エスタブライフ グレイトエスケープ(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『エスタブライフ グレイトエスケープ』とは2022年に放映されたテレビアニメ。原案者でクリエイティブ統括である谷口悟朗が監督を、ポリゴン・ピクチュアズが制作を務めた。AIに管理された未来の東京を舞台に、自分のクラスタに馴染めない人々を逃がす「逃がし屋」の物語が描かれている。多様な人種が存在する世界観や、逃げることをポジティブに捉えるテーマが特徴。エクアという逃がし屋のリーダーとその仲間たちが、様々な依頼人の願いを叶えるために、AIの監視や敵の妨害に立ち向かっていくという展開が魅力である。

『エスタブライフ グレイトエスケープ』の概要

『エスタブライフ グレイトエスケープ』とは、2022年にフジテレビの深夜アニメ枠『+Ultra』で放送されたアニメ作品である。メディアミックス企画『エスタブライフ』の1つで、同じ世界観を持つゲームや映画とは異なる物語が展開される。作品のテーマは「逃亡」であり、区画ごとに分割された地域であるクラスタに馴染めない人々を別のクラスタへと移動させる「逃がし屋」の活躍を描く。原案・クリエイティブ統括はアニメーション監督の谷口悟朗が務め、シリーズ構成・脚本は賀東招二が担当した。キャラクターデザイン原案はコザキユースケが手掛け、アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズが行った。

メディアミックス企画『エスタブライフ』とは、アニメーション監督の谷口悟朗が原案・クリエイティブ統括を務める日本の作品である。多様な人種が存在する未来の東京を舞台とする物語が、テレビアニメ・ゲーム・映画という異なる媒体でそれぞれ展開されている。
『エスタブライフ』のゲームは、スクウェア・エニックスが開発・運営するスマートフォン向けのアクションMORPG『エスタブライフ ユニティメモリーズ』である。谷口悟朗のオリジナル企画『エスタブライフ』プロジェクトの一環として、TVアニメや映画とは異なる時間軸の物語が展開される。舞台はAIに管理された実験都市「東京」で、多様な人種が存在する世界を描く。主人公は自分の居場所を探すために「逃がし屋」として活動する青年「アッシュ」で、仲間たちとともにAIの監視やクラスタの壁を突破する危険な任務に挑む。ゲームの特徴は、キャラクターのカスタマイズやスキルの組み合わせ、仲間との協力プレイなどである。
『エスタブライフ』の映画は、2024年1月5日に公開された劇場アニメーション作品『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』である。メディアミックス企画『エスタブライフ』の1つで、同じ世界観を持つテレビアニメやゲームとは異なる時間軸の物語が展開される。原案・監督・脚本はアニメーション監督の谷口悟朗が務め、アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズが行った。本作は、AIに管理された実験都市「東京」を舞台に、逃亡者キサラギの壮絶な逃走劇を描く。キサラギは、自分の体を改造して不死身の吸血鬼集団「不滅騎士団」に “裏切者” として追われ新宿クラスタへと逃げる。新宿クラスタのヤクザたちも追っ手に加わり、事態は予想外の大抗争へと発展していく。

アニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』の内容は、AIに管理された実験都市「東京」を舞台に、獣人や魔族、サイボーグなど多様な人種が存在する未来の世界を描く。主人公のエクアは、表の顔は喫茶店「ボストーク」の店員で高校生であるが、裏の顔は逃がし屋のリーダーである。彼女は仲間たちとともに、依頼人の望むクラスタへと逃がすために、AIの監視やクラスタの壁を突破する危険な任務に挑む。逃げることにマイナスイメージを持たない彼女たちは、自分たちの生き方を貫くために、逃げて逃げて逃げまくる。
本作は、逃げることの意味や価値を問いかける作品であることと多様性の認められた世界を具現化した作品でもある。視聴者は、エクアたちの逃亡劇にハラハラドキドキしながら、彼らの成長や絆、そして自分探しの旅に共感することができる。本作は、略称として「エスタ」や「エスタブ」、別名として「逃げるアニメ」などと呼ばれており、世間に新しいアニメのジャンルを提案した作品として注目された。本作を語る上で重要なキーワードは、「逃がし屋」「クラスタ」「AI」「多様性」「逃亡」などである。

