マリッジトキシン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『マリッジトキシン』とは、集英社のWeb漫画マプリ『少年ジャンプ+』のアクション漫画。原作は静脈、作画は依田瑞稀が担当している。様々な漫画や著名人から推薦コメントが贈られるほどの人気作品で、「次にくるマンガ大賞2022」ではWebマンガ部門第8位に輝いた。
主人公の下呂ヒカルは、殺し屋一族「毒使い」下呂家の次期当主。生涯独身を決め、自身の代で「毒使い」を終わらせるつもりだった。しかし妹を一族の柵から解放するために結婚詐欺師・城崎メイをアドバイーとして婚活を始めることになるのだった。

『マリッジトキシン』の概要

『マリッジトキシン』とは、集英社のWeb漫画マプリ『少年ジャンプ+』で2022年4月20日に連載を開始したアクション漫画。原作は静脈、作画は依田瑞稀が担当している。原作者の静脈は、本作がデビュー作。『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴、『呪術廻戦』の芥見下々、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のキャラクターデザイン原案のモグモ、ウェザーニュースLiVEキャスターの檜山沙耶など、様々な漫画家や著名人から推薦コメントが贈られるほどの人気作品。2022年には、「次にくるマンガ大賞2022」でWebマンガ部門第8位を獲得。2023年2月には、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」のスピンオフ企画「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック 2023」で5位を獲得した。また作中にクラシエフーズの知育菓子によく似た製品が登場することから、知育菓子「大人のねるねるねるね」の開発担当者が推薦コメントを寄稿したこともある。

主人公の下呂ヒカル(げろ ひかる)は、数百年続く殺し屋一族「毒使い」下呂本家の次期当主。「標的は犯罪者のみ」というポリシーを持つ心の優しい下呂は、生涯独身を決め、自身の代で「毒使い」を終わらせるつもりだった。しかし下呂が血筋を絶とうとしていることが、下呂の祖母にバレ、矛先が妹のアカリに向けられる。アカリは兄のためにその身を「跡継ぎを産む」という役目に投じようとした。そのため下呂はアカリを一族の柵から解放するために結婚を決意。結婚詐欺師・城崎メイをアドバイザーとして婚活を始めることになるのだった。

『マリッジトキシン』のあらすじ・ストーリー

一世一代の婚活開始

主人公の下呂ヒカル(げろ ひかる)は、裏社会でも一目を置かれる「使い手」の中の名家「毒使い」下呂家の次期当主。「使い手」とは、特定の手法に特化した殺しの技術を持つ殺し屋のことであり、下呂家は「使い手」の五大名家に数えられるほど、力のある家だ。下呂は幼少期から毒についてのあらゆる教育を施され、同世代の殺し屋の中でもトップクラスの実力を持っていた。下呂は「標的は犯罪者のみ」というポリシーを持っており、一般人などには決して手を出さない、心の優しい青年である。そのため生涯独身を貫き、「毒使い」を自身の代で終わらせると決めていた。

そんなある日、結婚詐欺師の城崎メイ(きのさき めい)の殺しの依頼が入る。城崎が仕事の邪魔をしたから消してほしいという依頼だった。下呂は依頼通り城崎に毒を盛り、城崎が死ぬのを待つ。その途中、妹のアカリから電話があった。アカリは実家に帰り、跡継ぎを産むために分家の人間と結婚すると言ってきた。下呂やアカリの祖母が2人が跡継ぎを作るのを拒否した場合、アカリの自由を奪って無理やり子供を産ませると言ってきたのだ。そんな絶望的な人生を歩むぐらいならと、アカリは自ら下呂家に戻ることを決めたのだ。

しかし同性愛者であるアカリには、結ばれた恋人がいた。下呂もそれを知っている。下呂はアカリとの電話を切り、城崎に死にたくなければ自分と結婚するように迫った。しかし城崎の答えはノー。城崎は下呂に対して、命を握っている相手に求婚するような男は誰とも釣り合わない、本気で結婚したと思える人に出会いたいのであれば、まずは自分の本音をさらけ出すことだとアドバイスをした。下呂は自身が殺し屋という職業をしている限り、結婚なんてできないと思っていた。しかし下呂だって本当は好きな相手と出会って仲良く普通に楽しい人生を送りたいと願っていたのだ。それを聞いた城崎は、そうやって本音をさらけ出せるならいつかイイ人に出会えると言葉を残して死を覚悟した。

