殺さない彼と死なない彼女(漫画・実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『殺さない彼と死なない彼女』とは、SNS漫画家・世紀末による四コマ漫画およびその映画化作品。漫画は当初Twitterに投稿されたもので、2017年にKADOKAWAにより書籍化され、2019年には間宮祥太朗・桜井日奈子のダブル主演により映画化された。「殺す」「死にたい」が口癖のカップル、性格も見た目も正反対の女子2人、告白が日課の女子とそれを受け流す男子という3組の恋と友情を描く物語。映画版では、原作では独立していた3つの物語が1つにつながるというオリジナルの構成が見どころである。

「一緒に生きたいなんてぜいたく言わないから、私が死ぬ時そばにいてほしい」と言う鹿野に対して、小坂が返した言葉。小坂は、死ぬ時にそばにいてもらうのも十分贅沢だとした上で、「人間死ぬ時は独りなんだよ」と言う。「それってなんか寂しいね」とつぶやく鹿野に対し、小坂は「寂しいよ。だからせめて死ぬまで一緒にいよう」と返すのだった。

小坂れい「お前が死んだら俺は少し変わると思うよ」

「私が死んでも世界は何も変わらないよね」と言う鹿野に対して、小坂が返した言葉。自分の命を些細なものだと考える鹿野に対し、小坂は「世界は変わらなくても、お前が死んだら俺は少し変わると思うよ。俺を変えさせるなんてたいしたもんだよ」と答えた。

小坂れい「未来の話をしようぜ」

映画版で、小坂が自分と同じ大学を受験することを尻込みする鹿野にかけた言葉。勉強が得意でなく、「私、頭悪いから無理」と決めつけていた鹿野に対して、小坂は「今日は無理かもしれないけど、明日は分からないだろう?未来の話をしようぜ」と声をかける。この言葉はやがて鹿野から撫子へ、撫子から八千代へと伝えられていき、映画全編を貫くメッセージとなっていく。

『殺さない彼と死なない彼女』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「未来の話をしよう」というセリフでつながる3つの物語

映画版では、小坂と鹿野の物語、きゃぴ子と地味子の物語、撫子と八千代の物語が並行して描かれているものの時系列がずれている。
第一に、小坂が「未来の話をしよう」と鹿野に告げた直後にサイコキラーくんに殺される。葬式には高校一年生だったきゃぴ子と地味子も参列しており、きゃぴ子と地味子の物語は、小坂と鹿野の物語のあとに起こったことだと分かる。
次に、小坂の死の悲しみを乗り越え大学生になった鹿野が、八千代にふられてリストカットしそうになっている撫子に遭遇する。小坂が残してくれた大切な言葉を思い出した鹿野は、撫子に「未来の話をしましょう」と声をかける。
そして最後に撫子が、さっちゃんへの想いを引きずっている八千代に「未来の話をしたい」と伝える。
時系列で並べると、小坂・鹿野→きゃぴ子・地味子→撫子・八千代ということになり、それぞれの物語が「未来の話をしよう」という言葉のもとに集約していく構成になっている。この構成は映画版のオリジナルであり、原作漫画ではそれぞれの物語は独立している。

全治1ヶ月の骨折で舞台挨拶は松葉杖姿だった主演・間宮祥太朗

主演の間宮祥太朗は、映画公開直前に雨で濡れた地面で転倒してしまい、左足を骨折した。全治1ヶ月と診断され、2019年11月15日の初日舞台挨拶では松葉杖で登場して会場を驚かせた。

撫子と八千代の原作での名前は国歌がモチーフ

国家君が代と千代八千代は、映画版では2人とも名前が変更されており、国家君が代は「大和撫子」、千代八千代は「宮定八千代」という名前である。
どちらも日本国歌「君が代」をモチーフにした名前で、君が代が天皇の治世を祝う内容の歌であることから、「天皇不敬」などと批判を受けないために変更されたと推測されている。
「大和撫子」の名前は、原作者・世紀末が「花の名前がいい」と提案したものである。
また、きゃぴ子と地味子も原作ではニックネームしか明かされていないが、映画版では「堀田きゃぴ子」、「宮定澄子」というフルネームが与えられている。

原作者・世紀末のペンネームの由来は「世紀末覇者拳王」

原作者であるSNS漫画家の世紀末は、自身のペンネームの由来を「強くなりたかったので、強い=世紀末覇者拳王と連想した」と語っている。名前の響きが良いことも決め手になった。

『殺さない彼と死なない彼女』の主題歌・挿入歌

主題歌:奥華子「はなびら」

キーボード弾き語りシンガーソングライター・奥華子がこの映画のために書き下ろした主題歌。
実は奥華子はオファー以前に原作漫画を読んでおり、原作者の世紀末も、かつて奥華子の楽曲からインスピレーションを受けて漫画を書いたことがあったという。
奥華子は本作で自身初となる映画音楽も手掛けており、小林監督と話し合いを重ねながら、全21曲の映画音楽を作曲した。

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