轟世剣ダイ・ソード(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『轟世剣ダイ・ソード』(ごうせいけんダイソード)とは、長谷川裕一の漫画作品。同氏の代表作の1つである。1993年に『コミックコンプ 』で連載が開始されるが、同誌が翌年に廃刊となったため『少年キャプテン』に移籍。さらに終盤の物語をコミックス1巻分まるまる描き下ろしにするという方法で完結した。
「泡の中央界」という異世界に、校舎ごと転移してしまった九江州中学校の生徒たち。異世界の巨大ロボットこと「神の武器ダイソード」に選ばれた1年生の百地王太を中心に、彼らは地球への帰還を目指していく。

白き常魔の国テルテ・ウィタス。若くしてテルテ・ウィタスでもトップクラスの魔力を有し、このことからダイソードの契約者として見込まれるが、北国の追撃によって失敗。王太たちが校舎ごと泡の中央界に転移すると、それについて詫びつつ彼らをテルテ・ウィタスに案内する。
九江州中学校の生徒の中で、最初に自分と打ち解けてくれた王太のことを信頼し、次第に好意を寄せていく。その正体は神の武器であるタ・カラの精神が肉体を得たものである。

神の武器

神の剣ダイソード/ダ・イスォウド

剣、人型、ドラゴンの3つの形態を持つ、神の武器の中でも最強とされる存在。言動は傲慢かつ高慢だが、それに見合う圧倒的な実力と広い見識を持つ。300年に1度目覚め、契約した人間の召喚に7回だけ応じる呪いをかけられている。泡の中央界風に正式に発音すると「ダ・イスォウド」となるが、言いにくいので王太たちは「ダイソード」と呼んでいる。また、作中では「ダイ・ソード」という表記も見られる。
自分の力を扱えずに自滅していくこれまで契約者たちに呆れ、人間を見下していたが、「仲間のために戦う」王太と九江州中学校の子供たちに感化され、次第に彼らのことを認めていった。

神の盾ヨゴ

盾、人型、カニの3つの姿を持つ神の武器。そろいもそろって人間を見下している神の武器の中にあって、例外的に人間に対して特に害意を持たず、「以前ダイソードと戦った時、どうしてあんなにあっさり負けてしまったのか知りたい」という動機で北国に属していた。
ダイソードに敗れた後は「お前の方が遥かに強い、よく分かった」と納得し、敗者の義務として九江州中学校の生徒たちに協力するようになる。ダイソードのように召喚に回数制限が無いため、戦闘から日常生活の手伝いまで器用にこなし、今夜たちから心底ありがたがられていた。

神の刀サン・ジュオウ

刀、人型、東洋龍の3つの形態を持つ神の武器。その能力はダイソードとほぼ互角で、破壊力で若干劣る代わりにスピードでは上回る。
かつてダイソードと交流していた「冬の鳥」という人間の魂を利用して作られた存在で、自身の村を神の武器に滅ぼされたことで「ダイソードが手引きした」と彼のことを激しく憎む。

『轟世剣ダイ・ソード』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

王太「だけどきっと、その時みんな少しワクワクしていた」

泡の中央界に転移し、北国による最初の襲撃を切り抜けた王太たちは、給食として配膳される予定だった食料で腹を満たしつつ、これからのことに想いを馳せる。ここは地球とは隔絶した世界で、頼れる大人は1人もおらず、危険な魔物や自分たちを狙う国家が存在している危険な状態。それをどうしようもなく不安に思う一方で、九江州中学校の生徒たちは「本当にアニメかゲームの世界に来たみたいだ」と未知の世界と冒険の予感に心躍らせていた。
「だけどきっと、その時みんなワクワクしていた」とは、そんな生徒たちの気持ちを王太が代弁したセリフである。危険と隣り合わせの世界を、勇気と好奇心で駆け抜けていく九江州中学校の大冒険は、ここから始まっていく。

ヨゴ「まったくその通りなんじゃがね…どうしたわけかこれが!」

北国におけるダイソードとの決戦を、人質を利用することで制したサン・ジュオウ。中にいる王太ごとダイソードにトドメを刺そうとする彼に、「仲間を殺させてなるものか」と彼我の力の差も考えずに九江州中学校の校舎が突撃し、決死の攻撃を仕掛ける。さらにまだ動く力を残していたヨゴまでもがサン・ジュオウに組み付き、九江州中学校の生徒たちを援護する。
「今さら人間に義理立てする必要があるのか」とサン・ジュオウに問われたヨゴは、「まったくその通りなんじゃがね…どうしたわけかこれが!」と言葉を返す。王太たち九江州中学校の生徒と冒険を繰り返す中で、ヨゴもまた彼らに強い仲間意識を感じていたことが分かる。

ダイソード「共に戦ってはくれまいか?王太!」

王太たちによって打ち直され、復活を遂げたダイソード。もはや彼を縛っていた呪いも無く、全ての力で神に立ち向かえる状態だった。「存分に戦ってくれ」とエールを送る王太に、ダイソードは「共に戦ってはくれまいか?王太!」と話しかける。
幾多の冒険を繰り広げ、ダイソードの恐るべき力を正しい目的のためだけに使い、サンジュオウとの決着までも見届けた王太の存在は、ダイソードにとっても「掛け替えのない相棒」となっていた。「王太と共に戦いたい、彼の正しき心のままに力を振るいたい」という、ダイソードと王太の強い絆を感じさせる。

『轟世剣ダイ・ソード』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝』への出演

『轟世剣ダイソード』の物語は、王太たちが地球に帰還したところで終わっている。しかし、その後の彼らを描いた同人誌を、作者である長谷川が描いている。
『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝』というタイトルのその作品では、高校生になった王太が今夜と交際を始めており、ここに「新たな敵が現れた」とダイソードがやってくる展開となっている。この作品の敵は、長谷川が手掛けた他のマンガに登場するロボットとそのパイロットを部下にしており、王太はダイソードに乗って彼らと対決。彼らが「人質を取られてむりやり従っている」ことを察すると、やられたふりをして敵の懐に飛び込み、共闘を持ち掛けるという展開になっている。

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