天幕のジャードゥーガル(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『天幕のジャードゥーガル』とは、13世紀ユーラシア大陸でモンゴル帝国を翻弄した魔女「ファーティマ」の生涯を描く漫画。トマトスープによる作品で、実在の人物「ファーティマ・ハトゥン」をモデルに描かれる。秋田書店のWeb漫画サイト「Souffle(スーフル)」に掲載された。
珍しい題材と緻密な描写、残酷な展開でも読みやすいポップな画風で人気を博し、「Apple Books2022年ベストマンガ」の歴史フィクション部門や、宝島社「このマンガがすごい!2023」オンナ編第1位を受賞した。

トゥースの街が破壊され、ファーティマが殺され、シタラは捕虜としてモンゴル帝国へと連行される。同じ家に仕えていた家族同然の仲間は道中で死んでいき、心の支えであったムハンマドがいた街でも、女子供も含め皆殺しにされたと聞いてしまう。生きる希望を失ったシタラだったが、シラという少年に声をかけられる。シラも捕虜の身だったが、通訳として王族に取り入り、いい身分と生活を手に入れようと奮起していた。シラは学者の家の娘であるシタラを仲間に誘う。
そのとき、シタラはムハンマドの「勉強して賢くなれば どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいかわかるんだ」という言葉を思い出す。この瞬間からシタラは変わった。知識を武器にモンゴル帝国で息抜き、ファーティマの奪われた本を取り戻すと決意したのだ。
シタラはシラの紹介でファーティマを殺したトルイに取り入り、ファーティマの本を持っているソルコクタニ(トルイの妻)の教育係として仕えることになる。

シタラ「二人でなら嵐も起こせましょう」

チンギス・カンの遺言により皇帝となったオゴタイの第六妃、ドレゲネと出会ったシタラは、ドレゲネが自分と似た境遇とモンゴル帝国への憎しみを抱いていたことを知る。ドレゲネもシタラもただの女の身で、モンゴル帝国へ反旗を翻す力もなく、モンゴルの女として暮らしてきた。シタラはドレゲネに深く共感し、自分の中で燻っていたモンゴルへの憎しみを再燃させる。
シタラは「二人でなら嵐も起こせましょう」とドレゲネの手をとり、知恵の力でモンゴルを崩壊させる決意を固める。軍事帝国の中で力を持たないふたりの女が、怒りと知恵を武器に立ち上がる場面だ。

シタラ「ドレゲネ様は守ってくれたんだわ 私たちの秘密を 私たちの怒りを」

ドレゲネがオゴタイの毒殺をはかった犯人とされ、ドレゲネに遠ざけられていたシタラは、ずっと取り戻そうとしていた本『原論』をボラクチンから渡されて勧誘される。『原論』のことをドレゲネにしか話していなかったシタラは、ドレゲネがボラクチンにすべてを話してしまったのかと思い、ボラクチンの言う通りにしようと思いかける。しかしそのとき、幼い頃に一緒に暮らしていたムハンマドのことを思い出し、自身の驕りを自覚する。シタラがボラクチンに「私がなぜこの本を欲しがっていたか、お聞き及びでしょうか」と尋ねると、ボラクチンは「お前は学者の娘で、かねてより幾何学に興味を持っていたと聞いている」と答えた。ドレゲネはボラクチンにシタラのことを話さざるを得ない状況にあったが、シタラの本当の境遇のことは隠し通したのだ。シタラは「ドレゲネ様は守ってくれたんだわ 私たちの秘密を 私たちの怒りを」と確信し、必ずドレゲネに再会しようと誓う。

『天幕のジャードゥーガル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

シタラのモデルは実在した女性「ファーティマ・ハトゥン」

シタラは13世紀にモンゴル帝国に仕えた実在の女性、「ファーティマ・ハトゥン」がモデルとなっている。
皇后ドレゲネの側近として活躍したが、後に失脚し「呪術使い(ジャードゥーガル)」として無惨な死を迎えた。

シタラの意味は「星」

主人公シタラの名前は「星」という意味。本来は奴隷身分につける名前ではなかったが、作中では奴隷の名前ということになっている。
シタラはモンゴル帝国で成り上がるため、奴隷出身であることを隠して「ファーティマ」と名乗るようになった。

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