青のミブロ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『青のミブロ』とは安田剛志(やすだつよし)が2021年9月8日より『週刊少年マガジン』で連載を開始した漫画。物語は幕末の京が舞台となっており、のちに新撰組(しんせんぐみ)と呼ばれる壬生浪士の集団、通称ミブロが世の中を明るくするために力を使うという物語。「2022年、最初の四半期で最も売れた『第1巻』」において19位にランクインした話題作。

『青のミブロ』の概要

『青のミブロ』とは2021年9月8日より安田剛士(やすだつよし)が『週刊少年マガジン』で連載を開始した漫画。作者の代表作には、累計発行部数1300万冊を突破している『DAYS』というサッカー漫画がある。2022年に行われた「2022年、最初の四半期で最も売れた『第1巻』」において19位にランクインをし、話題になっている。このランキングの講談社の作品においては、『DAYS〜fragment』『東大リベンジャーズ』に次いで3番目にランキングの高い作品。

物語は幕末の京都を舞台に、嫌われ者の壬生(みぶ)の浪人集団、通称ミブロが幕末の日本を正義をもとに、よりよい世の中へと導いていく物語。どちらかが悪ではなく、ミブロが掲げる正義と敵が掲げる正義のぶつかり合いが描かれる。

『青のミブロ』のあらすじ・ストーリー

団子屋の少年

京都のあるちりぬ屋という団子屋に顔の整った2人の男性が訪れる。その名は沖田総司(おきたそうじ)と土方歳三(ひじかたとしぞう)という。明るく話しかける沖田、クールな佇まいの土方はちりぬ屋の店外の席に案内された。団子屋にはお婆さんと、いろはという小さな女の子、そしてにおという白髪の男の子が働いている。沖田はにおの後ろ姿を初めて見た時、あまりに綺麗な白髪なので、お婆さんが2人働いていると勘違いをしてしまう。団子を食べ終わると沖田と土方は団子の勘定をすませ、店を後にする。店にいた1人の客があまり2人に関わらない方が良いと伝える。関東訛り(かんとうなまり)で話す話し方から壬生村(みぶむら)に住み着く浪、通称ミブロであると勘づいたようだ。その客が言うには、ミブロはわけもなく人を斬ったり、店に入って金品を盗んでしまうという。外が暗くなり店じまいをした後、布団に入るにおといろは。いろははミブロの噂を聞いて不安な様子を見せる。におはそんないろはに、自分で見聞きしたことを信じるように伝える。

翌日、沖田と土方はふたたびちりぬ屋を訪れる。穏やかなやりとりを終えるとすっかり外が暗くなり始め、お婆さんはにおといろはに暗くなる前に先に帰っておくように伝える。におといろはは諸々の準備をしてから帰ろうとすると、すっかり外が暗くなってしまっていた。2人で暗い夜道を歩いて帰っていると、黒尽くめの格好をした5人の男に囲まれる。におといろはが攫われそうになったところに沖田と土方が駆けつける。沖田が1人を手刀で気絶させ、これ以上手を出さないように警告。沖田と土方は刀を使わずに男たちを制圧する。男の中の1人が土方に斬りかかろうとして刀を振り上げると、土方も自分の刀を抜き応戦しようとする。その瞬間、におが土方を止める。におは男たちの刀が一回も土方、沖田に向いてないことを察知し、男たちが自分達の子供を人質に取られていることを言い当てる。敵の本拠地を聞くとすぐさま沖田と土方は敵の本拠地を制圧し、問題を解決する。

ミブロへの勧誘

翌日、沖田と土方は団子屋を訪れる。におは2人にお茶を出すが、どこか不機嫌な様子を見せる。におの観察眼を評価し、土方はにおにミブロの浪士になるように勧誘するがにおは勧誘を拒否する。それと同時に昨日の事件は自分といろはが囮であったことを問いただす。土方はにおの問いかけに対し、素直に囮にしたことが真実であることを伝える。使えるものとして扱われたことににおは苛立ち、世の中の不満を吐き出す。そしてその世の中を変えることができない自分の無力さに失望してしまう。世の中を変えたいと願うにおに対して、土方は再度ミブロに勧誘する。

ミブロに入ることを決めたにおは沖田、土方とミブロが住処として利用している八木さんの屋敷を訪れる。ミブロが利用していることから、八木さんの屋敷は近所の子供たちに「鬼の棲み家」と呼ばれている。屋敷に入るといきなりミブロのメンバーに相撲での勝負を持ちかける。におが子供であることから、ミブロ内で、におと年が近い斎藤はじめ(さいとうはじめ)が指名される。勝負は拮抗し、2人が同時に地面につき引き分けで終わる。におは周りから恐れられているミブロが全然想像していた雰囲気と違っていたため、笑みが溢れる。

