タッコク!!!(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『タッコク!!!』とは『週刊少年サンデー超』にて連載された、福地翼による卓球を題材にした漫画作品。卓球がテーマでありながら、ラブコメやバトルの要素、さらにSF要素も組み合わせた異色のスポーツ漫画となっている。4歳の時に将来を誓い合った主人公の丸の内ガクとヒロインの珠野カコは、10年後に再会を果たす。ガクが海外を飛び回っている間に、日本では「卓球告白法」という法律が制定され、交際するには卓球で勝利する必要があった。カコと付き合う為に、ガクが卓球の腕を磨いていく物語である。

『タッコク!!!』の概要

『タッコク!!!』とは、福地翼による卓球を題材にしたスポーツ漫画作品。
『週刊少年サンデー超』にて2009年4月号から2011年2月号まで連載され、単行本は全6巻発行されている。元は『週刊少年サンデー』の2008年13号にて読切作品として掲載された作品だが、後に設定の一部を変更して『週刊少年サンデー超』にて連載化された。福地翼の連載作品3作目の漫画である。

本作は、卓球とラブコメを組み合わせた新感覚のスポーツ漫画で、恋人同士になる為には卓球の試合が必要不可欠となる「卓球告白法(たっきゅうこくはくほう)」が制定された日本が舞台となっている。タイトルになっている「タッコク」とは、「卓球告白法」の略称である。
卓球を題材にしたスポーツ漫画でありながらバトル要素が強く、試合中に選手が負傷し、流血したり試合続行不可になったりするなど派手なアクションが多い。また、常人ではありえない特技や能力を使って戦う選手が多いことから、異能力同士によるバトル漫画に近い作風となっているのが最大の特徴。
原作者の福地翼は卓球経験者であり、ラブコメやSFといったジャンルに興味があったことから、福地翼が漫画でやってみたいことを詰め込んだ内容となっている。試合中に服を脱ぐアイドルやアニメオタクのドイツ人など、個性的なキャラクターが多く登場する点も本作の魅力の1つである。

主人公の丸の内ガク(まるのうち がく)とヒロインの珠野カコ(たまの かこ)は、将来を誓い合った幼馴染み同士。4歳の時にガクは父親の仕事の都合で海外に引っ越すことになり、10年後の再会を約束し、2人は離れ離れとなってしまう。
10年後、ガクは日本に帰国してカコとの約束をはたすが、ガクが海外生活をしている間に日本では「卓球告白法」という法律が制定されていた。好きな相手と付き合う為には卓球で勝利しなければならないという常軌を逸した法律を前に、相思相愛でありながら恋人同士になれないガクとカコ。卓球未経験のガクが全国卓球ランキング1位のカコを相手に勝負を挑み続ける前代未聞の卓球ラブコメである。

『タッコク!!!』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

主人公の丸の内ガク(まるのうち がく)とヒロインの珠野カコ(たまの かこ)は幼馴染みである。しかし、2人が4歳の時に、ガクは父親の仕事の都合で海外への引っ越しが決まってしまう。
それを知ったカコはガクに告白しようとするが、ガクは10年後に必ず帰ることと自分から告白することを約束する。しかし、ガクが海外に引っ越しをした直後、日本では男女が交際する為には卓球で勝負をしなければならないという「卓球告白法(たっきゅうこくはくほう)」という法律が制定された。「タッコク」と省略される卓球告白法の存在を知らないまま、ガクは父親と海外を飛び回る生活を送る。
そして10年後、日本に戻ってきたガクはカコと再会をはたし、約束通り交際を申し込むが、タッコクの制度に阻まれてすぐに恋人同士にはなれなかった。カコの親友である轟ムーコ(とどろき むーこ)からタッコクの説明を受けたガクは、卓球のプレイ経験がないにもかかわらずカコに勝負を持ち掛ける。しかし、ガク以外の人と付き合う気がなかったカコは、10年間で日本1の卓球プレイヤーに成長しており、さらに卓球の試合において手が抜けない体となってしまっていた為、ガクは返り討ちに遭ってしまう。カコから交際を申し込めばすぐにでも恋人同士になれる状況ではあるが、ガクは自分から告白するという約束を守ろうとして、その提案を却下する。
こうして、前代未聞の卓球ラブコメがスタートするのである。

