ギヴン(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ギヴン』とは、新書館『シェリプラス』で連載されたキヅナツキのBL漫画原作による青春アニメ。2019年7月から放送された。フジテレビ「ノイタミナ」初のBLコミックのアニメ化作品として、話題となった。卓越したギターの腕を持っている男子高校生・上ノ山立夏は、ギターの腕が上がるほど、音楽への熱が冷めていくのを感じていた。だが、偶然隣のクラスの佐藤真冬と出会い、運命の歯車が動き出す。真冬は、聴く者をを魅了する歌声という才能があったのだった。真冬は、立夏の所属するバンドの練習を見学しに行くことになった。

『ギヴン』の概要

TVアニメ「ギヴン」ティザーPV。

『ギヴン』とは、キヅナツキのBL漫画を原作とした、バンドのメンバーたちが中心の、切ない青春群像劇。

漫画『ギヴン』は、新書館『シェリプラス』で、2013年ハル号より連載。
2020年8月22日には、『映画 ギヴン』のタイトルで劇場アニメが公開された。
2021年7月から、動画配信サービス「FOD」で、実写ドラマが配信された。

テレビアニメは、2019年7月~9月まで、フジテレビ「ノイタミナ」枠で放送された。
アニメでは、高校生の佐藤真冬と上ノ山立夏の、切なく淡い恋が中心に描かれた。

真冬と立夏が出会い、立夏が組んでいたバンドの練習に連れて行ったことで、真冬は立夏とバンドを組んでいた中山春樹と梶秋彦とも出会う。
最初は見学でやってきた真冬だったが、3人のセッションを聴いて、音楽への興味が湧き、立夏にギターを教えて欲しいと懇願する。

音楽は素人の真冬であったが、その歌声には天性の才能があり、初めてその歌声を聴いた立夏は、真冬をバンドのメンバーに誘うのだった。
その誘いを初めは断った真冬であったが、立夏の本心を知り、バンドに入ることを決意する。
そして、ライブの出演を決めた4人は、真冬が歌える新曲を作ることに。

曲は立夏が作り、歌詞は真冬が書くことになったが、初めての作詞に苦戦してしまう。
ライブの一週間前、作詞が進まない状況で、秋彦は練習を辞めることを提案する。

ライブのリハーサルでも、歌詞が出来ていない為、歌えなかった真冬。
追い打ちをかけるように真冬のギターの弦が切れてしまい、真冬は落ち込んでしまった。

だが、春樹は「切れたら直せばいい」と言い、平常心を取り戻すことができた。
本番では、真冬は会場が息をのむほどのパフォーマンスを披露した。
その歌は、真冬の過去の恋をなぞった歌だった。
4人での初ライブは大成功するのだった。

初ライブ後、バンド名を「ギヴン」に改名し、本格的な音楽活動をスタートさせる。
真冬と立夏も両想いになり、バンドメンバーにも正直に打ち明けるのだった。

『ギヴン』は、登場キャラクターたちの細かな心の動きや、切ない恋愛の描写が繊細に描かれており、多くの人の共感を得ているのが魅力である。

また、BL作品でありながら、バンドものとしてもしっかりと楽しめるのも魅力。
ライブなど演奏シーンでは、細かい部分までしっかりと描写されている。

『ギヴン』のあらすじ・ストーリー

真冬と立夏の出会い

ある日上ノ山立夏は、お気に入りの昼寝場所で、壊れたギターを抱える佐藤真冬と出会った。
立夏は、初心者には似つかわしくないギターを持っていた真冬を、怪訝に思った。
だが不思議と放ってはおけず、真冬のギターの弦を張り直してあげたのだった。
チューニングの為、立夏はひとつのコードを奏でる。
その音を聞いた瞬間、真冬に衝撃が走った。
衝動のままに、立夏にギターの弾き方を教えて欲しいと懇願する真冬。
真冬の熱意に気圧された立夏は、真冬を自分のバンドの練習スタジオへ連れて行くのだった。

スタジオでは、立夏のバンドのメンバーである大学生の梶秋彦と中山春樹が待っていた。
真冬が見学に来たと知り、とにかく恰好付けたいと張り切る秋彦と春樹。
3人は真冬のざっくりとしたリクエストに答えるように、セッションを始めるのだった。
3人の自由なセッションを聴いた真冬は、さらに胸を高鳴らせた。
立夏のアドバイスにより、学校の軽音部を見学し、弦の張り替え方やチューニングのやり方も覚えた真冬。
数日後、またスタジオにやってきた真冬は、立夏に改めて「もっと、ギターを教えて下さい」とお願いするのだった。

