GOLDEN SPIRAL(ゴールデンスパイラル)のネタバレ解説・考察まとめ

『GOLDEN SPIRAL』とは、福地翼が『週刊少年サンデー』で2022年から連載をしているバトル漫画。人々は人類最期の島、“すりばちの国”で暮らしていた。主人公、元王国皇子ザビは国民を救うため天使のいない“外の世界(ユートピア)”を求め、情報を収集していた。そんな時、外の世界からやってきたガロという少年と出会う。マグと呼ばれる特殊能力を活かして二人の少年が天使と戦い、国を救うストーリーを楽しめる作品。

『GOLDEN SPIRAL』の概要

『GOLDEN SPIRAL』とは、福地翼が『週刊少年サンデー』で2022年から連載をしているバトル漫画。単行本は2023年3月時点で4巻まで刊行されている。天使によって世界は3日で滅ぼされ、追いやられた人々は人類最期の島、“すりばちの国”で暮らしていた。すりばちの国は海面上昇で徐々に沈み、周りには国民が逃げないように大量の天使が棲みついていた。主人公は天使に国王である父親を殺され、王家の座を剥奪された元王国皇子ザビ。彼は国民を救うため、天使のいない“外の世界(ユートピア)”を求め、情報を収集していた。そんな時、外の世界からやってきたガロという少年と出会う。ガロは記憶のほとんどを失っていたが、ザビが今まで知らなかったヘリコプターや飛行機という失われた文明の記憶を持っていた。マグと呼ばれる特殊能力を活かして二人の少年が天使と戦い、国を救うストーリーを楽しめる作品。

『GOLDEN SPIRAL』のあらすじ・ストーリー

ユートピア

ある日天使が人類に鉄槌を下し、三日で国を滅ぼし、生き残った人類も海面の上昇に追われ行き場を無くしてしまう。そして地上の中で唯一海面上昇を免れた陸地にベルソー王国、別名「すりばちの国」が誕生した。ツンツン頭にサングラスをかけたザビは、すりばちの国で住民を守る護衛班(エスコート)という仕事をしている。エスコートの仕事はすりばちの国の生命線である給水ポンプのメンテナンス、崖崩れの防止、獣から国を守ることだ。すりばちの国では外に世界はないことが常識になっている。国の子供の一人が外にユートピアと呼ばれる別世界があることを願っていると、周りは鼻で笑った。周りから否定され、子供が泣きじゃくっていると、ザビがそばに駆け寄り「ユートピアは必ず存在する」と励ます。

国の貧困率は高く、不満をもっている者も少なくないため、すりばちの国では犯罪が頻発していた。ザビが国の見回りをしていると黒い鎧を着た男が女の子を誘拐し、親に対して身代金を要求している現場を目撃する。現場に割って入ったザビは、男に自分がお金を払う代わりに、女の子を解放するように伝えた。ザビは武器を所持せず、手ぶらの状態で鎧の男に近づく。鎧の男が油断をしていると突然ザビの腕が外れ、中から刀が飛び出し誘拐犯の鎧を切り刻んだ。ザビは人類の0.01%の割合で生まれる変異種、体の一部を人工物化する「マグユーザー」と呼ばれる能力者だったのだ。

ザビはユートピアが必ず存在すると願い、10年間国中にある過去の文献を探し回っているのだが、一向にユートピアに関する情報が見つからない。ザビが神に「オレの命などくれてやる、だからお願いだ」と祈っていると、空から謎のカプセルが飛んできた。カプセルが開くと中からセンター分けで金髪の男の子が飛び出てくる。男の子の名はガロといい、自分の名前とくるくるすることが好きというなぞの情報以外の記憶を失っていた。

ザビがガロにどうやってここまで飛んできたのかを尋ねると、ガロは「ヘリコプターか飛行機で飛んできたんじゃない」ととぼける。ヘリコプターや飛行機の存在を知らないザビは、人間が空を飛ぶ乗り物があることをそこで初めて知った。すりばちの国では、海面上昇は止まっていると噂が広まっているが、実際は海面上昇は進んでおり国滅亡の危機が迫っている。ザビは飛行機やヘリコプターがあれば、国を救えるかもしれないと思い、必死にガロに記憶を戻すようにお願いした。

天使の輪

ザビがガロに記憶を戻すようにお願いしている時、国の端から救援信号が打ち上がる。信号を確認したザビはガロを置き去りにし、全速力でその場に向かった。現場に着くと、置き去りにしたはずのガロが自分のそばにおり、ザビは驚愕する。本来は民間人は立ち入り禁止の区域だが、来てしまったものは仕方ないとしてしぶしぶガロと行動を共にすることになった。すりばちの国の縁は「天使の輪(あんじゅのわ)」と呼ばれており、天使が住んでいるとされている。国の中では守り神とされている天使を一目みたいとガロがお願いをすると、ザビは「危険だからダメだ」と拒否した。

