ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜(漫画・ドラマ・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』とは、泰三子原作の警察日常漫画である。モーニング(講談社)にて2017年52号から022年29号まで連載された。新米女性警察官・川合が勤務する交番に刑事課から超美人の藤部長がペアとして配属された。藤部長と共に日々警察官として成長していく姿を警察の内情と共に描いた警察日常漫画である。全22巻の単行本の他、アニメ化やドラマ化などもされている人気作品である。

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』の概要

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』とは、モーニング(講談社)にて2017年52号から022年29号まで連載された泰三子原作の漫画である。
辞表を握りしめた新米女性警察官・川合が勤務する交番に、刑事課から超美人の藤部長がペアとして配属された。藤部長と共に日々警察官として成長していく姿を警察の内情と共に描いた警察日常漫画である。
全22巻の単行本の他モーニングにて2021年9号から18号までスピンオフ漫画『ハコヅメ別章アンボックス』を連載した。更に2021年7月7日から9月15日まで戸田恵梨香と永野芽郁のダブル主演によるテレビドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』が放送され、2022年1月5日~3月30日までテレビアニメが全13話放送された人気作品である。作者は某県警に10年勤めた元女性警察官であり、リアルな警察官の内情などもみどころとなっている。基本的にはコメディ要素の強い作品だが、性犯罪や殺人などを取り上げたシリアスな展開もあり飽きることなく見ることができる。
受賞歴は2021年第66回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。翌2022年に第46回講談社漫画賞総合部門を受賞している。

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』のあらすじ・ストーリー

藤部長との出会い

町山交番巡査の川合麻衣は「もう辞める。この辞表をたたきつけて私は第二の人生を…」と辞表を手に決意を固めていた。そんな時、ペアである伊ケ崎交番所長から「今日からペアが変わる」と言われる。この中途半端な時期に刑事課から部長である藤聖子が異動してきた。伊ケ崎交番所長は部下にパワハラをして飛ばされたらしいとさらっと言う。初めて会った藤部長はとても綺麗な人だったが、パワハラをしたという前情報から川合は怖くてそっと辞表はしまい込んだ。
異動後すぐに川合は藤と共にパトロールへ出かけたところ、若者とぶつかって転んだおじさんに出会う。おじさんを心配する藤を見て川合は優しそうな人だと感心するが、怪我もなく大丈夫そうだったおじさんを藤は交番へ連れて行った。実は、そのおじさんは最近連続発生していた空き巣事件の犯人で、現場と同じ靴を履いていることに気付いた藤は任意同行をかけて余罪80件くらいの大泥棒を逮捕したのだった。そんな藤の姿を見て「もう少し警察官でいてもいいかな」と川合は辞表を捨てた。

刑事課のエース・源誠二

川合と藤が交通取り締まり中、スピード違反で取り締まったのは尾行中の刑事だった。その刑事の名は源誠二と言い、天然パーマもじゃもじゃヘアである。ペアは巡査・山田武志でツンツンヘアが特徴。二人はモジャツンペアと呼ばれ、刑事課の特攻隊として活躍している。特に源は藤の同期であり、同期ビリで警察学校を卒業したにも関わらず特殊な才能がある。その才能は類まれなる人たらしで岡島交番の通報は主に源指名の通報ばかりで源に会いたいがために通報してくる者がほとんどである。源指名の通報に対応したくない藤・川合ペアは自分で対応するように源たちに無線を飛ばすが尾行中にスピード違反で取り締まったことを怒っていた副所長に対応するよう名指しで命じられた藤・川合だった。源に会いたい通報者は藤・川合の言うことなど全然聞いてくれず困っていたところに源が現れる。源は通報者の孫を手玉に取り通報者は笑顔で帰っていった。どうやって孫にまで協力してもらったか聞くとコンビニでアイスを一緒に食べたと言う。「アイス食い終わるだけの時間があれば俺はどんな人間でも手玉にとれるよ」と、源刑事は取り調べの天才だった。

