映画 ギヴン(劇場アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『映画 ギヴン』とは、キヅナツキのBL漫画が原作のテレビアニメの2作目として、劇場版アニメ化された作品である。フジテレビの「ノイタミナ」で放送されたアニメでは、高校生の真冬と立夏の恋を中心に描いていた。だが、劇場版では、バンド内で大人組の春樹と秋彦、秋彦の元恋人の雨月の、苦く熱い恋を中心に描いている。春樹は長年にわたり、密かに秋彦に恋心を抱いていたが、秋彦は、天才ヴァイオリニスト・雨月の家に居候していた。秋彦と雨月は元恋人だが、きっぱりと離れることが出来ず、ズルズルと関係を続けていた。

『映画 ギヴン』の概要

『映画 ギヴン』本予告

『映画 ギヴン』とは、キヅナツキのBL漫画が原作のテレビアニメの2作目として、劇場版アニメ化された作品である。
バンドのメンバーたちが中心の、切ない青春群像劇。

登場キャラクターたちの細かな心の動きや、切ない恋愛の描写が繊細に描かれており、多くの人の共感を得ているのが魅力である。

また、BL作品でありながら、バンドものとしてもしっかりと楽しめるのも魅力。
ライブなど演奏シーンでは、細かい部分までしっかりと描写されている。
劇中の楽曲も素晴らしく、テレビアニメの劇中曲「まるつけ / 冬のはなし」は、オリコンチャート19位にランクインした。

フジテレビの「ノイタミナ」で放送されたアニメでは、高校生の佐藤真冬と上ノ山立夏の切なく淡い恋を中心に描いていた。
真冬と立夏が出会い、立夏が組んでいたバンドに誘うことで、真冬はバンドメンバーの中山春樹と梶秋彦とも出会う。
音楽は素人の真冬であったが、その歌声には天性の才能があり、4人での初ライブは大成功するのだった。
初ライブ後、バンド名を「ギヴン」に改名し、本格的な音楽活動をスタートさせる。

劇場版は、アニメのその後のストーリーになっている。
バンド内で大人組の中山春樹と梶秋彦、秋彦の元恋人の村田雨月の、苦く熱い恋を中心に描いている。
春樹は長年にわたり、密かに秋彦に恋心を抱いていたが、秋彦は、天才ヴァイオリニスト・雨月の家に居候していた。
秋彦と雨月は元恋人だが、きっぱりと離れることが出来ず、ズルズルと関係を続けていたのだった。

『映画 ギヴン』のあらすじ・ストーリー

「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」に向けての新曲作り

バンド「ギヴン」は、「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」に挑戦することになった。
書類審査を通過し、最終審査にまで残ったと、春樹のスマホに届いたメールで知った。
そして最終審査には、ライブ審査があるのだった。
またライブが出来ることに、素直に喜ぶ佐藤真冬。
その真冬の姿に、バンドメンバーの立夏・春樹・秋彦も刺激を受ける。
真冬は、そのライブ審査の為に、新曲を作りたいと意気込むのだった。

真冬は音楽の才能はあるものの、知識がなく、まだまだ初心者であった。
そこで、「音楽武者修行(音楽の勉強)」の為、秋彦と一緒に、クラシックコンサートへ足を運んだ。
そこに登壇していたのは、秋彦と同居している村田雨月だった。
雨月は、世界的に有名な天才ヴァイオリニストである。
真冬は雨月の奏でるヴァイオリンの音に大きな衝撃を受けると同時に、創作意欲と掻き立てられるのだった。

クラシックコンサートの後、自宅へ帰ってきた雨月。
しばらく海外で生活していた為、秋彦とは久しぶりの再会であった。
秋彦にコンサートの感想を聞いた雨月。
だが、秋彦は性急に彼の体を求めた。
そんな秋彦を、雨月も笑って受け入れるのだった。

