マダムたちのルームシェア(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『マダムたちのルームシェア』とは、中高年マダム3人の明るく楽しい共同生活を描いたseko kosekoによる日常系の漫画作品である。学生時代からの友人同士である栞、沙苗、晴子の3人が、普通の日常を自分達の手で楽しくする様子が描かれている。X(Twitter)・ピッコマなどで連載されており、歳を重ねた女性達ならではの心のゆとりと、年齢を理由にすることなく人生を楽しむ3人の姿に憧れる読者が多い作品である。

栞のひとり娘。現在は看護師として働いている。栞譲りの黒髪が魅力的な女の子。幼い頃に栞の離婚によって栞と共に両親を亡くしたばかりの沙苗の家に住んでいたことがある。
はじめは人見知りしていたが徐々に慣れ、髪の毛を乾かさずに栞に追いかけられていた時に沙苗から「カッコイイ髪」と言われて素直に髪を乾かすなど、沙苗の言うことはよく聞く。
かわいいよりもカッコイイと言われたいタイプというのを沙苗に見抜かれているが、サンタクロースを信じ続ける可愛らしい一面も持つ。そのため、栞と沙苗は全力で星奈を喜ばせるクリスマスを計画していた過去がある。沙苗と同居していた頃には、沙苗から勉強を教えてもらったこともあり、沙苗によくなついていた。成人した現在でも沙苗のことを「さーちゃん」と呼んでいる。
晴子とも面識があり、沙苗が自分の店を開店させたときにはお祝いに手作りのビーズネックレスを作って渡した。

晴子の夫

1年前に亡くなっており、遺影では顔全体は見えないが眼鏡をかけている。カメラが好きで、出かけた先では晴子の写真をたくさん撮っていた。後にそのカメラは晴子が引き継ぎ、3人で公園で写真を撮ったり、撮影した写真で小さなコンテストが開催されたりと、とても大切にされている。
晴子が夫と暮らした家を離れる決意をした際の回想では、新婚時代に晴子に花を買って帰ったり、受験勉強をする息子を晴子と共に見守ったりする様子も描かれている。
ルームシェアを決断した晴子が「生前のあなたならきっと賛成してくれると思うわ」と仏前で話していたことから、晴子の意見をきちんと聞いてくれる温厚な人だったことが伺える。

孝雄(たかお)

晴子の息子。妻と娘と3人暮らしで、晴子の夫とよく似た雰囲気。眼鏡をかけている。年齢的なこともあり、父の死後は実母の晴子が1人で暮らすことを心配し、自分達との同居を提案していた。晴子の義姉からは「自慢の甥」と思われている。晴子がルームシェアを始める前は孝雄たち家族と夫とクリスマスを過ごしており、その時には密かにサンタ帽子を被っている。

『マダムたちのルームシェア』の用語

喫茶店ハルコ

出典: ddnavi.com

雨で憂鬱になる栞を励ますために、雨の日だけ開店する喫茶店ハルコ。マスターはもちろん晴子。

雨の日だけシェアハウス内で開店する喫茶店。晴子がマスターを務める。普段は誰よりも元気な栞だが、雨が降ると憂鬱になってしまうため、そんな栞が元気になるようにと晴子が発案した。
料理上手な晴子が栞と沙苗に手書きのメニューを渡し、2人にホットケーキやピザトーストを振る舞い、家の中でカフェ気分を味わう。
後日、また雨が降った際には喫茶店ハルコを気に入った栞が自前のサイフォンを持ち出し、喫茶店シオリをオープンしてコーヒーを振る舞った。

おうち映画館

映画館での思い出話も挟みながらおうち映画館を楽しむ沙苗(左)、栞(中央)、晴子(右)

シェアハウス内で突発的に始まるイベント。「おうち映画館」という名称は3巻で初めて登場するが、実際には1巻から時々開催されている。
1巻では沙苗発案のパジャマパーティーの一環で、ホラー映画を観ている。この日のテーマが「かわいい」だったため、マカロンで中和するという独特な楽しみ方をしていた。更に鑑賞後は栞の提案で、リビングに布団を敷いて3人で寝るという修学旅行のような結末となった。
3巻ではスーパーに買い出しに行った際に、栞がポップコーンを見つけたことがきっかけでおうち映画館の開催が決まり、夕飯にもホットドッグを用意する本格的なイベントになった。この時観たのは、栞が知人から勧められたインド映画。映画を楽しむことはもちろんだが、合間に休憩を挟んだり感想を言い合ったりしながら、3人でおうち映画館を存分に楽しんでいる。