下呂はそんな城崎に依頼を申し込む。城崎と病気の城崎の弟、2人の命を全力で保証する代わりに、結婚のプロとして自分の結婚を手伝ってほしいと下呂は城崎に依頼した。城崎は「そんな提案(プロポーズ)初めて」と依頼を快諾。契約が成立した下呂は、城崎を殺すように依頼してきた奴らを全員ねじ伏せ、城崎と共にビルを出る。そしてアカリに電話で「大切だと思える誰かと出会って連れ添えるのは死ぬほど奇跡みたいなことだからお前は彼女と共に生きるべきた」と伝え、自分が結婚して「毒使い」を継ぐことを話した。

婚活の極意を下呂(左)に教える城崎(右)。

こうして殺し屋・下呂の婚活が始まった。しかし下呂は今まで生涯独身を決めており、仕事柄女性と出会うこともなかったので、女性とのコミュニケーションが壊滅的に下手だった。婚活パーティーに行ったりして、下呂のポテンシャルを測っていた城崎は、下呂に合う婚活方法が”人助け”であると考えた。人助けを通じて女性と出会い、助け、その人を知っていく。城崎は「ヤミナビ」という裏社会の仕事の斡旋してくれるサイトを通じて、下呂の結婚相手にふさわしそうな相手を見繕っていくのだった。

婚活:姫川杏子の場合

「ヤミナビ」を通じて、下呂と城崎は姫川杏子(ひめかわ きょうこ)という女性を助ける依頼を受けた。姫川杏子は美術品を狙う泥棒だと世間では認知されているが、実際は悪徳コレクターなどが違法に収集している美術品などを本当の持ち主に返す義賊のような存在だった。そんな姫川が仕事中に悪徳コレクターに捕まった。これは姫川の支援者から、姫川を助けてほしいという依頼だった。

依頼を受けた下呂は、城崎と共に姫川が捕まっているという「海上美術艦アヴォガド」へ向かう。そこで待ち受けていたのは「水使い」の潮雫(うしお しずく)だった。潮はビジネスマン気質が強い「使い手」で、五大名家の一角である下呂家の次期当主である下呂と戦うと、報酬以上の損害が出てしまうため、示談を持ちかけてきた。しかし下呂はこれを拒否。姫川を救うために、「毒使い」の変性血統(「使い手」の一族が継いできた特殊技能・性質のこと)を用いて潮と交戦。一時はピンチに陥ったが、潮を倒すことに成功した。

姫川を助けた下呂は、後日打ち上げと称して姫川、城崎、下呂の3人で打ち上げをする。しかし城崎の策略で、下呂は姫川と2人きりで打ち上げをすることになってしまった。その中で下呂は辿々しく姫川とコミュニケーションを取り、姫川に友達になってほしいと告白する。城崎的にはこのまま下呂が交際を申し込む想定をしていたのだが、下呂は友達になってお互いのことをよく知って、その時付き合ってもいいと思えたらその時返事を聞かせてほしいと姫川に言う。姫川はそれを笑顔で了承し、下呂と連絡先を交換するのだった。

婚活:嬉野シオリの場合

次に下呂が出会ったのは、大学生で大企業の次期社長である嬉野シオリ(うれしの しおり)だ。シオリの父親は大企業の社長だったが、病で亡くなった。そして遺言で次期社長を娘のシオリにすると言い遺していた。しかしシオリは引っ込み思案で臆病な性格。人とコミュニケーションも満足に取れないあがり症だった。そんなシオリが次期社長になるのを快く思わないシオリの叔母・嬉野フタエ(うれしの ふたえ)は、「音使い」の鳴子(なるこ)を雇ってシオリを亡きものにしようとしていた。一方、シオリの叔父・嬉野光彦(うれしの みつひこ)はシオリの味方で、シオリを殺し屋かた守るために下呂と城崎に護衛の依頼をしてきた。

シオリは大学生のため、下呂と城崎も学生と偽って大学に潜入。シオリの側で護衛に当たる。そしてシオリの希望により、ゼミの合宿に参加することになった。最初は平穏に合宿を楽しんでいたが、途中から鳴子の襲撃を受け始める。下呂はシオリを城崎に託し、鳴子と一対一で戦った。戦況は鳴子が優勢に見えたが、一転して下呂のペースとなり、下呂は見事に鳴子を討ち取る。しかし鳴子は用意周到にシオリのほうに罠を仕掛けていた。鳴子に洗脳された学生達は、シオリと城崎に襲いかかる。シオリは学生達を傷つけないように城崎や下呂と協力。学生達にかけられていた洗脳を解き、合宿を最後まで楽しんだ。

合宿から戻ったシオリはフタエのもとに行き、フタエに自分を社長としてふさわしくなれるように鍛えてくれるように頼む。それによりシオリとフタエは和解。シオリは社長としてふさわしい人間になれるように精進し始める。それと同時に下呂のシオリを護衛する仕事は完了した。下呂はそのままシオリと別れようとしたが、シオリからまた会いたいから連絡先を交換してほしいと言われ、連絡先を交換する。下呂の連絡先に1人また結婚相手候補のシオリの名前が追加されるのだった。

