キングダム(アシンの物語)のネタバレ解説・考察まとめ
『キングダム』とは、Netflixで配信されている韓国ゾンビドラマで、『神の国』というウェブ漫画を原作としている。『キングダム アシンの物語』はその前日譚である。李氏王朝が覇権を握る朝鮮で王が死んだという噂が街に広がる中、不気味な病が街で蔓延する。本編シリーズは、王都に渦巻く悪しき陰謀から民を救おうと奔走する世子の姿を、一話のみの『アシンの物語』では謎の女戦士アシンの出自を回顧録の形で描く。原作が韓国内外で高評価を得ていたことから、本編シーズン1配信開始前からシーズン2の製作が決定していた。
『キングダム(アシンの物語)』の概要
『キングダム』とは、Netflixで独占配信されている韓国ゾンビドラマ。『神の国』という韓国ウェブ漫画を原作としており、『キングダム アシンの物語』はその前日譚である。李氏王朝が覇権を握る朝鮮で王が死んだという噂が街に広がる中、不気味な病が街で蔓延する。本編シリーズは、王都に渦巻く悪しき陰謀から民を救おうと奔走する世子の姿を、一話のみの『アシンの物語』では謎の女戦士アシンの出自を回顧録の形で描く。ニューヨークタイムズが選ぶ「最高のインターナショナルテレビ番組 TOP10」に選ばれるなど、Netflixでの本編シーズン1配信配信前から韓国内外で高評価を得ていた。そのため、本編シーズン1配信開始時には、既にシーズン2の製作が正式に始められていた。
『キングダム』本編は、2019年1月25日にシーズン1、2020年3月13日にシーズン2が配信開始された。本編の監督は『トンネル 闇に鎖された男』(2016年)で一躍脚光を浴びたキム・ソンフンが手掛け、脚本をキム・ウニが手掛けた。俳優陣には、主役の世子役に『神と共に』シリーズで活躍したチュ・ジフン、キーパーソンとなるソビ役に『ハナ 奇跡の46日間』、『空気人形』、韓国版『RING(リング)』の貞子役等各所で独特の名演を見せたぺ・ドゥナ、ヨンシン役に『悪人伝』のキム・ソンギュを起用。さらに、サプライズで大物俳優がエキストラやゲストとして出演するなど豪華な顔ぶれが揃えられており、韓国ホラードラマ部門の中ではこれまでにない破格のクオリティとなっている。
一方、スピンオフ作品の番外編となる『キングダム アシンの物語』は、本編終盤で登場した謎の女戦士アシンの出自と本編に至るまでの経緯をメインに描いており、本編では判明していしなかった謎が解き明かされる。Netflixでは2021年7月23日に配信開始され、監督、脚本を本編と同じ二人が続投。主人公アシンにはドラマ『Happy Together~ハッピー トゥギャザー~』でイ・ビョンホンらスター俳優たちと共演した人気女優チョン・ジヒョンが起用された。本作は、本編で謎の病の流行によるゾンビ化を主人公の世子たちが食い止めようとしていたのとは反対に、家族や仲間を殺されたアシンがゾンビ化の原因となる植物「生死草」を利用して次々に関係者に復讐していくというダークなストーリーとなっている。また、シリーズ作の本編とは異なり、90分の1話のみで完結する内容となっていることから、序盤から終盤まで通じて怒涛の展開が見られるのも特徴である。
本編、番外編を通じて、ゾンビホラーと時代劇という異色の組み合わせの下にストーリーが展開しており、韓国ゾンビホラージャンルでは人気作となった『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『生きている』とはまた違ったテイストの斬新な作品となっている。
『キングダム(アシンの物語)』のあらすじ・ストーリー
世子(セジャ)イ・チャンの旅立ち
李氏王朝時代の朝鮮、領議政(ヨンイジョン)と呼ばれる最高官職についているチョ・ハクチュは、王都の政治中枢で実権を握りつつあった。そして、「王が病に倒れた」という王都中にばらまかれている怪文書を利用して、ハクチュの政策に異議を唱える儒学者たちを一気に排斥しようとする。そして、ついにハクチュは、王位にまでその手を延ばそうと企てていたのである。
王の息子である世子(セジャ)イ・チャンは、父が病に倒れたという噂を怪しみ謁見を申し出るが、継母であるチョ王妃に拒否されてしまう。チャン世子は側室との間にできた子どもであり、正室であるチョ王妃は継母にあたる。そのため、チョ王妃は彼を疎んでおり、何とかして王宮から追い出そうとしていたのである。