真冬にギターを教えることになった立夏だが、真冬が何が分からないのか分からず、手探り状態だった。
自分がギターを始めた頃に何をやっていたのか思い出したり、ネットで調べたり、あれこれ考えを巡らせていた。
その上、天然で何を考えているのか分からない真冬に、ちゃんと意思の疎通が取れているのか、不安に思っていた。
同じバンドメンバーの秋彦と春樹に、真冬をスタジオに連れてきたいと相談し、了承を得た立夏は、学校帰りに真冬をスタジオに誘ったのだった。
立夏の丁寧な教え方も勿論、真冬の飲み込みの速さもあり、どんどん成長していく真冬であった。
真冬は立夏にギターを教えてもらうのが楽しく、周囲から見た二人は、仲良しな距離感になっていた。

スタジオ後の雑談で、バンドマンに必要なものは金だと教える秋彦・春樹・立夏の3人。
3人もさまざまなバイトをして、費用を稼いでいるのだった。
春樹はカフェのバイトと、たまにヘアアレンジモデルもしていた。
秋彦はコンビニの他、単発でバイク便やイベントのウエイター、警備の仕事などをこなしている。
立夏は秋彦と同じコンビニでバイトしているのだった。

立夏は、真冬に好きな曲はないのかと聞いた。
その問いに、「曲名は知らない」と言いながら、歌詞のない曲のメロディーを歌ったのだった。
初めて真冬の歌声を聴いた立夏は、激しいショックに襲われた。
早まる鼓動を抑えつつ、半ば衝動的に「うちのバンドに入らない?」と、真冬をバンドに勧誘するのだった。
真冬をバンドに勧誘した立夏だが、断られてしまった。
断れるとは思っていなかった立夏は、激しく動揺する。
ネットで解決方法を検索して試してみるが、撃沈してしまう。
途方に暮れた立夏は、春樹と秋彦に相談し、笑われてしまう。
だが、春樹に真冬の話も聞くようにたしなめられて、ハッとするのだった。

真冬にバンドの勧誘を断った理由も聞いておらず、連絡先も知らなった立夏に、春樹は「音楽はコミュニケーションだよ?」と真冬の話も聞くようにたしなめるのだった。
その後、立夏に言い過ぎたかも知れないと気に掛ける春樹。
秋彦は、そんな春樹の頭を撫でて、励ますのだった。

一方真冬は、ライブハウスのバイトの面接を受けていた。
面接に受かった真冬は、女性スタッフの椿に面倒をみてもらうことになった。
立夏は真冬とコミュニケーションを取るため、スタジオやライブハウスの近辺で真冬を探し回る。
やっと真冬を見つけた立夏だが、そこに真冬の幼馴染みの鹿島柊が現れた。
柊から声をかけられた途端、愕然とした表情になる真冬。
柊は、真冬が背負っていたギターケースを見て、「それ、由紀のギター?」と問いかけた。
その問いかけに答えることも出来ず、真冬は脇目も振らずに走り出した。
真冬の頭には、忘れられない過去がよぎるのだった。

ただ事ではない雰囲気を察知した立夏は、逃げ出した真冬をすぐに追いかけた。
ついに追いついた立夏は、真冬を引きとめたとき、初めて「真冬!」と名前で呼んだ。
真冬は今にも泣きだしそうな表情で、「表現するのが下手」だと自分を卑下する。
真冬が辛そうな理由がわからない立夏は、最初は困惑するものの、真冬が自分自身を否定する態度に激昂する。
立夏は、自分は真冬の歌に心を動かされたことを伝えるのだった。
真冬は自分を肯定してくれた立夏の言葉に背中を押され、ようやく「バンドをやってみたい」と告げた。

真冬、バンド正式加入&始動

真冬の歌を形にするため、立夏は作曲を開始。
音楽に熱中していた昔に戻ったように、作曲に没頭する立夏だった。
真冬は、ギターボーカルとして、バンドに正式に加入することになった。
学校でも、一緒にいることが増えた真冬と立夏。
真冬と立夏が親しげに話している様子を見て、立夏のクラスメイトの笠井朱乃は、ショックを隠し切れずにいた。
笠井は、立夏にひそかに思いを寄せていたのである。

