モンテッソーリ 子どもの家(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『モンテッソーリ 子どもの家』とは、世界中の多くの人々から支持されている教育メソッド「モンテッソーリ教育」の魅力と子どもたちの成長をつづったフランスのドキュメンタリー映画。北フランス・ルーベにある同国最古のモンテッソーリ幼稚園を2年3カ月にわたって取材し、2歳半~6歳の28人の子どもたちがユニークな教具で自由に学ぶ姿、そして彼らが成長していく中でふと訪れる感動的な瞬間を捉えることに成功している。日本語吹き替え版ではマリア・モンテッソーリの声を本上まなみ、監督の声を向井理が担当している。
ジェロ
全編を通して、ジェロは最も登場回数の多い園児で作品の中心的な人物。他人の仕事を見る、紙をハサミで切る「お仕事」を20分以上やり続ける、初めて文字を読むなど、観察映画を象徴するシーンで多数出演している。
ギャランス
クラスのお姉さん的な存在のギャランスは、映画冒頭でセラフィーヌに花の生け方を教えたり、シャルリに砂文字版を教えたりしている様子が映し出されている。
シャルリ
ジェロに次いで登場回数の多い中心的な園児の1人がシャルリである。映画冒頭では絨毯の巻き伸ばし、花の水やり、また「集中現象」を紹介するシーンでは、他の園児に邪魔をされて「お仕事」を中断してしまう様子なども紹介されている。
フェリックス
クラスメイトのカミーユが描いた絵を「ちっとも可愛くない」と言ったり、ジェロが「手伝わないで」と言って取り組んでいた地理パズルの「お仕事」に口を出したり、手を出したりしてしまう男の子がフェリックスである。映画後半では成長した姿を見せ、音感ベルや文字の習得に励む様子が映し出されている。
アリックス
アリックスは、映画後半の新学期に入園してくる年少の女の子。ジェロが自分より小さいアリックスに空け移しの「お仕事」を教える様子が紹介されている。空け移しとは1つの容器に水を入れ、もう1つの空の容器に水を移す「お仕事」のことをいう。
レア
映画冒頭で丁寧に手を洗ったり、机に枕を置いて昼寝をしたりする女の子がレアである。
『モンテッソーリ 子どもの家』の用語
マリア・モンテッソーリ
まだ女性の地位が低く、将来の選択肢は結婚か教師しかなかった19世紀後半の1870年に、マリア・モンテッソーリ(1870~1952)はイタリア東部のキアラヴァーレという町で生まれた。幼い頃から聡明であったモンテッソーリは、まわりの反対を押し切ってローマ大学の医学部に進もうとしたが、大学から女性であることを理由に入学を拒否される。大学側と粘り強く交渉し続けた結果、モンテッソーリは入学を許可され、1896年イタリア初の女性医学博士となりローマ大学を卒業した。卒業後、同大学付属の精神病院で研究を続け、先駆者たちの影響で感覚を用いた知的障害児の治療教育に傾倒した。MRIやエコーなど便利な医療器具がなかった時代に、モンテッソーリは「観察」を用いて患者の治療に臨んだ。1901年にはローマ大学に再入学し、実験心理学、人類学、教育学を学び、モンテッソーリ教育を確立。多くの著作を残し、1949年から3年連続でノーベル平和賞にノミネートされている。
1952年5月6日、オランダの北海に面したノートルウェイクで亡くなるまで、モンテッソーリは生涯をかけて人類を良くするための手段は教育であると訴え続けた。
子どもの家
1907年1月6日にマリア・モンテッソーリがローマのスラム街で初めて労働者の子どもたちの施設「子どもの家」を開園。ここではイス、机はもとより、戸棚、トイレなどの水回りにいたるまで、とにかくすべてのものが子どもサイズで設計されている。そして観察から人間発達の鍵となる普遍的な法則を発見し、モンテッソーリ教育の基盤となった。
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目次 - Contents
- 『モンテッソーリ 子どもの家』の概要
- 『モンテッソーリ 子どもの家』のあらすじ・ストーリー
- 「お仕事」が好きな子どもたち
- 嫉妬しない子どもたち
- 「敏感期」の様子の紹介
- 感覚の敏感期
- 言語の敏感期
- 「集中現象」への着目
- モンテッソーリ教育が目指すもの
- 『モンテッソーリ 子どもの家』の登場人物・キャラクター
- 教師
- クリスティアン・マレシャル
- 子どもたち
- ジェロ
- ギャランス
- シャルリ
- フェリックス
- アリックス
- レア
- 『モンテッソーリ 子どもの家』の用語
- マリア・モンテッソーリ
- 子どもの家
- 教具
- 『モンテッソーリ 子どもの家』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- マリア・モンテッソーリ「子どもの行動は、私たちに多くのことを教えてくれます。子どもは決して力のない存在ではありません。威厳に満ちた存在なのです。」
- マリア・モンテッソーリ「私は馬鹿げた思い込みをしていました。子どもを聞き分けの良い努力家に育てるにはその子の食欲や自尊心などを褒美を与えて満たしてやればいいと考えていたのです。でも今まさに伸びようとしている子どもにはそのような欲は存在しませんでした。」
- アレクサンドル・ムロ監督「教室は実験室であり、観察する場である。子どもに介入せず集中を妨げないこと、障害となるものは置かないこと、そうすれば子どもたちは素晴らしい飛躍を見せてくれる。」
- 『モンテッソーリ 子どもの家』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 制作のきっかけは監督自身の長女の存在
- 1人での撮影を決めたムロ監督
- ありのままの姿が撮られた子どもたち