婚活:嵐山キミ恵の場合

下呂と城崎がゲームセンターでのデートの特訓をしていると、突然女性が話しかけてきた。その女性の名前は嵐山キミ恵(あらしやま きみえ)。「ハムスター使い」という「使い手」だった。下呂と城崎はひとまず嵐山の話を聞く。最近巷では「殺し屋殺し」が出没して、「使い手」などを殺して回っており、自分もその「殺し屋殺し」に狙われているから守ってほしいととのことだった。下呂は嵐山の依頼を受け、嵐山を護衛することになった。

「ハムスター使い」は「使い手」の五大名家の1つ「獣使い」の道後家の傍系である。その「獣使い」の傍系で作られた寄合があるため、下呂と城崎は嵐山に同行した。しかしそこには無惨に殺された寄合仲間達の姿があり、その場には「殺し屋殺し」の中川桃壱(なかがわ ぴいち)の姿があった。桃壱は「使い手」ではないが、突然変異で異常な強さを持っていた。下呂は変性血統を駆使して桃壱と戦う。しかし敗北してしまった。倒れた下呂は、城崎と嵐山には手を出すなと桃壱に食い下がる。桃壱は「使い手」は全て悪だと考えていたため殺して回っていたが、庇い合う下呂と嵐山を見て考えを改め、2人を殺すのをやめた。一件落着かと思いきや、嵐山が首にはめている首輪が急に作動し、嵐山が倒れた。その首輪は「絆縄(きずなわ)」と呼ばれるもので、「獣使い」が分家や傍系の「使い手」の首にはめているものだった。嵐山の「絆縄」から声がして、嵐山の命はもって3日だと告げられる。声の主は「獣使い」道後家宗家の人間・道後十四郎(どうご とうしろう)だった。

嵐山を助けるために下呂、城崎、桃壱は、「獣使い」の拠点である「DOUGOどうぶつキングダム」という島へ向かう。そこで道後の差し向けた「獣使い」の分家・傍系の「使い手」達と戦った。最終的に下呂と道後の一騎打ちになり、下呂は苦戦を強いられたが、最後には道後に勝利。無事に嵐山を助け出すことができた。島から帰る途中の船で、嵐山は突然下呂に告白する。嵐山は幼い頃に仕事で死にそうだったところを、まだ少年だった下呂に助けられたことがあり、以来ずっと下呂のことを好いていたのだ。下呂が婚活をしているのを聞いていた嵐山は下呂に告白したが、まだ自分で自分を認められないから、自分を磨いてもう一度下呂に告白しに行くことを宣言。下呂はそれが嬉しく、そして照れくさく、ただ「待ってるぜ」と返すのが精一杯だった。

婚活:赤倉ちなつの場合

「獣使い」との戦いの後、下呂に新たな仕事が入った。ドライバーとして依頼主をとある場所まで送るという仕事だ。依頼主は、「護り手」と呼ばれる赤倉ちなつ(あかくら ちなつ)。「護り手」とはボディーガードを生業とする人間のことを指し、殺しを生業とする「使い手」とは真逆の存在である。赤倉は護衛対象である少女・蔵王エリナへ海外に逃がすために、手配した飛行機がある空港まで送ってほしいと下呂達に依頼してきたのだ。

エリナはマフィアのボス・蔵王銀次(ざおう ぎんじ)の1人娘だった。エリナを授かったのを気に銀次は裏社会から足を洗おうとした。しかしそれを良く思わなかった部下の滑川(なめかわ)達にハメられて命を落とした。自分の身の危険を感じていた銀次は、何人か「護り手」を雇っていたが、銀次が死んだことで立場が危ういと感じた「護り手」達は、エリナを護ることもせずに去っていった。唯一エリナの側に残ったのが赤倉だった。それを聞いて下呂達は赤倉の依頼を承諾する。そして空港に無事に赤倉のエリナを送り届けた。しかしその時、滑川はボスの銀次の血筋であるエリナを殺すために雇っていた「風使い」の鉄輪一家(かんなわファミリー)の襲撃を受けてしまう。そしてエリナを連れ去られてしまった。

エリナを助けるために下呂と赤倉は滑川の元へと殴り込む。そこで鉄輪一家が「風車使い」と呼ばれるベンチャー「使い手」だと知った。鉄輪一家の鉄輪カズマ(かんなわ かずま)だけは唯一「風使い」の血統であり、他のものとは比べ物にならないほどの実力者だった。カズマの力や「風車使い」の”家族(ファミリー)”の絆に下呂や赤倉は圧倒されるが、2人だって負けていない。下呂と赤倉は”仲間(カップル)”のコンビネーションでその場を切り抜けカズマを倒した。