タッコクに翻弄される学校生活

ガクは、タッコクでカコに敗れたものの、両想いの2人は学校内で仲良く過ごしていた。しかし、正式なカップルになっていない男女が体を接触させるとジャッジマンというロボットによるペナルティが発生する為、手も握れない学校生活が続く。
そんなある日、大阪出身の少女・堂島ヒカリ(どうじま ひかり)がガクの前に現れてタッコクを申し込む。ヒカリは、ガクが帰国した日に空港前で犬に襲われそうになっていたところを救われ、一目惚れしていた。地道な調査を続けたヒカリはガクを見つけ出し、恋人になってもらう為にタッコクを申し込んだのだった。
学校の校庭で2人の試合が始まり、カコとムーコはその様子を見守る。運動神経抜群で卓球も上手いヒカリの猛攻にガクは追い詰められるが、アメリカにいた頃に学んだという運動力学を基にヒカリの打ち方の癖やボールの回転の向きを計算して打ち返すことに成功する。そして、ガクはヒカリに逆転勝利し、交際を阻止するのであった。
しかし、ガクのことを諦めきれなかったヒカリは、その後ガク達の学校に転校し、クラスメイトとなるのであった。その後も人気アイドルとして活躍する雲柳寺サイゾー(うんりゅうじ さいぞー)や存在感の薄い同級生・宮崎サチ(みやざき さち)など、個性豊かなライバルが登場し、学校を舞台に多くのタッコクが繰り広げられる。

そんなある日、ガク達は街でカコを盗撮する謎のドイツ人と出会う。「シバ」ことシュヴァルツ・グロスと名乗る盗撮犯は、日本のアニメオタクで観光の為に来日し、好きなアニメキャラそっくりのカコを盗撮していたことを認める。カコのことを気に入ったシバはタッコクを申し込み、高架橋の下で卓球の試合をすることになった。卓球で手加減ができないカコは、シバ相手にも容赦のないサーブやスマッシュを打ち込み、あっという間にシバを負かしてしまう。
しかし、シバは悔しがるどころか、カコの実力を目の当たりにして不気味な笑みを浮かべていた。そして、あえてスマッシュを打ちやすいボールをカコに打ち込み、カコの必殺技である「ビッグバンスマッシュ」を打たせ、それを一瞬で見抜いて打ち返して見せた。突然のことにカコだったが、シバは「打ち返せたのはマグレだ」と言ってその場を去っていく。
カコの実力とガクの存在を確認したシバは、その日の晩にドイツに帰る為、自家用ヘリを呼び寄せる。前髪をかき上げたシバの額には、ガクと同じようなバツ印の古傷が刻まれていた。

