魔法少女マジカルデストロイヤーズ(マジデス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』とは、オタク文化を弾圧する秩序維持組織SSCに抗うオタクたちと、彼らの希望たる魔法少女たちの活躍を描いたアニメ作品。スマートフォン用ゲームアプリ『マジデス壊 魔法少女マジカルデストロイヤーズ』とは世界観を共有している。
秩序維持組織SSCにより、あらゆるオタク文化が失われた日本。愛する文化を守るため、武器を手に立ち上がったオタクたちの中には、彼らの希望たる数人の魔法少女と、それを率いるオタクヒーローの姿があった。

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』の概要

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』とは、オタク文化を弾圧する秩序維持組織SSCに抗うオタクたちと、彼らの希望たる魔法少女たちの活躍を描いた2023年のオリジナルアニメ作品。
JUN INAGAWAがこれまでに発表したアート作品を原案としており、スマートフォン用ゲームアプリ『マジデス壊 魔法少女マジカルデストロイヤーズ』とは世界観を共有している。

秩序維持組織SSCにより、あらゆるオタク文化が失われた日本。愛する文化を守るため、オタクたちは武器を手に立ち上がる。圧倒的劣勢の中、オタクたちが希望と仰ぐのは、アナーキーやブルーといった彼らの中核戦力たる数人の魔法少女と、それを率いるオタクヒーローだった。

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のあらすじ・ストーリー

オタク文化の崩壊

2008年、秩序維持組織SSCにより、あらゆるオタク文化は激しい弾圧を受けるようになる。わずか10日で日本からアニメ、漫画、音楽、ゲーム、鉄道などあらゆるオタク文化が失われ、抵抗する者たちは“保護”の名目で容赦なく隔離施設へと連行された。
やがて一部のオタクたちが武装蜂起し、自らを「革命軍」と称してSSCの横暴に徹底抗戦。その中核戦力となったのは、アナーキー、ブルー、ピンクといった魔法少女たちと、そのリーダーであるオタクヒーローだった。

2011年、革命軍はついにアキバを奪還。しかしオタク文化の聖地を再侵略しようとするSSCの攻勢は続き、革命軍は次第に消耗していく。ブルーは敵に捕らわれ、ピンクは行方不明になり、「これ以上戦線を維持するのは無理だ」と判断するオタクヒーローだったが、納得できないアナーキーに説得されてブルーの救出作戦を決行。これを成功させ、貴重な戦力を奪い返す。
次いでオタクヒーローたちが取り掛かったのは、ピンクを連れ戻すことだった。ピンクはかつて魔法少女として戦っていたが、いつしか“勝利の象徴”として期待されることに疲れて革命軍を去っていた。しかし彼女がまだ「オタクの解放」を諦め切れないでいることを仲間たちは見抜き、彼らに背中を押される形で、ピンクは革命軍に復帰。再びそろった3人の魔法少女たちと共に、オタクヒーローはSSCに対して反転攻勢に出ることを決意する。

SSC四天王との遭遇

3人の魔法少女がそろったことを警戒したSSCは、四天王と呼ばれる上級幹部の1人@号(あっとごう)を戦線に投入することで一気に片を付けようと目論む。アナーキーたちは苦戦するが、オタクヒーローが「@号はSSCに洗脳された車オタクである」だと見抜いたことで、彼の車への愛を利用して逆転勝利を収める。
しかし@号が敗れる様を目にしたSSC四天王のスレイヤーがそこに割って入り、「役立たずはいらない」とばかりに彼を粛正。アナーキーによく似た魔法少女へと変身した彼女の圧倒的な力により、オタクヒーローたちは手も足も出ずに叩きのめされる。