立夏は、バンドに入ったからには甘やかさないと、真冬に熱心に指導する。
春樹と秋彦も、新メンバーの真冬を快く受け入れた。
練習後、ファミレスで真冬の歓迎会をしたのだった。

ある休日、バンドをする上で必要な機材を買いに行くことにした立夏と真冬。
渋谷駅で待ち合わせるも、真冬は待ち合わせ場所を勘違いしてしまう。
立夏が探し回ってやっと合流できた二人。
「もっとちゃんと場所指定しておくべきだった」と、立夏は反省するのだった。

楽器屋さんに入った二人。
立夏は初心者の真冬のために、店内の案内や製品の説明、試し弾きまで、手取り足取りで教えるのだった。
そこで真冬が気にいった新品のエフェクターが1万2千円だった。
高校生にとって高すぎる金額に、真冬はがっかりしてしまう。
その様子を見た立夏は、自分が行きつけの中古ショップに真冬を連れていくことにするのだった。
渋谷で楽器屋さん巡りをしている真冬と立夏を、偶然、クラスメイトの笠井と栗原が目撃していた。
親しげに歩く二人を見た笠井は、「付き合ってんの?」と複雑な気持ちになるのだった。
その様子を見ていた栗原から、中学時代の真冬に関する噂がこぼれた。
それは、真冬が同性と付き合っているという話だった。

春樹は、友人の矢岳からライブへの出演を持ち掛けられたことを伝える。
元々、3人で活動していた時はインストバンドだったのだが、どうせなら、4人で出演する初ライブまでに、真冬が歌える曲を作ろうということになった。

サシ飲みに行った春樹と秋彦。
真冬と出会って、明らかに変わった立夏のことを語り合う。
その最中、秋彦が突然春樹の髪に触れてきて、春樹は硬直してしまう。
春樹は、二年前に学校で秋彦を初めて見た時から、ひそかに思いを寄せているのだった。
秋彦は、サシ飲みの後、春樹の家に泊まった。
だが秋彦は、日の出前にさっさと春樹の部屋を後にする。
秋彦が帰るのは、村田雨月と暮らす家だった。

初ライブの打ち合わせで焼き肉店に来た4人。
真面目に話す春樹だが、他の3人は焼き肉に夢中。
春樹は、焼肉に夢中な3人をまとめるのに苦労するのだった。

焼き肉後、秋彦はまた春樹の家に泊まることに。
秋彦にベッドに押し倒されたかと思えば、直後に秋彦のいびきが聞こえてきた。
春樹はドキドキ展開からのお約束な流れにがっかりしてしまうのだった。

立夏は曲を完成させた。
それを真冬に聴かせることに。
じっくりと聴いて微笑んだ真冬は「俺も好きだよ」と伝える。
その言葉に、立夏は喜びを抑えきれないのだった。

クラスメイトの笠井から、真冬の過去の噂を聞かされた立夏。
中学の頃に真冬が同性の吉田由紀と付き合っていたこと、そしてその相手が去年自殺したことを知るのだった。
真冬の過去の話に、立夏は大きなショックを受ける。
笠井は立夏への思いもあり、「佐藤君と関わるのは危ないんじゃない?」、と忠告するのだった。

真冬のバイト先のライブハウスを訪ねてきた柊。
改めて二人で話をすることになった。
柊は、真冬が音楽を始めたのは、過去に囚われているからではないのかと聞いた。
だが、真冬は微笑むだけで、何も答えを出せなかった。
真冬と別れた柊。
柊は幼馴染みの八木玄純に、真冬に再会したことと、今も真冬の過去の件を気に病んでいることを零すのだった。

秋彦が立夏を訪ねてきた。
立夏は、真冬のことに関して自分の想いを吐露する。
その内容が、自分と重なって笑うしかない秋彦だった。
秋彦にも曲を聞かせた立夏。
秋彦に素直に褒められて照れる立夏だった。
そして秋彦は、曲の歌詞を真冬に書かせてみたらどうかと提案する。
その提案に、立夏も賛同するのだった。
真冬に曲の歌詞を書いてみないかと言うと、「無理だと思うよ」と即答されてしまった立夏。
そんな真冬に、真冬の抱えるウジウジを、歌詞に書いて吐き出すように説得する立夏。
立夏の熱い言葉に心を動かされた真冬だが、何を書けばいいのか見当もつかないのだった。