シバとの出会いから数日後、ガク達の住む街にカップルから彼女を奪い取る「別れさせ屋」の集団「ネスト」が出現するようになる。タッコクには、正式なカップルでも片方が別の相手にタッコクを申し込まれ負けてしまえば、別れさせることができるという「略奪卓球(りゃくだつたっきゅう)」というルールが存在し、ネストはそれを利用して何組ものカップルを破局に追い込んで楽しんでいるのだった。
ネストは、屈強な体付きで「鬼爪(おにづめ)」の異名を持つリーダー・浅間ニヒト(あさま にひと)と双璧を成すナンバー2の菅原ギガ(すがわら ぎが)を中心に活動しているグループであり、目を付けられれば執念深く追いかけて来る危険な人物だとムーコは説明する。しかし、ガクはタッコクを利用して面白半分にカップルを破局に追い込むネストの行為が許せず、ムーコの制止を振り切ってネストの下へ向かう。
ガク達がネストを見つけた時、ナンバー2のギガが1組のカップルを相手に略奪タッコクをしている真っ最中だった。卓球には、台の上でラケットか体の一部にボールがダイレクトに当たった場合、進路妨害とみなされて相手の得点になる「オブストラクション」というルールが存在する。ギガは絶妙なボールコントロールで、相手の体にわざとボールをぶつけ得点を稼ぐという卑怯な手法を使って、相手を肉体的にも精神的にも追い込み、降参させることでカップルを自然消滅させていた。
勝敗に関係なく、少しちょっかいを出すだけで簡単に別れるカップルの様子を見て高笑いするギガ。そこへガクは「力に屈しない愛はある」と言ってギガに別れさせ屋の廃業をかけたタッコクを申し込む。ガクの生意気な態度にギガは怒りを露わにしてその申し出を受諾する。
卓球の試合が始まると、ギガはわざとバックスピンをかけたボールを打ち、ガクの体勢を前のめりにさせるよう誘導する。そして、ギガはオブストラクションのルールを利用して、ボールを打ち返す為に前のめりになったガクの顔めがけて強烈なスマッシュを打ち込み、追い込んでいく。
それでも諦めようとしないガクの態度に、ギガはさらに腹を立て、本領発揮と言わんばかりに腕に付けていた「アース」と呼ばれる紐をちぎり体に静電気を纏わせた。
ギガは、生まれながらの超帯電体質の持ち主で、電気を地面に逃がすアース線を常に身に付けていた。ギガは大量の静電気を込めたボールをガクに打ち込んで感電させ、今まで以上に体にダメージを与えていく。それでもガクは、ギガが愛情を軽視して別れさせ屋として楽しんでいることを否定し、試合を続行させる。イラついたギガは、さらに静電気を溜め込んだボールをガクに打ち込むが、ガクの顔面に当たる前にボールがそれてアウト判定となる。
愛情や友情を軽視していると発言するギガだが、ネストのリーダーであるニヒトに対しては強い友情を抱いていて、唯一無二の親友だと思っていた。それを見抜いたガクは、ハリウッドにいた頃に身に付けたという特殊メイクの技術で自分の顔をニヒトに似せることで、ギガが顔にボールを打ち込めないように仕向ける。特殊メイクと分かっていながらも、大切な親友の顔を傷つけたくないと本能的に力をセーブしてしまうギガに、ガクは正攻法で試合に勝利する。
負けたギガは別れさせ屋をやめることをガクと約束し、ニヒトにはネストから抜けることを告げる。ニヒトは、ギガが今回のタッコクを通じて精神的に成長していると気付き、ネストからの退団を認めて自由に生きろと背中を押した。それから数日後、ギガは人間の愛情について学ぼうとガクと同じ学校に転校してくるのだった。

タッコクの謹慎処分を解く卓告追試験(タッコクエスト)

ヒカリに続きギガも仲間に加わり、ガク達は賑やかな学校生活を送っていた。ガクはその間に何度もカコにタッコクを申し込むが、返り討ちにあってしまい、相変わらず恋人同士になれないままであった。そんなある日、ガクの前にポストマンという情報伝達ロボットが現れ、タッコクの全てを取り仕切るタッコク庁からの手紙を渡される。手紙には、カコに対して半年間のタッコク申し込みを禁止すると書かれていた。
タッコクは、元々日本国民の卓球スキルを磨く為に制定された法律で、10代の子供に卓球技術を磨かせる為に無理矢理恋愛を絡めたものである。その為、卓球の才能がない者がダメ元で何度も同じ相手に挑み続けるのは時間の無駄だと判断され、30連敗した者は半年間の謹慎が言い渡されるのであった。ガクはこのルールを教えられていなかった為、知らない内に謹慎処分となってしまった。
しかし、手紙には「卓告追試験(タッコクエスト)」に合格することができれば、この禁を免除されるということが書いてあった。卓告追試験は、国が選び抜いた強豪選手5人と順番に対戦し、勝ち抜けば合格となる過酷な試験である。ほとんどの受験者が不合格となり謹慎を余儀なくされるこの試験に、ガクは果敢にも挑もうとする。
5日間の間で猛特訓すると誓うガクに、カコは自分の卓球の先生・九条(くじょう)を紹介した。事情を聞いた九条だったが、ガクが自分の娘のように可愛がっているカコのフィアンセであることが気に入らず、指導を拒否してしまう。なんとしても卓告追試験に合格したいガクは九条に頭を下げて指導を請い、それを見ていたカコやヒカリも九条に頭を下げた。子供達の本気に押された九条は、ガクを鍛えることを渋々承諾し、5日間泊まり込みで稽古をつけると約束する。

