ハネチンとブッキーのお子さま診療録(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』とは、2023年より佐原ミズが『月間コミックゼノン』で連載している小児医療漫画である。羽根田優希(はねだゆうき/通称:ハネチン)は妻の千絵(ちえ)を亡くし、2児の父としてワンオペ育児に奮闘する。ある日、電車内で奇抜なメイクをした小児科医の琴吹正尊(ことぶきまさたか/通称:ブッキー)に助けてもらい、交流が始まる。乳児期から学童、思春期までに起こる、素人では気づきにくい病気や発達の壁、育児の悩みなど、琴吹と関わる患者を通して描かれるヒューマンドラマである。

『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』の概要

『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』とは、佐原ミズが2023年より『月間コミックゼノン』で連載している小児医療を舞台とした漫画である。監修は北岡寛己医師。2023年10月に第1巻が発売された。ネット上では連載前より話題となり、第1巻発売後、各コミックサイトでは高評価を受けている。また2024年第4回ebookjapanマンガ大賞にノミネートされた。
佐原ミズは2002年に『ROBOT』でデビューし、2004年に新海誠監督の作品である『ほしのこえ』を漫画化し連載デビューした。繊細で柔らかな絵は作品とマッチし注目を集め、続く『マイガール』『尾かしら付き。』は実写化ドラマおよび映画化されている実力者である。

羽根田優希(はねだゆうき/通称:ハネチン)は、妻の千絵(ちえ)を亡くしワンオペ育児に奮闘する。ある日、電車内で奇抜なメイクをした小児科医の琴吹正尊(ことぶきまさたか/通称:ブッキー)に助けてもらい、交流が始まる。乳児期から学童、思春期までに起こる、素人では気づきにくい病気や発達の壁、育児の悩みなど、琴吹と関わる患者を通して描かれるヒューマンドラマである。

『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』のあらすじ・ストーリー

みちるの誤飲

羽根田優希(はねだゆうき/通称:ハネチン)はサラリーマン。妻が脳卒中で亡くなり、4歳のみちる、0歳のいちかとともにシングルファーザーとしての生活が始まった。
優希とみちる、いちかは電車に乗っていた。少し前から咳が出ていたみちるは、電車内で咳と同時に吐いてしまった。その時少し血が混じっていたことに動揺した優希。偶然隣に座っていたデスメタルのメイクをした青年に助けてもらう。青年はみちるの症状から少しずつ原因をさぐり、シールの誤飲の可能性を指摘する。奇抜なメイクをした青年は小児科医、琴吹正尊(ことぶきまさたか/通称:ブッキー)だった。みちるはシールを食べたと優希に話す。琴吹は二人のやり取りを楽しみつつ、自分が勤めている総合病院へ受診するよう優希を誘う。
みちるが内視鏡で処置を受けている間、優希は亡くなった妻の千絵(ちえ)が自分の体調が悪いにも関わらず、子育てを優先していることに呆れた場面を思い出す。みちるの処置は無事に終わり、美味しそうなアイスのシールが無事取れたことを知らされ、安堵する優希。琴吹は得体が知れない子供の行動について「面白い」と話すが、優希は子供との時間を優先した妻を恨んでいると話す。琴吹は優希に奥さんは優希の様子も見ていたかったと思う、自分の人生を懸けられるくらい面白い家族は最高だ、と伝える。
処置後、麻酔で眠るみちるを待つ優希は、みちるのリュックの中に優希の誕生日に渡そうと準備していた千絵からの手紙が入っていたことに気付く。手紙には優希へのねぎらいと毎日が充実していることへの感謝、そして「貴方はきっと良いパパになる」と、千絵の思いが綴られていた。手紙を読んだ優希は、守りたかった日常がもう戻ってこないことに気付き涙を流す。泣いている優希を見たみちるは励まそうとするが、千絵と約束をしたアイスを食べられないことに気付き大声で泣く。感情の起伏が激しく、正直でまっすぐに感情を伝えてくる子供という存在に翻弄される優希。優希は愛を伝える方法を知らず、みちるやいちかを生かすことで精いっぱいな日々を送る。

