ギヴンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ギヴン』とは、ロックバンドメンバーの恋愛を題材とした、キヅナツキによる漫画作品。巧みなギター技術を持つ高校生の上ノ山立夏は、ある日学校で弦の切れたギターを持った佐藤真冬に出会う。立夏が真冬のギターを修復すると、真冬は立夏にギターを教えて欲しいと頼む。初めは断っていた立夏だが、真冬の美しい歌声を聴き、自身のバンドに誘う。そして、2人は少しずつ恋心を抱き始める。真剣に音楽と向き合う人の熱を持った言葉や、恋愛がもたらす幸せや哀しみを表すセリフなど、人の感情を大きく揺さぶる名言が数多く登場する。

雨が降る日、柊は真冬の家に訪れ、2人は由紀との過去を話し始める。静かに話をしていた真冬だったが、柊が「お前の気持ちもわかる」と口にすると、すかさず「俺の気持ちなんかわかんない!」と反論する。普段は静かで大人しい真冬が珍しく声を荒げた。柊は、真冬と由紀が互いを思い合っているのに、すれ違っていたことを知っていた。その様子を知っていたにも関わらず、2人を助けてあげられなかったことを柊はずっと後悔していた。そして、ずっと謝りたいと思っていた。申し訳なさそうにする柊に、真冬は自分のライブに誘う。真冬に許されることを願い続けていた柊は、その誘いに喜ぶ。由紀の死をきっかけに、真冬と柊の間に深い溝が生まれてしまったが、やっと和解することができたのだった。

「真冬が歌えてよかった」

ライブが終わり、真冬と話した柊。淡々と会話をしていたが、本当は昂っていた感情を抑えていた。話が終わり、待っていた幼馴染の八木玄純(やぎ しずすみ)の姿を認めると、「真冬が歌えてよかった」と、大粒の涙を溢して抱きついた。なかなか素直になれず、真冬の前ではぶっきらぼうな態度を取っていたが、真冬のことを本当とても心配していた。柊の友達思いな優しい一面が伝わってくるシーンである。

「独善的で享楽的で冷徹。なのにどこか孤独。由紀は魅力的な男だったよ」

柊と玄純のギターサポートとしてしばらく活動することになった立夏。ある日、柊がかつて由紀が作った曲を演奏したいと言い出す。なぜ今までやってこなかったのか立夏が尋ねると、由紀の音楽は特別であったために自分では歌えないと思っていたと柊は話す。「独善的で享楽的で冷徹。なのにどこか孤独。由紀は魅力的な男だったよ」と語る柊の由紀に対する評価について、立夏はぴんと来ていなかった。しかし、柊に渡された由紀の曲を聴き、その音楽的な才能に驚きを隠せなかった。そして、柊の言葉の意味を知る。

「なんで気づかなかったんだろう。同じとくべつさでずっと玄純は好きだったのに」

立夏はデモを少し編集し、再び柊と玄純に再送する。何気なく柊はその曲を聴くと、由紀と立夏が真冬に向けるまなざしや、ただ平凡に真冬のことが好きだという気持ちが自然と伝わってきた。柊にとって由紀は特別魅力的な存在で、一目置いていた存在だったが、立夏が制作したデモを通して初めて由紀と対等になれた気がしたのだった。「この感情は知ってる。平凡で特別な、由紀もそうだったんだ」と涙を流す。そして、「なんで気づかなかったんだろう。同じとくべつさでずっと玄純は好きだったのに」と玄純への恋心を改めて自覚するのだった。

「俺のわがままなんだけど、真冬に聴いてもらいたいんだよなあ。俺のために」

立夏・柊・玄純のライブの日が近づいている。立夏が誘ってくれることが嬉しいはずなのに、ライブに行きたくない真冬は、いつも人より自分の考えをまとめるのが遅いことを一人悩んでいた。すると、突然柊から電話がかかり、会う約束をする。柊は真冬に自分のライブチケットを渡し、「俺のわがままなんだけど、真冬に聴いてもらいたいんだよなあ。俺のために」と笑顔でお願いする。チケット受け取った真冬は、「喉、大事にね」と真冬なりにエールを送る。再会した当初は、顔を見合わせるだけで険悪な雰囲気が漂っていた2人だったが、昔のように素の自分を見せられる存在へと戻っていったのだった。