同期の桜

藤が警察学校で授業を受けている時、教官にいつも怒られるのは源と桜と言う女性警察官だった。二人は赤点コンビで、担当教官だった妊婦で産休直前の鬼瓦にも卒業する気があるのかと呆れられる始末。源は桜のことを「さっつん」と女性同期の中で唯一あだ名で呼ぶ仲だった。桜はそんな源に好意を寄せていた。
警察学校では週末のみ外出泊が認められているが、藤だけが外出組の中に見当たらない。同じく女性同期の桃木から自習したいから残ると言っていたことを聞いた。桜は心配してせっかくの外出泊の機会を蹴って女性同期メンバーに「聖子ちゃんはピンチの時ほど独りになろうとするから」とだけ伝え藤の元へ急いだ。
そんな優しさを持つ桜のことが皆大好きで「我らが同期の桜」と呼ばれていた。案の定藤は風邪を引いて寝込んでいた。せっかくの外出泊の機会だからと行くように説得されるが「聖子ちゃんといられる時間ができてラッキー!」と屈託のない笑顔を見せる。
翌日の日曜日、赤点コンビは補習があった。補習には藤も呼ばれ、鬼瓦にある物を渡した。ある物とは「ミス・パーフェクトがまとめたレジュメ」と言って鬼瓦が赤点コンビに頭に叩き込むよう言い渡される。「制服を着てる時だけはどんな時でも警察官の面構えでいろ」とエールを送った。
ついに卒業の日を迎え、同期全員で卒業することが叶った。藤は桜を抱きしめて「今までありがとう。あんた困ってるときは私が必ず助けるから」と桜の幸せを祈った。
松島は実家が酒造会社である轟に「松祭」という結婚式でしか使われない高価なお酒を成人した際に同期女子会でもらう約束をする。桜の提案でその女子会で皆ロングヘアーとスカートで出席してほしいとわがままを言った。

警察官ひき逃げ事件

3年前、藤や源の警察学校担当教官だった鬼瓦は町山交番所長を務めていた。もうすぐ妊娠5カ月で夫の副署長と娘も二人目を心待ちにしていた。そんな鬼瓦から人身事故の入電があり宮原と轟は現場に向かう。事故現場に向かっていると新たに署員が轢かれたと至急報が入る。今日の勤務は桜だと気付いた二人は「今から行くのは地獄だ」と覚悟を決めた。現場に到着すると血まみれで道路を叩く意識のない桜の姿と大急ぎで重たいパイロンを運ぶお腹の大きな鬼瓦がいた。ひき逃げ事件では現場のわずかな車の破片も重要な証拠となる。しかし災難は続き、現場には雨が降り注ぎこれから少しでも多く集めようとしていた証拠が洗い流されていった。町山警察署に帰署した宮原・鬼瓦・轟で事故が起きた際の確認をしていた。鬼瓦は、被疑車両は見えなかったものの桜に執着して勤務の度に桜の前に現れた守護天使と呼ばれていた警察官をじーっとみるだけの変わったおじさんのことが頭をよぎり「守護天使?」と声が出ていた。雨に降られてびしょびしょの鬼瓦は今日はもう帰るように宮原に言われるが桜のことが心配でたまらない。こうして鬼瓦は二人目の子供を流産し、警察官に戻ることは二度となかった。

川合が町山警察署に赴任してから間もなくの事、川合を見かけた藤は「桜に似てる…」と運命の出会いを果たす。副署長もうまく丸め込んで藤は桜に似ていた川合をエサに守護天使を探していた。この話はついに川合にも聞かされたが、川合はショックを受けるどころか捜査のために守護天使の似顔絵を作成した。この似顔絵を見て情報提供者が現れる。似顔絵に酷似している人物は木村良憲62歳。戸成署管内に所在する農園会社に住み込みで働く会社員である。聴取の天才である源が手を挙げ、非番の川合と鑑識課の南係長が上杉にも手伝うよう指示して3人で木村が住み込みで働いている戸成農園に向かうことになった。しかし、戸成署に向かう道中、トラブルに見舞われて結局農園には偶然にも担当駐在署員だった源の父親と川合が向かうこととなった。
源の父と共に戸成農園に到着した川合に社長はいきなり「なんかバレちゃった?」と核心を突き当時の話をしてくれた。話をしているところに木村が帰ってきて明らかに動揺している。川合は源の父に助けられながら木村を聴取した結果、ついに木村が当時乗っていた軽トラを確認することができた。交通課の秀山課長に報告すると町山署員全員が戸成農園に向かってきたがその間に木村は自殺をほのめかして逃走した。続々と町山署から警察官が応援に駆け付け必死で捜索を続けた。町山署では副署長が当時の妻鬼瓦のことを思い返していた。そんな副署長のもとに無線が入る。無線は木村を確保した宮原からだった。