真冬は秋彦の自宅を訪ねるが、ドアの向こうにいたのは、先日クラシックコンサートでヴァイオリンを演奏していた村田雨月だった。
この時初めて、真冬は雨月と秋彦が同居していることを知った。
真冬は雨月と秋彦の前で、制作中の新曲の一部を爪弾いた。
雨月はすぐに迷いのあるコードを指摘し、正しい音に導く。
本物の天才に、真冬は驚きを隠せなかった。

秋彦と雨月の馴れ初め

雨月は会って間もない真冬を気に入った様子で、秋彦が出かけた後、秋彦との馴れ初めを打ち明けた。
高校生の時、秋彦の通う高校に、雨月が編入した。
秋彦も当時ヴァイオリンを志していたが、天才の雨月が現れたことで、挫折を味わうことになった。
音楽面ではライバル同士だが、二人は徐々に惹かれ合っていった。
秋彦の両親が離婚し、途方に暮れていた彼を家に誘い、自宅に居候させることにした。
そして距離が縮まり、付き合うことになった。
だが雨月は、自分の存在が、秋彦の音楽への思いを苦しめていることに気づいてしまった。
ある日、雨月から突然別れを告げた。
だが、お互いに好きな気持ちを消せない二人は、別れた現在も同居は継続中。
真冬に秋彦との馴れ初め語った雨月は、「秋彦が死ぬほど好き」と、素直に本音を口にした。
「新曲のネタにでもして」と軽く言い、雨月も部屋を出るのだった。

秋彦の隠し事

一方、秋彦は春樹と車で移動中。
何気ない会話の中で、秋彦からサラッと明かされた「同居人」の存在に、春樹は動揺する。

スタジオで、新曲について相談する真冬と立夏と春樹の3人。
真冬の作りかけのデモ曲を弾いて、立夏があれこれアドバイスをし始めた。
だが、真冬の作りかけのデモ曲を聴いた春樹は、真冬の上達に驚くと同時に、自分だけ凡人だという事実を痛感し、疎外感を感じてしまう。

他のバンドとの交流会当日。
春樹は店の前で、秋彦を待っていた。
秋彦も一緒に参加するはずだったが、始まる時間になってもやってこなかった。
春樹が秋彦に電話をすると、秋彦が電話口で「行けない」と言い出した。
その秋彦の電話口からは、女性の艶めかしい声が聞こえてきた。
春樹は、秋彦が自分との約束より、女性との情事を優先したと察してしまい、落胆してしまう。
結局、交流会は春樹一人で参加した。
分かりやすく落ち込んでいる様子の春樹に、友人の「たけちゃん」こと矢岳光司が声をかけた。
矢岳は、春樹を元気づけようと、バンドのサポートメンバーをしてみないかと誘った。
だが、そのバンドは、春樹の元彼女の所属するバンドなのだった。
元彼女の所属するバンドということで、直ぐに返事が出来ない春樹。
返事を保留にしたまま、帰宅するのだった。

許されない一夜

春樹は交流会から帰り、眠っていると、秋彦からスマホにメッセージが送られてきた。
「お前ん家の前にいる」というメッセージに、飛び起きる春樹。
慌ててドアの外に出ると、階段に座り込む秋彦と目が合った。
秋彦は、顔に怪我をしていた。
春樹は、秋彦を部屋に入れるのだった。
春樹の家に上がった秋彦は、雨月と喧嘩をしてしまったことで苛立っていた。
一方春樹は、約束をドタキャンされたことを怒っていた。
互いに険悪な状態の中、春樹は、元彼女の所属するバンドのサポートメンバーに誘われていることを言ってしまう。
そこから二人は口論になり、激しく衝突してしまった。
だが、我に返った秋彦が、「お前に言ってもどうしようもなかった。ごめん」と謝罪する。
その言葉に、自分には何も求められていないことに絶望してしまった春樹だった。
その後も謝り倒す秋彦。
もう帰って欲しいという春樹。
だが、秋彦は本当に行く当てもなく、今晩だけ泊めて欲しいと食い下がった。
春樹は、自分は友達の家に泊まるからと、部屋を好きに使っていいと言い出した。
その代わり、朝になったら出て行って欲しいと言い、自分は家を出たのだった。