正義の天誅

相撲をとって盛り上がっているミブロ一行の元に事件が起きたことの知らせが入る。現場にミブロ一行が到着すると、寺のお坊さんが晒し首にされているのを発見する。そのお坊さんは高い金利でお金を貸し、お金を貪っているという理由で晒し首にされたと札に書かれていた。悪いことをした人が殺され、殺した人が正義の天誅と英雄扱いされる光景をみたにおは、違和感を覚える。ミブロは今回の事件を起こした過激派が出入りしているとされる宿に向かう。宿につくと土方が大声で見回りにきたことを叫ぶ。土方は躊躇なく斬りかかってきた相手を斬り倒す。過激派は1人の罪人を斬れば、お金、お酒、女がもらえるということで依頼を引き受けたと知る。それでも土方は動じず、敵を制圧。宿に帰るとにおは眠れず座り込む。その様子を見つけた土方が気にかける。におはこの世の中は悪人と正義が戦っていると思っていたが、実際は正義と正義がぶつかっているということを肌で実感する。正義と正義のぶつかり合いにどのように立ち向かっていけば良いか戸惑っていると、土方が自分の中に信念を持つことが大切であると伝える。

におの正義

ミブロに入ることになった翌日土方がにおを呼び出しミブロのメンバーでどこかつかみどころのない近藤勇(こんどういさみ)と3人で街の見回りにいくことを伝える。見回りをしている途中で怪しい人を発見し、土方が追いかける。大人の全速力についていけず、におが感心していると、その横でものすごく足の遅い近藤の姿を目撃し、拍子の抜けた状態になる。全速力で土方を追いかけると、怪しい人は街の中に消えていく。街の中で女の子が1人泣いているところを見かけ、におはその女の子の元に駆け寄る。そこに逃げ込んでいた怪しい人がにおと女の子の元に走り、刀で斬りかかろうとする。におは女の子を抱え飛び込み、間一髪で刀の一振りを回避する。におは今回の一件を機に、子供が安心してくらせる世の中にしていきたいということを誓う。

ミブロの粛清

翌朝、におは屋敷の玄関で田中太郎(たなかたろう)という同い年の男の子に出会う。少し田中と話をしていたところに土方が現れ、田中とあまり関わらないほうが良いと告げられる。不審に思いつつも、同い年の田中に興味を抱き、土方の忠告を無視して田中と関わろうとする。そんなやりとりを側から覗いていた沖田に田中のことについて告げられる。田中は元々奴隷であり、ミブロのメンバーの中で1番破天荒、目的を叶えるためなら手段を選ばない芹沢鴨(せりざわかも)が拾ってきたということを知る。夜が更けた頃、芹沢が近くの宿に泊まっている浪士たちと飲みの場から帰ってくる。いつもは5人の手下をつれている芹沢のもとに4人しか集まっておらず、殿内(とのうち)という手下の行方を土方が芹沢に訪ねると、酔った勢いで斬り殺したと告げる。芹沢は田中に死体の始末を命令する。田中は死体を発見すると落ちていた刀で死体を刺しまくる。その姿を見たにおは田中の手を止めようとするが、田中はどんなに辛い状況でも自分が生き抜くために必要なことだと手を止めず、刺し続ける。人気のないところで殿内を殺害しているところから、今回の一件が酔った勢いではなく、芹沢の意図的な粛清だと推測する。

今回の一件が芹沢の意図的な粛清であると考えるにおは田中にこの事件を任せて欲しいと懇願する。におは田中と協力し、殿内の死体を橋の上に運び出す。そして殿内の死体に笠をかぶせ、足袋を履かせる。盗人が旅人を狙って犯行に及んだという偽造を仕立て上げたのである。翌日、土方と沖田は芹沢を呼び出す。そしてこの偽造はにおが計画したものであると伝える。におは推測を確信にするために、土方にお願いをして殿内の荷物を探ってもらっていた。そして殿内がミブロを売ろうとして情報を横流ししていたことを突き止める。今回の一件は肝の据わったにおの行動により、問題なく終息したのであった。

会津藩のお預かり

いつになく上機嫌な芹沢はミブロの一員を屋敷の間に集める。会津藩から正式に護衛をするお預かりとして依頼を受けたのである。お預かりを受けることによって、会津藩から支援を受けることができミブロとしての活動が本格化するのであった。会津藩の下につくということには、1つ問題がある。それは会津藩と敵対する長州藩の存在である。ミブロは浪人であることから意にそぐわない仕事を任される捨て駒として扱われる可能性がある。それでも戦う意志があるのかどうかを皆で確認しあう。皆は意志を1つにして、お預かりとして責務を全うすることを誓い合う。