ある日の町山警察署では桜が退官届を出すために副所長室へ呼ばれた。そこで川合は副署長室の前で大声で「ペア長の藤部長の愚痴聞いてくださいよ!」と叫ぶ。川合は桜に聞こえるように藤の愚痴を言うとその愚痴を聞いていた桜は「私やっぱり警察官辞めない!」と副所長室から飛び出て言った。川合は女性警察官ならではの「同性の後輩への怒り」を原動力に桜を引き留めることに成功した。

ドラマでも警察官ひき逃げ事件について、ドラマオリジナルストーリーとして展開されている。伊賀崎が桜とペア時代の設定になっており鬼瓦の登場はない。木村の確保はドラマ版では藤が源の手渡した手錠で逮捕したというストーリーになっている。

岡島災害

川合は同期生の結婚式に出席していた。川合は同期生と一緒の席で団らんしていると隣の席のおじさん警察官が、27年前の初任地の話をしてくれた。27年前に地震と豪雨が重なった岡島災害時、その中でも大きな被害が出た谷川署が初任地だった。一緒に卒配で赴任した同期が後2人いて、3人はとても仲が良かった。同期は二枚目で切れ者の「閣下」と呼ばれる刑事と、「マコ」とよばれる谷川署の中でも特に田舎の駐在所に勤務していたマコトがいた。マコが滝さんというおばあさんに道が危ないため回り道するよう注意するが、なかなか聞き入れてもらえないところに二人が通りかかった。話を聞いた閣下はすぐさま滝を回り道させるよう話術匠に説得する。まんまと乗せられた滝さんはすぐに回り道していった。
マコは同期二人から大丈夫かとからかわれるが、駐在さんとしてこの土地と人を守っていきたいと笑顔を見せる。閣下はそんなマコを見て妹の亜衣も惚れたんだろうと言った。マコは閣下の妹と結婚していて、もうすぐ子供も生まれる予定だ。一方、閣下も結婚して1年経つが、子供がいない。閣下は妻が病気のため子宮を全部摘出して子供ができない体になっていた。
そんな会話をした日の夜から、雨が延々と降り続け、岡島県の降雨観測史上記録的な豪雨となった。管内警察官は救助や避難勧告のために総動員されている。そんな中、土砂崩れが起きた地区があった。幸いにも住宅地ではなかったが、先ほどの滝さんの家が一軒あると言う。更に、避難を拒んだ滝さんの説得のためマコが土砂崩れの被害に遭っていたことが分かった。
二人はすぐに救助に向かったが、丸2日かけて家や木々さえ粉々になった泥の中でようやく発見できたのはマコの体の一部だけだった。もうお腹の大きくなっている閣下の妹でマコの妻である亜衣は一人でどうやってお腹の子を育てていけばいいのか分からない、続けて「腰抜けでもなんでもいいから私は生きて帰って来て欲しかった!」と泣き叫んだ。

同期の結婚式の二次会で聞くような話ではなかったものの、川合たちは身の引き締まる思いだった。翌日の朝礼で、新しく赴任してきた署長が紹介された。猿渡署長と紹介されたのは、昨日岡島災害の話をしてくれたおじさんだった。町山署で猿渡署長は源とすれ違う時に「マコ2」と声をかける。「閣下は元気か?」という質問に、「親父は駐在所でのびのびしてます。あと、マコ2じゃなくて誠二っす」と挨拶をした。源は猿渡署長が言っていたマコの子供が生まれた後、閣下こと戸成駐在所勤務の源の父親が引き取ったのだった。

