関根くんの恋(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『関根くんの恋』とは、何でも器用にこなしてしまうイケメンエリートの主人公・関根圭一郎の遅咲きの恋を描いた恋愛漫画。作者は河内遥。『マンガ・エロティクス・エフ』にて連載され、第3回ananマンガ大賞を受賞。仕事もルックスも完璧で男女問わずモテる関根。勝ち組に見える人生を歩んできたが、実は何に対しても関心が薄く、常に受け身。中身が空っぽな自分に気づき、趣味として手芸を始めたことで如月サラと出会う。失敗を繰り返しながらも彼女への恋心を伝えようとする、不器用な主人公の姿が多くの共感を呼んだ作品である。

『関根くんの恋』の概要

『関根くんの恋』とは、2009年から2014年まで『マンガ・エロティクス・エフ』で連載された恋愛漫画で、第3回ananマンガ大賞を受賞した河内遥の代表作である。単行本は全5巻。シリーズ累計30万部以上の販売部数となった。また、作者の河内遥は人気漫画家の谷川史子のアシスタント経験を持ち、2001年『ひねもすワルツ』で第3回アックスマンガ新人賞佳作を受賞している。
本作は、ただ立っているだけで絵になるようなルックスをもち、スポーツ万能、仕事も完璧で何でも器用にこなしてしまう会社員・関根圭一郎(せきねけいいちろう)が主人公。特に努力や苦労をしなくても、男女問わず無自覚にモテてしまう人生を歩んできた。だがある日、実は何に対しても常に受け身で主体性のない自分に気づき、何か始めようと訪れた手芸店の孫娘・如月サラ(きさらぎさら)と出会ったことで、人生が変わっていく。サラは、高校時代から続いていた関根の初恋を見抜き、それを指摘することで彼に大きな変化をもたらした。自覚すらしていなかった初恋とは違い、サラへの恋心をまっすぐに伝えようとする関根。何に対しても器用なはずの彼が、失敗を繰り返したり数々の不運に見舞われながらも頑張る姿は不器用だが、応援したくなるほど魅力的である。

『関根くんの恋』のあらすじ・ストーリー

関根とサラの出会い

残念なイケメンエリート

大手企業に勤める関根圭一郎(せきねけいいちろう)は完璧なルックスをもち、仕事もできるエリート会社員。順調な毎日を送っていたが、ある日友人・紺野朔太郎(こんのさくたろう)に誘われて参加した合コンで趣味の話題になり、その答えに困ったことから、自分には何かに夢中になった記憶がないことに気づく。周りからはハイスペックに見えているのに、実は中身がない自分とのギャップに葛藤し始める。思い返せば、学生時代からスポーツも委員長も任命されれば引き受け、常に受け身だった。
そんな自分を変えようと一念発起し、ヨガや家庭園芸など検討するが興味が沸かず、「自分は人として何か欠けているのかもしれない」と思い悩んでしまう。そんな中で最終的に選んだのは手芸だった。近所の手芸用品店キサラギヤを訪れ、店主であるおじいちゃんと、孫娘の如月サラ(きさらぎさら)と出会った。

編み物とトラウマ

手芸用品店キサラギヤではおじいちゃんによる手品教室を開いており、関根はおじいちゃんからは手品を1芸1000円で教わることに。手芸を始めるはずが、手品になってしまっていることに疑問を感じながらも真面目に練習し、持ち前の頭脳と器用さもあって覚えるのも早い。そんな時、おじいちゃんが突然旅に出てしまい、関根は不在のおじいちゃんに代わってサラから編み物を教わることになる。だが単調な手順を繰り返す編み物は余計なことを考えてしまい、何かに集中したい関根にとっては逆効果になる。
過去のトラウマを思い出して手が震える関根。今までずっと自分に意思とは関係なくモテてきた彼は、言い寄ってくる多くの女性たちにも関心はなく、近づいてきてはいつの間にか去っていく彼女たちを見ているうちに、流れに身を任せていればどんなことも静かに過ぎていくと思うようになった。彼が常に受け身なってしまった原因である。
サラは様子のおかしい関根に戸惑うが「見た目のわりにかなり難儀な人なのかも」と思い、彼女なりに気遣うのだった。

恋の終わりと始まり

自覚していなかった初恋

関根は友人が少ないが、高校の同級生・紺野朔太郎(こんのさくたろう)とその妻・紺野数音(こんのかずね)とは交流が続いていた。数音は関根と朔太郎の高校の先輩でもある。関根は生徒会役員を一緒に務める彼女が貧血で倒れた時には保健室へ運んだりと、世話をすることが多かった。だが実は彼女のガリガリな身体に恐怖を感じており、胃が痛くなったり気分が悪くなるほどだった。それはずっと変わらず、紺野を自宅に送り届けた時など彼女に会うたびに恐怖や嫌悪を感じるのだった。
一方で、なるべく関わりたくないと思っているのになぜか数音の頼み事は断れない。バザーの手伝いをすることになり、人手があった方がいいと思った関根はサラにも一緒に来てくれるよう頼むのだが、その時涙を見せる。突然のことに驚き、「自分には手に負えない」と彼を追い返すサラだったが、次第に関根の数音への恋心に気づく。だがなかなかそれを自覚する気配のない彼に「ずっと好きだったんでしょ、先輩のこと」と告げる。自分が数音に感じていたものは、実は彼女のことが好きで気になっていたからだという事実に動揺し、さらに情緒不安定になる関根。そんな中、数音の妊娠が判明したことで彼女は少しふくよかになり、関根はいつの間にか彼女を見ても怖いと感じることがなくなっていた。