大きな振動が起き、二人の元に天使が現れる。ザビが危険だといった理由は天使は守り神ではなく、すりばちの国から脱出できないようにするための厄災だったからだ。エスコートの本当の仕事は天使から国を守ること。国から外に出ようとする者を容赦無く排除する天使に対抗できる唯一の希望が、ガロの記憶にあると踏んだザビはガロを逃がそうとした。ザビは天使の腕や尻尾を切り落としたがすぐに切れたところが再生し、逆に追い詰められていく。頼みの綱である刀のマグも折られてしまった。ザビがピンチに陥っているとガロが記憶の一部が蘇り、自分もマグユーザーだったことを思い出す。ガロの体はネジ化することができ、ネジの回転を活かしたパンチで天使を崖に落とし、二人は危機を逃れた。

記憶の呼び起こし

ガロが持つユートピアにいくための記憶を呼び起こすために、ザビは黒髪と白髪のツートンヘアのリリー隊長の元を訪れる。リリー隊長はエスコートの隊長の一人であり、催眠療法を得意としていた。穴の空いたコインに紐を垂らし、左右に振るとガロは睡眠状態に陥り、本当のことしか話せない状態になる。質問をしていく中で、ガロが何かしらの命で国を救おうとする存在であること、天使の弱点が左胸にある心臓ということが判明した。さらに情報を引き出そうとするとガロが限界を迎えた。リリー隊長は催眠療法を解き、これ以上の情報を知るためには、ガロと天使の接触が必要不可欠と伝える。

すると三人の元にビャオベンという釘のマグユーザーが現れた。彼は自分のことを「なんでも屋」と名乗り、いきなり攻撃を仕掛けてくる。ビャオベンの任務はリリー隊長の住む家を破壊することだった。ザビとガロが加勢しようとするとビャオベンは釘で二人を磔にする。リリー隊長の家はローサという妻が懇願していた家であり、とても大切なものだった。ローサもエスコートで、リリー隊長と結婚してすぐに天使との戦いで命を落としてしまっている。ビャオベンは、家をなんとしても守ろうとするリリー隊長に一方的に攻撃をし、止めを刺そうとした。すると釘を引きちぎってガロが磔から抜け出し、攻撃を跳ね返す。

家を守ることよりも自分と仲間の命が大切だと目を覚まし、リリー隊長は家への攻撃をものともせず、ビャオベンの隙をつき一撃をくらわせる。ビャオベンが倒されると釘のマグが解除され、ザビも磔から逃れた。ひと段落つくと、気絶していたビャオベンが目を覚ます。そしてガロがビャオベンが家を壊そうとした理由を質問した。最初は自分の服を買うためと嘘をついていたが観念し、自分の妹が病気にかかりその治療費を稼ぐためだと真実を告げる。ビャオベンの妹がかかっている病気はすりばちの国特有のもので、ローサも発症していたものだった。ガロの記憶が戻ることでその病気の治療法が見つかるかもしれないと思い、リリー隊長とビャオベンはガロの記憶探しを手伝うことになる。

エスコート入班試験

ガロの記憶の一部にあった天使の情報から、記憶探しを行うためには天使と遭遇するチャンスのあるエスコートになる必要があった。そこでリリー隊長はガロにエスコート入班試験を受けるように薦める。試験会場に着くと多くの受験者が集まっていた。元々はガロだけが試験を受ける予定だったが、ビャオベンも興味本位で参加することになる。

最初の試験は受験番号が書かれたシールを自分の胸に貼り、渡された紙に落としたい受験者の番号を書くという内容だった。ガロはチンピラのような態度をとるジャルという男に目をつけられ、受験番号を書かれてしまう。全ての受験者が紙に記入し終わると、一次試験の合格者が伝えられた。番号を書かれた者は、「落としたいくらい警戒される人物」であるとして合格扱いされ、ガロもその一人になる。ビャオベンは誰にも名前を書かれず、一次試験で脱落してしまった。

他の参加者の中で自分の番号が書かれていない者が、試験内容に不満を抱き、帽子を被った丸顔の試験官マルケロに抗議する。マルケロは一次試験が乱暴な内容だったことを認め、マルケロが被っている帽子を取ることのできた一名が合格することになる。ビャオベンを含めた一次試験脱落者はなんとしても復活しようと試験官の帽子を奪おうとした。マルケロは腕を拡声器のマグに変化させ、大声で参加者の動きを止め、帽子を取ろうとする者たちの行く手を阻む。周りの脱落者が動きを止めている中、ビャオベンは自分の耳を釘のマグで塞ぎ、大声による攻撃を防ぎながら帽子を獲得し、一次試験を通過した。

イカサマ

試験が終わり、合格者が次の試験会場に向かっていると頭にバンダナを巻いたオッド隊長という男が現れる。オッド隊長は今回の試験の試験官であり、マルケロがあまりにも試験に時間をかけているので様子を見に来たのだ。次の試験はオッド隊長の指揮によって、オセロを弾いてコップで隠し、裏表を当てるという試験に決まる。合格者は裏表を当てることができた先着十名。オッド隊長は電気を操るマグユーザーで、オセロの中に仕込んだ磁石に電気を通し、イカサマをしていた。