春樹が途方に暮れながら街を歩いていると、矢岳にばったり出会った。
矢岳は腑抜けた顔した春樹を心配して、部屋に招き入れた。
春樹は、秋彦への想いを断ち切る為、美容師の経験もある矢岳に、長い髪を切ってもらうことにした。
一方、秋彦は、春樹にちゃんと謝りたい一心で、ずっと春樹の家で帰りを待っていた。
しかし、全く帰ってくる気配がなかった。
だんだん心配になって来ていたところで、玄関の扉が開く。
帰宅した春樹を見て、春樹の後ろ髪が短くなっていることに驚く秋彦。
春樹は、秋彦はとっくにいなくなっていると思っていた為、まだ居たことに驚いた。
「お前に失恋して疲れている」と、出て行って欲しいと秋彦に伝えた。
だが、秋彦は、「もう少しここに置いてほしい」と食い下がった。
そんな秋彦に心底呆れながらも、「バンドのメンバーじゃなかったら、とっくに捨ててる」と言いながら、渋々承諾してしまう春樹。
その日から、春樹と秋彦の奇妙な同棲生活が始まるのだった。

真冬はまた、雨月の自宅を訪ねた。
雨月は「秋彦が帰ってきたのかと思った」と驚いた。
この時、秋彦がずっと家に帰っていないことを、真冬は初めて知るのだった。
雨月は真冬に、秋彦との関係を語った。
秋彦とは「元恋人」なのだが、ちゃんと別れることが出来ず、今もズルズルと一緒にいるのだと。

春樹だけ合わない音

ギヴンのメンバー4人でスタジオに入り、音合わせをすることになった。
だが、春樹は他のメンバーと合わせることが出来なかった。
秋彦と喧嘩してしまったこともあり、春樹はマイナス思考に陥っていた。
元々、自分以外のバンドメンバーは天才肌な事に疎外感を感じていたこともあり、セッションに集中できずにいたのだった。
どうしても一人だけズレてしまう春樹。
その日は練習にならず、そのまま解散となった。
春樹は落ち込んだまま、足早にスタジオを後にする。
そんな春樹を追いかけて、秋彦は声をかけた。
「俺だけ合わなかった。俺って必要なくない?」と、突然不満を口にする春樹。
そんな春樹に驚きながらも、秋彦は「合わなかったのは、お前がずっと下を向いていたからだろ」と言い、「お前が必要だって、俺結構ずっと前から言ってるよな!?」と、春樹の存在の大きさを改めて伝えたのだった。

春樹と秋彦の奇妙な同居生活

なし崩し的に始まった、春樹と秋彦の同居生活。
最初はギクシャクしてしまっていた二人。
だが、一緒に住んでいる内に、春樹は今まで知らなかった秋彦の色んな一面を知ることになる。
そこには情けない一面も含まれているのだが、ありのままの秋彦を、春樹は少しずつ受け入れていった。
春樹は、同居生活の中で、秋彦のことを嫌いにはなれず、むしろまだ好きなのだと自覚させられるのだった。

雨月の家を出ていく秋彦

「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」三次審査の前日。
秋彦は、久しぶりに雨月の自宅に帰ってきた。
2人分のコーヒーを淹れると、雨月に1つ手渡した。
コーヒーを飲みながら秋彦が口にしたのは、雨月との別れ話だった。
雨月は衝動的に秋彦の胸ぐらを掴むと、「嫌だ!」と言った。
だが、秋彦は冷静に「ここに来たのは、服を取りに来たんだ」と続けるのだった。
秋彦は、居候していた雨月の家を、出ていくことを決意していたのだ。
一方立夏は、あと一歩のところで作詞が停滞中である真冬を、自然な言葉で助ける。
立夏に励まされて、笑顔になる真冬であった。

