メカクシティアクターズ(カゲロウプロジェクト)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『メカクシティアクターズ』とは、マルチメディアプロジェクトである「カゲロウプロジェクト」の異能力系アニメ。特殊な能力「目の能力」を持つ登場人物たちが同じ世界を繰り返す「カゲロウデイズ」から抜け出すために、それぞれの能力を駆使しながら黒幕である「冴える蛇」と戦う物語。リリースされている音楽・小説・漫画等は若年層を中心に絶大な支持を得ている。楽曲のボーカルにはVOCALOIDを使った音源が使用されており、代表曲は「チルドレンレコード」「カゲロウデイズ」「ロスタイムメモリー」など。

『メカクシティアクターズ』の概要

『メカクシティアクターズ』とは、『カゲロウプロジェクト』を元に2014年4月から6月まで放送された「シャフト」制作のアニメである。原作は佐藤まひろによって、2012年7月から2019年3月まで月刊コミックジーンで掲載された。1話ごとにキャラクター固有の楽曲が挿入されているが、そのボーカルにはIA -ARIA ON THE PLANETES-(イア・アリア・オン・ザ・プラネテス)、通称「IA」や初音ミクといったヤマハの歌声合成技術(VOCALOID)を使用した、機械のボーカル音源が使われている。また、曲名が各話のサブタイトルになっている。
アニメも有名であるが、楽曲のみを知っている人も多い。代表曲は「カゲロウデイズ」、「ロスタイムメモリー」、「チルドレンレコード」、「夜咄ディセイブ」などが挙げられる。2016年4月時点で音楽パッケージの累計発売数は70万枚を突破し、書籍の累計発行部数は2021年4月時点で1500万部を突破している。小学生から大人まで幅広い世代で人気のアニメである。主要な登場人物それぞれの「目」には固有の能力が存在し、その能力を駆使しながら物語が進んでいく構成になっている。
『メカクシティアクターズ』の元となった『カゲロウプロジェクト』とは、音楽家・小説家・脚本家のじん(自然の敵P)によるマルチメディアプロジェクト。じんが2011年から発表している楽曲に加え、2012年に楽曲で描かれるストーリーを題材に制作した小説、じんの原作を元にした佐藤まひろによる漫画が発表されている。最初の作品は2011年2月にじんが動画共有サービスニコニコ動画で発表した曲「人造エネミー」。この楽曲はパソコンのソフトウェアからの主観とメッセージを描いた曲で、後に公開された小説や漫画の第1話に対応している。

『メカクシティアクターズ』のあらすじ・ストーリー

メカクシ団への誘い

ある日、パソコンのパーツを買いに出掛けたシンタローこと如月伸太郎(きさらぎ しんたろう)は、テロリストたちの起こした立てこもり事件に巻き込まれてしまう。なんとか脱出を試みるシンタローだったが、あと一歩というところで銃声を耳にして、そのまま気を失う。
次に気が付いた時、シンタローは謎の組織のアジトの中にいた。なぜかそこにいたモモこと妹の如月桃(きさらぎ もも)が言うには、ここは「メカクシ団」という組織の拠点であるらしい。

メカクシ団とは、「目」に関する特殊な能力を持つ若者たちによるグループで、モモはごく最近これに参加して自身の能力の訓練に仲間を付き合わせていた。この時たまたま出掛けた先でテロリストの立てこもり事件が発生し、メカクシ団の面々はそれぞれの能力を駆使してこれを解決。独自に動いて気を失ったシンタローを回収したのだった。
シンタローもまた見たもの全てを記憶して忘れることのない特殊能力を持っており、これを知られてしまったことから半ばむりやりにメカクシ団に参加することとなる。

絆と災い

メカクシ団の面々は、それぞれの出自や個々が持つ目の能力によって様々な葛藤やトラウマを抱えながら生きていた。時に諍い、時に苦しみを共有していくことで、彼らは互いを仲間として信頼し合うようになっていく。