卓告追試験の当日、5日間の特訓を受けたガクは応援の為に駆け付けたカコ達と一緒に試験会場へ向かう。建物の中に入ると、ナノ・ブルックスと名乗る案内係の少年が現れ、試験内容の説明と各ステージへの道案内の為同行することになる。強敵揃いの試験官達が次々にガクに襲い掛かるが、これまで全国ランキング1位のカコを相手に勝負してきたガクは彼らの猛攻をものともせず勝ち抜いていった。
最終試験となる第5戦目の試験官は、これまで案内係を務めていたナノであった。1戦目から4戦目までガクの全ての試合を間近で見ていたナノは、ガクの弱点がスタミナであると見抜いていた。試合開始と共に長いラリーを続け、ナノはガクの体力をに削っていく。既に4戦も試合しているガクは徐々にスタミナを減らし、疲れが見え始めていた。ここでナノが「ボクの後ろには最強の守護霊がついている」と宣言し、ナノが取り逃したボールは全て自分の守護霊が打ち返すという必殺技を披露する。どこに打ち込んでも確実に打ち返してくるナノに驚くガクだが、守護霊の存在は否定し、なにかカラクリがあると睨んでいた。そこで周囲を見渡すと、足元が卓球の試合に相応しくない絨毯の上であることに気が付く。絨毯の上で長時間激しく動き回っていたことを知り、ガクはナノの必殺技が静電気引力であると見破る。ナノの体は帯電体質であり、静電気を発生させてボールを自分のラケットに引き寄せていたのだった。ナノの必殺技を見破って勝機を見出したガクは、九条の修行で編み出した相手のラケットにボールが当たる直前で軌道が変わる必殺技「オルドライブ」を使ってナノに勝利する。
無事に5連勝したガクは卓告追試験に合格し、翌日からまたカコヘタッコク申し込みができるようになった。ガクは、新たに手にした必殺技・オルドライブでカコに勝つことを宣言し、正式に恋人同士になろうと約束した。

卓告追試験の翌日、ガクはカコとの約束を果たす為に気合を入れて学校に登校する。多くのギャラリーが見守る中、ガクはいつものようにカコへタッコクを申し込み、2人は試合を開始した。相変わらず手が抜けない体質のカコは、ガク相手にも容赦のない必殺技を次々に打ち込んでいく。しかし、ガクはこれまで幾度となくカコの必殺技を喰らい、さらに大勢の人とタッコクで戦ってきた経験から、カコの必殺技を打ち返すスキルを身に付けていた。
長く激しいラリーが続く中、ガクはカコに勝ちたい一心で高めのゆるいボールを打ち、カコ最大の必殺技「ビッグバンクラッシャー」を誘う。打ち込みやすいボールを前にしたカコは、フルパワーでビッグバンクラッシャーを打つ。ガクはそれをラケットで受け止めて打ち返そうとするが、カコの放ったスマッシュの威力が強すぎてラケットが折れてしまう。休みなくカコと激しいラリーを続けたことで、ガクの体力は限界に達し、そのまま気を失って倒れる。試合続行は不可能となり、ガクはカコにまたしても敗北してしまうのだった。
その翌日、カコやムーコはいつも通り学校に登校するが、そこにガクの姿はなかった。担任の先生から、ガクが昨日急に転校したと知らされ驚くカコ達。誰もガクの転校の理由が分からないまま、1週間が経過する。カコは明るく振る舞っていたが、タッコクで相手に追い込まれる程、ガクの突然の転校に心を乱していた。
絶望感に苛まれ、卓球の試合に集中できないカコを救ったのは、ガクを愛の師匠と慕うギガであった。ギガが「愛を粗末にするんじゃねぇ」と叱咤激励すると、覇気を失っていたカコは元気を取り戻す。そして、どこへ行ったかも分からないガクを探し出し、いなくなった理由を聞くと決意を固めるのであった。