オッド隊長のイカサマを見抜きながら裏表を当てるという本試験は、なかなか合格者を出せず進む。そんな中ジャルがオッド隊長に向かって、オセロの裏表を確認するために置かれていた机をどかすように指示をした。見事裏表を当て、1番最初に試験に合格。続いてビャオベンが挑戦した。ビャオベンは一枚の紙を用意し、すでに答えは記入したと告げる。コップが退けられオセロの色を確認すると、とっさに指についた血で正解を後書きした。その後、合格者は四名になり、残る挑戦者はガロだけになる。ガロは自分でコイントスを行いたいと言い、オッド隊長からオセロを受け取った。そして隊長に裏表を当てるように指示をする。コイントスを始めオセロがガロの手で隠された。オッド隊長は手で隠される前にオセロの向きを確認していたため、自信満々に答える。ガロはオセロを手で隠す際にネジのマグを使いオセロを白と黒の二枚に分け、オッド隊長を欺くことに成功し合格した。

宝探しゲーム

運試しの次は4ヶ所に隠された鍵を見つけ出すという試験に決まる。各箇所に配置された鍵がオッドがもつ鍵と重なり1つの鍵となるというものだ。オッド隊長が持つ鍵とぴったり合わさる鍵を持ってきた四名が合格になる。試験がスタートすると参加者はそれぞれ鍵を探しに散らばっていった。ビャオベンが向かった洞窟には1つの鎧が用意されており、その先に荊で封鎖された道がある。他の参加者は鎧をきて荊の道を進むために争っていたが、ビャオベンは鎧を着ずに荊の道を生身で進み、鍵を勝ち取った。

一方ガロは2つの穴が空いており、どちらかの穴を選びロープをたぐるというものに挑戦する。ガロがどちらの穴にするか迷っていると、メガネをかけ口元をマスクで隠しているサミエルという男がやってきた。サミエルとガロは互いに穴を選びロープをたぐり続けるが、全く鍵には到達しない。ガロはマグを使って自分の体を高速回転させ、ロープをものすごい速度で巻き取っていった。その姿を見たサミエルはガロを利用する方が早いと判断して自分の手を止め、自分の穴もガロに譲ると提案した。試験の残り時間が30分をきったところでようやくロープを巻ききり、ガロは鍵を手に入れる。

1番最初にオッド隊長の元にたどり着いたのは、ビャオベンだった。ビャオベンは手に入れた鍵は、オッド隊長のものと100%一致しており、無事合格する。それに引き続き、ムギとジャルも合格した。4番目に到着したガロはがオッド隊長に鍵を差し出すと、大きさが違っており50%しか一致していないため、合格ではないと告げられる。ガロが手にした鍵は2つ合わせて初めて100%一致になるものだったのだ。そこにサミエルが来て、「自分が鍵を手に入れたのではなくガロがくれた物だから」と自分が持っていた片割れの鍵をガロに差し出した。四名合格の試験のため、サミエルが諦めた表情をしていると、ガロがオッド隊長に向かって「サミエルの鍵はサミエルのものだから、サミエルも合格じゃなきゃいやだ」と告げた。オッド隊長はしぶしぶ五名を合格にする。

最終試験

オッド隊長が最終試験に選んだのは、天使の輪にいる初級レベルの天使を倒すという内容だ。ガロ以外の合格者のムギ、ジャル、ビャオベン、サミエルは世間的にはベルゾー王国の守り神として言い伝えられていた天使が、実は国民を閉じ込めていた化け物であることをここで初めて知った。オッドはこの天使を倒せたものがエスコートになれると伝える。初めて見る天使の化け物に怯え、体が固まってしまう他の合格者をよそにガロは一人で天使に立ち向かおうとした。しかし天使の攻撃になすすべなく、吹き飛ばされる。一人では立ち向かえないと悟ったガロはみんなで力を合わせて天使を倒すことを提案した。

まずはビャオベンが天使の足の関節に向かって釘を打ち込む。釘が関節に引っかかり足が止まったところをムギが体当たりし、横転させた。バランスが崩れたところをガロとジャルが下から突き上げ裏返しにする。最後はサミエルが槍のマグで天使の弱点である左胸の心臓を突き刺し、見事天使を倒した。オッド隊長が天使を倒した五名に合格を告げると同時に、エスコートの仕事が国民を天使たちから守る仕事であり、やるかどうかは自分たちで判断するよう告げる。五人は全員、エスコートになることを了承した。

『GOLDEN SPIRAL』の登場人物・キャラクター

主人公

ザビ

ベルソー王国の元皇子。国王が天使に殺害され、王家の座を剥奪されてからは「壁町出のザビ」と名乗り、国の住民には素性を隠し生活している。刀のマグを持っており、腕を外すことで刀が飛び出す。外の世界が存在すると願っており、外の世界を見つける方法を模索している。外の世界からやってきたガロと共にユートピアに行く方法を模索中。

ガロ

linus1989m5
linus1989m5
@linus1989m5

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