ケンちゃん一家

みちるの通う幼稚園では鼻水からくる風邪が流行っていた。優希は登園の際に、ケンちゃんからうつされたのではないかと他の母親たちが話すのを耳にする。ケンちゃんはみちると同級生であり、ケンちゃんママは働いているため定期の延長保育を利用しているという話であった。そして風邪症状があっても決して休ませないため、母親たちは辟易していた。優希は土曜日に近所のクリニックで外来を始めた琴吹のもとを訪ねる。その際に琴吹から幼児期の鼻水からくる中耳炎の注意事項を聞く。急性中耳炎は発熱などの症状が出るため分かりやすいが、滲出性中耳炎は痛みなどなく耳が聞こえにくくなることで気づくのだという。
ある日みちるがケンちゃんと遊んでいたため、優希はケンちゃんに声をかける。しかしケンちゃんの反応は薄く、耳が聞こえにくいのではないかと感じた優希。ちょうどケンちゃんを迎えに来たケンちゃんママに小児科受診を勧める。夫と協力してはどうかと話す優希に、ケンちゃんママは「奥さんが亡くなるまで羽根田さんの顔を見たことなかった」と言われる。そして数日無視され続けてしまうため、ショックを受けつつも優希はケンちゃんママに琴吹のクリニックに受診するようみちるに伝言を託した。
後日琴吹に会うとケンちゃんは無事受診したようだが、心配なのはケンちゃんよりケンちゃんママの方と聞く。琴吹はケンちゃんママの身なりが綺麗な一方、靴のかかとを踏んで歩いていたことから、足がむくむほど腎臓が悪いのではないかと考えていた。その話を聞いた優希はケンちゃんママに声をかけ、ケンちゃんの子守を申し出た。その間に検査に行くようにケンちゃんママを説得する。ケンちゃんママは自分で罪滅ぼしをしようする優希に「見苦しい」と言い放つ。優希は妻の千絵と同じようになっては皮肉すら言えなくなると伝え、もう一度ケンちゃんママに夫と向き合うよう頭を下げる。ずっと血尿が続いていたケンちゃんママは、ケンちゃんパパにその現実を見てもらい検査に行きたいと涙ながらに訴える。事の重大さに青ざめたケンちゃんパパは琴吹のいる総合病院へ付き添う。ケンちゃんパパは幼稚園への送迎を代わるようになり、ケンちゃんママの体調が戻った後も朝の送迎をすることを決めていた。

マユの好きなもの

奇抜なメイクの正尊(左)に驚いて固まるマユ(右)

朝だるくてなかなか起きられない中学生のマユ。大きな病院で診察してもらうが、異常はないと言われた。ある朝、マユは駅で立っていられずゴミ箱の横で座り込んだ。偶然居合わせた琴吹に声をかけられるが、メイクの奇抜さに驚き逃げてしまう。土曜日、特別なコーチが来るからと部活に向かうマユだが、体がだるくベンチ横で座っているところを琴吹に見つかった。彼から小児科医であることを告げられ、マユは琴吹に受診の経緯や症状を話す。琴吹は辛そうなマユを見て、クリニックで休むよう提案する。
マユの母を待つ間、琴吹はマユとバレーや母の話をする。マユの母はマユをバレーの強い私立中学に行かせるためにパートをしていた。母自身もバレーで全国大会に出た過去があり、娘のマユに対する期待も大きい。マユは母の期待に応えられず、バレーのレギュラー落ちを母に伝えることができないでいた。母とマユの気持ちに行き違いがあると感じた琴吹。マユが好きなものはバレーだと答える母に、琴吹はマユが好きなものは「ママ」と答えていたことを伝える。またマユの病気についても一つの可能性として起立性調節障害があることを伝え、自分の外来に受診するよう勧める。
マユとマユの母に琴吹は、起立性調節障害は自律神経の病気であり、生活習慣の改善と精神面の安定が必要であると説明する。その説明を聞く二人の様子を見た琴吹は、この二人であれば心配ないとマユと母の背中を押す。

みちるの試し行動

みちるは朝から機嫌が悪く、消防車よりウルタラマンのシャツがいい、牛乳よりココアが良いと我が儘を言っていた。そんな行動に呆れた優希はみちるを怒鳴ってしまう。泣き出したみちるは自分でココアを作ろうとして、手に熱湯をかけてしまった。急いで琴吹のいるクリニックへ向かった優希。みちるの熱傷は軽度で済んだが、土曜の朝からみちるを怪我させてしまったことに優希は落ち込む。琴吹は過度でなければ執着やこだわりは様子を見て構わないが、親は大変だろうと優希をねぎらう。琴吹は琴吹の両親が教職員であるにも関わらず、琴吹の大好きなデスメタルのライブによく連れて行ってくれた思い出を話す。琴吹は無条件で味方になれる力を愛情と呼び、親になれば自然と備わるものなのかと素朴な疑問を優希に投げかける。言葉に詰まる優希は、処置が終わった後も我が儘を言うみちると再び言い争ってしまう。そんな二人の様子を見ていた琴吹は優希に、大好きとみちるに伝えているかと聞く。優希の行動をみて、みちるが優希から愛されているか確認をしたいのではないかと指摘された。
みちるは何かにつけ反発し、優希が怒ると泣く。優希はそんな姿にイラつき、愛の言葉なんて出てこない、まだそこに辿り着けていないと感じる。優希に怒られふて寝をしたみちるは、寝言で「パパもスキ」と発する。優希は眠っているみちるに「ごめん」と「好きだよ」を伝えるのだった。

『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』の登場人物・キャラクター

主要人物

羽根田優希(はねだゆうき)

あだ名はハネチン。サラリーマン。千絵が亡くなるまで育児に関わってこなかった。
千絵の両親より同居を勧められるが、シングルファーザーとしての道を選ぶ。
真面目な性格。

羽根田千絵(はねだちえ)

優希の妻。くも膜下出血により急逝する。
主に優希の回想により登場する。明るく優しい性格。

羽根田みちる

優希と千絵の息子。4歳。幼稚園に通う。
わがままな時もあるが、妹の食事介助をしたり幼稚園の友達の母に小児科を紹介したりと面倒見が良い。

羽根田いちか

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