チャン世子は、腹心のムヨンの助けを借りて、王宮への侵入に成功する。そこで、唸り声を上げて血なまぐさい悪臭を放つ怪物を目にするのである。からくも王宮を脱出したチャン世子は、王の診療記録を手に入れていた。そして、診療記録に不自然な空白部分が続いていることに気づくのである。チャン世子は、この空白に不信感を抱いた。そして、診療記録を残したイ・スンヒ医師を探すべく、人里離れた東菜(トンネ)を目指してムヨンと共に旅に出るのであった。
生死草の秘密
スンヒ医師は、東菜にある診療所「持律軒(ジユルホン)」へと、亡くなった助手のダニを連れて戻って来た。ダニが亡くなったことを知り、女医ソビは驚く。スンヒ医師は、ダニが王宮で王に謁見した際に、不気味な唸り声をあげる怪物に襲われて噛み殺されたことを話すのだった。その後、スンヒとソビが目を離したスキに、ダニの遺体が消えてしまう。実は、飢えに苦しむ東菜村の人々によって食べられてしまったのである。その後、ダニの遺体を食べた村人たちは次々と亡くなり、日が暮れるとゾンビとなって蘇るのであった。
東菜へとたどり着いたチャン世子とムヨンは、診療所「持律軒」で48体もの遺体を見つけて仰天する。そして、診療所の女医であるソビが山中へと逃げたことを知り、探しに行くのだった。チャン世子たちは女医ソビを見つけ出し、事情を聞き出すことに成功する。王は、医師のスンヒによって「生死草」を与えられたため、怪物として蘇ってしまったのである。
診療所にあったすべての遺体は、役所へと移されていた。その遺体は、日が暮れるとともにゾンビとなってよみがえる。そして、村人たちを襲い始めたのである。その後、夜が明けてゾンビたちは活動を停止する。その機を逃さず、チャン世子は、生き残っていた村人ヨンシンとチョ・ボムパルらとともに診療所で対抗策を考えていた。
しかし、そこへハクチュの命令でチャン世子を追っていた軍隊が襲撃してきたのである。ハクチュは、チャン世子に謀反の罪を着せて亡きものにしようと画策していたのだ。
ゾンビの弱点
襲撃してきた軍隊からチャン世子たちはかろうじて逃げ延び、元師匠のアンヒョン大監の元へと向かう。途中、先に船で逃げていたボムパルに出会った。そして彼から、船中の船員や乗客がゾンビと化した事実を知る。ボムパルは、命からがら逃げ延びていたのである。ゾンビと化した遺体をのせた船は、尚州の村人たちによって発見されていた。そして、村人たちは積み荷をおろした後、中にあった遺体をすべて土中に埋めていたのだ。
村人たちからその話を聞いたチャン世子たちは、遺体が埋められた場所へと向かう。ところが、日が暮れて蘇ったゾンビたちに囲まれて、絶体絶命の危機に陥ってしまう。しかし、チャン世子たちは、駆けつけたアンヒョン大監率いる兵隊によって救出される。その時、アンヒョン大監たちのあまりの手際のよさに、チャン世子は違和感を感じるのであった。
しばらくして、氷の谷で生死草を摘む女医ソビとボムパルは、対岸で唸り声を上げるゾンビに遭遇する。そのゾンビが昼間なのに活動していることから、ソビはゾンビの弱点が、太陽ではなく高温であると気づくのである。冬が近づき気温が下がってきたため、ゾンビは日中での活動が可能となっていたのだ。ソビとボムパルはゾンビから逃れ、ムンギョン峠にいるハクチュのもとに逃げ込む。そのソビを見たハクチュは、生死草に詳しい彼女を王の治療に利用しようと画策するのだった。
ゾンビ化の真実
アンヒョン大監のもとで、チャン世子たちはゾンビの襲撃に備えて訓練をしていた。そこへ、昼間にも関わらずゾンビの大群が押し寄せる。予想外の事態に陣営は総崩れとなり、チャン世子たちはムンギョン峠の中央陣地に撤退を余儀なくされるのである。しかし、そこでハクチュの罠にはまり、チャン世子は王殺しの罪をきせられて捕縛されてしまう。そして、アンヒョンは殺されてしまうのだった。しかし、アンヒョンは死に際に、チャン世子にある作戦を耳打ちしていた。
王都の処刑場では、チャン世子たちの処刑がおこなわれようとしていた。そこへ、ゾンビと化したアンヒョンが現れ、ハクチュに襲いかかる。これが、アンヒョンが死に際に、チャン世子に伝えた作戦だった。チャン世子は、ゾンビになったアンヒョンがハクチュにかじりついたのを見届けると、アンヒョンの首をはねたのである。この出来事により、王をゾンビ化させたのがハクチュであることが暴かれ、チャン世子の無実は証明されたのであった。