曲の歌詞について、どうしたらいいのかわからない様子の真冬に、春樹は「恋愛体験」をテーマに書いたらどうかとアドバイスする。
何も知らない春樹は地雷を踏んでしまったのだった。
過去の恋愛で自分の気持ちに決着が付いていない真冬は、春樹に不穏な言葉を投げかけた。
「その人がある日突然世界からいなくなったら、何て言います?」
真冬のいつもとは違う雰囲気に、春樹は困惑するしかなかった。
歌詞を書く決意を固めた真冬は、立夏に今まで話していなかった自分の過去を語り始める。
真冬が「好きな人」のことを話しているのを、寝たふりをしながら聞いていた立夏は、自分が燻ぶらせていた思いは「嫉妬」だったのだと自覚するのだった。

秋彦の高校時代、天才ヴァイオリニストの村田雨月と出会った。
秋彦は、雨月の才能を強烈に妬み、強烈に哀れに思ったのだった。
秋彦はバイオリンの道を諦めたと同時に、二人の歪な恋愛関係が始まった。

真冬は歌詞を一行も書けずにいた。
そんな真冬に苛立ちをぶつけてしまう立夏。
それを止めに入った春樹に、「最近、上も変だよ!」と指摘され、青ざめるのだった。
練習後、立夏の想いに気づいていた秋彦は、立夏に励ましの言葉をかけた。
好きな相手が男だから、この気持ちを抱くこと自体も不安に思っていた立夏。
だが、秋彦はそんな立夏に「昔の話」と言いながら、自身の恋愛話をカミングアウトする。
秋彦に、真冬への気持ちを肯定された立夏は拍子抜けするのだった。

一週間後にライブを控えているが、まだ歌詞は出来ていなかった。
秋彦は、練習の中断という大博打に出る。
それは、真冬の演奏が合格ラインに達したことで、もっと重大な問題である未完成の歌詞を完成させるためだった。
秋彦は、真冬に「お前伝えたいの?それとも言葉にするのから逃げたいの?」と問いただす。
過去に決着を着けないことには歌詞を書くことは出来ないと、鋭く指摘するのだった。
一方、秋彦からひそかに立夏のフォローを頼まれていた春樹は、あえて痛いところを突いて、立夏を焚きつけることに。
「今のお前じゃ真冬の音に食われるよ」と言われた立夏は、動揺を隠せなかった。

初ライブへ

ライブに向けて、個人で調整を進める真冬・立夏・春樹・秋彦の4人。
立夏はボーっとしてしまうことが多くなり、真冬とも普段通り会話しているはずなのに、どこかぎこちなくなってしまっている。
春樹のバイト先の喫茶店に、友人の矢岳が訪ねてきた。
社会人バンド「チャーシューボーイズ」のリーダーをしている矢岳は、バンドメンバーのスケジュールが合わないことから、春樹に弱音を吐く。
矢岳の弱音を聞きながら、春樹自身も、内心不安を感じていた。
雨月の家に居候中の秋彦は、雨月を自分たちの初ライブに誘った。
「俺に見せられるレベルなの?」と、最初は興味なさそうだった雨月。
だが、秋彦が雨月のヴァイオリンの練習に付き合うことを条件に、足を運ぶということになった。

柊は、真冬のバイト先や自宅をしつこく訪ねてきた。
雨の日に、真冬の自宅前で電話をかけて呼び出す柊。
真冬と由紀を、ずっと傍観していた柊は、何もできなかった自分に、深い後悔を抱いていたのだった。
柊は、真冬に許してもらいたかったのだった。
真冬は柊を、自分のライブに誘った。
真冬は柊に八つ当たりしたことを謝るが、自分が一番、自分の気持ちを理解できないと自虐する。

真冬と由紀の過去を回想する柊。
幼少期に、真冬の隣家に引っ越してきた吉田由紀は、真冬とは正反対の性格をした男の子だった。
派手好きで、支配的で気分屋な性格だった。
母子家庭だった由紀は、隣家の真冬と過ごすことが多く、二人が一緒にいることが当たり前になっていた。
中学生になると、真冬と由紀は恋仲になっていた。
クラスメイトたちにも噂される中、由紀は特に気にした様子はなく、むしろ真冬への独占欲を隠すことなく露わにしていた。
高校生になってから、幼馴染の柊と玄純と3人でバンドを組んだ由紀。
由紀がバンドを組んだきっかけは、音楽が好きな真冬のためであった。
真冬の為に曲を作ろうと思った由紀は、バンドの活動資金を稼ぐため、バイトに忙しい日々を送ることになった。
そして、一緒に過ごす時間が減っていった真冬と由紀。
由紀の気持ちが分からなくなってしまった真冬は、些細なことで由紀と喧嘩をしてしまう。