カズマの敗北を見て、滑川は鉄輪一家のミツバと小次郎にエリナを殺すように命令を出す。その時、エリナは滑川を殴り飛ばした。「調子乗りすぎ 殴りたいならアナタ自ら手を下しなさい 私は逃げも隠れもしない ま―――小娘1人始末できない腑抜けに 黙ってやられるつもりないけど」とすごむエリナには、ボス・銀次を思わせる迫力があった。滑川はエリナに恐怖し、エリナを狙うことを諦めた。

仕事が一段落し、下呂と城崎は赤倉とエリナと別れる。赤倉はずっと女子校だったため、恋などをしたことがなく、下呂に対して抱いている自身の気持ちが何なのかわからない。それでも下呂のことを相当意識しているようだった。赤倉は自分のペースで下呂との気持ちに向き合うことを決め、エリナと旅に出る。一方の下呂は今まで出会ってきた姫川、嬉野、嵐山、そして赤倉のことを思い、城崎に「これって……4股じゃないか」と不安を吐露するのだった。と、その時、下呂のスマホに嬉野から着信が入った。それは嬉野からのSOSだった。

婚活:氷見マコトの場合

嬉野に呼ばれて待ち合わせ場所に行くと、嬉野の小学生時代からの友人・氷見マコト(ひみ マコト)という女性がいた。氷見の実家は貿易関係の仕事をしている富豪で、父親に無理やり政略結婚をさせられそうになっているという。そのため下呂に「レンタル彼氏」になって、父親に政略結婚を諦めさせてほしいという。下呂は自分も過去家の決めた相手と結婚させられそうになったことがあるため氷見の境遇に共感した。何より氷見が悲しむと嬉野も悲しむ。下呂は氷見の依頼を快諾した。

氷見の理想の彼氏像を叩き込まれた下呂は、早速氷見の家へと行く。しかしそこに待ち受けていたのは、氷見の彼氏を殺しにかかる使用人の数々だった。下呂は使用人をいなし、氷見や城崎を守る。そこに現れたのは、氷見の父親と父親が雇った「霊使い」の盃(さかずき)という「使い手」だった。死者の怨念がこもった遺留品などを使って自分に霊を降霊させたり、相手に霊を取り憑かせたりすることができる「使い手」である。下呂はその盃の仕掛ける戦法のからくりがわからず苦戦。その間に霊使いは氷見と父親の思念を通じ合わせることで、氷見の心を折ろうとしていた。しかし氷見は下呂の「お前も言いたいことがあんならハッキリ言えよ 親だからって我慢してると…後悔するぜ」という言葉を思い出し、心の奥底にしまいこんでいた自分の本心を父親に打ち明ける。それによって氷見と父親は和解した。下呂も盃の戦法を攻略し、盃を倒すことに成功。事態は円満に解決すると思われた。

そこへ氷見の婚約者・平和島剛男(へいわじま たけお)が飛び込んできた。盃に氷見の父親を人質に取らせ、平和島は氷見に自分との結婚を迫る。氷見は父親を助けるために平和島との結婚を選んだ。その頃の下呂は盃との戦いのダメージが蓄積して身体を動かせなかった。氷見は下呂に礼を言って平和島達とその場を去る。下呂は氷見を助けようと無理して身体を動かさそうとするが、身体がまったく言うことをきかない。そこで下呂のスマートフォンに1本の着信があった。それはかつて戦った「音使い」の鳴子からの電話だった。

『マリッジトキシン』の登場人物・キャラクター

主要人物

毒使い:下呂ヒカル(げろ ひかる)

誕生日:11月24日
血液型:A型

CV:伊東健人(公式PV)

「使い手」の中でも力のある五大名家の1つ「毒使い」の下呂家の次期当主。幼少期から家で毒のついて教え込まれており、幼稚園すら行っていない。黒いコートを着用しており、コートの下には様々な仕事道具が仕込まれている。キレイ好きで住んでいる部屋は常にキレイにしていないと気がすまない。お菓子が好きで、中でも遊具菓子や知育菓子が大好き。1ヶ月で約20万も遊具菓子に使う。

殺し屋の中でもエリートだが、心優しい青年で、「標的は犯罪者のみ」というポリシーを掲げて仕事に取り組んでいる。女性への耐性が全くなく、アドバイザーの城崎も苦労している。

結婚詐欺師:城崎メイ(きのさき めい)

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