その後、ハクチュはゾンビ化したアンヒョンに噛まれたにもかかわらず、なぜかゾンビ化せずに病床に伏せっていた。ソビは、ゾンビが水を嫌うことを思い出し、ハクチュを水を張った浴槽につけてみる。すると、アンヒョンに噛まれた傷口から、寄生虫に似たものが這い出して来たのである。これ以降、ハクチュは回復の兆しを見せ始めた。この事実により、ソビは、ゾンビ化の真実にたどり着く。ゾンビ化は、生死草の葉についた虫の卵が人の体内で孵化し、脳を支配することで発症していたのだった。
王宮での戦い
体が回復したハクチュは、女医ソビとともに、王宮にいるチョ王妃のもとを訪れる。そして、王妃がハクチュを騙し、跡継ぎとして偽の王子を用意していることを突き止めるのである。激怒したハクチュは、王妃を幽閉しようとする。しかし、逆にハクチュは毒殺され、ソビは捕らえられて生死草とゾンビの研究を強要されることになった。王都の実権は、チョ王妃のものとなったのである。
その後、チョ王妃はチャン世子とその一族を滅ぼそうとする。しかし、チョ王妃の裏をかいたチャン世子たちは王宮に乗り込み、チョ王妃と対峙するのである。そこへ、王都の地下牢に幽閉されていたゾンビたちが解き放たれて襲いかかってくる。阿鼻叫喚に包まれる王宮。チョ王妃は王座にしがみついたままゾンビの餌食となり、自らゾンビと化すのだった。
チャン世子やヨンシンたちは、氷の張った王宮の池でゾンビと化したチョ王妃たちのゾンビ集団と対峙していた。戦いが始まるが、数が違い過ぎるために、チャン世子たちは追い詰められていく。そんな中、狙い通りに池の氷が割れ、戦っていたすべての者は冷たい水の中へと落ちていった。
水の中に落ちたゾンビたちは活動を停止した。そして、世子、ヨンシン、ボムパルは、ゾンビに噛まれた傷口から寄生虫に似たものが這い出し、かろうじて生きながらえたのである。
王位の継承
戦いは終わり、王都を我がものにしようとしたチョ王妃の野望は潰えた。チャン世子は、生き残った官僚たちから、王位の継承を強く望まれる。しかし、今までの出来事を思い出したチャン世子は、王位継承を悩むのである。そして、周りが納得できそうな理由をつけて王の座につくことを断り、チョ王妃が残した男児に継承権を渡して王都を去ってしまうのだった。
チャン元世子が王都を去ってから、7年の月日が過ぎようとしていた。女医のソビは、生死草とゾンビの研究結果を書物にまとめ、医学界に大きな発展をもたらしている。そしてチャン元世子は、ソビらとともに生死草の謎を解き明かすための旅をしていた。そこには、7年前の悲劇を繰り返さないとの思いがある。なぜなら、朝鮮各地では、いまだにゾンビ化現象が目撃されているからである。
ある日、チャン一行は、生死草を扱う闇商人の噂を聞きつけて北へと向かう。そして、そこでゾンビを飼いならす謎の女戦士・アシンと出会うことになるのであった。
少女アシン
漢陽の都で王が謎の病に倒れる数十年前、朝鮮半島は、倭国(日本)の侵攻を受けるとともに、女真族の内乱の危機を抱えていた。そんな中、朝鮮に帰化した女真族として、アシンの一族は藩胡(ポノ)村で貧しい生活を送っていた。そして、朝鮮陣営から密偵としての任務を請け負っていたのである。それは、女真族の強硬派の部族長アイダガンが率いる婆猪衛(パジョウィ)の監視であった。
まだ少女のアシンは、しばしば村の近くにある「王家以外立ち入り禁止」とされている廃四(ペサ)郡に立ち入っていた。母の療養に必要な朝鮮人参を探すためである。アシンはそこで、「死者を生き返らせる草」についての記述のある不思議な祭壇と、見たこともない草が生えていることに気づく。そして、村に帰ったアシンは祭壇のことを父に伝え、ひどく叱責されることになるのである。
ある日、廃四郡で婆猪衛の女真族15人の惨殺死体が発見された。何者の仕業かは不明である。しかし、朝鮮陣営の高官チロクは、15人もの女真族を殺したのを朝鮮人の仕業だと婆猪衛が疑うことを恐れた。そのため、女真族を殺したのを、虎の仕業であると見せかけようとするのである。
藩胡村の惨劇