オタク仲間の尊い犠牲によってスレイヤーは一時撤退するも、オタクヒーローたちはその恐るべき力に戦慄し、より激しい戦いの予感に気を引き締める。しかし秋葉原に立てこもるオタクはその全てがSSCとの戦いに賛成しているわけではなく、万世橋オタクコミューンはその中でも特に大きな勢力だった。
このコミューンは、古い世代のオタクたちが集まっており、「今の世代のオタクたちが我が物顔で振る舞った結果、SSCに弾圧されるようになったのでは」と考え、オタクヒーローたちにも辛辣に接する。今後の戦いに備え、万世橋オタクコミューンとの関係を改善しようと考えたオタクヒーローたちは、神田川で水泳大会を開催。その中で川底に沈んでいたオタクグッズを発見して回収し、万世橋オタクコミューンとも打ち解けることに成功する。

SSCの策謀

この先戦っていくには、中核戦力である魔法少女たちのパワーアップが必要だと考えたオタクヒーローは、仲間から「渋谷に魔法少女の力を増幅させられる調合師がいる」という話を聞いて秋葉原を出立。外国人オタクのマーカスという男に道を教えてもらってようやく見付けた調合師は、「強化薬が欲しいなら1セットしか作られなかった伝説のフィギュアと引き換えだ」と言ってくる。
そのフィギュアは、革命軍とSSCが激しい攻防を繰り広げた中野のサンプラザビルに保管されているものだった。マーカスの力を借りて内部に侵入したオタクヒーローたちは、首尾よく伝説のフィギュアをゲット。あまりクオリティの高くないそれを調合師は大喜びして受け取り、オタクヒーローたちに強化薬を渡す。これで強くなれると喜ぶアナーキーたちだったが、オタクヒーローは「いざという時まで取っておこう」と強化薬をいったん自分が預かることにする。

実はこの強化薬は、SSCがわざと革命軍の手に渡るよう画策したものだった。マーカスも調合師も雇われてオタクヒーローたちに協力していただけで、「これだけやれば連中も信じるだろう」とSSCの幹部たちはほくそ笑む。

魔法少女の誕生

オタクヒーローがアナーキーたちと出会ったのは、彼が本格的にSSCと戦い始める前のクリスマスのことである。彼女たちは“まとめて大きなダンボールに詰められて送りつけられる”という謎に満ちた形でオタクヒーローの前に現れ、その時は「生まれたばかりで自分の名前のこと以外何も知らない」状態だった。1年後、SSCの暴挙に耐え兼ねたオタクヒーローが仲間たちと共に蜂起することを決意すると、アナーキーたちも協力を申し出る。以降は革命軍の主力として、SSCと熾烈な戦いを繰り広げてきたのだ。
中野での作戦成功に高揚したオタクヒーローがその頃のことを思い返す中、秋葉原ではSSCの大攻勢によって革命軍が追い詰められていた。この報せを受けたオタクヒーローは、中野を解放したことを高らかに宣言して革命軍を鼓舞する。しかしその刹那、背後から何者かの急襲を受ける。

一行を襲ったのは、SSC四天王の1人であるアダムという男だった。アダムはチート行為を繰り返していたゲーマーだったが、さらなる力を求めて自らSSCに加わっていた。「頭に思い描いた通りの力が手に入る」という、アダムの支配する電脳空間に閉じ込められて苦戦するオタクヒーローたちだったが、自分たちも妄想力を発揮してこれに対抗。ついには戦況を引っ繰り返す。
追い詰められたアダムは、アーナキーを洗脳して味方につけようとするが、突如彼女の背後におぞましい気配を感じ取って恐慌。この隙に猛攻を加えてオタクヒーローたちはアダムを撃破し、同時に秋葉原の戦闘も革命軍側が勝利する。これに沸き立つ中、革命軍の中から「勝利を記念してイベントを開催しよう」との声が上がり始める。

「わんく」の開催

SSCとの抗争中ではあったが、革命軍は「イベントの開催」で大いに盛り上がり、これに「わんく」という名前をつける。「SSCに勝てるかどうかも分からないのに物資や人員を無駄に使うことに意味はあるのか」と悩むオタクヒーローだったが、「勝てるかどうか分からないからこそ、今みんなの気持ちを盛り上げるべきだ」との結論に至る。
果たして開催された「わんく」は、多くのオタクたちから熱狂的な指示を集める。これに合わせてSSCが会場に侵攻するも、オタクヒーローたちはなおイベントを強行。オタクとして、革命軍としての意地を示す。しかしSSC四天王の1人であるひまわりと一進一退の死闘を繰り広げる中、突如としてスレイヤーが一行を襲撃。仲間であるはずのひまわりを瞬殺し、「1日後にお前たちも殲滅する」と宣言して引き上げていく。

