サイコアゲンスト(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サイコアゲンスト』とは、集英社のWebアプリ『少年ジャンプ+』に掲載されているSFアクション漫画。原作は平石六で、作画は景山愁である。2018年6月から2020年3月まで連載をしていた。
近未来、遺伝子異変から第二進化型人類、通称「セカンド」と呼ばれる人類が生まれた。そんな時代、主人公の黒崎レオンは、娘のマヤを殺された。その怒りを犯人にぶつけた際、銃で撃たれて脳を損傷。それを起因として後天的に「セカンド」となった。全ての悪を憎む黒崎は、「犯罪者殺し」として世間を騒がせていくのだった。

『サイコアゲンスト』の概要

『サイコアゲンスト』とは、集英社のWebアプリ『少年ジャンプ+』に掲載されているSFアクション漫画。原作は『ジャンプルーキー!』出身の平石六で、作画は景山愁である。2018年6月から2020年3月まで連載をしていた。単行本は全5巻。

近未来、遺伝子異変から第二進化型人類、通称「セカンド」と呼ばれる人類が発生した時代。ドイツ出身の外科医である主人公の黒崎レオン(くろさき レオン)は、娘のマヤを強姦された上に殺害された。その怒りを犯人にぶつけるが、その時に犯人に銃で撃たれて脳などに重症を負った。それが起因して、黒崎は後天的に「セカンド」となった。黒崎は犯罪者がはびこるこの世界を許すことができず、犯罪者を次々に断罪し、「犯罪者殺し」として世間を騒がせていく。

『サイコアゲンスト』のあらすじ・ストーリー

「セカンド」になった黒崎レオン

犯罪者におぞましい完成図を見せつける黒崎レオン。

近未来、遺伝子変異を引き金に体の一部の機能が特化した第二進化型人類、通称「セカンド」が発生した。そんな時代のこと。ドイツ出身の外科医・黒崎レオンは、早くに妻に先立たれ、娘のマヤと2人で暮らしていた。

ある日、16歳のマヤが自宅に押し入ってきた暴漢によって強姦され殺害された。犯人はこれまでも同様の手口で人を殺しており、すぐに逮捕された。大事にしていた娘を傷つけ殺した犯人に黒崎は激しい怒りを覚える。そして犯人を自らの手で裁くことを決めた。犯人を移送中の車を襲った黒崎は、犯人にとって死はもはや救済措置と同意。生きたまま苦痛を与えなければならないと持論を展開し、犯人を引き渡すように警察に要求した。その騒動に紛れて警察の銃を奪った犯人は、黒崎に発砲。黒崎は体や脳に銃弾を受けて重症を負った。しかし脳が損傷した影響か、黒崎は後天的に「セカンド」の能力を発現。犯人に対して断罪した。

それからというもの、黒崎は犯罪者を殺して回るようになった。黒崎は罪を犯して逃げているものを追い、完成図と書いた裁きの絵を残していく。黒崎は「犯罪者殺し」と呼ばれるようになり、世間を騒がせ始めるのだった。

「東京大監獄」の脱獄囚達との戦い

「犯罪者殺し」として世間を騒がせ始めた黒崎は、今はもう捨てられた郊外の団地地帯(通称;墓場街)を潜伏先にしていた。ある日、墓場街にセカンド監視局の神風エリス(かみかぜ エリス)が偶然やってくる。セカンド監視局とは、危険因子と判断されたセカンドを捕獲したり処刑したりする政府の機関。特に「狩り専門」部隊は、その中でも優れた局員である。エリスは「狩り専門」部隊の局員で、黒崎を見つけた時は、仕事として黒崎を処刑しようとしたが、黒崎から全く殺気を感じなかったため、黒崎を処刑することをためらった。世界で初めて後天的にセカンドとなった黒崎に個人的な興味を抱いたエリスは、それ以降黒崎の元へ押しかけて行動を共にするようになる。黒崎のほうはマヤと同じ頃の年頃のエリスを見て、徐々に心の傷を癒やし始めるのだった。

そんな時、セカンド受刑者専用施設「東京大監獄」で事件が起きた。50年収監されていた八蛇剛(はちだ つよし)が脱獄をしたのだ。「東京大監獄」の看守(セカンドを含む)を50人以上殺害し、その混乱に乗じて、他の囚人達が120名脱獄。前代未聞の事態となった。八蛇はセカンドの中でも特化型と呼ばれる上位の存在であり、人でありながら化け物のような存在だった。元宣教師である八蛇は収監中に集めた信者を連れて、監視局員を目指す学生が通う監視局アカデミーを襲撃。学生や教員、職員を殺したり、重症を負わせるほど痛めつけたりとやりたい放題をする。