メカクシ団の団長で、愛人の子として生まれたキドこと木戸つぼみ(きど つぼみ)。
心の中も含めて他人の情報を盗み見る力のせいで忌み嫌われた、セトこと瀬戸幸助(せと こうすけ)。
虐待された過去を持つカノこと鹿野修哉(かの しゅうや)。
人形のように可憐な容姿を持つが、記憶の一部を失っているマリーこと小桜茉莉(こざくら まり)。
精神だけの存在となり、電子機器の中でだけ生きることができるエネこと榎本貴音(えのもと たかね)。
想いを寄せる少女を探し続ける小学生の少年ヒビヤこと雨宮響也(あまみや ひびや)。
肉体と精神が分離してしまったコノハこと九ノ瀬遥(ここのせ はるか)。
命を賭して悪しき計画を打ち破ろうとするも失敗したアヤノこと楯山文乃(たてやま あやの)。

彼らの内の何人かは、同じ日を延々と繰り返す「カゲロウデイズ」という不可思議な現象によって現在の境遇へと追いやられていた。やがてメカクシ団は、「カゲロウデイズの解消」を目的に動き出していく。

カゲロウデイズの謎

カゲロウデイズとは、超常の力を持つメデューサという存在が作り出したものだった。人間との諍いに飽き飽きしたメデューサは、永遠に同じ日を繰り返す空間「終わらないセカイ」を創造し、ここに引きこもるようになっていた。これが後のカゲロウデイズの原型である。
ある時メデューサは、人間の男性と惹かれ合い、彼との間に娘のシオンを儲ける。成長したシオンと孫のマリーが人間たちに襲われているのを見たメデューサは、終わらないセカイに2人を保護する。この時にはすでにマリーは死んでいたが、メデューサは自身の力の全てを注ぎ込むことで彼女の蘇生に成功した。

しかしこれによりメデューサは「終わらないセカイ」を制御する力を失い、やがてこの空間は次第に暴走。マリーたちが命を落としたのと同じ「8月15日」に死んだ人々を無差別に回収し、同じ日を延々と繰り返すようになっていく。マリーが自身の力を自覚して使いこなせば解消することではあったが、死の前後の記憶を失った彼女にそれは無理な話だった。
さらにメデューサの力の一部が暴走し、黒コノハこと「目が冴える蛇」という独立した自我と姿を獲得。彼はカゲロウデイズに関連づいた自身の存在を永遠のものとするため、マリーが記憶を取り戻すことを阻み、カゲロウデイズの解消を目指すメカクシ団のことも襲撃していく。

巡る時の終焉

目が冴える蛇の暗躍により、次々とカゲロウデイズに囚われていくメカクシ団だったが、それぞれが持つ目の力で少しずつ情報を集めて反撃の準備を整えていく。
やがて彼らは、アヤノの父でモモの担任でもあるケンジロウこと楯山研次朗(たてやま けんじろう)が目が冴える蛇の傀儡として利用されていることを突き止め、これを倒そうと試みる。

ついに黒幕の下まで辿り着いたメカクシ団だったが、目が冴える蛇は「カゲロウデイズの根幹は、人間とは同じ時間で生きることができないマリーの“ずっと友達と過ごしたい”という想いだ」と語り、それがある限り自分もカゲロウデイズも不滅だと豪語する。自分が孤独を恐れていること、メデューサの血を引く自分は友達と同じ時間を生きることはできないことを知ったマリーは動揺するが、メカクシ団の面々に「自分たちは仲間だ、ずっと一緒だ」と励まされ、カゲロウデイズを解体する。
これにより永遠のループは終息するも、メデューサの作り出した「終わらないセカイ」自体はその後も残り、失った家族を探し続けていたケンジロウはこの地に留まることを選択。マリーは母のシオンや祖母のメデューサに別れを告げて、メカクシ団の仲間たちと共に、再び前へと進み出した時間の中を歩んでいくことを選ぶのだった。

『メカクシティアクターズ』の登場人物・キャラクター

キド/木戸つぼみ (きど つぼみ)