倒幕の志士

お預かりとして動くことを依頼主である会津藩当主松平容保(まつだいらかたもり)に宣言しにいくミブロ一行。そこでは早速仕事があり、会津藩の隊員を狙った辻斬りを引き起こしている五匹の悪魔と称される5人の辻斬りを倒してほしいと依頼される。におとはじめは五匹の悪魔を見つけるべく、夜の街を見回りする。するとそこに笠を深くかぶっている怪しい人物とすれ違う、2人は五匹の悪魔の1人ではないかと疑い、警戒心を強める。すれ違ってから数秒後、怪しい人物がにおとはじめに斬りかかる。警戒心を強めていたおかげでにおとはじめはその一撃を回避したのであった。

におは自分が斬られてもその後ではじめが斬りかかれる位置に立ち、相手の男に話し合いをすることを持ちかける。その男が言うには、日本は清から輸入されてくる麻薬、阿片(アヘン)によって内側から侵食されていく。今の幕府がやっていることは犯罪であり、自分達はそんな幕府を倒すと言う。におたちが知らない知識を教えた相手の男は寿太郎(じゅたろう)といい、寿太郎のそばには気配を消していた薩摩藩の忍、京四郎(きょうしろう)が立っていた。はじめのそばにいつの間にか立っていた京四郎ににおが気づき、はじめに京四郎が立っていることを告げる。2対2の状況ではじめは京四郎と、におは寿太郎と対峙する。におは対峙して早々、寿太郎に川へ落とされる。そして仲間にならないかと誘いを受ける。におは断固としてその誘いを断り、その度に川に頭を入れられ上から押さえつけられる。川の水で息ができなくなったにおは気を失ってしまう。窮地に立たされたにおであったが、沖田がその場に駆け付けなんとか一命を取り留める。そして沖田はにおを助けて直後、寿太郎と対峙する。沖田の剣は鋭く、寿太郎の首元を瞬時に捉え首をはねる。寿太郎を殺された京四郎は手裏剣を投げ、一時撤退する。

気を失い、意識が朦朧としていたにおの目が覚めると八木さんの屋敷にいた。におは正義と正義のぶつかり合いを経験し、本物の刀を持ちたいと土方に提案する。土方はその提案を飲み、切れ味は悪いが、人が斬れる本物の刀をにおに渡す。におは刀を受け取ると、今まで持っていた木刀と刀を両脇に刺し、五匹の悪魔の残り4人を捜索しに街へ出る。

ミブロは五匹の悪魔の残党が潜んでいると思われる屋敷を特定する。屋敷に乗り込むと、一般のお客さんが多数おり、2階に上がると六平(ろくへい)というおじいさんがお茶をすすっている。近藤が六平と談笑をし始め、におもその話に馴染んでいく。少し話したところで、近藤は本題を切り出す。ふつうのおじいさんと思われていた男性は、五匹の悪魔の1人だったのである。勝てないと判断するや否や、逃げ出そうとする六平。近藤はその六平を捕まえ、縄で拘束した。

寿太郎を殺し、六平を捕まえ、五匹の悪魔は残り3人になる。お酒を飲み酔い潰れた芹沢の元に権三(ごんぞう)という男が1人、そしてミブロの隙を見て攻撃しようと屋根で待機していた京四郎の前にはじめが現れる。酔い潰れながらも相手を圧倒する芹沢。仕留めにかかったところお酒で一撃を外し、田中が隙を見て縄で拘束。はじめの方も京四郎を捕獲し、残るはあと右目の潰れた男1人になる。近藤が残る男を発見し、相手が逃げないようにミブロの隊員は四方八方から相手を囲む。五匹の悪魔を1人残らず制圧し、無事に問題を解決するのである。

『青のミブロ』の登場人物・キャラクター

ちりぬ屋

ちりぬにお

『青のミブロ』の主人公。ちりぬ屋のお婆さんに引き取られ、いろはと共にお婆さんに育てられる。1番弱い立場であるこどもが安心できる世の中にするために、ミブロに加入することを決意する。武力では1番弱い立場にあるが、優れた洞察力と判断力でその場を適切に対処する。ミブロの一員として認められるために、努力をおしまない熱い一面もある。のちにはじめ、田中と三匹の狼と総称される。寝癖がつくと長髪の白髪が逆立つ癖毛だが、水をかけ手ぐしをかけると一瞬のうちに元通りになる。

ちりぬいろは

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