真冬との喧嘩の二日後、由紀は自殺した。
由紀の自室には、お酒の空き缶が複数転がっていた。
真冬は、由紀の母親から、由紀が愛用していたギターを、形見として引き取ったのだった。

初ライブ当日。
真冬はリハーサルでも歌うことが出来なかった。
立夏は、真冬の歌が出来ていないことに、内心安堵していた。
真冬に立夏は、「今回のライブは歌なしでいこう」と、諦めの声をかけるのだった。
いつも自分を励ましてくれた立夏から諦めの言葉を聞いた真冬は、思わず反発してしまう。
ライブ目前に衝突してしまう真冬と立夏。
その瞬間、真冬が抱えていたギターの弦が、ブツりと切れてしまった。
ライブ本番直前に切れてしまった弦は、真冬と立夏、秋彦にとって、修復不可能な亀裂のように思われた。
しかし、春樹だけは動じることなく「切れたら直せばいいだろ」と言う。
春樹はすぐにライブスタッフに、自分たちの登場順を一番最後にしてもらえるように交渉しに行った。
春樹の言葉に平常心を取り戻した立夏は、新しい弦を買いに走り出す。
すぐに弦を買って控室に戻ってきた立夏。
一方真冬は、歌詞も書けず、立夏とも言い合いになり、その上ギターの弦まで切れてしまい、落ち込んだ様子だった。
そんな真冬を見た立夏は、真冬のギターの弦を張り直してあげるのだった。
立夏は弦を張り直しながら、「真冬、俺はお前の音が好きだよ。俺はお前の背を押してやってるつもりで、いつの間にか、お前に引っ張り上げられてた。」と、真冬に本心を打ち明ける。

今回のバンドの危機を救ったのは、春樹の声掛けと行動力だった。
それを大したことではないと捉えている春樹に、秋彦は素直に感謝の気持ちを伝えた。

迎えた本番、真冬は会場中が息を呑むほどのパフォーマンスを披露した。
突然歌いだした真冬に、立夏と春樹と秋彦も驚いた。
真冬が歌った歌詞は、由紀との過去をなぞる恋の歌だった。
会場でライブを観ていた柊と玄純。
真冬の歌が、由紀のことを歌っていると悟った柊は、動揺を隠せなかった。
同じくライブを観ていた雨月は、真冬が「才能を与えられた側の人間」だと悟った。

全力で歌い切った真冬は、ライブ終了後、半ば放心状態になっていた。
バックヤードで、真冬は立夏に感謝の気持ちを伝えた。
立夏も「お前はよく頑張った」と温かい言葉をかけた。
立夏の言葉に、真冬は流れる涙をこらえきれないのだった。

『ギヴン』誕生

ライブ後。
ライブの主催者であった矢岳から、先日のライブの映像データをもらった春樹。
春樹は目を輝かせて喜んだ。
矢岳は、「またライブをやってくれ。俺はお前らのこの先が見てみたい」と伝えた。
矢岳の言葉に照れる春樹だった。

真冬はライブ後に熱を出し、ダウンしてしまった。
そんな真冬の見舞いにやってきた立夏。
体調不良の真冬を目の前にして、内心激しく動揺するのだった。
真冬の部屋に入った立夏は、ベッドに横になる真冬のそばに座り込んだ。
「まだいてもいい。あと5分…。」などと言って、少しでも長く立夏を引き留めておこうとする真冬。
急に甘えてくる真冬の様子に、立夏は心を揺さぶられるのだった。

真冬の体調が回復した後、4人は打ち上げ兼真冬復活会という名目で焼肉屋にやってきた。
そこで真冬と立夏は、自分たちのライブ映像を、ノートパソコンで見せてもらうのだった。
その映像を見て大興奮な二人。
バンドの今後の活動について、初めて真面目に話し合うことになった4人。
真冬は、またライブがやりたい、曲を作りたいと、いつになく積極的な態度であった。
その話の流れで、バンド名を新しくすることになった。
そこで真冬が「give」という単語を口にする。
「give」と今のバンド名の「the seasons」を掛け合わせて、新しいバンド名は「given(ギヴン)」に決定した。
「ギヴン」として動画配信サイトや、SNSアカウントを開設した春樹。
いよいよバンド活動を本格的に始動させるのだった。