メカクシ団の団長キド

CV:甲斐田裕子
メカクシ団No.1。メカクシ団の団長を務める少女。本名は木戸つぼみ。存在感を消すために常にイヤホンで音楽を聴いており、基本的には温厚だがカノ、セト、マリーなどマイペースな団員たちをまとめることに苦労している。「目を隠す」能力を持っており、自身や一定距離の周囲内の対象物への認識を消せる。キド・カノ・セトは同じ孤児院の出身であり、仲が良い。姉と火事に巻き込まれたことによってカゲロウデイズに接触し、能力を得た。

セト/瀬戸幸助(せと こうすけ)

不安げな表情のセト

CV:保志総一郎
メカクシ団No.2。メカクシ団に所属する青年。キド、カノとは同じ孤児院の出身。商店街の花屋、交通整理、新聞配達などさまざまな仕事をしている。放浪癖がある。「目を盗む」能力により、対象の情報を読み取ることが出来るが、人間が心の中に隠し持っている負の感情まで読み取れてしまい、「意思疎通もせずに人目を盗む様な嫌な能力だ」と嫌って滅多に使わない。幼い頃の8月15日に愛犬のハナと共に川で溺れた時にカゲロウデイズに接触し、能力を得た。元々内気ないじめられっ子であり、能力を身につけてからもキド、カノと共に不気味がられ、辛い日々を送っていた。アヤノの家に引き取られてから少し落ち着いたものの、ある時能力が暴走し、周囲の人間の汚い心の声が頭の中に叩きつけられたため、森の奥深くに逃げ込んだ。そこでマリーの「助けて」という声を聞き、彼女をメカクシ団へと勧誘した。

カノ/鹿野修哉(かの しゅうや)

笑顔のカノ

CV:立花慎之介
メカクシ団No.3。メカクシ団に所属する青年。キドと同じ孤児院の出身。つかみ所の無い飄々とした性格で、いつも笑顔を絶やさない。マリーやモモをよくからかう為、本人たちからは軟派だと思われがちだが、実は頼られている。幼い頃は母から虐待を受けていたが、それは自分のせいだと感じ、近所には母に迷惑をかけないため傷を隠し、笑顔を絶やさなかった。8月15日に母と共に強盗に襲われた時にカゲロウデイズに接触し、能力が発現。「目を欺く」能力により、周りの自分に対する認識を変え、異なる姿を見せることが出来る。
アヤノが自殺した原因や物語の黒幕を知る重要人物。アヤノの父(ケンジロウ)に取り憑いた「目が冴える蛇」を止めるために彼女と協力した過去もある。このため、キド、セト以上に姉のことを慕う一方で、黒幕に釘を刺されたことで多くの秘密を抱えながら生きていた。悩みを抱えやすく、能力も相まって作り笑顔で取り繕う癖ができてしまったが、キドの暴力による痛みで自分自身を自覚することができる。

マリー/小桜茉莉(こざくら まり)

「目を合わせる」能力を持つマリー

CV:花澤香菜
メカクシ団No.4。メデューサ(アザミ)と人間のクオーターの少女で、幼い見た目をしている。セトの勧誘によりメカクシ団に入団した。メカクシ団のアジトの一室で造花作りの内職生活を送っているが、収入は少ない。引っ込み思案でおっちょこちょい。森の中で育ったため、世間知らずで無邪気な言動も目立つ。大昔は母のシオンと2人で暮らしていたが、外への憧れから母の「決して家を出てはいけない」という言いつけを破り、8月15日に家の外で遊んでしまう。そこで悪質な人間たちに襲われ、助けに来たシオンと共に絶命した時にカゲロウデイズに接触し、能力を得る。「目を合わせる」能力を所持しており、対象者の目を見ることで石になった様に数分間動きを止めることが出来る。
彼女自身が「メカクシ団へと出会う」世界を何度も作り変えている(カゲロウデイズ)張本人であり、能力者との出会いを決めていた。

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@neodeli413v7

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