『エスタブライフ グレイトエスケープ』のあらすじ・ストーリー

逃し屋の流儀

AIに管理された未来の実験都市東京。エクアは表の顔は御茶ノ水大学園都市の聖ユシマ学園に通い、喫茶店「ボストーク」を切り盛りする女子高生だが、裏の顔は望む人をクラスタからクラスタへと逃す逃がし屋のリーダーである。彼女は、仲間の魔族フェレス、スライム人間マルテース、AIロボットアルガ、狼の獣人ウルラとともに、依頼人を救出するためにそれぞれに区切られた地域クラスタの壁を突破する。ポリシーはどんなことがあっても「見捨てないこと」。逃げようとする人は、そのクラスタでの生き方に馴染めず、時には死ぬほどの思いがあって逃げたいと願う。そこから逃げるということは、社会的立場も財産も捨てることになる。クラスタを管理するAI・モデレータは、逃亡者を許さない。だから逃げることには、生命の危機を伴うのだ。それでも逃げ出したければ、逃げるための符牒である独特なリズムのとんずらダンスをしてエクアたちを呼び出し同意書にサイン(母印)して契約することになる。契約が成立すれば逃し屋であるエクアたちは、流血禁止を除けば命の危険を顧みず逃亡者を他のクラスタまで、あらゆる手段を使って無事に送り届ける。それがエクアたち逃し屋の日常であり、流儀なのだ。

クラスタからクラスタへ

エクアたちは逃がし屋の仕事を続ける。
新宿ヤクザ街では仁義のための飽くなき抗争の中、新宿出身のフェレスによる裏道案内で依頼人の三大ヤクザの1つ関八州連合の大親分“一発屋のトイチ”の元へと行き、彼から「新宿から逃げたい」と依頼される。フェレスに用心棒として助けられたことと、仁義の優しさと美を我がものにするという彼なりの持論が加わって、彼には「魔法少女になりたい」という夢があったのだ。跡目のヤオハチを継がせる継承式の際、トイチがニセの襲撃を仕掛ける一芝居を打ってドサクサに逃亡を始めた。二代目のヤオハチと子分たちに取り囲まれるが、フェレスの魔法「ヘブン・ザ・バレット」によって四方八方から発射された全ての銃弾を銃ごとはたき落とす。ヤオハチたちが戦意を喪失し、トイチたちはその場から無事離れた。トイチは打ち上げ花火に紛れて一緒に発射されて、新宿から逃げることに成功したのであった。
お台場温泉郷ではクラスタを管理するモデレータの教えにより、住人たちにノーパンでいることを布教する女神官ビバルデがいた。しかし、彼女は入浴後履き捨てられたパンツが溜まっていきクラスタの生態系を大きく狂わせたという事実から、ノーパンを推し進めるモデレータの方針に嫌気がさしていたのだ。本当はパンツを穿きたい誘惑からエクアたちに逃亡を依頼をする。どこもかしこも温泉施設で占められているお台場クラスタで、フェレスはどうしても恥ずかしさからパンツを脱ぐことができない。抵抗したために警備部隊のドローンに追われる身になったフェレスが、マルテースから強く言われてやっとパンツを脱いだことでエクアたちは依頼人の元へ辿り着く。今度はフェレスはノーパンを見られそうな危機を何度も切り抜けて、一行は海上をボートに乗って逃げ始める。ミサイルの攻撃を避けていると、その1発がモデレータを象った女神像に当たり一部が壊れたことで、女神像がパンツを履いていたことが明らかになった。その台座には「人よパンツを履きなさい」と彫ってあり、結果ビバルデは逃げ出さずクラスタを見守っていくことにするのであった。
白金プラチナシティでは心豊かに暮らせる街として設計されたのだが、人口減少の一途をたどってしまい、いまやたった2人だけのクラスタになってしまっていた。依頼者はその片方である老執事フェルナンで、お嬢様がわがまますぎて耐え忍んで仕えるのも限界に達し、逃亡を望んだ執事は何事もなく無事に逃げおおせた。他の使用人も同じく出ていってしまっていて、幼いお嬢様サンドリヨンは1人取り残されることとなった。ほぼ同時にクラスタの消滅が始まる。サンドリヨンを逃すため、屋敷に戻るとサンドリヨンはエクアたちが逃し屋であることを知っており、消えていくことをも把握して動じていない。それもそのはず、サンドリヨンは白金クラスタのモデレータであった。ある程度わがままなサンドリヨンに応えるという公共事業でクラスタを維持させていたのだ。ある時を境に人が減り始めて消滅を免れなくなったため、サンドリヨンはさらにわがままに振る舞い、住民を避難させようとしていたというのが真相であった。エクアが「やりたいことはありませんか」と聞くとサンドリヨンは「パーティがしたい」と望み、精一杯の料理や王様ゲームといった遊びで大いに盛り上がる。マルテースが逃亡しようと説得するも、サンドリヨンは「今日より楽しい日はないわ」と断る。消えゆく中、サンドリヨンは「あなたたちは最初で最後の私のお友達」と笑顔で言ってクラスタと運命をともにする。残された誰もいない何もない空間で悲しむエクアたち。エクアは「今日のことは忘れません」と心に刻みつけるのであった。

