ロードス島戦記(Record of Lodoss War)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロードス島戦記』(ロードスとうせんき)とは、原案:安田均、著:水野良によるライトノベル。テーブルトークRPG『Dungeons & Dragons』のリプレイを小説に仕立て直したもので、漫画、ゲーム、アニメとメディアミックスを果たす。美麗なイラストと完成度の高い世界観で好評を博し、後発の「ファンタジー作品」に絶大な影響を与えた。
戦乱続く「呪われた島」ロードス島。父の名誉を守るために旅立った少年パーンは、幾多の戦いを経験して成長し、「戦乱を終わらせる」ことを目的に剣を振るうようになっていく。

CV:石田太郎(OVA版)/玄田哲章(『ようこそロードス島へ!』)
演:長江英和

かつて魔神戦争を終わらせた6英雄の1人にして、マーモ帝国の王。マーモに追い立てられた闇の種族に新たな居場所を作るため、ロードス島の他の勢力全てを敵に回して英雄戦争を起こす。
相手の魂の力を吸い取る魔剣を有しており、その効果によって全盛期の肉体を維持している。ライバルでもあったファーンを倒すが、その次に決闘を挑んできたカシューにより、流れ矢が刺さった隙を突かれて敗北する。

アシュラム

CV:神谷明(OVA版)/速水奨(TVアニメ版)/安原義人(『ようこそロードス島へ!』)
演:辻凌志朗

マーモ帝国の暗黒騎士。高潔にして作中屈指の力量を持つ剣士であり、ベルドが仕掛けた英雄戦争を「マーモに追いやられた闇の種族を救うための正義の戦い」と信じ、卑劣な手でこれを討ち取ったカシューを憎む。
パーンに対しては「今はまだ自分に劣るが、敵にするには惜しいほど心身共に優れた才気溢れる戦士」として高く評価しており、強大な壁として立ちはだかった。

バグナード

CV:青野武(OVA版)/大塚周夫(TVアニメ版)/千葉繁(『ようこそロードス島へ!』)
演:成松慶彦

マーモ帝国の宮廷魔術師。ベルドに対しては忠誠を誓っているが、その真の目的は闇の種族を導くことでもロードス島を手に入れることでもなく、永遠の命を手に入れて知識の探求に全てを捧げることにある。
そのためにニースを利用して邪神を呼び出し、契約が交わされた直後にスパークによって殺される。これにより永遠の命を持つ不死者(アンデッド)として生まれ変わるが、その後の動向は不明。

その他

カーラ/灰色の魔女(はいいろのまじょ)

レイリアの体を利用していた頃のカーラ。本体は額のサークレットである。

CV:榊原良子(OVA版、TV版)/深見梨加(『ようこそロードス島へ!』)
演:月船さらら

500年前に滅んだ魔法王国時代の人物。大繁栄した魔法文明があっさりと滅ぶ様子を目にして、「力が極端にどこかの勢力に集まると大きな破滅を招く」との思想を抱く。同じ悲劇を繰り返させないために、自らの魂を仮面型のマジックアイテムに封じ、ロードス島の様々な国や組織に裏から干渉して勢力の均等化を図っていた。

『ロードス島戦記』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

パーン「とうとう、アシュラムには勝てなかったよ」

マーモに乗り込んだパーンは、因縁深いアシュラムと遭遇する。両者の間に「この場で決着をつける理由」はもはや無くなっていたが、パーンは“長年追い続けてきた剣士を超える”ため、アシュラムは“その成長に内心期待してきた剣士の超えるべき壁としての役目を果たす”ため、あえて剣を構える。
しかししばしの時が流れた後、2人は何も言わずに剣を下ろす。パーンは「戦えば負ける」と悟って苦笑し、アシュラムもまた「自分が期待し、その成長を見守っていた男が、力量の差を正確に見抜いて大義のために退く判断ができるまでに育った」ことに思わず笑みを浮かべていた。その後パーンは、アシュラムがマーモの闇の種族を守るために彼らと共に国を出奔するだろうことまで察し、何をするでもなく彼を見送っている。

「とうとう、アシュラムには勝てなかったよ」とは、この儀式のような最後の決闘の後にパーンが口にした言葉である。悔しそうでもあり、それでいてその悔しさですら嬉しそうなパーンの姿は、己の信じる正義のためだけに立ち上がった若い頃からは想像もできないほど成長している。

ナレーション「ロードスという名の島がある。“呪われた島”と呼ぶ者は、もはや誰もいない」

原作小説の最後を飾る言葉。長きに渡る戦乱が終わったことを感じさせると共に、ここに至るまでのパーンやスパークたちの活躍が否応にも思い起こされる、物語の最後を締めくくるにふさわしい言葉である。

『ロードス島戦記』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ファーンとベルドの決着の裏事情

魔神戦争では共に戦い、英雄戦争では敵として戦うこととなるファーンとベルド。物語の上ではベルドが勝利したこととなっているが、実は「勝負自体はファーンの勝利だ」と当人たちは認識している。
ファーンとベルドはまるで違う思想の持ち主ながら互いにその力量を認め合った戦友であり、それぞれの立場から許されることのなかった「命懸けの真剣勝負」ができることを心のどこかでは喜んでいた。

この時ファーンは「いつかベルドと戦う時に備えて編み出した特殊なフェイント」を繰り出しており、ベルドはこれに対抗できなかった。この状態からベルドが逆転できたのは、彼が魔法の剣の力で全盛期の肉体を維持していたためであり、両者が“対等の条件”であればファーンが勝っていたのである。

「1本の矢」の3つの仮説

英雄戦争でベルドが命を落とす原因となった流れ矢を誰が放ったものかについては、3つの説があるとされている。
1つ目は、カーラが放ったものだという説。ファーンが倒れた以上、ベルドが生きたままでは、闇の種族側の勢力が強くなりすぎる。それはカーラとしては避けるべき事態であり、そのためにベルドを始末するために矢を放ったというものだ。

2つ目は、カシューが密かに弓兵を伏せさせていたというもの。確かにカシューはベルドを討ち取った張本人だが、実際にトドメを刺す際には若干ながら躊躇している。矢を放った弓兵が彼の指図で配置されていた人物なのかどうかは定かではないが、ロードス島の一部の人間の間では真実味のある話だとされている。
3つ目は、かつてファーンやベルドと共に魔神と戦い生死不明となった、ナシェルという人物によるものだという説。連載版で2人の対決を見守った「正体不明の初老の男」の描写から生まれた説だが、文庫版では彼の出番は大きく削られている。

『ロードス島戦記』の主題歌・挿入歌

OVA版『ロードス島戦記』

OP(オープニング):Sherry(加藤いづみ)「Adèsso e Fortuna 〜炎と永遠〜」

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