そこへ駆けつけたのは、エリス、監視局特殊第4部隊隊長・如月一輝(きさらぎ いっき)、監視局神奈川支部特殊第1部隊隊長・内藤冥愛(ないとう めあ)だった。3人はこれ以上八蛇を好きにさせないために戦ったが、八蛇の異様で圧倒的な強さを前にピンチに陥る。如月、内藤が倒れ、エリスもピンチに陥ったその時、落雷と共に黒崎が現れた。黒崎はたった1人の友人であるエリスを傷つけられたことに激昂し、「千億の死に値すると知れ」と八蛇に怒りの鉄槌を加える。そして八蛇は絶命した。

その後、集まってきた監視局員に囲まれて黒崎もピンチになったが、結果として黒崎に助けられた如月や内藤の助力で、エリスとその場から離脱することができた。

由羽村(ゆはむら)にて

「東京大監獄」の一件で八蛇を始めとする犯罪者を制圧して民間人の救助を行った黒崎。世間は「犯罪者殺し」の黒崎の見方を変えていく。そんな中、由羽村(ゆはむら)に住む優理(ユウリ)という少女を連れた如月が墓場街を訪ねてきた。人口300人の由羽村の人間が一夜にして消えたという。由羽村近隣の村でも10年以上前から神隠しが起こっていたが、その事実は監視局東京本部局長の梶山源氏(かじやま げんじ)によって隠蔽されていた。そのことを不審に思った副局長のギルバートが、如月に極秘の調査を依頼したのだ。如月は人手も欲しかったし、八蛇の一件で黒崎にただの犯罪者ではない何かを感じたため、調査に同行するように声をかけに来たのだ。黒崎はこれを了承し、エリス、如月、内藤、優理と共に由羽村に向かった。

由羽村には報告通り人っ子一人いなかった。黒崎達は近隣の山を手分けして捜索。内藤はその道中で死んだはずの八蛇に遭遇した。何やら改造を施された八蛇は、以前戦った時よりもずっと強くなっていた。内藤は如月と合流したが、それでも苦戦を強いられる。そこへ現れたのは、「東京大監獄」を脱獄したロシア監視局元局員のブラドミア・ペトロフだった。ブラドミアは囚人だが、気質は黒崎に似ており、犯罪者を憎んでいる。そこを梶山にスカウトされたのだ。ブラドミアは、八蛇を一撃で倒し、如月や内藤に実力の差を見せつけた。

一方その頃、黒崎、エリス、優理は、山奥にある洞窟の奥に見つけた研究所内部へと足を踏み入れていた。そこには消えた由羽村の住人達がなにかの実験を施されていた。黒崎はエリスと優理を一旦研究所外に逃し、1人で戦う。黒崎は研究所を制圧し、村人を救うことができた。しかし300人以上いたはずの人はほとんどが実験の過程で死んでおり、助け出せたのは50人程度だった。黒崎は救えたはずの命が救えなかったことに絶望し、エリスはそんな黒崎を慰めた。

そこにブラドミアが現れる。ブラドミアは黒崎に喧嘩をしようと吹っかけた。しかし黒崎は監視局員と戦いたくないと防戦に回る。それを見たエリスは黒崎をイジメるなと黒崎の代わりにブラドミアと戦闘。内藤が仲裁に入ったことで戦闘は終わり、ブラドミアは去っていった。そして黒崎達もまた帰路につき、互いに仕入れた情報を交換するのだった。

港での激戦

黒崎とエリスが墓場街に戻ってくると、突然少女が1人訪ねてきた。それはブラドミアの妹リーシャ・ペトロフだった。リーシャはブラドミアの過去を話し、ミリテックへの復讐のために己の身を滅ぼしかねないブラドミアを助けてほしいと涙する。黒崎はそれに対して、もちろんと答えた。

とある港でミリテックが兵器の取引を行っている情報が入った。監視局のギルバートは局長の梶山に取り締まるように掛け合ったが、ミリテックの息がかかった梶山は取り合わない。そのためギルバートは、如月、監視局特殊第3部隊隊長・早乙女慎之介(さおとめ しんのすけ)、監視局特殊第8部隊隊長・阿久津勝矢(あくつ かつや)と部隊を率いて港へと向かった。そこでミリテックの兵士達と全面戦争になる。始めは監視局が押していたが、ミリテックが生体兵器を投入したことで形成が逆転。監視局側はどんどん追い詰められていった。そこへエリスが、内藤率いる神奈川支部全部隊を率いて援護に駆けつける。またまた形成が逆転して、監視局側がミリテックを押し始めた。

一方エリス達が戦っている別の場所から黒崎が単身倉庫に侵入。先に港に来てミリテック最強の傭兵アゼル・スナイと戦っていたブラドミアの元へと駆けつける。ブラドミアは過去アゼルに弟や親友を含む仲間を殺されており、アゼルを恨んでいた。ブラドミアは1人アゼルと戦うが、途中リーシャを人質にされて、思うように叩けなくなってしまい、兄妹共にピンチに陥る。そこへ能われたのが黒崎だった。黒崎はアゼルに一発かました後、ブラドミアに発破をかける。黒崎に励まされたブラドミアは、過去仲間と過ごした日々を思い出し、己を奮い立たせてアゼルを倒すことに成功した。