逃し屋が逃げる

ある日から逃し屋の仕事が来なくなり、エクアたちは平和な日常を送っていた。そんな中ドーナツ屋に向かう近道が工事中で通れず、人気のドーナツが並んでいて直前で売り切れるなど、エクアの数秒先の未来を知る「フェイタルラック」が急に使えなくなる。今までなかった事態に一同が動揺する中、喫茶ボストークが突如として監察官ドローンに襲撃される。命からがら逃げるエクアたちだが、エクアたちのいる御茶ノ水クラスタのアップデートが急遽告げられる。その内容は「逃がし屋の取り締まり強化」だった。指名手配されつつ、地下からクラスタを結び縦横に伸びる都営大江戸線に乗って御茶ノ水から出ようとするが、電気が止まり機能を停止しているので線路伝いに隣りのクラスタに向かう。だが隣りのクラスタも「逃がし屋を逃すな」と取り締まっていたのだった。
全クラスタから追われ、行き場のないエクアたち逃がし屋。エクアは能力を失ったことと、今の事態に心当たりがあるという。それは10年前に何か役に立ちたいと思っていたエクアにメッセージを送ってきた、今まで逃がしの依頼をしてきたMさんこと世界の管理者ザ・マネージャーだった。「フェイタルラック」もMさんから受け取った力なのだ。これまでの白金クラスタのことも含め、ザ・マネージャーの権限を超える事態が起きていると考えたエクアたちは連絡を取ることにする。しかしザ・マネージャーと連絡を取るための端末は三軒茶屋魔法街にしかなかった。連絡を取っても雑音と「シネ」など心無いメッセージだけ。
それでも雑音のリズムがとんずらダンスだと見抜いたエクアたちは逃がし屋として見過ごせないと、魔法少女化した一発屋のトイチに助けられながらザ・マネージャーを逃がすため大江戸城へ向かう。上へ昇る城に沿った外のエレベータで、アルガが電気の力で攻撃する放電をしたが、ウルラとともに力尽き倒れてしまった。マルテースが身を挺して後を引き受け、最後の大技・大分裂をし小さな大量の小マルテースになり、敵の攻撃を翻弄する。エクアとフェレスはついにザ・マネージャーに会う。ザ・マネージャーは多様性を尊重してのユートピアを目指していたが、さまざまを求める人間たちの多様性ゆえに失敗し、各モデレータとの折り合いもつかず制御を失いつつあった。「逃げたいですか?」と聞くエクアにザ・マネージャーは否定できず、逃げたい自分を分離し、姿を持たないゆえにエクアたちの記憶からサンドリヨンの姿をもらって逃亡を望む。残され初期化されたザ・マネージャーがエクアたちを敵と認識して排除しようとする。復活したエクアの「フェイタルラック」、サンドリヨンの外見になったザ・マネージャーの弾薬などの援助、合流した仲間たちの力により結集させて大江戸城から脱出することに成功する。
晴れて自由の身となり、サンドリヨンの外見になったザ・マネージャーを新たに仲間に加え、エクアたちの逃し屋の仕事はこれからも続くのであった。

『エスタブライフ グレイトエスケープ』の登場人物・キャラクター

エクストラクターズ

エクア

CV: 嶺内ともみ
逃がし屋のリーダーで、表の顔は喫茶店「ボストーク」を切り盛りする一見したところ常人の女子高校生。過去は一切不明で、遺伝子からの年齢測定も若かったり非常に年老いていたりする。依頼人の想いを肯定して脱出を助ける女神のような優しさを持つ。楽観的で知恵があり、どんな窮地でも数秒先の未来が分かる特殊能力「フェイタルラック」で切り抜けるが、時に無茶な行動に出ることもある。

フェレス

CV:高橋李依
エクアの同級生で、逃がし屋の前線を担当する魔族。早撃ちを得意とする運動神経抜群で長身のガンウィザード。メッシュが入った金髪を、ツインテールにしている。新宿出身でかつて新宿一の用心棒“山猫フェレス”の異名を持つ。クールで勝気な性格だが、恥ずかしがり屋で下着を履いてはいけないルールのお台場温泉郷の仕事では、羞恥心からはじめはパンツを脱げなかった。

マルテース

CV:長縄まりあ
エクアとフェレスの高校の後輩で、逃がし屋の工作および戦闘を担当する群人(スライム人間)で自分のことをマルテと呼ぶ。小柄でピンクのおさげ髪が特徴で子供っぽい性格。スライムの柔軟な肉体を利用して相手の攻撃を間一髪でもよけきることができる。エクアを非常に慕っており、彼女を独り占めしたいと思っている。脳内では幾人もの小さなマルテースが議員として国会を開いている。

アルガ

CV:速水奨
逃がし屋の技術、戦術サポートを担当するAIロボット。頭部と胴体が一体化しているデザインでタイヤ走行で移動する。普段は「ボストーク」の給仕ロボとして稼働し、エクアを「お嬢」と呼ぶ。ハッキングや放電攻撃などエクアたちの仕事をサポートするが、おしゃべりで時にはツッコミやボケもする。

ウルラ

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