サラへの想い

紺野夫妻の生まれてくる赤ちゃんのため、サラのアドバイスをもらいながら靴下やぬいぐるみを編む関根。中でも熊の編みぐるみをサラに絶賛され、「コタロータ」と命名までされたことが嬉しく、号泣するほどだった。喜びのあまり、後日大量に編んだ作品を渡そうとキサラギヤに向かうが、親密そうなサラと堂島(どうじま)を見かけ関根はショックを受ける。先日、紺野が開いた合コンに同席していた堂島は努力の末のイケメンであり、モテるために勉強や努力を怠らない。それなのに何の苦労もせず周囲の好意を集める関根への嫌がらせとして、彼と親しいサラに近づこうとしていたのだ。
作品を褒めてくれたサラを意識するようになっていた関根は、堂島をライバルだと勘違いする。どうにかサラとの距離を詰めようとするが、なかなかうまくいかず焦っていた。盲腸で入院したサラのおじいちゃんのお見舞いに行くが、そこでも堂島に遭遇。サラをデートに誘おうにも、連絡先すら聞けないことにもどかしさを抱えていた。それでもハウツー本を読んだりして努力した結果、なんとかデートが実現。初めて自覚した恋に振り回されながらも、彼は受け身ではなく自分から行動するようになっていた。

すれ違う関根とサラ

戸惑うサラ

関根の気持ちが自分に向いていることに気づいたサラ。だが「常にモテている彼にはいくらでも相手がいるのに、なぜ自分なのだろう」と複雑な心境だった。ドライブデートでは紺野に借りたBMWを乗りこなし、芸能人のようなオーラをまとう関根に「自分とはレベルが違う」と感じるサラ。デート中の下心を全く感じさせない自然な関根のエスコートにも、逆に不信感を抱いてしまう。今までたくさんの女性にも同じようにしてきたのだろうと想像し、「罪深い人だ」と思ってしまうのだ。
デートを終えた2人はキサラギヤで一緒に編み物をするが、サラは編んではほどくという時間稼ぎをする関根に気づく。関根は帰りたくなくてそうしていたのだが、「このままだと自分が本気になって翻弄されてしまう」と早く帰ってくれることを祈るサラ。関根の想いを信じられない彼女は、本当は彼に惹かれている自分の気持ちを抑えていた。
そんな気持ちを知らない関根は思いあまってサラに急接近するが、「冷静になるべきではないでしょうか」と拒まれる。初めて自分から好きになった相手に拒否され、関根は涙を流す。

素直な気持ち

関根は諦めず、再度サラを食事デートに誘う。ただ時間と場所だけを伝えて彼女の返事は聞かなかったため、彼女が来てくれるかは不明だった。当日、待ち合わせの店に向かう関根だが携帯電話は電池が切れており、列車の事故や道路渋滞に巻き込まれて大遅刻する。充電器を買うか迷いつつも、全速力で走り閉店30分前に到着したがサラの姿はなかった。実はサラは関根が到着する直前に店を出ており、わずかな差ですれ違ってしまう。翌日、関根はサラに謝りに行こうとするが仕事の接待が入り、思うように動けない。しかも取引先の女性に絡まれている場面をサラに目撃されてしまった。電話をかけても出てもらえず、誤解したままのサラに冷たくされ、強いショックを受けた関根は彼女の連絡先を消してしまう。
そんな中、関根の京都転勤が決まる。その準備のための出張中もサラを想いながら編み物をし続ける関根。持ち歩いているスーツケースも自宅も、彼女のための凝った柄のセーターや編みぐるみで溢れていた。一方、関根の転勤を紺野から聞いて知ったサラは彼の自宅に駆けつける。関根は、大量に編んだ作品を今度はひたすらほどいていた。毛糸の海のようになった部屋で、ついに彼の気持ちを素直に受け取るサラ。「わたしもお揃いの気持ちだと思います」と伝え、2人はようやく結ばれたのだった。

『関根くんの恋』の登場人物・キャラクター

関根圭一郎(せきねけいいちろう)

大手企業に勤める、高身長なイケメンエリート。30歳。容姿端麗でスポーツ万能、仕事も完璧で非の打ち所がない。何事もそつなくこなす器用貧乏であり、高校時代には「断るのが面倒」という理由で生徒会役員をしていた。苦労や努力することなく自然とモテてしまうが、恋には奥手で人の気持ちにも鈍感。だが好意を寄せられるとそのまま受け入れてしまう。友人の紺野朔太郎(こんのさくたろう)によく合コンに誘われるが、既婚者である紺野が浮気をしないように監視するために参加しているだけで、自分から行動することはなかった。
周囲から見れば全てが順調で勝ち組と言える人生だが、ふと自分には趣味といえるものもないことに気づき虚無感に包まれる。何かを始めようと考えた結果、「手芸をしよう」と考えて訪れた近所の手芸店で如月サラ(きさらぎサラ)と出会う。編み物などを習ううちに生まれたサラへの恋心を伝えるため失敗を繰り返しながらも奮闘し、どんなことにも常に受け身だった人生も変わっていく。

如月皿(きさらぎさら)

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