アゼルが倒されたミリテックは、逃げるために兵器を積んだ船から最終兵器を稼働させる。それは見上げるほどばかりの大きさを持つ異形の巨人だった。物理的に巨大な敵を相手に監視局は徐々に押され始める。内藤と神奈川支部のエース・桐原流華(きりはら るか)が先頭を切って挑むが、なかなかトドメが刺せない。その時どこかから閃光の如く現れた黒崎の蹴りが巨人の頭を貫いた。

ミリテックとの最終決戦

港での激戦が終わった後、黒崎の元に1通の手紙が届いた。それはミリテックからの招待状だった。中には黒崎の娘・マヤがコールドスリープしている容器が写った写真もある。黒崎は亡くなったマヤの遺体をドイツでコールドスリープさせていたのだ(日本では法律上できなかったため)。コールドスリープで長い眠りに付けば、いつか死者が蘇る時代が来るかもしれない。黒崎はそんな一縷の希望に縋り、マヤをコールドスリープさせた。しかしそのマヤの遺体はミリテックの手に落ちてしまった。黒崎はミリテックの要求を飲み、1人でミリテックの拠点がある北海道を目指そうとした。しかし黒崎の様子を怪しんでいたエリスによって黒崎が1人でミリテックに乗り込もうとしていたことは、ブラドミアや如月、内藤達に伝わる。黒崎に助けられた恩を返すために、今度はエリス達が黒崎を助けるのだ。

黒崎、エリス、如月、内藤、ブラドミアは、北海道のミリテックの拠点近くへ潜入。しかし途中妨害を受け、如月達がそれを食い止めている間に、黒崎とエリスだけ先にミリテックへと向かった。拠点にはミリテックの私設兵団の屈強な戦士達が待ち受けていた。しかし黒崎はそれをものともしない。ミリテック最強と言われる兵士・ドミニクまでもを屈服させてしまった。そこへ如月達やミリテックを潰すために集まった全国の監視局員、世界三大脅威の1つでミリテックと対抗していたデルリオ家も集合。全員でミリテックを追い詰めていった。

そこに現れたのはマヤだった。ミリテックはマヤの遺体に人工筋肉を移植して電気を流し、生きているように操る。それに黒崎は激昂。怒りでできた隙をついてミリテックは黒崎に攻撃し、重症を負わせる。そしてとどめと言わんばかりにマヤに攻撃の矛先を向けた。マヤを守るために黒崎は走り出す。それと同時にエリスも走り出していた。黒崎がマヤをかばい、エリスが黒崎をかばう。おかげで黒崎とマヤは無事だったが、エリスは臓器が消し飛ぶほどの重症を負って死んでしまった。

その時、再び黒崎の力が覚醒する。黒崎は医者として傷ついた人を治す力をずっと欲していた。黒崎に眠る力はそれに応えるように、治癒と再生の能力を黒崎に与えた。黒崎はエリスの傷を完全に治し、エリスは蘇る。そして新たに手に入れた力で黒崎は集まっていたミリテックの兵士を全滅させた。これにより黒崎は第二進化型人類「セカンド」を超える存在、第三進化型人類「サード」と認定され、ミリテックに代わる世界三大脅威に数えられるようになるのだった。

戦いの果てに

治癒と再生の能力によって黒崎の娘・マヤも生き返った。生き返ったマヤの側にはずっとエリスがついており、黒崎の今までの活躍を伝える。黒崎は稀代の犯罪者である自分がマヤに会う資格はないと、マヤに会わずにその場を去ろうとするが、マヤのほうが黒崎に会いにやってきた。待望でいた再会に黒崎はマヤを抱きしめて涙する。

それからも黒崎は超常的な力を使って世界を飛び回り、今日も悪を断罪するのだった。

『サイコアゲンスト』の登場人物・キャラクター

主人公

黒崎レオン(くろさき レオン)

年齢:40歳
身長:187cm
体重:74kg
好きなもの:絵画、人命救助、映画
戦闘スタイル:空手をベースにした自己流

ドイツ出身の外科医。妻を早くに亡くし、残された幼い娘・マヤとずっと一緒に生きてきた。マヤが16歳になり、黒崎の誕生日に悲劇は起きる。マヤが暴漢に侵され、その挙げ句に殺された。犯人はすぐに逮捕されたが、黒崎の怒りは鎮まらず、黒崎は自らの手で犯人を断罪することを決意。しかしその過程で犯人から銃撃を浴びてしまった。脳を損傷した黒崎は、世界で初めて後天的に第二進化型人類「セカンド」へと生まれ変わり、体から電気を発するなど、超常的な力を手に入れる。その力を使って世界の犯罪者を断罪し、「犯罪者殺し」として世間を騒がせていくのだった。

セカンド監視局

神風エリス(かみかぜ エリス)

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