八木玄純の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「欲しいもののためになりふり構ってられない。人生くらい捨てられる」

ギヴンにデビュー誘いの話が来る。どう返事するか悩む真冬は玄純に相談する。話を聞いた玄純は「お前怖いんだろ。俺はお前とか由紀とはちがう」と冷たく言い放つ。幼い頃から傍にいるうちに気づけばお互いが手に入っていた真冬と由紀とは違い、後から柊を含めた3人の仲に入った玄純には、自然とパートナーと一緒になるという選択肢は無かった。「欲しいもののためになりふり構ってられない。人生くらい捨てられる」と言った玄純の回想には、笑顔の柊がいた。普段は柊の後ろで無口な玄純だったが、実は柊のことを深く愛していたのだった。

「大事に、大事にしてきた。砂場でみつけた光る石をくるむみたいに」

由紀とのバンド活動を経て、柊の音楽的な才能は開花した。里子として生まれ、汚れた世界しか知らない玄純にとって、そんな柊の存在は素直で脆くて眩しかった。「大事に、大事にしてきた。砂場でみつけた光る石をくるむみたいに」と柊のことをどれほど特別に想っているのかを表現している。柊同様、玄純も歪んだ愛情を抱えているのである。

「俺は柊の隣にいるために音楽をやってるし、それ以外は何もない。だから音楽にブレも迷いもない。柊の音楽に殉じれる」

立夏は玄純に、なぜ柊と音楽をやっているのか聞くと、「愛してるから」というシンプルな回答が返ってくる。立夏はその回答に、二人きりのバンドに恋愛感情がもつれて音楽がブレるリスクは考えていないのか問う。すると、「俺は柊の隣にいるために音楽をやってるし、それ以外は何もない。だから音楽にブレも迷いもない。柊の音楽に殉じれる」と答える。立夏は、玄純のことを役割に徹する自我がない人物だと思っていたが、実際は「柊に殉ずる」という強い意志の持ち主であることに驚く。だが、相手に身を捧げても構わないという迷いのなさを、少し羨ましいと思う立夏であった。

村田雨月の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「それでも音楽を愛している。けれどもう、二度とあれ以上はないだろう」

高校生の頃、秋彦が通う学校に雨月が転校してきた。元々ヴァイオリンのコンクールで互いに知っていたことから仲良くなり、次第に友情は恋愛感情に変わっていった。だが互いを強く愛するあまり秋彦の存在は雨月の音楽を不自由にする一方で、雨月の存在は秋彦の根本的な苦しみとなり、互いの存在がこの世で一番追いつめるものになっていった。そのことに気づき、音楽と真剣に向き合いたい雨月は別れを切り出す。しかし秋彦と一緒にいた日々が幸せであり、本当はまだ秋彦のことを愛しているため、秋彦から離れていかない限り雨月はなかなか関係を切ることができなかった。秋彦といることと音楽を天秤にかけて、音楽を選んだ。だが、「それでも音楽を愛している。けれどもう、二度とあれ以上はないだろう」と振り返る。世界的なヴァイオリニストである雨月の音楽にかける想いは強い。その音楽と同じくらい秋彦のことを想っていたことから、雨月にとって秋彦がとても大切な存在だったことがわかる。

「ばいばい、秋彦」

予選の終了後、会場をあとにする雨月を見かけた秋彦はとっさに追いかけて手を掴む。「今まで沢山傷つけてごめん」「ありがとう」という秋彦の言葉に、「応援してる」とだけ雨月は答える。そして雨月が手を離すように言うと、秋彦は一度ぎゅっと強く握った後、手をそっと離した。そして、会場の方に向かってまっすぐ歩き始める。雨月の目には涙が溢れており、一度秋彦の方に声をかけようと振り返るが、思いとどまって「ばいばい、秋彦」と静かに呟いた。愛おしいのに苦しい。好きなのに互いに傷つけあってしまう。どうしても離れることができなかった2人が、ようやく別れに踏み切った悲しい夜だった。

吉田由紀の名言・名セリフ/名シーン・名場面

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