「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」三次審査

「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」三次審査の実技審査。
会場には雨月の姿もあった。ギヴンのライブを見にやって来たのだった。
そして、とうとうギヴンの出番となった。
マイク前に立つ真冬を見守る立夏。
真冬は、完成した新曲を歌った。
それは、雨月からヒントを得て完成した歌だった。
自分の言葉をただぶつけるだけだった以前とは明らかに違う、「人を共鳴させるやり方」で、雨月や秋彦、傷を抱えるすべての人へ、その歌声を届けた。
ドラムを演奏している秋彦自身も、真冬の歌に心を動かされた。
そして、自分は改めて音楽が好きなんだと、気づかされたのだった。

秋彦と雨月の別れ

実技審査のライブ終了後、会場に雨月の姿を見た秋彦は、春樹に断ってから、慌てて会場を飛び出した。
全力で走って雨月に追いつくと、「待て!」と叫んだ。
その声に「やだよ」と飄々と返事をする雨月は、歩みを止めなかった。
それでも必死に追いかけてくる秋彦に根負けして、雨月は足を止めて振り返った。
「別れを言いに来たんでしょ?」と、いつもと変わらない様子で言った。
秋彦は、「別れよう。今まで沢山傷つけてごめん。ありがとう」と、真剣な表情で真正面から別れを告げた。
そして、雨月に背を向けて歩き出した。
遂に秋彦が自分から離れていくことになった。
だが、雨月は、自分が望んでいた未来でありながら、秋彦を引き止めたい衝動に駆られる。
そんな雨月の背中を、先ほどの真冬の歌が後押ししてくれた。
「待って!」という言葉を飲み込んだ雨月。
その目には涙が溢れていた。
「……ばいばい、秋彦」とその場で呟くのだった。

秋彦の告白

「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」の三次審査、ギヴンは落選してしまった。
ギヴンのメンバーは、受かる訳がないと思っていながらも、本当に落選すると凹んでしまったのだった。
その後、秋彦は春樹の家から出ていった。
親に頭を下げてお金を借りて、一人暮らしを始めたのだった。
掛け持ちしていたバイトも全部辞めて、大学で専攻しているヴァイオリンに打ち込むようになった。
秋彦が変わったことを、春樹は敏感に感じ取っていた。
春樹は、秋彦がここまで変わったのは、自分ではない「誰か」のおかげだと勘違いして、一人で落ち込んでいた。

そして、大学構内での秋彦のヴァイオリン発表の日。
春樹は、真冬に誘われて見に行くことになった。
だが、秋彦の演奏中、「気分が悪いから」と、途中で退席してしまう。
すっかり変わってしまった秋彦の姿に、秋彦をここまで変えた人物は誰なのか、想像して苦しくなってしまったのだった。
発表会終了後、秋彦は春樹を探して走り回った。
秋彦はやっと春樹の姿を見つけると、息が上がったまま慌てた様子で声をかけた。
まさか発表会の会場に春樹が来ているとは思っていなかった秋彦は、「すげー恥ずかしかった!」と、会場で春樹を見つけてしまった時、声が出そうになったと言うのだった。
そして、真冬からは春樹が具合が悪くて先に帰ってと聞いていたので、「体調大丈夫?」と気遣う言葉もかけた。
秋彦は、春樹が具合が悪くなってしまった理由を聞いて、春樹がとんでもない勘違いをしていることに気づいた。
そして、バイトを辞めたのも、ヴァイオリンを頑張ったのも、全部「春樹に見合う男になる為だったんだ」と伝えた。
秋彦は改めて、「好きです。俺と付き合って下さい」と春樹に告白した。
秋彦からの告白に、春樹は涙を流す。
二人の恋が、ようやく始まりを迎えるのだった。
両想いになり、春樹を力強く抱きしめる秋彦。
春樹は「うちに帰ろう」と言った。

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