存症になったジャスティンが、リハビリを無事に終え、仲間たちに暖かく迎えられる場面。仲間たちの絆の強さがよく表現されている場面である。
ジャスティンは、ブライスのような支配的な友情しか知らなかったため、クレイ達、仲間たちのおかげでほんとうの友情が何かを知ることができた。
ジャスティンは、このパーティーで本当の意味で変わっていこうと決意する。

シーズン4 エピソード9 プロムにて

アレックスとチャーリー

プロムで、アレックスとチャーリーが、キング×キングに選ばれるシーン。

アレックスとチャーリーは、プロムで、キング×キングに選ばれる。アレックスは、シーズン2からセクシャリティの悩みが描かれており、シーズン4で、チャーリーと結ばれる形で最高の結末を迎えた。
アレックスは、ブライスを殺害しモンゴメリーに罪を被せたことをずっと後悔し、こんな自分が幸せになっていいのかと苦悩する。チャーリーはそんなアレックスに寄り添い愛情で包み込んだ。
アレックスはチャーリーの優しさを拒絶するが、時間をかけてお互いを知り、結ばれていく。チャーリーは、アレックスの心を救った人物である。アレックスは、チャーリーと出会い、本当の幸せを掴んだ。
『13の理由』の中でも、暖かくて優しい場面の一つである。

ジャスティンとジェシカ

ジャスティンとジェシカが、プロムで、踊り狂う場面

ジャスティンは、シーズン4で、間違いを犯してしまう怖さからジェシカと距離を置くようになった。だが、ジェシカのことが忘れられず、意を決してプロムに参加し、ジェシカに想いを告げる。
アニの説得もあり、ジェシカはジャスティンの想いを受け入れた。二人はプロムで踊り狂い幸せな時を過ごす。
この時のジャスティンの身体はぼろぼろであり、ジェシカへの想いだけでなんとか立っている状態であった。
この場面は愛情が肉体の限界を超えるというスピリチュアルな要素を多く含んでいる。
ジャスティンはジェシカと踊っている最中に倒れ、逃れられない死へと向かっていく。

最終シーズン 最終話 ジャスティンとクレイの別れのシーン

ジャスティンが、エイズの進行による感染症で、死が近づき、最期の時をクレイと一緒に過ごすシーン

ジャスティンとクレイの最期の場面。お互いに、「I love You」と愛情を確かめ合い、別れを告げる。
この場面はクレイとジャスティンがいかに強い絆で結ばれていたかがよくわかる場面である。ジャスティンは、その不幸な生い立ちから不幸せな人生を歩んだ。ジャスティンは、ジェンセン家に引き取られ、家族とは何かを知り、クレイたちのおかげで、友情を知り、救われた人物である。視聴者からも、ジャスティンに幸せになってほしいという声が多く聞かれた。そのこともあり、ジャスティンがこのような結末になってしまい悲しんだ視聴者も多い。架空の人物ではあるが、ジャスティンを見ると、自身と重ね合わせる視聴者も多かったのだろう。例え、虚像であっても、そこには心が存在するのかもしれない。ジャスティンの死は、ブライスが原因を作ったと言えるのであるが、ブライスがいなければ、ジャスティンはもっと酷い人生を歩んでいた可能性もある。
この場面は、ジャスティンを通して世界の複雑さを描いている。

『13の理由』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『13の理由』で初めに亡くなったのはジェフ・アトキンス

『13の理由』で、ジェフ・アトキンスは、亡くなった最初の人物。次に、ハンナ・ベイカー、ブライス・ウォーカー、モンゴメリー・デ・ラ・クルス、ハリソン・チャタム、ジャスティン・フォーリーの順番で、亡くなっている。

原作とは異なるハンナの自殺の方法

ハンナの自殺の方法は原作とドラマで異なっている。
ドラマでは、バスタブで手首を切って自殺するが、原作では、OD(薬物過剰摂取)を行い、自殺。
加えて、アッシャーのオリジナル版では、ハンナの自殺は未遂で終わる。だが、彼は自身のメッセージをより強く伝えたいと考え、設定が変更された。
テレビシリーズでは、自殺の悲惨さをより明確に伝えるため、自殺のシーンは、生々しく描かれる。また、ハンナが極度の苦痛に耐え、出血しながら泣き叫び、苦しんでいる様子も描かれ、自殺にはかなりの苦痛がが伴うことを伝えた。
シーズン2では、ポーターが裁判にかけられた際に、検察官が破り取られているのページを尋ねたことで、ハンナが自殺した日付が明らかになる。
シーズン1 で、ポーターが最初に破り取ったページを見たときは2017年 10 月 10 日という日付が記されていた。だが、シーズン 2 ではハンナがポーターと出会う前の 2017 年 10 月 9 日に亡くなったとされ矛盾が生じている。

セミコロンのタトゥーに込められたメッセージは「自殺防止」

作中でクレイが掘ったセミコロンのタトゥーは、精神疾患などの心の病気を持つ人や自殺を試みようとする人に向けて、今までの人生に区切りをつけて、新しい人生に向けて再出発しようという意味が込められている。
『13の理由』の扱うテーマと親和性が高く、『13の理由』の制作者もそう言う意図を込めて、クレイがセミコロンのタトゥーを掘った描写を入れている。作中での何気ない場面ではあるが、意図するところの意味は大きい。
その後、セレーナゴメスや他の俳優達も、セミコロンのタトゥーを掘っており、『13の理由』全体を通して、現代社会の闇に立ち向かっていこうという強いメッセージが伺える。

原作者のジェイアッシャーはセクハラ疑惑で米児童図書作家・画家協会から追放

『13の理由』の原作者、ジェイアッシャーが、性被害を訴える運動であるMe Tooをきっかけに、セクハラ疑惑で、米児童図書作家・画家協会から追放された出来事があった。
ジェイアッシャーの主張では、嫌がらせを行った人にはめられたと話すが、真偽は不明。また、ジェイアッシャー自身は、追放ではなく、自分から去ったと言っているが、これについても真相は不明。
『13の理由』は、元々シーズン2以降はオリジナルの話であるが、この出来事も少なからず、影響を与えた可能性は否定できない。

アニ役のグレース・サイフがファンからの嫌がらせでSNSを閉鎖

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