チロクは、話の信憑性を高めるために虎狩りをよそおい、軍隊と女真族を引き連れて山中に分け入っていく。すると、チロク一行は、本当に虎の姿をした化け物に襲われたのである。犠牲者を出しながらも、なんとか化け物を仕留めることに成功するチロク一行。しかし、この事態を朝鮮の仕業であると断じる婆猪衛は、朝鮮への復讐を宣言するのだった。
アシンは翌日も、母のために生死草を摘みに山へと分け入っていた。そして、山から戻ったアシンが見たものは、アイダガンの部隊によって焼き払われた藩胡村と惨殺された村人の姿であった。スパイであることがばれた父は行方知れずになり、弟は目の前で殺されてしまう。アシンは、かろうじてその場を逃げ延び、朝鮮陣営にいたチロクと出会うことになる。
アシンから話を聞いて不憫に思ったチロクは、彼女を朝鮮陣営で育てることを決意する。そして、アシンは、父親と同じように密偵としての教育を受けていくことになるのである。その後、幾歳月が過ぎようと、アシンの胸中からアイダガン一派への復讐心が消えることはなかった。
復讐の始まり
アシンがチロクに育てられてから、20年あまりが過ぎ去ろうとしていた。今やアシンは、朝鮮陣営の優秀な密偵となっている。そして今回は、婆猪衛の陣営を探ってくるように命令を受けたのである。そして、潜入した婆猪衛の陣営で、行方知れずだった父と思いがけずに再会することになる。
父はスパイの罪により、四肢を切断されて畜生としての扱いを受けていた。楽にしてほしいと懇願する父親の願いを聞き届けるアシン。そして、婆猪衛の陣営を滅ぼすことを決意するのであった。
内偵を終えて朝鮮陣営へと戻ったアシンは、ふとしたことがきっかけで、20年ほど前に自分の村が襲われた真実を知ることになる。実は、15人の女真族を殺したのは、やはりチロクたちであった。そして、アイダガン一派の復讐を恐れたチロクは、女真族を殺したのは藩胡村の人間であると嘘を吹き込んでいたのである。これを知ったアシンは、朝鮮陣営も復讐の対象として見据えたのだった。
アシンは、復讐の手段に生死草を利用することを思いつく。そして、今まで散々アシンを辱めてきた男を殺して生死草のエキスを注入し、朝鮮陣営の内部へと解き放ったのである。陣営内部の人間は次々と襲われてゾンビ化し、さらに別の人間を襲っていく。この地獄から逃げようとした人々は、屋上で構えるアシンの弓によって射殺されていった。
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目次 - Contents
- 『キングダム(アシンの物語)』の概要
- 『キングダム(アシンの物語)』のあらすじ・ストーリー
- 世子(セジャ)イ・チャンの旅立ち
- 生死草の秘密
- ゾンビの弱点
- ゾンビ化の真実
- 王宮での戦い
- 王位の継承
- 少女アシン
- 藩胡村の惨劇
- 復讐の始まり
- スンヒ医師との出会い
- 『キングダム(アシンの物語)』の登場人物・キャラクター
- 『キングダム』の主要人物
- 世子/イ・チャン(演:チュ・ジフン)
- チョ・ハクチュ(演:リュ・スンリョン)
- ソビ(演:ペ・ドゥナ)
- ムヨン(演:キム・サンホ)
- ヨンシン(演:キム・ソンギュ)
- チョ・ボムパル(演:チョン・ソクホ)
- 王妃チョ氏(演:キム・ヘジュン)
- アン・ヒョン(演:ホ・ジュノ)
- 『キングダム アシンの物語』の主要人物
- アシン(演:チョン・ジヒョン/キム・シア(子供時代))
- ミン・チロク(演:パク・ビョンウン)
- タハブ(演:キム・レハ)
- チョ・ボミル(演:チョン・ソグォン)
- アイダガン(演:ク・ギョファン)
- 『キングダム(アシンの物語)』の用語
- 生死草
- ゾンビ
- 女真族
- 『キングダム(アシンの物語)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ゾンビ出現
- 世子千里行
- アン・ヒョン大監の作戦
- アシンの誓い
- 『キングダム(アシンの物語)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- コロナ禍で混乱する世界への啓示
- 性差別への風刺
- 『キングダム アシンの物語』の後のチン・ミロク