雰囲気

アロハシャツを着たことにより更なるハワイの雰囲気を求めて部屋の飾りつけを提案する沙苗

3人の日常にほんの少し特別感を与えてくれるもの。シェアハウス内では季節のイベントや今すぐに行けない場所などの「雰囲気だけでも味わいたい」という時に意識される。
美術館に行く時には絵画や画家をイメージした服を選んだり、家で過ごすクリスマスでもドレスアップしたりすることで、外出やイベントの楽しさが増す。ハロウィンの日には、栞が用意していた仮装用のカチューシャに合わせて、沙苗と晴子も自前のストールや服でハロウィンの仮装を意識。3人でアロハシャツを着た日には、更にハワイ気分を味わおうという沙苗の提案によって部屋も南国風に飾りつけた。更には晴子特製のトロピカルジュースと海の映像を流し、夕飯もポキ丼とガーリックシュリンプという徹底ぶりを発揮。3人は家の中にいながらもハワイ旅行の気分を味わうことができた。
ほんの少しだけ手を加えて雰囲気を作ることで、普通の日常がぐっと素敵になる。高級なものを用意するのではなく、誰でもできそうな「ほんの少しの工夫」の描写は読者からも好評だ。

『マダムたちのルームシェア』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

栞「やりたかったらやりゃあいいのよ じゃないと動けなくなっちゃうわ」

手荒れを気にする晴子(左)を励ましながらマニキュアを塗っていく栞(中央)

マニキュアを塗りたいと思いながらも、自分の手荒れを気にして手を引っ込めてしまった晴子に対して栞が伝えた言葉。マニキュアを塗った栞の爪を褒める晴子は、長年マニキュアを塗っていなかった。栞から「塗ってみる?」と勧められ、お願いしようと思ったものの、目に入ってきたのは長年の主婦業で荒れた手と、年齢を重ねて増えたシミ。綺麗とは言い難い自分の手に、マニキュアを塗るのが勿体ないと感じてしまった晴子は、思わず手を引っ込めて断ってしまう。
そんな晴子を見た栞は、良いニュースと悪いニュースがあると晴子に伝える。悪いニュースは、晴子にマニキュアを断られたことだと告げた後、良いニュースとして「晴子の手はとっても素敵」と伝える。自分の手を見てマニキュアを塗るのを断った晴子に気付いていた栞は、晴子に似合う色を選んでマニキュアを塗り始めた。
手が素敵とか素敵じゃないとか気にしなくていいと伝えた後、栞は「やりたかったらやりゃあいいのよ じゃないと動けなくなっちゃうわ」と晴子を励ました。鮮やかなイエローのマニキュアが塗られた自分の手を見た晴子は「夫が生きてるうちに見せたかった」と大喜び。マニキュアも栞の言葉も晴子にとって嬉しいものとなった。
「動けなくなっちゃう」という言葉が年齢を感じさせるが、だからこそ楽しもうという栞のポジティブさが感じられる台詞である。

沙苗「じゃあ今から生き終わるまでは花盛りってことね」

出典: img.buzzfeed.com

花の散り際を人生の終わりに例えるという話にもしんみりすることなく、前向きにとらえる沙苗

桜を見るために春の夜に散歩に出た際、沙苗が言った一言。
桜が見頃だということで、勢いよく桜を見に外へ向かった栞を追って、沙苗と晴子も散歩についていくことにした。若い頃も3人で近所を歩き回っていた3人は、今もやることが変わらない自分達を楽しんでいる。花の散り際を人生の終わりに例えるという話から「いつか私も自分の姿を重ねたりするのかしら」と少し寂しげに桜を見上げる栞。しかし沙苗は「じゃあ今から生き終わるまでは花盛りってことね」とポジティブに言い切った。人生の終わりまでずっと満開の花のように生きようという沙苗の強さが感じられる。
桜を見ながら、自分ならこの花が良いと思う花の名前を挙げながら3人は帰路につく。その翌日、示し合わせたわけでもないのに、それぞれに花を買って帰宅した。「家でも花見をしたい」という意見が一致し、その後しばらく3人は家の中で花見を楽しんだ。

栞「全部大吉だから良いことしか書いてないわ」

出典: ddnavi.com

栞発案の「大吉しか出ないおみくじ」。いつでもポジティブで明るい栞らしいアイデアだ。

Nacchan-Kana462
Nacchan-Kana462
@Nacchan-Kana462

目次 - Contents