学園AAA(トリプルエー)での生活

ガクは転校する前日に、大泉洋一郎(おおいずみ よういちろう)と名乗る人物と会話をしていたとの目撃情報から、ガクの失踪とタッコクの法律を制定させた元総理大臣・大泉の関係が浮上していた。そこで、ガクの行方を探す為、カコ達はタッコク庁長官・古木来ガマヒサ(こぎらい がまひさ)の下を訪ねるが、「居場所を知りたければ働け」と指示され、カコ達は古木来の屋敷でメイドとしてこき使われるのであった。
慣れない仕事に悪戦苦闘するカコ達だったが、ムーコがメイドの仕事を完璧にこなすという意外な特技を発揮してそのピンチを切り抜ける。しかし、古木来は大泉の居場所を知ってはおらず、代わりに古木来の屋敷で庭師として働いていた元官房長官の福駄(ふくだ)が大泉とガクの居場所を教えてくれた。
福駄の話では、「AAA計画(トリプルエープロジェクト)」というものが存在し、ガクはその計画の為に大泉に呼ばれたのだろうと説明する。カコ達は急いで新幹線に乗って福駄に教えられた場所へ向かう。しかし、AAA実行役のメンバーにカコ達の存在がバレてしまい、刺客は差し向けられてしまう。名古屋駅で確保されそうになるカコ達だったが、そこに偶然ギガの親友・浅間と不良グループのネストが現れてピンチを乗り越える。

一方、カコ達に事情を言わず学校を離れたガクは、謎のバスに乗せられて山奥に来ていた。ガクは、カコと最後のタッコクをする日の朝、大泉から政府が指定する学校に転校してほしいと頼まれていた。ろくな説明もないまま、誰にも事情を言わずに数か月指定した学校に通えば元の生活に戻すことを条件に、ガクは大泉の依頼を承諾するのだった。
ガクはバスの中で龍神ミサキ(りゅうがみ みさき)という少女と知り合い、やがて「学園AAA(がくえんとりぷるえー)」の校舎へと辿り着く。校内には、卓球の精鋭とされる中学生が世界各地から5人ずつ集められていた。ガクとミサキは日本人クラスに振り分けられ、そこで日本の卓球ランキング2位である栗鼠中テト(りすなか てと)、4位の虎堀ジョンタ(とらぼり じょんた)、5位の熊田プータロー(くまだ ぷーたろー)と知り合う。学園AAAでは、理事長を名乗る謎の男・エックスが取り仕切る中、毎日卓球の試合が20回ずつ行われ、試合に1度でも負けた者は退学となるシステムが導入されていた。そして、半年間学校に残り続けた者には、どんな願いでも叶えてくれるという夢のような条件が付けられていた。
初日の第1試合は、ガクとアメリカランク2位のスネーク・モリスだったが、苦戦しながらもガクが勝利を飾る。その後もランダムで決められた組み合わせで試合は続き、1か月が過ぎる頃には、学園AAAの生徒数は7人となっていた。その内、日本人クラスはガクを含めた4人が残っており、大泉が作った卓球告白法の効果がここにきて発揮されたとガク達は悟るのだった。
ガクがチェイナランク1位の王マオ(わん まお)に試合で勝利したことで、生徒数は残り6人となる。1か月間の試合成績から、日本人クラスのテトとジョンタ、ドイツクラスのシバとシバの付き人であるウラ・ロートの4人が特別教室「クラスX(くらすえっくす)」への進学が決定する。クラスXでは、残りの5か月間は退学なしが保証され、最後まで残っていればどんな願いでも叶えてくれることが約束されていた。
クラスXの定員は5人であった為、翌日にはガクとミサキが残りの1枠をかけた試合が開始される。しかし、試合開始の直前、カコ達が学園AAAに辿り着き、ガクとの再会をはたす。学園AAAの生徒は誰も知らなかったが、学園AAAは日本の鹿児島県にある無人島であった。カコ達はAAAの刺客に邪魔され続けていた為、辿り着くまでに1か月かかったのだった。
ガクに一目惚れをしていたミサキは、カコとの再会を心から喜ぶガクを見て失恋したことを実感する。気持ちにケジメを付ける為、ミサキはクラスXの1枠をかけた試合でガクにタッコクを申し込む。雨が降りしきる中、激しい試合の末にミサキ優勢となるが、結局決着は着かなかった。しかし、2人の試合が凄まじい戦いであったことから、試合を見ていたエックス理事長は、特別にガクとミサキ両名をクラスXに入れることを決定する。さらに、日本の卓球ランキング1位であるカコを特別シード枠としてクラスXに迎え入れることを宣言する。そして理事長は遂にその正体を明かすのだが、それはガクの父親・丸の内イノ(まるのうち いの)であった。
人々を笑顔にするピエロとして世界的に有名なイノは、大泉からAAA計画のまとめ役として任命されており、学園AAAの理事長として子供達の成長を見守っていたことを明かす。さらに、10年前の12月24日に大泉が異星人にさらわれ、地球の石油と異星人の持つ高次元技術をかけたゲームを持ち掛けられたことを説明した。突然の出来事に驚いてた大泉だったが、異星人からゲームの種目を決められる権利をもらうと、自分の好きなスポーツ・卓球を選択し、10年後の12月24日に戦う約束をしてしまうのだった。
異星人との約束の後、大泉は世界中の代表にこの事実を全て話し、各国で卓球のスペシャリストを育成する計画「AAA計画」の実行を促す。異星人から提示されたルールは、「10年後に戦う選手を6人決めること」「年齢は12~15歳の少年少女であること」「途中棄権の場合負けとなること」の3つであった。当時、日本の総理大臣だった大泉は、10年後に戦える人材を育てる為に「卓球告白法」を制定し、少年少女達の卓球秘術向上を目指したのだった。学園AAAは、来る決戦の日に向けて各国の鍛え抜かれた卓球チルドレンの最終選抜を行う場であり、選抜選手のさらなる強化を目的として作られた施設であることが明かされた。

