恋のようなものじゃなく(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『恋のようなものじゃなく』とは、少女漫画雑誌『別冊マーガレット』で南塔子により連載された恋愛漫画である。「恋」が分からなくなっていた小山内 未仁(おさない みに)は、幼馴染の楠瀬 千耀(くすのせ ちあき)と再会する。千耀への想いが「恋のようなもの」じゃなく「恋」ならいいと願いながら、未仁は初めての感情に戸惑いながら「恋」と向き合っていく。しかし、千耀には遠距離恋愛をしている彼女がいた。お互いの事を想いながらもすれ違い、「恋」をする幸せを知っていく恋愛物語である。

未仁と千耀がお互いに意識し始める

千耀(下)との近すぎる距離に意識する未仁(上)

店内の模様替えをする為に、千耀の母親に買い物を頼まれた未仁と千耀。その日の夜、2人で花火を楽しむ中、未仁の手に火花が飛んでしまう。慌てた千耀は未仁の手を掴み水道で冷やすが、未仁は距離の近さにドキドキしていた。真っ赤になっている未仁の顔を見た千耀も、未仁の事を意識し始める。以来2人の間に流れる空気が変わり、目が合うだけで引き込まれるような感覚を感じるようになる。ただの幼馴染とは違う関係に進展し始め、今後の2人の恋模様に目を引くシーンとなった。

楠瀬 千耀「好きなんだ、未仁ちゃんのことが」

千耀への気持ちを忘れるまで限定で、未仁は流絃と付き合う事になった。未仁と流絃の事が気になる千耀だが、文化祭で未仁を傷付けた事を思うと積極的になれないでいた。そんな中、未仁と千耀の関係にイライラしている七緒は、「未仁のためにそっとしといてあげたいっていうなら、中途半端に関わらないで。完全に離れてあげて」と千耀に言葉をかける。放課後、雨が降っていて困っていた未仁に、千耀が傘を差し出す。流れで一緒に帰る事になり、未仁は千耀を意識しないようにするが、走ってきた車から庇ってくれた千耀との距離が近くなり平常心ではいられなくなる。顔を真っ赤にする未仁を見た千耀は、「離れたくない」と思わず抱き締め、「好きなんだ、未仁ちゃんのことが」と告白する。未仁は「彼氏がいるから」と断るが、自分の気持ちに素直になる事を選んだ千耀は「未仁ちゃんが誰と付き合ってても、付き合ってなくても、俺の気持ちは変わらないから」と伝えた。千耀の未仁への想いが、終わったはずの恋を再び動かし始めた台詞である。

千耀への気持ちを忘れたくないことに気付いた未仁

未仁・千耀・七緒・流絃の4人は買い物に来ていた。未仁が千耀に告白された事を知っている流絃は、「千耀と付き合う気がないなら『大っ嫌い!今後一切近寄るな!』くらい言うべきだ」と助言する。流絃の言っている事は理解出来るが、結局千耀には言えず、どうして言えなかったのか未仁は考える。嘘でも「大っ嫌い」と言ってしまえば、千耀が離れていってしまう。それは嫌だと思った時、千耀への気持ちを忘れたくない事に未仁は気付く。千耀を好きでいると、人を傷付けたり嫉妬したり、嫌な面が見えてきて自分の事を嫌いになりそうだった。しかし、そんなマイナスな感情も含めて千耀への想いだという答えに辿り着く。閉じ込めようとしていた千耀への気持ちを改めて自覚し、再び一途な恋にぶつかっていく決意をした未仁だった。

小山内 未仁・楠瀬 千耀「恋だよ」

千耀に告白する事を決意した未仁は、千耀をナイトプールに誘う。2人で楽しいひと時を過ごし、未仁は流絃と付き合っているのは嘘だと打ち明けた。昨年の文化祭で飛鳥と会った時、千耀を好きでいてはいけないと思った事、2人が別れたと聞いて罪悪感から逃げたくて離れたかった事を話す。それでも千耀と離れたくない、想っていたいという言葉に続けて、「私は千耀くんが好き」と未仁は気持ちを伝える。今まで未仁は流絃と付き合っていると思っていた千耀は信じられず、「幼馴染としてじゃなくて…?」と聞く。相手に意味を分かってもらわなければ伝えた事にならないと思い、「幼馴染とか友達としての好きじゃなくて、恋だよ」と改めて告白する未仁。千耀は未仁を抱き締め、「俺だって、ずっと未仁ちゃんのことが好きだよ。恋だよ」と想いを伝えた。遠回りをして想いが通じ合い、「恋」というかけがえのない気持ちを確かめ合う2人だった。

楠瀬 千耀「俺の彼女になってください」

千耀と想いが通じ合った未仁は、「好き」とは伝えたが「付き合って」とは言っていない事に気付く。花火大会で言おうと意気込んでいたが、その度に千耀に遮られてネガティブになってしまう。千耀に誘われて夜景が見える場所に来ると、「後ろ向いて」と言われて未仁は素直に従う。その後千耀の驚いた声が聞こえ、それに驚いた未仁が振り返ると、ボロボロになった花が目に入った。ナイトプールの時は未仁から気持ちを伝えてくれた為、今回は自分から言いたかったと千耀は打ち明ける。ボロボロになってしまった花はあげられないと日を改めようとしたが、「ずっと千耀くんに人混みから守ってもらっていたこの花が良い」と未仁は言う。千耀は未仁に花を差し出し、「俺の彼女になってください」と告白した。未仁は花を受け取り、笑顔で「よろしくお願いします」と答えた。ただの幼馴染だった2人が、恋人へと進展した瞬間だった。

『恋のようなものじゃなく』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者が拘った黒髪男子

『テリトリーMの住人』のメインキャラ・宏紀

単行本1巻の巻末おまけページに記載。
南塔子の前作『ReReハロ』『テリトリーMの住人』では、2作連続で白髪キャラがメインをはってしまったため、「今作こそは黒髪男子を描くと決めていた」と書かれている。また「気が付くと白髪キャラばかり描きがちになる」とも作者は語っている。

作者が意識して前作と差別化するヒロイン

前作『テリトリーMの住人』のヒロイン・瑛茉はあまり感情を表に出さない

単行本1巻の巻末おまけページに記載。
作者の南塔子は新作を描く時、「ヒロインは大体反動で前作と全然違うタイプの子を描きがち」と書かれている。前作『テリトリーMの住人』のヒロイン・瑛茉はあまり反応を示さない女の子だったが、今作のヒロインである未仁は何かある度に反応する上、心の声も凄い。瑛茉の無反応振りに慣れてしまっていた作者は、「多少難儀しながら未仁を描いている」と語っている。

tari mochi
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