真冬の初ライブの後、真冬と柊の関係は、昔のような距離感に戻りつつあった。
真冬の前ではつい悪態をついてしまう柊だったが、実は真冬のライブの後、玄純の前で大号泣していた。
「真冬が歌えてよかった」と、柊は心底から思っていたのだ。
秋彦に、ノートパソコンでギヴンのライブ映像を観せられた雨月。
「何か引き金さえあれば、こいつも化けるのに」と、真冬の才能に感づいていた。

真冬への恋心が日に日に募っている立夏。
真冬と二人きりになると、途端に挙動不審になってしまっていた。
ある日の放課後。
電車内で話していた流れで、二人は横浜・みなとみらいまでやってきた。
海にやってきたら、真冬は海に向かって駆け出した。
そして満面の笑みで立夏を振り返り、「上ノ山くんが好きだよ」と告白するのだった。
真冬の唐突な告白に、立夏の思考は停止してしまう。
真冬の「好き」は、友情ではなく恋愛としての意味だった。
それを理解した立夏は、初めて真冬と両想いだったことを知る。
あまりにも衝撃的な事実を目の前に、立夏の脳内では「緊急脳内会議」が勃発した。
脳内会議では、様々な感情を司る立夏たちが、討論に討論を重ねているのだった。

晴れて両想いとなった真冬と立夏。
立夏は、バンドメンバーの春樹と秋彦にも、真冬との交際を正直に打ち明けることにするのだった。
まずは春樹の家を訪問し、交際を報告する二人。
何も気づいていなかった春樹は、その話に唖然とし、激しく動揺する。
だが、真剣な二人の態度に、最後は交際を許すのだった。
一方、大方察していた秋彦は、二人の報告にも反応が薄かった。
「おめでとう」と二人に声をかけるのだった。

ギヴンは、矢岳に協力してもらい、バンド活動の為の「宣材写真」を撮ってもらうことになった。
慣れない撮影に、照れくささを隠しきれない4人。
自分のドヤ顔に、みんな恥ずかしくなってしまうのだった。

バンド「ギヴン」は、宣材写真制作やSNSでの宣伝など、順調に活動をしている。
春樹の誕生日には、サプライズでパイ投げをしてSNS投稿をしていた。
4人が作る音楽も、それぞれの恋愛模様も、たくさんの可能性に満ちているのだった。

『ギヴン』の登場人物・キャラクター

バンド「ギヴン」

佐藤 真冬(さとう まふゆ)

佐藤真冬。

CV:矢野奨吾

高校生。
バンド「ギヴン」でボーカル&ギターを担当。

印象的な歌声の持ち主。
音楽の知識はなかったが、立夏に誘われてバンドに加入し、音楽への才能を開花させる。
音楽にのめり込むのと同時に、立夏に恋愛感情を抱くようになる。

マイペースでつかみどころがなく、口数も少ない。
過去の恋愛が原因で、感情を上手く表現できないと思っている。

自宅でポメラニアンを飼っている。

上ノ山 立夏(うえのやま りつか)

上ノ山立夏。

CV:内田雄馬

高校生。
バンド「ギヴン」でギターを担当。
高校生離れしたギターの腕前を持ち、近隣のライブハウスでは有名であった。
いつしかギターを始めた頃の情熱を忘れてしまっていたが、真冬と出会ったことで、音楽への情熱を取り戻していく。
真冬の歌声に強く惹かれ、恋愛感情を抱くようになる。

尊大な態度とキレやすい性格の為、年上の春樹や秋彦から「上様」と呼ばれることも。
だが、礼儀正しく面倒見も良い。

中山 春樹(なかやま はるき)

中山春樹。

CV:中澤まさとも

大学院生。
バンド「ギヴン」でベースを担当。
バンド内では最年長で、バンドのまとめ役。
バンドのライブ出演など、バンド活動の土台を支えている。
穏やかで包容力があり、コミュニケーション能力が高い。

秋彦に一目惚れしてから、願掛けのように紙を伸ばしていて、後ろ毛を一つに縛っていることが多い。
本人は秋彦への思いを隠しているつもりだが、秋彦の言動に一喜一憂してしまっている。

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