地球人対異星人

AAA計画の全貌を知ったAAA選抜メンバーは、その後大泉が指揮を執る中で、5か月間の過酷な強化練習を実施する。そして決戦の当日、ガクはカコと2人きりの時に「もしこの戦いに勝ったらボクと付き合ってください」と改めて交際を申し込む。カコはそれを受け入れようとするが、その時、2人の上空にUFOが出現し、カコを連れ去ってしまった。
決戦の直前に1番の戦力であるカコが誘拐されたことで、ガク達は絶望的な状況となる。決戦場に現れた異星人の代表が現れると、その傍らには誘拐されたカコの姿があった。
異星人の代表は、カコが自分の娘であることを明かし、10年前に地球人と同じ環境下で娘をこの決戦の選手にさせるべく育てたと明かす。カコは、それらの記憶全てを父親によって消されていた為、自分が異星人であることも知らず、10年間普通の女の子として地球で生活していたのだった。全てを知ったカコは、自分では止められないことを悟り、ガクに自分を倒してほしいと涙を流して訴える。ガクは、カコが棄権すれば異星人の負けになると提案するが、カコは異星人でありながら地球人として育てられた為、棄権すれば地球人の意志と捉えられることになる。つまり、地球人がカコと戦うことは避けられず、さらに試合で勝たねば異星人に石油を全て持って行かれ支配されるという危機的状況であることが判明する。残酷な現実を突きつけられたガク達だったが、無慈悲にも試合が始まってしまう。異星人との決戦の様子は世界中で生中継されていた為、ムーコの自宅に集まって試合の様子を見守っていたムーコ、ヒカリ、ギガもカコの正体に驚いていた。
決戦は、異星人側1人に対して地球人側6人で行われる1試合のみとされ、地球人側は途中で選手交代が許される特別ルールとなっていた。まずはカコに次いで強いシバが先陣を切って試合に挑むが、すぐに2ポイント取られたうえに強力なスマッシュを受けたことで戦闘不能に陥ってしまう。ウラも吹き飛ばされたシバを受け止める際に力を使った為、試合に出られなくなる。テトは戦況を先読みする能力に長けた選手だったが、カコとシバの戦いを見て勝ち目なしと判断してしまう。逆境であればある程力を増す攻撃的な戦い方を得意とするジョンタも、カコの強さには手も足も出ず、1ポイント取られただけでシバ同様気絶してしまった。
残された選手はガクとミサキの2人だけだが、ミサキは試合の流れを見てカコに勝つことは絶望的と諦め始めていた。しかし、ガクだけはカコを救い出したいと強く思っており、残りの試合全てを引き受けてカコにタッコクを申し込む。これまでカコに1度も卓球で勝ったことのないガクだったが、半年間の卓球経験と世界各地を旅して身に付けた超人的な身体能力を駆使して、カコからポイントを取っていく。ガクは尋常でない集中力を発揮して戦い、一気に10ポイントを奪ってマッチポイントを迎える。
誰もがガクの勝利を確信していたが、ここでカコが新たな進化を見せ、ボールが卓球台を貫通するという凄まじい威力のスマッシュを無意識の内に打ってしまう。卓球台に接触したボールが床に落ちればポイントが入る為、卓球台を貫通したボールも得点の対象となる。常識的にはあり得ない展開だが、カコはこの技でガクを追い詰めていく。しかし、何度もカコの攻撃を受け続けたガクは、卓球台を突き抜けたボールを床スレスレで打ち返すというカウンター技を編み出し対抗する。さらに、カコが卓球台を撃ち抜く攻撃を利用して、わざと卓球台の表面を破壊させ、カコが打ち返せる範囲を極端に狭くさせたことで、ガクは勝利を収めるのだった。これにより、ガクはタッコクを成功させ、地球人側の勝利も決定した。