歴然とした力の差を見せつけられ、「自分たちの命運もこれまでか」と意気消沈する革命軍。それでもオタクヒーローはみなを鼓舞し、「向こうが主力を差し向けてくるということは、相手の本部である国会議事堂は手薄だ。スレイヤーの迎撃は魔法少女たちに任せ、残る全軍で本丸を落とそう」と提案する。革命軍のメンバーも「やるしかない」と覚悟を決め、乾坤一擲の策に全てを賭けることとなる。

国会議事堂攻防戦

かくして始まった革命軍最後の戦い。アナーキーたちは秋葉原に留まりスレイヤーを迎撃するも、相手のすさまじい力の前に苦戦を強いられる。一方オタクヒーロー率いる革命軍は国会議事堂に猛攻を加え、ついにSSCのリーダーであるショボンを追い詰める。しかしそこでオタクヒーローが見たのは、抜け殻のごとくピクリとも動かないショボンと、自分たちのこれまでの戦いと、国会議事堂攻防戦で革命軍が壊滅することを記した預言書のごとき謎の絵コンテだった。
果たして預言書の内容の通り、革命軍のメンバーたちが次々と散っていく。同じ頃秋葉原では、「もはやこれしか手はない」と調合師から手に入れた薬を使用するも、その反動で力を暴走させてしまう。

「世界の創造主たるオリジンに見込まれ、“彼女を楽しませるための新世界”を創る力を与えられたゲームクリエイター」、それがショボンの正体だった。彼がオタクを目の仇にしているのも、かつて自分のゲームを貶されたのが理由だったのである。アナーキーたち魔法少女さえもがショボンの生み出した存在で、暴走を続ける彼女たちはスレイヤーを撃破するも、ショボンの思惑の通りに「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」として生まれ変わってしまう。

ヒーローを継ぐ者

オタクたちの奮闘によって魔法少女たちは真なる覚醒を果たし、今の世界の創造主たる自分が命じるまま彼らのリーダーを殺す。それがショボンの計画した「フェイズ1のクライマックス」だった。オタクヒーローはなお諦めずショボンに突貫し、捨て身の一撃を食らわせるが、創造主たる彼は世界の外側に実体を置いておりダメージを与えられない。満身創痍のオタクヒーローは、ショボンの傀儡と化したアナーキー、ブルー、ピンクによって致命傷を負わされ、ついに命を落とす。
それから2年。SSCは勢力を拡大し、次々とオタクを狩り出しては捕まえていったが、ショボンの当初の予定通りに彼らを殲滅することはできずにいた。世には「オタクヒーローは今も生きている」との噂が絶えず、これに苛立ったショボンは大々的な式典を開いて勝利を喧伝しようと考える。

しかしその会場に突如としてかつてのオタクヒーローと似た風貌の男が現れ、自らを2代目オタクヒーローと宣言する。こんなことは自分の計画に無い展開だとショボンが恐慌する中、彼に「楽しませろ」といって力を与えたオリジンは爆笑する。
ここにアナーキーたちが駆け付け、ショボンに命じられるまま2代目オタクヒーローとその仲間たちに襲い掛かる。ひるまず、恐れず、ただ「好きなものを好きなだけ好きと言いたい」がために自分たちの前に立ちはだかる2代目オタクヒーローの中に、かつて自身が憧れた初代オタクヒーローの面影を垣間見たアナーキーたちは、殺意を振り撒きながらも懐かしそうに笑みを浮かべるのだった。

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』の登場人物・キャラクター

革命軍

オタクヒーロー

CV:古川慎

革命軍のリーダー。突出した能力は無いが、強い正義感を持つ真面目な性格で、革命軍の仲間たちから信頼されている。

アナーキー

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

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