奥岡島事件

ある日、猿渡署長を訪ねて前村孝三という男が来た。客として署長室に通したが、20年程前岡島県警史上最も大量の覚せい剤を差し押さえた大事件で逮捕された幹部の一人である。その時に前村孝三を取り調べたのが猿渡署長だったことからお礼参りの可能性もあると心配した。そんな皆の心配をよそに、署長は何事もなく出てきて薬物担当に前村の採尿を依頼するよう指示をした。このことをきっかけに、前村が今も覚せい剤の密売に関わっていることが分かり、特捜本部が立ち上がった。
源は署長から直々に奥岡島事件当時の情報収集班の一人であった副署長の妻であり、源の期の警察学校担当教官だった鬼瓦の聴取を下命された。
鬼瓦は当時ド新人にも関わらず特捜本部で内偵捜査が主体となる情報収集班に組み込まれた。当時の情報収集班は塩谷巡査部長と矢吹巡査部長、そして班長が源の父親である閣下だった。鬼瓦は内偵捜査担当の塩谷と矢吹と共に前村孝三の尾行をすることになった。前村からはなかなか情報が引き出せない中、源は情報提供者が身を隠さないといけない程大きな情報を持って帰る。報告書は手書きのコピーが捜査員に配られて目を通した後は破棄、他言無用の情報だった。しばらくすると奥岡島事件は密売グループ幹部8人の逮捕と大量の覚せい剤押収した。しかし、リーダーである「ジョージ」の逮捕には至らず、突き上げ捜査が本格化している中、閣下と鬼瓦にジョージが接触してきた。ジョージは自身を「虎松譲二」だと名乗り、閣下の子供・誠二をダシに使ってきた。これをきっかけに虎松は家族の情報や部下の情報を持っていると手の内を明かし、情報収集班は危機回避のために解散を命じられたのだった。

現在に時を戻し、町山市内のとあるマンションには虎松譲二が15歳になる娘の安達菜摘と共に生活していた。仲の良い親子で虎松は娘を溺愛している。そんな娘に譲二は今回前村や古森が逮捕されたことで菜摘に迷惑をかけることになるのを恐れて海外に移住を考えていることを話した。それを聞いて菜摘は父親に側にいてほしい気持ちから家を飛び出した。捜査の手がいつ自分に及んでもおかしくない状況の中、外に出ることもできず家で待つこと30分、菜摘からようやく電話がかかってきたと思ったら菜摘を保護したという警察からだった。菜摘が心配である余り、周囲を警戒しつつも交番まで迎えに急いだ。交番に到着した際には婦警が一人で対応したものの、続々と刑事が集まってきた。何日も風呂にも入れず焦点も合っていないような川合の姿を見て、警察は手の限りを尽くしていると観念しておとなしく連行されたのだった。

伊賀崎警部補の胸襟

虎松譲二が公判を待たず拘置所で病死した。がんが相当進行していたらしい。
一方、中富地域課長が本部捜査一課に在籍時代、藤の同期である松島巡査部長と中富の元ペア・鎌田巡査部長と共に資産家殺人事件の特捜についていた。事件の重要参考人と思われる「ツチヤチュウジ」という人物について捜査を進めていたところ、伊賀崎と潜入捜査班時代に伊賀崎に心酔していた塩谷が疑われていた。
都内某所では土谷忠司(ツチヤチュウジ)こと塩谷忠司(元岡島県警巡査部長)が振り込め詐欺グループの拠点アパートでまとめ役を担っていた。警察を辞めた後でも虎松との関係は続き、捜査で借金を背負い、無職となった塩谷に虎松は仕事を紹介した。塩谷は虎松の作成したマニュアルで数か月後には詐欺で大きな業績をあげていくようになり、どんどん虎松との関係性も深まっていった。虎松亡き今、この稼業を継続するには時世に合わせてアップデートし続ける「虎松マニュアル」が必要不可欠であるため塩谷は焦り、なんとかデータを手に入れるために虎松の生前の自宅である菜摘の家に急いだ。町山交番に不審な男を母親が部屋にあげてしまったと菜摘から連絡があった。マンションには先に伊賀崎交番所長と川合が臨場し、藤が追いかける形となった。川合が到着し菜摘が通報したことを悟られないように塩谷と話をしていたところ、署への動向を依頼すると突然塩谷は菜摘を人質に取ろうと動いた。伊賀崎が菜摘を助けるために前へ出ると塩谷は伊賀崎の頭を鉢植えで何度も殴打する。塩谷は応戦する警察官を振り切って菜摘を人質にし、川合か藤どちらかと人質を交換すると要求した。
源は塩谷と実際に対峙して対応を少しでも誤ると大惨事になると自分の中の「感覚」が警鐘を鳴らした。源は川合を呼び出し、川合に人質となってもらうよう優しい笑みを浮かべた。川合は警察学校レベルの知識しかないが過去には逃げられないよう女性の人質を全裸にして犯人が人質を盾にした事件があったり、ひどいけがをしたり殺された事件もあったと行くのを拒んだ。「それなら聖子ちゃんに頼む?」と川合を脅したが、川合は泣きながら「塩谷と対峙した上での源部長の判断ならそれが絶対に菜摘ちゃん救出の最善策です」と人質となる決意をした。
川合と菜摘は人質を交代し、外に出ることができた菜摘は覚悟を決めて父親から預かっていた資産家殺人事件の証拠を警察に提出した。川合は恐怖の中、塩谷の言うとおりに動くしかできなかったが徐々に打ち解けるようになっていた。部屋のドアに「後ろ手錠」で拘束されている源ももしかしたら川合の雰囲気に塩谷が柔和されることを期待したが、しばらくすると塩谷は証拠隠滅と自分の古巣に捕まる生き恥を晒すならと部屋を爆破させる準備をしていた。川合だけは逃げるよう話す塩谷だったが川合の機転により源と恋仲のふりをして手錠を外し塩谷を逮捕することに成功した。