エピローグ

地球の命運を懸けた決戦から約8か月後。異星人は、約束通り自分達が作り出した高次元技術を地球人に与えていた。これにより、地球は飛躍的な発展を遂げ、生活スタイルは少しずつ変わっていった。
地球を救った英雄であるガクは、試合に勝ったことでカコと正式にカップルとなり、世界1周の旅に出かけ、2人は幸せな時間を過ごす。しかし、今度はサッカー好きの現在の総理大臣・官田川(かんだがわ)がタッコクに変わる新たな法律「PK告白法」を制定してしまう。ガクとカコは新たな法律を前に、戸惑いながらも2人でならどんなことでも乗り越えていけると誓い合い、物語の幕を閉じるのだった。

『タッコク!!!』の登場人物・キャラクター

主人公

丸の内ガク(まるのうち がく)

誕生日:2月14日
血液型:A型
本作の主人公で、流星中学校2-Bに通う男子中学生。
母親を早くに亡くしている為、父親との2人暮らしである。4歳の時に、ジャグリングをして人を笑わせるピエロを職業としている父親が世界中を旅することになった為、それに同行していた。
父親と共に10年間で190か国の国を渡り歩き、超人的な能力を多数身に付けている。常識はあるものの、かなりの天然でカコ以外の異性にはあまり興味がない一途な性格。
世界中を旅している間に日本にタッコクが制定されていたことを知らなかったが、カコとカップルになる為、帰国後は卓球漬けの毎日を過ごすことになる。カコとは両想いである為、カコからタッコクを申し込めば勝敗に関わらず付き合えるが、自分から告白すると決めているので、タッコクでカコに勝つことにこだわる頑固な一面もある。
卓球初心者であったが、持ち前の身体能力の高さと10年間で培った様々な能力を駆使して一気に上達していく。作中では、カコ以外の相手に負けたことはない。
急速な成長を見出され、学園AAAの選抜チーム・クラスXに入り、後に地球を救う英雄となる。額にある大きな十字傷は、昔ヌーに轢かれた際にできたものである。
必殺技は、強烈なバックスピンで相手の目の前でボールを高く跳ねさせる「オルドライブ」。

ヒロイン

珠野カコ(たまの かこ)

誕生日:7月9日
血液型:B型
本作のヒロインで、流星中学校2-Bに通う女子中学生。
頭の上の方で髪を2つに束ねたツインテールがトレードマーク。明るく素直な性格で、毎日男子生徒からタッコクを申し込まれる程の人気者だが、勉強が苦手でテストの点数は悪い。
ガクとは4歳の時に友達となり将来を誓い合った仲で、10年間ガクとの再会を信じて待っていた。ガク以外の異性と付き合うつもりはないとして卓球の技術を身に付けた結果、才能が開花し、中学生卓球ランキング全国1位となる。10年間タッコクで勝ち続けて来た為、気付けば相手が誰であろうと手が抜けない体質となってしまう。
驚いた時や慌てた時に「はわー」と言う口癖がある他、くしゃみが独特で風邪の時は「レセプション」、花粉症の時は「ハプニング」と、コショウでは「ヘプバーン」、こよりでは「ドンコニシ」になる。ガク以上の天然だが、その正体は、地球育ちの異星人で、カコの父親は地球の勝負を持ち掛けた異星人である。カコは自分が異星人であるという記憶を消されていた為、知らなかった。
必殺技は、超強力なスマッシュを打ち込む「ビックバンクラッシャー」で、その他好きな料理名を用いた「センチメンタルメンチカツ」や「ギザギザぽてち」などがある。

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