藤と川合の別れ

牧高と源は性犯罪事件の被害者担当をしていた。被害者は会社の上司2名に自宅で全裸にされ2時間にわたり暴行をされた。
それぞれの事情聴取した結果を踏まえて検事がこれから裁判を起こすか否かを決めることとなる。それからしばらくして、検察庁から被害者女性に結果の通知が来た。結果は「証拠不十分につき不起訴」つまり、裁判はしないということだった。
その後、被疑者男性が自宅で首を吊った状態で発見された。遺書などは見つかっておらず、「不起訴になった。俺は犯罪になるようなことは何もしていない。親父もおふくろも何も恥じることなく生きてほしい」と父親に電話をしたのが最後だった。恐らく取り調べでも被疑者男性が最も気にしていたのは自身の妻子のことで、真面目な彼にとって家庭の崩壊は耐えられないものだったのだろうと推測されたが、警察の不当な捜査のせいだと主張した。しかるべき形で報道や関係機関に訴えると言われ、その対応に追われて業務に支障がでることを考慮して異動内示が出たのだった。その中で、藤が限界を感じ始めている源を支えるため、捜査一係に異動することとなった。更にどうしても宿舎の部屋が足りなくなる関係で藤が川合の隣の部屋から引っ越すことになってしまった。川合を心配して如月が自分が部屋を出ると言うが、川合は藤の決めたことならそれを尊重したいと心を決めたようだ。
その夜も川合と源、山田が食事に行くのに藤は引継ぎや引っ越しの準備で忙しくて顔を見せなかった。心配する源と山田だったが、川合は二人のことも「警察での家族」だと大切に思っていることを告白した。3人が宿舎に戻った時も藤は荷物を部屋から運び出して忙しくしていた。「そんな急いで出て行かなくても…」と声をかける川合だが、藤はどんどん荷物を川合の部屋に運び入れていく。藤は「私、川合に自分の部屋から出て行くって言ったよね?ってことであんたの部屋に同居するから。よろしくね、川合」と川合と藤の「ペアっ子」時代が終わり、「部屋っ子」時代が幕を上げた。

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』の登場人物・キャラクター

主人公

川合麻依(かわいまい/演:永野芽郁)

CV:若山詩音

警察学校を卒業したばかりの新任警察官。町山交番勤務の巡査で元々ペアが伊ケ崎交番所長だったが、藤の異動を機に県警初の女性ペアとなった。空気を読むのが得意でどんな人とも自然に合わせることができる。最初はパワハラで異動してきた藤のことを恐れていたが、ペアとして一緒に仕事をする内に心から尊敬するようになる。お互いに大切な存在となり、「藤部長の住むこの町を守るために警察官として頑張ろう」と考えるようになった。
20年間彼氏なし、異性に女として見られたことがない人生だったが、岡島県警本部捜査二課から異動となった藤の幼馴染の如月部長から好意を寄せられるようになる。出会った時からイケメンだと騒ぎ立てセクハラをしまくっていた川合だが、いざ自分に好意を寄せられると慎重になりなかなかデートもできないまま第一部は終了した。
源に似顔絵捜査の可能性を見出され、衝撃的な絵を描くにも関わらず犯人検挙率100%の似顔絵を描く才能がある。この似顔絵の才能のおかげで藤の同期である桜のひき逃げ事件犯人逮捕につながった。
その他奥岡島事件の虎松譲二逮捕後、塩谷立てこもり事件の際には人質となるなど体当たりの捜査を仲間からさせられることもある、が仲間を信じた上で危険な仕事にも取り組むなど警察官としての責任感も徐々に開花し始める。
その後は岡島県警初の警察学校学校長となる。

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